~闇の世界一日目~
瀧賀)ここが…闇の世界…
神王妃ヘラ)そ、取り合えずアスタロトちゃんの所に行きましょうか。
瀧賀)アスタロト?
神王妃ヘラ)魔神アスタロト、主属性は木ね。
瀧賀)アスタロト…筋肉ムッキムキのオッサンじゃ無いことを祈る。
神王妃ヘラ)大丈夫よ、小さい少女にぬいぐるみが付いているだけだから。
瀧賀)?
そして普通な和風民家に到着。
瀧賀)…は?!
神王妃ヘラ)なにしてんの?
瀧賀)あ、すみません、お邪魔しまーす…
おそるおそる下足を脱ぎ、靴を整え、神王妃ヘラに付いていく。
神王妃ヘラ)アスタロトちゃーん、入居者が来たわよー。
返事がない、留守なのだろうか?
神王妃ヘラ)…多分寝てるわね、起こしに行くわよ。
瀧賀)え?
神王妃ヘラ)よく寝てるのよ、魔力の消費が激しいから仕方ないけどね。
瀧賀)…一つ良いですか?
神王妃ヘラ)何かしら?
瀧賀)何故このような民家なのですか?
神王妃ヘラ)アスタロトちゃんの希望よ、城より落ち着くらしいから。
瀧賀)…ここか。
神王妃ヘラ)よし…アスタロトちゃん!起きなさい!
母親みたいに突撃、そして布団を引っ張った。
アスタロト)うーん…あと五分…いや、一時間。
神王妃ヘラ)新しい入居者が来たわよ、挨拶ぐらいしなきゃ。
アスタロト)分かったよー…
瀧賀)光芽瀧賀だ、よろし…く…
アスタロト)?、どうしたの?
瀧賀)そんな…椏栖(あす)……何で…
神王妃ヘラ)どうしたの?
瀧賀)っ…!
瞬時に距離をとる、つい構えてしまった。
アスタロト)…悪いこと…しちゃった?
神王妃ヘラ)取り合えず、事情を説明しなさい。
そして居間、テーブルを挟んで話をする。
神王妃ヘラ)さて、どういう事かちゃんと説明しなさい。
瀧賀)…これを見てください。
写真入りペンダントをヘラに差し出す。
神王妃ヘラ)…髪色以外はアスタロトちゃんそっくりね、どういう事?
瀧賀)俺の妹です、自慢の…妹だったんです。
神王妃ヘラ)だった?
瀧賀)…三年前、9月…難病で死んでしまったんです…俺の目の前で…苦しみながら…
神王妃ヘラ)…ちょっと待って、ソエルに連絡するわ。
瀧賀)え…?
意味が分からない…何故連絡するのか…
神王妃ヘラ)…そう、分かったわ。
瀧賀)どうしたんですか?
神王妃ヘラ)…新しいアスタロトちゃんの魂が発生したのは、ちょうど三年前、9月ね。
瀧賀)!!
神王妃ヘラ)それから言えるのは、あなたの妹…椏栖ちゃんの可能性が高いわね。
椏栖の魂が…アスタロトに…
神王妃ヘラ)その時にコシュマルも生まれた…それほど生前、大切に持って居たのでしょうね。
ずっと入院していた椏栖の為に作ってやった猫のぬいぐるみ…椏栖、お前はどこまで俺を泣かせたら気が済むんだ…?
???)おい、そこの…えーと、なんだ、男、一つ良いか?
瀧賀)…
問いかけ方法は突っ込み所満載だ。
神王妃ヘラ)コシュマル、何の用?
コシュマル)…あんたが、生前のご主人の兄貴だったのか?
ピンクの人形は問いかける、しかも宙に浮いている。
瀧賀)…多分な。
コシュマル)…そうか、悪いが、ご主人は何も知らねえ…今居る状態じゃ、俺も大して戦えねぇけどな。
瀧賀)どう言うことだ?
コシュマル)…魔力を貸してるのさ、それじゃなきゃ…ご主人は死ぬか一生人形だ。
瀧賀)…そうか、椏栖…もといアスタロトをちゃんと宜しくな。
コシュマル)…ご主人はほとんど一人だったから、ちょうど良い頃に来てくれたな、あんたもご主人の支えになってくれよ『兄弟』
…兄弟…か、椏栖、お前がお前じゃ無くても、俺は離れないからな…
神王妃ヘラ)じゃ、そろそろ帰るわね。
瀧賀)明日は…サタンに会いに行くのか?
神王妃ヘラ)そ、ついでにイースとかにも会いに行くわよ。
瀧賀)分かりました、では。
神王妃ヘラ)じゃあね、瀧賀君♪
ヘラが飛び去る、あの羽でよく飛べるな…
コシュマル)さて…早速だが、一つ頼みがある。
瀧賀)何だ。
コシュマル)ご主人に…料理を教えてやってくれ。
瀧賀)…え?
