IS ~この地球(ほし)の光に導かれし者~   作:メテオボーイ

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episode 15 イチカ、失踪!?

 

 

 

翌日、セシリア達は授業に復帰した。昨日はベットから起きることもままならなかったラウラも今日にはまだ多少の痛みはあるが動けるまでには回復していた。そんなセシリア達をクラスメイトは暖かく迎え入れてくれた。シャルロットはもうしばらくシャルルで通すようだ。「自分自身の気持ちに確信が持てたら話す」とのことらしい。少しクラスメイトと距離のあったラウラも昨日ひっきりなしに流れたニュースのおかげもあってかラウラを心配する生徒が多くいたのだ。無事にクラスに馴染めたラウラたちを中心にしてガールズトークに花を咲かせていたのだが―――――

 

 

(そういえば……イチカさん達、まだいらっしゃっていないようですが……何かあったのでしょうか?)

 

「おいセシリア‼シャルル‼見てないで助……ちょ、やめんかお前たち‼コラ、本音‼どこ触っている‼」

 

 

目の前で助けを求めているラウラを見ながらセシリアは別の方向に思考が飛んでいた。セシリアがいつもなら自分たちよりも早くに教室に来ていることの多いイチカ達がまだ教室に来ていないことに気が付いたからだ。

 

 

「シャルルさん、イチ――「お前たち、HRを始めるから席につけ。」」

 

 

セシリアは、ラウラはクラスメイト達にもみくちゃにされていたので隣のシャルロットに聞こうと声をかけるが、途中で教室に入ってきた千冬の声にかき消されてしまったのでセシリアは千冬に聞くことにした。

 

 

「織斑先生、イチカさん達がまだいらっしゃっていないようなのですが……」

 

「ん?……山田君は何か聞いているか?」

 

「い、いえ‼クロニクル君達からは何の連絡も受けていません。」

 

「そうか……仕方ない、オルコット。この後は昼まで実習になるからその間に来なかったらすまんが何人か連れて部屋にでも様子を見に行ってくれ。もしかしたら昨日の事で何かあったのかもしれんからな。そうなったら後から私も行く。」

 

「分かりました。」

 

 

昨日あれから千冬達はイチカが帰ってきたことを把握できていなかった。イチカに一任していたからだ。まだ部屋に籠って何か作業をしているのかもしれない――――そう考えた千冬はクラス代表のセシリアに様子を見に行くように頼んだのだ。

 

 

「さて、ではHRを始める。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼休み、昼食を済ませたセシリアはシャルロット、ラウラと共にイチカの部屋へと向かっていた。結局実習の時間中にイチカ達が来なかったからである。

 

 

「まったく……せっかく私が元気になったというのに私に何も言わずサボるとは…いい度胸だな嫁よ‼」

 

 

頬を膨らませふくれっ面になりながらズンズン歩いていくラウラ。

 

 

「まあまあ、ラウラ。まだサボったと決まったわけじゃないんだし……もしかしたら部屋で何か作業してるのかもしれないよ?(ラウラ……ああ言ってるけど本当は心配なんだろうな。)」

 

「そうですわ……イチカさんは昨日の事件でいろいろ裏で根回しされていたようですし……」

 

「昨日は病室に顔も出してくれなかったではないか‼私の怒りは嫁パワーでないと収まらん‼さっさと行くぞセシリア、シャルル‼」

 

「(あそこまで堂々と言えてしまうラウラさんが羨ましいですわ……トーナメントは中止になってしまいましたし……私もラウラさんのようにもっと積極的になった方が良いのでしょうか?)―――お待ちくださいラウラさん‼」

 

 

もう少し押しを強くしましょう――――そんなことをラウラを見ながら考えていたセシリアは先に行ってしまったラウラをシャルロットと一緒に追いかけた―――

 

 

(この先に一夏の部屋があるのか……)

 

 

後をつけられていることに気付かずに――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(私も行くとするか……)

 

 

セシリアと同様、簡単に昼食を済ませた千冬も次の授業の用意を済ませイチカの様子を見に行こうと腰を上げた。

 

 

「織斑先生‼」

 

「ん?」

 

 

声をかけてきたのは真耶だった。手には何やら封筒らしきものが握られていた。

 

 

「何だ真耶か……どうした大声なんか出して。」

 

「す、すいません…あの、織斑先生宛てにこれが届いています。」

 

 

そう言って持っていた封筒を渡した。差出人は――――不明。

 

 

「これは……手紙か?」

 

「分かりません。差出人も不明だったので受け取ってすぐここに持ってきたんです。」

 

「ふむ……」

 

 

封筒には差出人らしき名前は何もなく、宛先に自分の名前が書いてあるだけだった。開けてみると、中には手紙のようなものが入っていた。

 

 

「これは……」

 

「手紙のようですね……何が書いてあるんですか?」

 

「そう急かすな…………………」

 

 

