IS ~この地球(ほし)の光に導かれし者~   作:メテオボーイ

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時間かかるな~………


episode 4 戦士、立つ

 

 

 

 

廊下に座って作業を始めて幾分か経った頃、整備室の中から笑い声が聞こえてきた。

 

 

(どうやら仲直り出来たみたいだな―――ん?)

 

 

作業の手を止め、固まった筋肉を解そうとするが、イチカの身体に隣に座っていた本音が寄りかかってきたためそれは叶わなかった。

 

 

「のほほん?」

 

「エへへ~……イッチ~のお弁当…… 」

 

「寝ちゃったのか…まあ今日も朝早かったしな。ここ暖かいから眠くなるのも無理ないか…。しかしこのままってのもな…」

 

 

本音を起こすかどうかイチカが悩んでいると、おそらく上級生だろう――メガネをかけた生徒が声をかけてきた。

 

 

「すいません…水色の髪をした上級生、こちらに来ませんでしたか?」

 

「それって楯無さんのことですか?楯無さんなら中で妹の簪と一緒ですよ。」

 

「生徒会の仕事をほったらかしてどこ行ったかと思えばこんなところに…しかし今回は目を瞑りましょう。どうやら仲直り出来てるようですし…この時間も無駄ではなかったということでしょう。」

 

「俺はただそのきっかけを作っただけです。それだけお互いの事が大切だったってことですよ。」

 

「ありがとうございます。自己紹介が遅れましたね、私は布仏虚と言います。」

 

「イチカ・クロニクルです。のほ……本音とは同じクラスで本音は俺に最初に声をかけてくれたんです。」

 

「そうでしたか…妹をお願いしますね。」

 

「はい」

 

「ん~~…イッチ~おかわり~」

 

「のほほん…夢の中でも俺の弁当食ってるのか?」

 

「本音ったら………」

 

 

本音の寝顔を見て互いに微笑んだ。こんな平和な日常がいつまでも続けばいい…そう思えてしまう――――しかしその平穏な日常すらも…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――唐突に崩れ去る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――ズゴオオオオオオオオオオン‼

 

 

大きな音と共に物凄い地響きが発生する。

 

 

「ふええ~何々~!?」

 

「これは一体!?」

 

「これは…まさか!?」

 

『いっくん‼聞こえる!?』

 

 

すると、パソコンにプライベートチャンネルで束から通信が入る。

 

 

「束さん、これってもしかして…」

 

『いっくんの予想通り…破滅をもたらすものだよ』

 

「‼…やっぱり」

 

『さっきワームホールが開いて…それでね、そのワームホールを通ってやってきた飛来物体にね、高エネルギー反応と…生命反応があるの‼』

 

「生命反応だって!?」

 

『学園の教員たちや軍が攻撃を開始してる。いっくんもマドっちとくーちゃんと合流して‼これはおそらくまだ序章に過ぎない…‼』

 

「どうしたんですか!?」

 

『中から…怪獣が‼いっくん急いで‼』

 

「了解‼データのインストールとフィッティング、開始‼」

 

 

イチカは急いでパソコンのデータを専用機の待機状態であるペンダントにインストールしていく。パソコンにはイチカの身体、戦闘データも入っており、フィッティングも同時進行で行っていく。

 

 

「イチカ君、虚ちゃん、本音‼」

 

「何が起こってるの!?」

 

 

整備室から楯無さん達が出てきた。二人の顔には焦りの色が見える。

 

 

「分かりません…私も何が何だか…」

 

「私も寝てたから~‼」

 

「イチカ君‼」

 

 

『フィッティング完了。』

 

 

画面にそう映し出されるとペンダントを首につけ、パソコンを本音に渡した。

 

 

「詳しいことはあとで必ず話します。とにかくみんなは避難の誘導をお願いします‼」

 

 

そう言うとイチカは彼女たちの呼びかけに答えることなくアリーナに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃アリーナでは――――――――

 

 

 

 

「何なんですのあれは!?」

 

「クロエ、あれは…」

 

「ええ。来るべき日が来た―――ということでしょう。」

 

「とうとうこの日が来たか…」

 

 

中から姿を現した怪獣、コッヴに対して軍が攻撃を始めたがまったく効果がない。コッヴはそのままIS学園に向かってきた。

 

 

「こちらに来ますわ‼」

 

「ここを真っ先に潰そうって魂胆か…」

 

「そのようですね」

 

「お二人とも‼何をそんなにのんびりとしていますの!?私たちも早く攻撃を――――」

 