コシュマル)ご主人はずっとケーキを作って居るが、全部いまいちでな…ご主人も、『目的の味と違う』って言っててな…
瀧賀)…
確か…椏栖の為にケーキを作ってやってたんだっけ…懐かしいな…椏栖の為にずっと勉強してたんだよな。
瀧賀)分かった、その前に…
コシュマル)…ふむふむ、分かったぜ、直ぐに準備する。
瀧賀)ありがと、助かる。
コシュマル)へへっ…固いことは言うなよ、兄弟。
瀧賀)ああ…作戦開始だ。
その頃、神界では…
アテナ)どう言うことですか!瀧賀さんの救出を止めろって…
???)…今、確かに戦争は止まっている…戦場で死者が出るよりも、たかが一人の命で止まっているのだ…その歯止めが無くなればまた戦争が起こる…
アテナ)それでも!
???2)見苦しいですよ、アテナ。
アテナ)くっ…
???3)そもそも、光のパズドラーはもう一人居る、奴よりも優秀な矢弥がね。
アテナ)…分かりました、この件から…手を…引きます…
???)…退室して結構です。
アテナ)…はい…
アテナ)………瀧賀さんの……馬鹿…
オーディン)…ま、奴が決めたことだ、変えられないさ。
ヘルメス)ほら元気出して、瀧賀君がここに居たら何て言うと思う?
アテナ)…『厄介神が、不幸神になってんじゃねーよ、アホ』って言ってそうです…
オーディン)なら、やることはただ一つだ。
ヘルメス)そう、瀧賀君が、『帰って来た時に、笑って迎えれる』為に、涙は捨てなきゃ。
アテナ)…そうですよね…迷惑を掛けましたね、二人とも。
オーディン)アホか、俺達の上司なんだから胸張ってろ。
ヘルメス)…そういえば、二人ともファガンの情報を持って無い?
アテナ)え?何故彼なのですか?
ヘルメス)…彼は、何か昔から裏が有りそうなんだ…
オーディン)…何故そう思う。
ヘルメス)だって闇の方だってこっちから攻めてもないのに打撃を受けて、こっちだって打撃を受けている…しかもベルセポネから聞いた話によると…闇の方は進軍は大してしていない…矛盾してるよね。
アテナ)確かに…ッ!何者ですか!?
ヴァンパイアロード)失礼、私はヴァンパイアロードという者です。
アテナ)どうやって侵入を…
ヴァンパイアロード)それより話を聞いてください、最近…ファガンが我が領土で不審な動きをしているとの事が民から報告が有りました。
アテナ)!!
オーディン)…当たりだな、恐らくは絶冥の黄龍になるための最終段階だろう、闇の宝玉…一つはハクが持ち、もう一つは…
ヴァンパイアロード)もう一つは…っ!あぶない!
アテナ)!!
カリン)…避けられちったか…まーいいや、さっさと倒しちまお。
ヴァンパイアロード)逃げ…て…瀧賀さんの…命が…
アテナ)!!、どう言うことですか!
ヴァンパイアロード)残りの…宝玉は…
カリン)うるさい!死んじゃ…っ…
アテナ)…そうですか、なら…エンジェリット達、来なさい。
オーディン)…まさか…宝玉を使えば…
アテナ)…究極進化。
ヘルメス)…っ
アスタロト)コシュマルひーまー、遊ぼうよー。
コシュマル)十分遊んだだろうがご主人!
瀧賀)…ちょっと良いか?
アスタロト)…なぁに?
瀧賀)さっきは驚いてごめんなさい。
アスタロト)え?
頭を下げて、謝る。
瀧賀)そのお詫びと言っては何だけど…ケーキ焼いたから、食べない?
アスタロト)…
アスタロトが立ち上がり、キッチンに向かって歩く、もちろんケーキに向かって。
アスタロト)…
パクッと一口、含んだら…
アスタロト)…この味…どうやって…
瀧賀)何となく。
もちろん嘘だ、昔から作っている様に仕立て上げたから…
アスタロト)…っ
両手でケーキを掴み、口いっぱいにケーキを頬張る。
コシュマル)ご主人、行儀悪いぞ!
アスタロト)うるひゃい、にゃんだか…懐かしいの…
アスタロトが泣いている…昔の記憶はないはずなんだけどな…
コシュマル)…なぁ兄弟、一つ良いか?
瀧賀)何だ?
コシュマル)何であの時『気を引き付けていてくれ』って頼んだんだ?
瀧賀)それは…
ケーキを頬張るアスタロトを見ながら、こうつぶやいた。
瀧賀)何事も…サプライズだろ?
コシュマル)…ちげぇねぇや、さて、これからどうする?
瀧賀)寝る、闇の世界の住人じゃないからな。
コシュマル)そっか、良い夢見ろよ、兄弟。
瀧賀)おやすみ、守ってくれよ。
コシュマル)任せとけって。
こうして闇の世界の一日が過ぎた、アスタロトの魂が妹だって事を知ったから、それだけで俺は…
幸せ物だ……………
東方の小説を作成してるので次回の投稿は遅れるかもしれません、ご了承下さい。