真耶に急かされながら手紙を読み進めていく千冬。その表情は読み進めるにつれて徐々に険しくなっていった。それを見ていた真耶が千冬に声をかけた。

 

 

「お、織斑先生?どどどどうしたんですか?」

 

 

手紙を読み終えたのか手紙を持った手がだらりと力なく降ろされた。真耶は「失礼します……」と言いながら手紙を千冬の手から抜き取ると読み始めた。

 

 

「織斑先生、これって‼」

 

「行くぞ真耶。」

 

「ハイ‼」

 

 

二人は急いで職員室を出た。二人の向かう先は――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セシリア、シャルロット、ラウラがイチカ達の部屋に向かっていると途中で簪、楯無、鈴と出会った。

 

 

「鈴さん、簪さん、楯無さん‼みなさん揃ってどうしましたの?」

 

 

セシリアの問いに三人がそれぞれ答えた。

 

 

「アタシは放課後にイチカに特訓をお願いしようと思って教室にいったらイチカ達が今日休んでるって聞いて様子を見に来たってわけ。」

 

「私も……イチカはイザナミ使ってるから薙刀の戦闘訓練したかったけど教室にいなかったから…鈴と一緒にイチカ達の部屋に来たの。」

 

「私も似たようなものね。イチカ君とあ~んな事やこ~んな事するためにお姉さん、頑張って仕事終わらせてきたんだから‼」

 

「お姉ちゃん……」

 

 

楯無の発言に呆れたようにため息をついた簪。その他の面々も慣れてきたのか苦笑いでため息をついたりしていた。

 

 

「何よ~みんなしてお姉さんの事そんな目で見ちゃって‼いいわ、私のテクニックでイチカ君をゲッチュしちゃうんだから‼イチカ君だって男の子なんだもの、私の色気にいちころよ イ~チカく~ん、様子見に来たわよ~?」

 

 

一人でヒートアップしながら楯無はイチカ達の部屋のドアをノックしながら呼びかけた。しかし、中からの返事はなかった。

 

 

「………出てこないじゃない。」

 

「此方にはいらっしゃらないのでしょうか?」

 

「もしかして屋上で寝てたりして。三人ともいない時って大体そうじゃない?」

 

「それはないと思う…ここ来る前に見てきたけどいなかったから。」

 

「入れ違いにでもなっちゃったのかしら?」

 

「部屋の中を確認したいがピッキングは嫁の反応がどう来るか分からんから使いたくない―――――って、鍵開いてるじゃないか。」

 

「「「「「え?」」」」」

 

「見ろ……ほら。」

 

 

ラウラの言った通り、鍵はかかっておらずドアが開いた。六人は顔を見合わせ頷くと、イチカ達の部屋に入った。

 

しかし、彼女たちの目に入ってきたのは……

 

 

「「「「「「―――――――え………?」」」」」」

 

 

人のいない静かな部屋―――ただそれだけでなく、今までイチカ達が生活していた跡が何一つとして残っていなかったのだ。イチカが料理の時に使っていた調理器具も、みんなで夕食を食べた大きなテーブルも、機体の整備に使っていたパソコン等々の機器も、イチカ達が三人一緒に使っていた大きなベットも――――どれも残っておらず、もともと部屋に備え付けてある最低限の物しか残っていなかった。

 

 

「これは一体……どういうことですの!?」

 

「全部無くなってる……」

 

「嫁はどこに行ったのだ!?」

 

「みんな、手分けして探して――「ちょっと待てお前たち。」――――織斑先生‼それに山田先生‼イチカ君達が‼」

 

「落ち着け、分かっている。」

 

 

手分けして探しに行こうとしたところに千冬と真耶、途中で呼ばれた本音と虚がやってきた。

 

 

「お前たちに見せたいものがある。これだ。」

 

「今朝、織斑先生宛てに届いた差出人不明の手紙です。」

 

 

千冬はそう言うと、手に持っていた手紙を楯無に渡した。楯無は手紙を受け取ると視線を手紙と千冬を行き来させた。

 

 

「読んでみろ……読めば全てわかる。」

 

「……分かりました。」

 

 

楯無は手紙を開く。手紙にはこう書かれていた――――

 

 

 

 

 

 

――――この手紙を皆が読んでいる時には俺たちは既に学園を去っていることだろう。俺たちは学園をやめることにした。政府や委員会には俺たちがいなくなったことだけを伝えてください。彼女たちをこれ以上巻き込まないために…織斑先生、あとは頼みます。

 

 

 

俺は今まで、破滅招来体は現在の世界の中枢を担っているIS―――インフィニット・ストラトスの存在が自分たちの邪魔になると考え、各国の専用機や国家代表、候補生が一堂に集まるこのIS学園を真っ先に狙ってきている、多くのエネルギーに反応しているからこそ、この日本に怪獣が集まっているのだと思っていた。

 

 

 

しかし、今までのデータを解析した結果、奴らはIS学園に反応していたのではなく…俺たちの機体、特に俺の機体のコアに反応していることが分かった。つまり、俺が破滅招来体をここへ呼び寄せ、皆を危険な戦いに巻き込んでしまっていたんだ。

