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「ふふ…深雪ちゃんは相変わらずの人気なのね、それに彼女がいてくれるなら達也の浮気は阻止してくれるわね」
『からかわないでくれ、美琴に誓って、そんなことはしないさ』
「わかってるわ、からかっただけよ」
夜、美琴は実家の自分の部屋にて画面越しに最愛の彼との逢瀬を果たしていた。お互いに、なかなか忙しいところではあるが、それでも連絡が取れないということはない。かれこれ1時間程美琴と最愛の彼、達也は話を続けていた。その内容は主に今日の入学式のこと。たわいもない話に、美琴は微笑みながら冗談を言い、達也はそれに少々大袈裟に返答する。
何気ないその行為が二人には楽しかった。欲を言えば画面越しにではなく実際に会いたかったところだが、旧石川県の金沢にある実家と東京の八王子にある達也たちの家では距離がありすぎる。
『それはそうと、一条将輝か…』
「興味が?やはり十師族である一条だから?」
『いや、それもあるが…美琴、相手は男なんだぞ?交友関係まで束縛しようとは思わないが…その…』
「……ふふふ、ふふ…ふ、ふ…
達也、貴方が束縛したことなんてないじゃないの
それにあり得ないわ、あちらも、私がそうなることをあり得ないと思ったからこそ一緒にいようかと思っているだけだと思うわよ」
「私は深雪ちゃんじゃないのだから」笑いながらそう返すと、達也はどこか難しそうに笑った。
『そうだろうか、美琴は十分魅力的だと思っているのだが』
そう、言い返すように口角を少しあげてニヒルな笑みを作り出した達也に、美琴は頬が高揚するのを抑えられなかった。
(……狡いなぁ)
サラッとそんなことが言えることがすごい。そう言われてしまったら、反論すら出来ないじゃない。
「……ばーか」
通信を切ってから小さくそうこぼした。
達也は今まで会話をしていた相手へと笑みをこぼした。
俺のような欠陥品に、愛情を注いでくれる。それは、達也にとってかけがえのない存在だ。彼女と会えていなかったらそれは自分ではないのではないか、それほどまでに美琴という存在は達也の中で大きかった。
達也はデスクの上に置いてある写真立てに手を伸ばした。そこには深雪と自分と美琴が3人、楽しそうに並んでいる。深雪と美琴、達也にとってそれは幸福の象徴とも言えるものであった。自然と笑みが深まる。と同時に、今日の入学式のことを思い出した。
新しい知り合い、一科生とニ科生の確執、これからの学校生活の展望…美琴曰く『
そして美琴のことだ。美琴は先程、「俺が束縛などしたことがない」と言ったが、それは誤りだ。
美琴は俺の嫌がることをしないように、無意識のうちに行動しているに過ぎない。
自身では自覚がないようだが美琴は他人に甘い。とりわけ自身の中に入れた存在ならなおさらだ。
「一条将輝…か…」
一つの名前が口から滑り出す。本人はありえないと言っていたが、果たしてどうだろうか。達也は美琴が魅力的だと、本気で思っていた。美琴は冗談のように流していたが、実際、美琴は綺麗だ。あれで人当たりも、幼い頃とは比べものにならないほどに柔らかくなった。達也にとって、美琴は深雪の次か、同等程に大切な存在だ。近くにいられないことに、焦りも募る。
ましてや相手は十師族だ、注意するに越したことはない。
達也はそう思いながら手元の電気を消した。
ーーーーーーーーーー
「部活動勧誘、ですか?」
「そう、篠原さんは生徒会に入ったから特に関係ないけど、毎年この期間はCAD携帯許可が出されているから過激になる人達がいるらしい」
「そうですか…それで、風紀委員ですか?」
あれから仲良くなった一条将輝と吉祥寺真紅郎とともに昼ご飯を食しながら話をしていた。
その会話の中で、吉祥寺くんと一条くんは風紀委員に入ったことについて言及すると、二人してどこか照れ臭そうに、でも誇らしそうに笑った。
「私は頑張ってとしか言えませんが、大変なお役目だと思いますよ」
「うん、頑張るよ。せっかく選ばれたわけだしね、将輝」
「そうだな」
そう言って頷きあう二人を見て、「本当に仲がいいのですね」と美琴は笑った。
そして部活動勧誘のある日、生徒会所属である美琴は見回りと称した監視をしていたところ…何やら人の集合体、それも小さくない騒ぎが起こっている団体を見つけてしまった…達也ほどではないが、美琴もある意味で『
美琴はその場から、軽く身を隠せそうな場に移動した。ここからは事態の一部始終が見渡せるが、相手からは影となって見えないでいることだろう。
詳細までは流石にわからないが、どうやら新入部員の取り合いのようだ…肝心の新入部員の姿の確認は出来ないが、複数の部が言い争っているらしい。
時期に風紀委員も到着するだろうが…止むを得ない場合は…そう考えながら腰元の得物へと片手を這わす。
