IS ~この地球(ほし)の光に導かれし者~   作:メテオボーイ

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episode 21 水着の選定

 

 

シャルロットの意思表明から数日後、彼女達は先日のイチカとの約束通り、臨海学校の為の水着を購入するために外出届を出し、モノレールに乗って大型ショッピングモールへと来ていた。

 

シャルロットが意思表明したその日の昼休みに、何所からともなく専用機を纏った状態で現れた更識姉妹が絶妙なコンビネーションでイチカに奇襲をかけるというハプニングがあったがイチカが新たにガイアに組み込んだAIC(慣性停止結界)によって事なきを得た。

 

 

「イチカってもう何でもありだよね……。」

 

「そうですわね……。スペック的には第四世代以上と言っても過言ではないかと……。各国、どうにかしてイチカさん達のデータが欲しいようですけど……。」

 

「嫁とお揃いの装備か‼嬉しいぞ‼」

 

「シャルロットちゃん、詳しい話をk―――――って、ちょっとイチカ君!?どうして私は止められたままなの!?」

 

「何となくです。」

 

「あはは………」

 

 

その後彼女達の頭に千冬の出席簿アタックがきれいに叩き込まれたのは言うまでもない―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなあったが彼女達の仲は良好、互いを恋のライバルと感じつつ、以前より団結力が増したようにも思えるほどだった。

 

 

 

 

「それにしてもイチカさん、遅いですわね………。」

 

「そうよね~……お姉さん達を待たせるなんて‼」

 

「まあまあ二人とも……」

 

「しょうがないよ……イチカ、色んな意味で有名だから。」

 

「世界で唯一の男性操縦者という肩書に加えてどの国のカタログにも載っていない機体で戦う姿がメディアに出てしまっているからな……今回ばかりは仕方ないだろう。」

 

 

彼女たちの言葉通り、今イチカは彼女達と一緒にはいない。

 

彼女達の服装は全員学園の制服。勿論イチカも同じく制服姿で行くつもりだったのだが―――――

 

 

 

『遅くなったが……お前は制服で行くなよ?男がIS学園の制服を着てショッピングセンターなんぞ歩いてみろ……確実にお前だと周りにバレてしまうだろう?普通なら制服が抑止力となるかもしれんがお前の場合訳が違う。良い意味でも悪い意味でも目をつけられている存在だからな……一歩外へ出てしまえば何が起こるか分からん。せめて何か別の服装で行ってくれ。』

 

 

モノレールに乗ってから送られてきた千冬の連絡を受けてイチカは仕方なく、再び来た道を戻って行ったのだ。その際、当然自分たちも着いていくと彼女たちは申し出たが、そこはやんわりと断られた為、彼女達は喫茶店で飲み物を飲みながらイチカの到着を待っていたのだ。

 

 

「まあそう癇癪を起さなくてもそのうち―――――ん?」

 

 

外の景色を見ていたラウラが、客達が同じ方向に流れていることに気が付いた。ラウラ達と同年代くらいの女性もちらほらと見受けられた。

 

 

「何かあったのでしょうか?」

 

「う~ん……何か問題が起こったような雰囲気ではないみたいだけど……」

 

 

気になったので一同は代金を払って外に出てみると―――

 

 

『ねえねえ、さっき入口にいた人かっこよくなかった!?』

 

『かっこよかった‼クールな感じだったよね~‼』

 

『ちょっと何それ‼私も見てみたい‼』

 

『まだいるかもしれないから行ってみよ‼』

 

 

そんな話し声が聞こえてきた。

 

 

「誰か有名人でも来てるのかな?」

 

「僕達と同世代くらいの人達もいるみたいだけど………」

 

「――――もしかして‼」

 

 

楯無は何か思い当たる節があるのか急に走り出した。一同も急いで楯無の後を追った。そこにいたのは―――――

 

 

「すまない、遅くなった。」

 

「やっぱり……」

 

 

案の定イチカだった。折角周りの目を考えて態々制服から私服に着替えさせたのに結局イチカは注目を集めてしまっていた。

 

 

「これじゃ着替えた意味ないじゃない………。」

 

「結局イチカ、目立ってる。」

 

 

イチカは黒縁メガネ、白シャツに黒の細身のジーパン、白のスニーカーという至ってシンプルな服装に加え、髪を後ろで結わずにヘアバンドを付けているのだが……

 

 

「シンプルな服装なんだけど………」

 

「結局のところ、イチカさんは何を着ても目立ってしまうということですわね……。」

 

「流石は嫁だな‼」

 

「何の事かはよく分からんが、遅くなってすまなかった。早速だが行こうか?」

 

 

イチカがそう言うと一同は水着売り場へと向かった。これからシーズンということもあってか品揃えは豊富で、売り場もかなりのスペースが設けられていた。その広さに彼女たちのテンションも上がってしまい、着くなり早々売り場の奥へと消えていった。それを見てイチカは売り場近くの柱にもたれかかり皆が来るのを待った。

 

 

「イチカ君‼ちょっと来て‼」

 

 

楯無に呼ばれて行ってみると、楯無の他に簪とセシリアが水着売り場でニコニコしながら待っていた。

 

 

「水着、決まったのか?」

 

「色々あるから迷っちゃって……」

 

「そこでイチカさんにコーディネートして頂こうかと思いまして……」

 

「お願い♪イチカ君‼」

 

 