 

 

セシリア、シャルロット、ラウラ、簪、楯無さん、鈴、本音、虚さん……再び同じ過ちを犯してしまった俺を許してほしい。

 

 

山田先生、クラスメイト等々にはうまく言っておいてください。宜しくお願いします。

 

 

最後に千冬姉、俺は俺の道を貫き通すことに決めた。みんなの事は千冬姉に任せる。平和に暮らしてくれ―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

楯無が手紙を読み終えた時には部屋の中を重苦しい空気が包んでいた。皆、視線を落としこの現実を受け入れられないでいた。簪に至っては床にぺたりと力なく座り込み涙を流し、本音が寄り添っていた。

 

 

「イチカ……どうしていなくなっちゃったの?………まだ言えてないこともあったのに……」

 

「あの時と同じね……」

 

「鈴?」

 

 

皆が落胆している中、鈴が一人声を漏らした。

 

 

「イチカは私たちをこれ以上巻き込まないためにマドカとクロエと三人で戦おうとしてるのよ‼どれだけ傷つけられても、罵られても、辛くても‼誰も助けてくれない中一人耐えていた昔のように……今回も自分が犠牲になることでみんなが平和に暮らせる道を選んだのよ‼」

 

「でもどうしてイチカさんはそのような道を……」

 

「アンタたちの事が大切だからに決まってんでしょうが‼」

 

「「「「「‼‼‼‼‼」」」」」

 

 

鈴の大声に一同は驚き目を見開く。

 

 

「この学園に来て私はイチカが心から笑えているところを初めて見た。昔のイチカは全てを憎み、恨むような目をしていたから……もしイチカの記憶が戻ったらどうしよう、もしかしたらあの力を使って世界に復讐をしようとするかもしれない……何度かそう思ったりもしたけど、そんなことはどうでも良かったの。復讐をしようとすれば何が何でも止めるし、みんなを守ろうと戦うのなら一緒に戦う……だって私はイチカの『友達』だから。」

 

「アンタたちはどうなのよ?私はもう決めたわよ。」

 

 

鈴は挑発するように皆に問いかける。一同の目には力が戻り、決意を秘めた良い目をしていた。

 

 

「私も戦いますわ‼」

 

「私は最初からそのつもりだ‼」

 

「僕も戦うよ。やっと分かった僕のこの気持ちをイチカに伝えれてないからね‼///」

 

「シャルロットちゃん、その話、後で詳しく聞かせてもらうわよ~♪(イチカ君…罪な男ね。)」

 

「シャルロット、イチカに話すのは私が先。」

 

「簪さん‼抜け駆けは許しませんわ‼」

 

「そうだぞ‼ここは私が――――」

 

「僕だって負けないよ‼」

 

「まあ、ここは私が正妻ってことで治めるとして……みんな、頑張っていくわよ~‼」

 

「「「「オ~‼………………って誰が正妻だ‼」」」」

 

 

先ほどまでお通夜のような雰囲気だったのに、何だかんだ言って纏まるところはきちんとまとまっている五人。その様子を鈴は呆れたような、しかしどこか嬉しそうな表情を浮かべて見ていた。

 

 

(こいつらはもう大丈夫そうだな……しかし―――――)

 

 

千冬もそんな彼女たちを腕を組んだ状態で見ていた。

 

 

「オ~、いつものみんなに戻った~‼」

 

「一時はどうなることかと思いましたが……心配いらなかったみたいですね山田先生?」

 

「そうですね――――――織斑先生?」

 

「ん?どうした?」

 

「いえ……難しい顔をしていたので…どうかしましたか?」

 

「いや、何でもない。」

 

 

口ではそう言ったが、千冬の頭の中はある疑問の事でいっぱいだった。

 

 

(『再び同じ過ちを犯してしまった』という一夏の言葉……一体どういう意味なんだ?何を背負っているんだ一夏――――――ん?)

 

 

熟考していたため反応が遅れたが、千冬は確かに意識の端にこの部屋を伺う気配に気づき、部屋の扉を開け廊下を見渡してみるが、そこに人の姿はなかった。

 

 

(気のせいか………)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千冬が扉を閉めたのを確認すると、隠れていた少女は大きく息を吐くとその場に座り込んだ。

 

 

(やはりアイツは一夏だった‼一夏だったんだ‼しかし、どうしたら私を見てくれるんだ‼アイツには私だけを見ていてほしいのにアイツは姿を消してしまった……恐らく姉さんと一緒なのだろうな…専用機を頼もうにも姉さんとは別れて以来音信不通―――――)

 

(私の力を一夏に認めさせるにはどうしたら……それさえ出来ればきっと一夏も私の事を見てくれるはずだ‼)

 

 

隠れていた少女―――――篠ノ之箒の心は負の感情で満たされていった。

 

 

 

 

 

 

 

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