クロスアンジュ 儚き竜達への鎮魂歌   作:見知らぬ誰か

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第05話 レナ機改、出撃

 改造終了の確認をした直後、部屋で本でも読もうと思って部屋に向かう途中に突然サイレンが鳴り出した。

 非常用の回転ランプが赤い輝きで警報を助長する。

 

《第一種遭遇警報発令! パラメイル第1中隊発進準備

 繰り返す、第一種遭遇警報発令――》

「慣らしをする暇もないとは」

 

 それとも、今まで空気を読んでくれた分かな……?

 私は部屋に向かう方向とは逆にある更衣室に向かった。

 

・―・―・―・―・―・―・―・

 

「総員騎乗!」

 

 ゾーラ隊長の言葉を聞いた直後、私は灰色のグレイヴに乗り込む。

 

「さて……ぶっつけ本番だけど頑張りますか」

 

 前列が発信し終わると前が空く。

 

『――レナ機、発進どうぞ』

「了解、レナ機発進する」

 

 ランディングギア起こし、発進……って!

 

「は……やい……」

 

 メイのやつ、エンジン出力どこまで弄ったんだ……!

 

『――早速改造したようだねぇ、レナ?』

 

 面白いものを見るような顔をした隊長の顔がインジケータ横のモニターに映る。

 

「楽しみといえば、これぐらいですから」

『――これでスコアが良ければ突撃兵に任命してやろうじゃないか』

「感謝します」

 

 隊長の言葉にそう返す。

 

《――シンギュラー開きます!》

 

 空間が歪んでそこからドラゴンが出てくるが……一際大きいエモノが普段のようなガレオン級などではなく、3対6翼を持つガレオン級より一回り小さいドラゴンだった。それが4体もいる。

 

《――スクーナー級46、キャラベル級4》

『――多いのは大いに結構! 総員、戦闘開始!!』

『「イエス・マム!」』

『――レナ、お前はヒルダとヴィヴィアンと一緒に突っ込みな』

「了解!」

 

 私は先行したヒルダとヴィヴィアンを追いかける。

 

『――よろしくな!』

『――落ちるんじゃないよ』

「近接戦は初めてだしお手柔らかに!」

 

 私は駆逐形態に変形すると銃を正面に撃ちながらスクーナー級の群れへと突っ込む。

 銃で撃ち落としながら切り裂く。撃って切り裂いて更に撃ち、斬りまくる!

 

「これは良いや!!」

 

 スクーナー級の群れを抜けた頃にはグレイヴの各箇所が真っ赤に染まっていた。

 

『――はしゃぎ過ぎだ!』

「良いじゃないか! 楽しいんだからさ!」

 

 ヒルダの言葉に喜の感情を乗せながら返す。

 手近に居たスクーナー級に右腕のバヨネットを突き刺し、乱射する。

 

「たぁぁぁぁぁのしぃぃぃ!!」

『――タイチョー! レナが壊れたァァァ!!』

 

 壊れたとは失敬な! せめてドラゴン狩りを楽しんでいると言え。私は至って普通だ、壊れてなど居ない。

 

「失敬だなヴィヴィアン! 私の何処が壊れてるって!?」

 

 私はヴィヴィアンが狙っていたドラゴンを撃ち落としながら聞いた。

 

『――あー! 私の獲物をー!』

「いつまでも時間を書けてるヴィヴィアンが悪い!」

『――なら、いっただきぃ!』

 

 ヒルダが私の狙っていたのを落とす。

 

「よし、死刑」

 

 私はそう言ってヒルダの後ろから迫っていたドラゴンを撃ち落とす。

 

『――居るなら居るって言え! こえーだろうが!』

「お前に怖いなんて感情があったのか! そりゃ驚きだ!」

『――テンメェ……ぜってぇに泣かす!』

「やれるもんならやってみろ!」

 

 そんな軽口の応酬をしている間にスクーナー級の数が減ってきた。

 

『――総員! 凍結バレット装填!』

「待ってましたぁ!!」

 

