質量を持ったソリッドビジョンの実現により生まれた、アクションデュエル……
フィールド・モンスター……
そしてデュエリストが一体となったこのデュエルは
人々を熱狂の渦に巻き込んだ!
MCのナレーションが響き渡る。
「戦いの殿堂に集いしデュエリストたちが、モンスターとともに地を蹴り、宙を舞い、フィールド内を駆け巡る!
見よ、これぞ、デュエルの最強進化形、アクショーーーーン…」
「「デュエル!」」
俺はアクションデュエルというものを初めて見に来ていた。
師匠が一度は見ておいたほうがいいと言ったのでチケットを貰い、見に来ている。
「すごい人だかりだな」
それほどにまで人気が出ている、ということなのだろう。
エンターテイメント性もある。そして、驚いたのが、モンスターの上に人間が乗っている、というところだ。
モンスターと人間が一緒に戦う、か...
『クリクリー』
カードの中からモンスター、いや精霊であるクリボーが出てきた。
頭を撫でてやる。
『クリクリー...』
気持ちよさそうにしている。周りの人から見れば何もないところを撫でているように見えるのだろう。
お前は本当に撫でられるのが好きだな、とクリボーに心の中で言う。
さて...そろそろ行かなければな。明日は転校初日、だからな。
俺はクリボーを撫でながらその場を後にした。
次の日、俺は舞網市という町に来ていた。
舞網市は沿岸部に位置する町であり、デュエルの技術だけが突出して進歩している。
赤馬零児が社長を務めるレオ・コーポレーション。同社が開発した「質量を持つ立体幻像(ソリッド・ビジョン)」の普及により、舞網市では「アクション・デュエル」が生まれ、世界中で人気を博している。そして舞網市にはレオ・コーポレーション直営のデュエル塾 レオ・デュエル・スクール 通称LDSがある。
そんな町の舞網第二中学校という学校に俺は今日から通うことになっている、のだがある問題が発生した。
「ふむ...ここはどこだ?」
迷った道に。
「すみません道に迷って遅れました」
職員室にいる担任の先生に俺はそう言った。
「ああ、いいよいいよ。この町広いもんね、仕方ないよ」
先生はアハハと笑いながらそう言った。
「幸いにも次は私の授業だから少し授業時間けずって自己紹介する時間取るね」
「はい、すいません」
ふむ...自己紹介か...名前とどういった経緯でこの学校に来たのかということを師匠は言えばいい、と言っていたな。しかし俺がこの町に来た経緯は言えないしな...適当に理由を作るか。
そんなことを考えているうちに教室に着いてしまった。
「私が入って、と言ったら入ってきて」
先生はふっと笑みを浮かべ教室に入って言った。
『皆さーん!静かに!朝来る予定だった転校生が到着したので紹介します。じゃあ、騎士葉君入ってきて』
俺は息を吸い込みドアを開けはなった。クラス全員の視線が俺に向けられた。教壇の横まで行き、口を開く。
「騎士葉 蒼(きしば そう)だ。親の用事で転校してきた。これからよろしく」
少しの沈黙が続き、それを察したのか先生が口を開く
「はい。じゃあ皆さん騎士葉君になにか質問はありますか?」
恐らく、質問で交流を深め、俺とクラスメイトの関係を作るきっかけにしようと考えているのだろう。そんなことを考えているうちに一人の生徒から質問が来た。
「騎士葉君は彼女いますか?!」
「いないな。」
くだらない質問だな。
全く...もっとましな質問はできないの...
「じゃあ、私と付き合ってください!」
「は?」
思わず声が出てしまった。なんだこいつは。まだ得体の知れない転校生に告白などするのか?師匠はものすごく時間をかけてそれから告白した、と言っていたが...
「ちょっとアンタ!抜け駆けはなしよ!」
「そうよそうよ!」
抜け駆け?もう何がなんだかわからなくなってきたぞ。どういうことだ?まあとりあえず断っておくか...
「すまないな。付き合うことはできない」
俺がそう言うと
「えー残念」
と言って席に座った。ふう...さっさと先生に言って質問を終わらせ...
「じゃあ、あたしと付き合ってください!」
「いや!わたしと!」
「いやいや!わたしと!」
「ちょっとなによあんたたち!」
「あんたこそなによ!」
...なんだか知らないけど大変な事になっているな。さっさと先生に...