突如、美琴は自分の見ている方とは別の場所から微かに聞こえてきた悲鳴に瞬時に身を翻していた。身を低くし、速度を上げる。荒げる声を頼りに走ると、近場で魔法反応が起こり、そこへ身を滑らせる。
そこには悲鳴をあげたと思われる気を失って壁にもたれかかっている少女と多数の男子生徒。そしてそれらがもう一人の少女相手に攻撃をしていた。
応戦している少女の方は見事な体裁きで男子生徒複数に相対しているが、何せ一対多数では分が悪すぎる。美琴は気付かれないように気配を殺し、その場を伺った。相手は多数…視認できるだけで9人、その他の気配があることからここから見えないだけであと3人…と状況を分かった上で側にいた一人を昏倒させ、確実に数を減らしていく
「てめぇ!増援か!」
「生徒会です、自衛目的以外での魔法の使用があるのを確認しました。よって、拘束させていた「うっせぇ!」
言い終わる前に魔法を使用してきたのを後ろにステップすることで避ける。魔法が衝突したところを見ると火がついており、それだけで執行対象と美琴はみなした。
「縛道の六十二---
そう言いながら体の前で指を結び、掌を合わせる。すると美琴の呟きに応じるように紫がかった四角い棒のようなものが手に現れた。
美琴がそれを相手へと投げると、それらは瞬く間に分裂し、無数の杭が一瞬で男子生徒達を壁へと縫いとめる。
その間、わずか数秒。
「な、なんだよこれ!」
「おい!どーなってんだ!」
「俺が知るか!」
などなど、散々喚いているのを尻目に、美琴は失神している少女を抱え上げた。細身の体格である彼女が抱え上げたことに応戦していた少女は一部思考を停止させたが、美琴は気にもせず、少女に立てるかどうかを質問した。
「いや〜美琴ちん、初仕事での成果とは思えない程の出来だよー、我輩は感心感心!」
「ありがとうございます」
「あれ?美琴ちんと口調へのツッコミはなし?」
その言葉には無言でニコっと笑っておく。一番合戦先輩は何かを感じたのか背筋を震わせたが、「さ、さぁて、ではではてっしゅー!」と後ろを向いて元気よく暴れていた生徒達を連れて行った。
あの後、数分すると一人の生徒が一番合戦先輩と連れ立ってやってきた。(のちにきいた話では風紀委員らしい)壁に縫い止めらせている様子に一瞬先輩方は訝しげな目線をしたが、辺りに美琴がいることがわかるとその目線を引っ込めた。
「先程は大丈夫でしたか?」
「へ?あ、あー、そうね、大丈夫だったよ!危なかったけど」
「多勢に無勢。しかし、見事な体術でした。感服しました。」
「いやいやいや貴女がそれを言いますか」
と彼女ー
「貴女、篠原美琴さんでしょ、新入生総代の…私なんかといて、いいの?」
そう言う彼女の制服の胸元には専科を示すエンブレムは無い。それは即ち彼女が専科ではなく普通科であるという証明でもあったが、美琴にしてみれば全く問題としていないことなので質問された意味が直ぐには分からず、キョトンとしてしまった。
「あら?いけないのですか?」
「って、いやいやいや、あたし普通科だよ?専科じゃねーよ?
なんかないの、威張るとか、蔑むとか…」
「特に気にしていないわよ、そんなこと。」
言いながら歩き出す。奥まった区画から出ると野次馬の視線が突き刺さるが、彼女自身はどこ吹く風とばかりに総無視しながら生徒会室へと足を進めていく。初はその後を少々決まりが悪そうに付いていく。
生徒会室で事情聴取を受けるためだ。
「それに…」と美琴が言葉を紡ぐと初は彼女へと視線を投げた。スラリと姿勢の良い背中、艶やかな黒髪、先程見た、涼やかな目元、見るたびに綺麗だと思わせる容姿に見惚れた。
「それに、貴女の体術が素晴らしいのは事実よ、魔法科高校ですもの、体術は評価の対象外ではあるけども、評価に値するものを評価されずに見下すのは趣味ではないわ。はっきり言うと虫唾が走る。」
初は一瞬、最後に呟かれた言葉は聞き間違いではないかと自分の耳を疑ったが、振り向いた顔にはハッキリと【すっきり】と書いてあるように見えてしょうがなかった。
「…自分が変な自覚ある?」
「何事も型に当てはめるのはよくないことよ、違うことは個性だわ。」
「…変な奴」
「褒め言葉だわ。」
その返しに初は耐えきれないとばかりに声を漏らしながら笑い、美琴も口を隠して笑った。
「改めて、1-Eの横澤初だよ」「1-Aの篠原美琴です」と挨拶を交わした後、二人は横並びになりながら廊下を歩いた。周囲の視線は専科の普通科が並んで歩いていること、またどちらも系統は違うが美少女の部類に入ることは間違いなく、いろんな意味で目線を引いていたが、対する本人達は我関せずで歩いていた。
「貴女を否定したら婚約者も否定することになるしね」
「……本心それじゃね?」
呟かれた言葉に初は律儀に返し、美琴はただ笑った。
女の子をだしてみました。レギュラーです。達也さん視点が地味に難しかったです。
完全に吉祥寺くんと一条くんが影薄の回でした。すみません。BLEACH要素は本当に少なめですが入れてみました。場面が伝わっているとうれしいです…