IS ~この地球(ほし)の光に導かれし者~   作:メテオボーイ

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episode 12 交錯する思い

 

 

 

シャルロットの一件から数日、イチカは一人いつものように屋上のベンチで寝転がっていた。

 

 

(まさか映像が流出していたとはな……厄介なことにならなければ良いが……。)

 

 

イチカの頭の中にあったのは、先日の無人機襲撃事件の際に起こった情報の流出の事だ。破滅招来体は学園のシステムをジャックした際、その時の事件の全貌を映像として国際IS委員会をはじめメディアを通じて世界各国に流していたのだ。しかもご丁寧に音声付きで。

 

 

(おかげでニュースを付ければ『あの機体は一体?』だの『彼らと事件の関係は?』だの、挙句の果てには『世界の脅威になりかねない‼』などと抜かす奴らも少なからず出てきている。各国の方は束さんが目を光らせてくれてるから何の心配もいらないが…このままだと国際IS委員会が強行策に出てくるのも時間の問題だな…。特にガイアをアイツらに渡すわけにはいかない。その時は――――――)

 

「ここにいたのか…クロニクル兄、少し良いか?」

 

 

声の主は千冬だった。イチカはそれを確認すると、起き上がって千冬に視線を合わせた。

 

 

「千冬姉か、どうした?」

 

「学校では織斑先生―――――まあ、今は目を瞑っておいてやる。先ほど国際IS委員会から通達があった。『イチカ・クロニクル、マドカ・クロニクル、クロエ・クロニクルの三名は後日行われる学年別トーナメントに必ず出場すること。また、イチカ・クロニクルに関しては篠ノ之箒とタッグを組んで出場すること。』…だそうだ。学年別トーナメントには世界中から多くの業界関係者が視察に訪れるからな…お前たちの情報が欲しいのだろう。」

 

「(早速動いてきたか…)―――千冬姉、委員会には『話があるなら俺たちが直接聞く。俺たちは何と言われようとトーナメントには出場しない。』と伝えてくれ。」

 

「いいのか?」

 

「俺たちが出たところで勝ちは目に見えているし、そもそも性能が違いすぎるから話にならない。なら訓練機で出場すればいい…と言われても俺は自分の機体以外は動かすことが出来ない。ならリミッターをかけろ……それも無理だ。かけたとしても第三世代よりも性能は上の状態のままだ。それにマドカのポセイディアとクロエのゼウスは大丈夫なんだが俺のガイアはリミッター等の類いのものは一切受け付けないんだ。だから断る。……しかし千冬姉、トーナメントは確か個人戦だったはずだが?」

 

「ああ……先日の襲撃事件の事もあってタッグバトル形式に変更となった。」

 

 

生徒の安全性を踏まえ、タッグバトルとなった。その場に多くの生徒がいれば柔軟に対応できるという面もあるのかもしれない。

 

 

「そうか…篠ノ之さんの方も委員会は束さんを恐れての事なんだろうが無意味だ。束さんは如何やら篠ノ之さんの事を毛嫌いしているようだからな。理由は分からんが…」

 

 

イチカは箒とは小1から箒が引っ越す小4まで同じ学校で過ごしていたのだがもちろん覚えていない――――というか知らない。しかしその事実をイチカはマドカ、クロエ、束からは聞かされていない。その理由は後ほど明かされる―――――

 

 

「なるほど……しかしイチカ、そうなると向こうもどんな強行策に出てくるか分からんぞ?出場を拒否したとなると委員会への専用機の提出あるいは出頭、拘束もあるかもしれん。そうなったら一介の教師である私には手が出せなくなる。」

 

「心配ない…仮にそうなったとしてもみんなには迷惑はかけない。俺たちの専用機には高性能のセキュリティーがかけてある。何より俺たちの専用機…特にガイアは渡すわけにはいかない。」

 

「確かに……この世界で唯一男性が動かせる機体だからな。」

 

 

千冬が納得しているとイチカは千冬の言葉にかぶりを振った。

 

 

「確かにそれもあるが、最大の理由はそれではないんだ千冬姉。実は――――――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………なるほど、確かに渡すわけにはいかないな。…分かった、委員会の方には私から伝えておく。…そうだ、先ほどオルコット達がお前の事を探していたぞ。恐らくタッグの事だろうからしっかりな、『クロニクル兄』。」

 

「ありがとうございます、『織斑先生』。」

 

 

千冬の言葉通り、千冬がその場を後にしてからすぐに女子たちに追いかけられてシャルルが合流しその数分後にはセシリア達がやってきてイチカに自分とタッグを組んでほしいと詰め寄ってきた。その様子をマドカとクロエはあきれた様子で見ているだけで手助けする素振りを見せなかったため、イチカは一人で彼女たちを15分かけてうまいこと言いくるめて説得し、事情を知っているセシリア、簪、ラウラは手料理をご馳走するということで手を打ってもらった。シャルルも一緒に食事することになり、どこから聞きつけてきたのか(恐らく楯無のせいだろうが……)楯無と本音、虚、鈴も合流し賑やかな食事をすることとなったのだった―――――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学年別トーナメント当日――――――会場となるアリーナには多くの観客が集まっていた。その様子をイチカ、マドカ、クロエは千冬と真耶、上級生である楯無と虚は本部のモニターで見ていた。

 

 

「お~お~、揃いも揃って堂々と見に来やがって……あれ程突っぱねてやったのに懲りずにぞろぞろと……」

 