「いいねぇ青春だねぇ~」
なんか満面の笑みで3人のやりとりを見ていた。いや...止めましょ?先生
授業が終了し、俺は遊勝塾というところへ向かっていた。
遊勝塾は師匠の知り合いが経営しているデュエル塾であり、そこの塾生になることが条件で塾長の家に居候させてもらうことになっている。
デュエル塾というものに俺は通った事が無かったため、少し楽しみにしている。
「ここだな」
俺はエレベーターの中に入り、二階にあがる。
俺はあたりを見渡し、廊下を歩く。すると話声がする部屋があった。よし入ろうと思いドアに手をかけた瞬間に、
『遊矢を見せ物にはできん!』
という声がした。なにか重大な事を話しているのだろうか。俺は壁にもたれ掛かり話し合いが終わるのを待つことにした。
しばらくして怪しいメガネをかけた男が出てきた。恐らく話し合いは終わったのだろう。よし部屋に入るか。と思いドアに手を掛けた。その時
ゴンッと鈍い音がし頭に衝撃が走る。
「いってぇぇ!」
中学生らしき少年が悶絶している。大丈夫か?こいつ
「遊矢!」
「大丈夫か遊矢!」
部屋の中から中学生らしき男子と女子が駆け寄ってきた。ふむ...とりあえず俺も声をかけるか
「すまない。大丈夫か?」
と手を差し伸べる。
「あ、ああ平気だ...って転校生!?」
俺のことを知っているということは同じ学校なのだろう
「ああ。ということは同じ学校だな。君の名前は?」
「俺の名前は榊 遊矢。えーっと...」
「騎士葉 蒼だ。よろしく」
俺は榊に手を差し出した。
「ああ、よろしくな!騎士葉!」
榊は俺の手をとり、握ってくる。
「それで君たちの名前は?」
とほかの二人に尋ねる。
訪ねると、先に男の方が答えた。
「うむ。俺の名前は権現坂 昇!よろしくな蒼!」
権現坂はそう言って俺に手を差し伸べてきた。しかし、いきなり名前で呼ぶとはな。あまり名前で呼ばれるのはなれていないからなんかむずかゆいな。
「あぁ。よろしく頼む。」
俺はその手を素直に握った。
後はこの子だけだな。
「あと、君の名前は?」
「柊 柚子よ。よろしくね!」
柊って事はここの塾長である柊 修造さんの娘であろうな。さて、それは置いといて
「修造さんはいるか?」
「ここにいるぞ!」
ぬっと部屋の隅から出てきた。
「こんにちは、騎士葉君!遊勝塾へようこそ!」
と修造さんが満面の笑みで言ってきた。
「はい。こちらこそよろしくお願いします」
と返すと、
「え!?騎士葉ってうちの塾入るのか?!」
と榊が反応したので俺は
「ああ。その面でも今日からよろしくな。」
と言った。
「ああ!ってもうこんな時間!権現坂!帰るぞ!じゃあな騎士葉!柚子!」
「おお!そうだな!さらばだ!蒼!柚子!」
と言って彼らは慌しく帰っていった。
「じゃあ騎士葉君、私も帰るね!また明日!」
「待て!柚子!」
と修造さん
「なによお父さん」
柊は修造さんに止められて不服な顔になった。
「騎士葉君は今日から俺らと一緒に住むことになった!」
...え?まさか修造さん...
「えぇーーーーっ!なんでそんな大事なこともっと早く言わないのよ!っていうか騎士葉君、親の用事って言ってなかった?!」
「あぁ、あれは嘘だ。」
「嘘なんかい!ってそれよりもお父さん!」
柊はもの凄く怒っている。ということはやはり...
「修造さん。もしかして言ってなかったんですか。」
「ああ!言ってなかった!」
修造さんは柊がどこからか取り出したハリセンで叩かれながらそう答えた。
「とりあえず、柚子!俺はやることがまだあるから先に騎士葉君と帰ってなさい!じゃあな!」
修造さんはそういってどこかへ行ってしまった。
「あっ!くそっ...」
柊はそう言いハリセンをしまった。
ふむ...迷惑なのか...?そう思い俺はできる限りの悲しそうな顔で柊に尋ねた。
「すまない。やっぱり迷惑か...?」
「あ、いや別に迷惑ではないんだけど...ああもう!だからそんな顔しないで!」
迷惑ではないのか、なら。
「そうなのか」
と言って俺は顔を元に戻した。
「とりあえず帰ろっか?」
「ああ、案内を頼む」
とまあ、こんな具合で俺の転校初日は終わった。
感想なんかもらえたら、それはとっても嬉しいなって...