 私は隊長のその言葉が聞こえた瞬間に左のレバーを操作し左のアサルトライフルを後ろのバインダーに装備することで開いた左腕の凍結バレットを装填する。

 

『――突撃ぃ!』

 

 私はスロットルをフルで飛ばし、キャラベル級に突っ込む。

 キャラベル級は魔法陣を展開し鱗を飛ばして攻撃してくるがそれを全て避けてゼロ距離でブチ込む。

 その一撃でキャラベル級は落ちて海面を凍らせる。私は周囲を確認しもう1匹居たキャラベル級にもう一度凍結バレットをブチ込んだ。

 

『――あー!! レナのやつ大物2体落としやがった!』

「五月蝿いロザリー! やるなら手伝えの一言ぐらい寄越せ!」

『――なら、もう1体やるぐらい言えよ!』

「じゃあ、後方注意(チェックシックス)」

『――え?』

 

 スクーナー級に後ろから取り付かれたロザリー。

 

『――くっ! このっ放せよ!!』

「助けてやろうか?」

『――これ以上、報酬を増やさせて貯まるかよぉ!!』

「なら沈んでしまえ」

『――ギャー! ごめんなさいお願いします助けてください!』

 

 私は一気に接近してバヨネットでロザリー機に取り付いていたスクーナー級を切り裂き振り払う。

 

「はい」

『――さ、さんきゅー……』

「いや、これぐらい普通だって」

 

 私は後ろから近づいていたドラゴンを振り向きざまのバヨネットのブレードで切り裂く。

 これでドラゴンは全滅。スコアはスクーナー級18、キャラベル級2……いい感じのスコアじゃないですかね。

 

『――レナ』

「はい」

 

 隊長からの通信……何でしょうかねぇ……

 

『――次からアンタは突撃兵だ。いいね?』

「了解です」

『――じゃ、帰投するよ!』

『「イエス・マム!」』

 

 そうして改造したことによって私は結構大きな戦績を上げた。

 

・―・―・―・―・―・―・―・

 

「撃破、スクーナー級32、キャラベル級へのアンカー打ち込み2、ガレオン級へのアンカー打ち込み3。そこから燃料消費、弾薬消費、機体修理費をマイナスして……今週分、320万キャッシュ」

「あれ……なんか少ない……」

「改造前より弾薬消費が激しくなってますよ」

 

 ……あー……そう言えば結構撃つようになったしなぁ……下手なテッポも数撃ちゃ当たる的な……そんな感じで……

 

「いやいや、アンタの場合は下手なテッポじゃなくて乱射魔(トリガーハッピー)なだけだろ」

「よし、んじゃあ私と弾薬費で勝負してみるか? 弾薬消費多かったほうがジャスミンモールで飲み物奢るんだ」

 

 ロザリーがそう言ってきたため私はそう返した。

 

「良いじゃねぇか!」

 

 お互いに一度聞こえないように弾薬消費を聞く。

 

「じゃあ」

「せーのっ!」

「112万」「215万!」

 

 前者が私で後者がロザリー……約2倍の違いがあったのかい。

 まぁ、約束は約束だ。

 

「さて……何を奢って貰おうかな……」

「お、お手柔らかに……」

「私が一番好きなのはクレイジーチェイサーコーラ(CCC)だ」

 

 クレイジーチェイサーコーラ、通称CCCは通常のコーラよりも炭酸3倍の超刺激的な飲み物でお値段20万キャッシュもするある意味ゲテモノ飲料だ。最近は週一感覚で飲んでいる飲み物だ。

 

「よ、よりによってCCCかよ……」

「美味いじゃないか、あれ」

「お、わかってるなぁ……レナ」

 

 どうやら隊長も好きなようだ。

 

「ありゃジャスミンの保存の仕方も上手いと思わないか?」

「あの炭酸を抜かないような保存は凄いと思いますね」

「そうだろう?」

 

 そんな訳でその後隊長と一緒に風呂でキンキンに冷えたCCCを飲んだ。やはり任務上がりの風呂は格別でキンキンに冷えたCCCも格別だった。


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