三人からの要求をイチカが断れるはずもなかった。

 

 

「別に構わんが……センスの方は保障できんぞ?」

 

「イチカ君が選んでくれることに意味があるんだから♪」

 

「そうですわ‼」

 

「お願いね、イチカ?」

 

 

そう言われてイチカは一通り売り場を見た後、セシリアと簪にはパレオの付いた青と水色の水着を、楯無には白のビキニをチョイスした。それぞれが試着をし、サイズの合ったものを購入した。すると……

 

 

「イチカ‼僕のも選んで‼」

 

「嫁よ‼私のも頼む‼」

 

 

シャルロットとラウラからも頼まれ、イチカはシャルロットにはオレンジ、ラウラには黒のビキニを選んだ。二人もセシリア達と同様にイチカに買ってもらった水着の入った袋をニコニコしながら大事に抱えていた。

 

 

「そこまで喜んでもらえると俺も頑張って選んだ甲斐があったというものか……。」

 

「イチカは水着、買わないの?」

 

 

簪の質問にイチカは首を横に振った。

 

 

「どうしてですの?」

 

「泳げない訳ではない。ただ……身体の傷がな………」

 

 

その言葉を聞いて心当たりのあるシャルロットは顔を歪めた。あれ程多くの傷を抱えた身体を多くの人の前で晒すのは誰しも気分の良いものではない。そしてその傷がイチカにとってとても重要だということも――――

 

 

「ねえイチカ?」

 

「ん?どうしたシャル?」

 

「別に無理して海に入らなくても良いからさ、せっかくなんだしみんなで買おうよ水着。上にはパーカーでも来てれば良いしさ。」

 

「しかし……」

 

「大丈夫‼そのあたりは私達がきちんとフォローするわ‼」

 

「………そうだな。」

 

 

シャルロットと楯無の説得にイチカは折れ、水着を購入することになった。

 

 

「それじゃあお姉さんが直々に選んであげるわ‼」

 

「楯無さん‼ここは私が‼」

 

「イチカの水着……というか海パンだよね。どれが良いかな?」

 

「トランクスタイプ……競泳水着……それとも、あえてブーメラン?」

 

「クラリッサか!?嫁の水着を選ぼうと思うのだが――――」

 

 

イチカの言葉を聞いた瞬間、彼女達の行動は早かった。我先にと一目散に水着選びへと向かった。その光景を見てイチカは―――――――

 

 

「コーヒーでも飲むか……自販機は……っと。」

 

 

ぶれることなく平常運転だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、五人が一緒に選んだ赤に青と黒のラインが入ったシンプルなトランクスタイプの水着と半袖のラッシュガードを購入したイチカはその後、彼女たちと一緒に色々なお店を散策した。沢山のお店を見て回っていた為、気が付けば1時を回っていた。

 

 

「もうこんな時間か……時間が過ぎるのは早いな。」

 

「本当ですわ。夢中になって気が付きませんでした。」

 

「今日はフードコートも随分混んでるな……どこか外の店で食べよう「兄さん‼」―――マドカ。それにクロエも。」

 

 

ショッピングモールを出たところでイチカ達に声をかけたのはマドカとクロエだった。二人の手にも皆と同様に袋が握られていた。

 

 

「二人もここに水着を?」

 

「ハイ、皆さんからここが一番品揃えが良いと聞いていたので。」

 

「そうか。二人は昼飯は食べたのか?」

 

「実はまだなんです。水着の種類が多くてつい迷っちゃって……」

 

「丁度良い……実は俺たちもまだなんだ。二人も一緒にどうだ?」

 

「良いのか兄さん?」

 

「お邪魔にはなりませんか?」

 

 

イチカの提案に渋るマドカとクロエ。

 

 

「俺は構わないが……すまない、みんなはどうだ?」

 

「私達は構わないわよ。」

 

「私も。」

 

「みんなで食べたほうが楽しいしね。」

 

「こういう機会も中々ないですから。」

 

「私は嫁の意見に賛成だ‼」

 

「―――だそうだ。」

 

「それなら……」

 

「ご一緒します。」

 

 

こうして一同は一緒に昼食を食べることになったのだが、なんせ8人の大所帯。客もかなりいるからモール内のお店では席も取り辛いだろうということから近くにあるファミレスにみんなで行くことになった。

 

 

「あまり食べ過ぎると夜に差し支えるか……いや、帰ってからトレーニングすれば問題ないか―――――」

 

「ちょっと、さっきから何なんですか貴方達‼」

 

(ん?今声が―――――)

 

 

そんな事を考えていると、どこからか女性の声がするのにイチカは気が付いた。声のした方に視線を移すと、そこにいたのはクリップで赤髪をまとめた少女が男達数人に囲まれていた。

 

それを見た瞬間―――――

 

 

 

 

 

 

 

『何してるの?』

 

 

 

 

 

『一緒に遊ぼっ‼』

 

 

 

 

 

『またね‼一兄ぃ‼』

 

 

 

 

 

 

 

 

(何だ……今のは?)

 

 

イチカの頭を様々な断片的な映像が駆け巡った。

 

 

(今のも俺が忘れた記憶なのか?それに……映像にいた少女は一体……まあ、気にしても仕方ないか。)

 

 

そう結論付けたイチカは頭を横に振って一つ溜息を零すと、セシリア達に一言入れて声を上げた少女のもとに歩を進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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