「まあまあイチカ君……(イチカ君……大分ご立腹のようね…。)」

 

 

イチカが腹を立てるのも無理はない―――――イチカが返事したにも関わらず、各国の関係者とは別に団体で国際IS委員会の視察団が客席にいたのだから。

 

 

「そ、それよりイチカ君‼みんなの応援しましょ?」

 

「そうですね…それより楯無さんはここにいていいんですか?」

 

「私はいいのよ。このトーナメントには出場しないし、生徒会の仕事もきちんと終わらせてきたから‼ね、虚ちゃん?」

 

「そうですね。先日イチカさんのご飯をご馳走になってから見違えるような速さで仕事を終わらせてしまいました。いつもそうだと私的には大変助かるのですが……――――――これも愛の力のなせる業、ということでしょうか。」

 

「う、虚ちゃん‼/////」

 

 

虚の言葉に顔を真っ赤に染めながら反論する楯無。

 

 

「フッ………」

 

 

その様子を見ていたイチカが小さく噴き出した。それを楯無は見逃さなかった。

 

 

「あ~~~‼イチカ君まで笑ったわね!?」

 

「いえ……そういう楯無さんも可愛いなって思っただけです。やはり笑ってた方がお似合いです。」

 

「//////////!!!!!!!」

 

 

イチカのストレートな言葉に輪をかけて真っ赤になる楯無。思考がショートしてしまったのか「あう…」とか言っている始末だった。

 

 

「楯無さん?お~い?……ダメだ、反応しない。」

 

 

イチカが目の前で手を振って呼びかけても気づかないほど楯無はトリップしていた。

 

 

「兄さんのせいだぞ。」

 

「そうですね。」

 

「二人して俺を責めなくてもいいだろ。俺は思ったままに言っただけなんだが……おっと、そろそろ始まるみたいだな。」

 

 

そうこうしていると第一試合に出場する選手がアリーナに姿を現した。

 

 

「しかしまあ……いきなりこの組み合わせか。(何も起こらなければいいが……)」

 

 

イチカが見つめる先―――――電光掲示板には対戦カードが表示されていた。

 

 

 

 

 

 

第一試合

 

 

セシリア・オルコット&更識簪  VS  ラウラ・ボーデヴィッヒ&シャルル・デュノア

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

四人はアリーナに搭乗するや否や、早くも戦闘モードに突入していた。

 

 

「この試合、勝たせていただきますわ‼行きましょう簪さん‼(このトーナメントで優勝しましたらイチカさんにこの想いを‼)」

 

「もちろん。絶対…負けない‼(優勝したらこ、告白………あぅ///)」

 

「無論、我々が勝たせてもらう‼行くぞシャルロット‼(嫁は誰にも渡さん‼)」

 

「ラウラ‼今はその名前で呼ばないでよ‼」

 

「む……すまない。」

 

 

ポロっとボロが出てしまうほど四人の気持ちは昂っていた。

 

 

『それでは第一試合………………開始‼』

 

 

 

 

 

 

 

 

試合が始まって数分―――

 

 

「初めはセシリアちゃんと簪ちゃんのチームが優勢だったけどラウラちゃん達もだいぶ巻き返してきたわね。」

 

「そうですね。基本布陣はセシリアが後衛で簪が前衛なんだろうが…」

 

「あれは恐らく私とクロエが特訓でみんなに見せた戦法だな。」

 

「ええ。かなり形になってますね。」

 

 

セシリアと簪が取った戦法――――イチカ達が得意とする戦法の一つで前衛と後衛が常に入れ替わり、絶え間なく遠距離攻撃を仕掛け前衛が敵の隙をつく――――――というものだ。

 

 

「装備されている武器が俺達ほど多いわけではないがセシリアはフレキシブル、簪は春雷をうまく駆使して主導権を握っているな。特にセシリアのフレキシブルが利いてる。」

 

「じゃあどうしてそれだけ押せていたのに勝負がつかなかったんですか?」

 

 

いつの間にか一緒になって話を聞いていた真耶が質問した。それにまず答えたのはイチカではなく虚だった。

 

 

「イチカさん達には及びませんがシャルロットさんの機体『ラファール・リヴァイヴ・カスタムII』はかなりの量の武器が装備されています。それを高速切替(ラピッド・スイッチ)で随時武器を切り替えることで隙が生まれそうで生まれていません。ラウラさんも同様です。AIC(慣性停止結界)――――アクティブ・イナーシャル・キャンセラーやワイヤーブレードで要所要所セシリアさんや簪お嬢様の動きを止めてうまく距離を取っています。勝負は五分五分といったところでしょうか?」

 

「虚さんの言う通りです。しかしラウラはAICを一つのベクトルのみにしか―――つまり二方向以上には向けられません。それは特訓(一緒に出られない代わりにみんなと特訓を見てあげた)の時に確認済みです。シャルロットの灰色の鱗殻(グレー・スケール)―――通称・盾殺し(シールド・ピアース)は当てるには敵に接近しなければなりません。簪の山嵐はこれから調整すれば改善出来ますが、今の段階ではワンチャンスです。セシリアは特訓の甲斐あってビットを操作しながらでも動けるようになりましたがまだその距離が広くはありません。この勝負のキーとなるのは……お。」

 

 

イチカの反応と同時に歓声が上がり、全員の視線が試合に引き戻される。

 

 

 

 

 

「………この試合のキーは―――――――『どちらが先に決断できるか』です。」

 

 

 

 

 

 

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