「じゃあセシリア、あれを見てみろ。」

 

 

セシリアはマドカが指さす方向に視線をやる。そこには次々に撃墜されていく軍の戦闘機やIS部隊、打鉄やラファールを纏って必死に抵抗を続ける教師達がいた。

 

 

「あの怪獣には軍の兵器はおろかISの装備すらも効果は薄いと見える。セシリアが行ってもただのジリ貧になるだけだろう。」

 

「それではどうすればいいんですの!?」

 

「俺たちが出る。」

 

 

振り返るとそこにはイチカの姿。

 

 

「イチカさん‼」

 

「兄さん、専用機の方は?」

 

「機体自体は既に完成している。もう少し武装を増やしたかったんだがな。」

 

「行きましょう、兄様。」

 

「ああ」

 

「お待ちくださいイチカさん‼私も…」

 

「セシリア、どうして俺達今まで姿を隠してきたと思う?」

 

 

唐突なイチカからの問いに伸ばしていた手が止まる。こんな時に一体何を…

 

 

「束博士が世界から追われる身だからですか?」

 

「それもなくはないけど…一番の理由は、俺たちのこの専用機だ。」

 

「どういう事ですの?」

 

「俺達三人の専用機はな…対ISを想定して作られた物じゃない。あの怪獣―――『破滅をもたらすもの』と闘うことを想定して作られた物―――世界を敵に回してもおかしくない戦力を俺たちは所持してしまってるってことだ。」

 

「そんな…」

 

 

セシリアはどんな言葉を返していいのか迷ってるみたいだ。まあ、こんな衝撃的な事実をいきなり教えられたら誰だってそうなるか―――。

 

 

「だからセシリアも―――「クロニクル‼」」

 

 

アリーナに入ってきたのは千冬姉と山田先生、のほほん、簪、楯無さん、虚さんだった。おそらく彼女たちが二人を呼んできたってところかな――――

 

 

「一般生徒の避難は完了しました。あとはここにいる人たちだけです。みなさんも早く避難を―――「すみません山田先生、それは出来ません。」!?」

 

「クロニクル兄、ここは軍に任せて避難を―――「俺たちの今までの努力は今日、この時のためにある」

 

 

千冬の忠告を遮ってイチカは話し始めた。

 

 

「『ISを…無限の可能性を、思いを乗せた翼を大いなる宇宙に還す』―――その夢を叶えるために俺たちは努力してきた。俺たちの夢を、歩みを、そしてこの道を‼どんな奴だろうと邪魔させはしない‼行くぞ、マドカ‼クロエ‼」

 

「「了解‼」」

 

 

三人は待機状態のペンダントを握りしめ、愛機の名を叫ぶ。

 

 

 

「行くぜ‼母なる大地の化身《ガイア・サーヴァント》‼」

 

「来い‼青海の化身《ポセイディア・サーヴァント》‼」

 

「行きます‼天空の化身《ゼウス・サーヴァント》‼」

 

 

 

 

 

千冬達はただただイチカ達が闘う姿を見ていることしか出来なかった。

 

 

「あのようなIS、見たことありませんわ…」

 

 

セシリアがそうつぶやく。その場にいる者たち全員が言葉は違えど、似たような感想を持っていた。

 

 

「イチカが自分で作ったらしいけど…」

 

「一体何なのかしら?」

 

「まあそれはあいつらが戻ってきてからでも遅くはないだろう…」

 

 

再び彼女たちは空へと視線を移す。すると、先ほどとの違いに気付いた。

 

 

「先生~何か空がさっきよりも暗くなってませんか~?ゴロゴロ鳴ってるし~」

 

「ああ…今度は一体何が――――!?」

 

 

雲行きの怪しさを心配していると空に時空の歪みが発生し、そこから宇宙雷獣パズズが地球に降り立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそ‼もう一体お出ましかよ‼」

 

「IS学園が危ない‼兄さん‼」

 

「分かってる‼クロエ‼そいつの注意をひいててくれ‼」

 

「了解‼」

 

 

コッヴをクロエに任せてイチカとマドカは学園の目前に現れたパズズのもとに向かった。

 

 

 

 

 

 

いきなり目の前に現れたパズズに一同動けずにいたが、パズズがこちらに向かって来始めたのを見て専用機持ちの三人がいち早く口を開いた。

 

 

「織斑先生、ここは私たちが時間を稼ぎます‼」

 

「みなさんはそのうちに避難を‼」

 

「私も…闘う‼」

 

 

そう言って楯無はミステリアス・レイディ、セシリアはブルー・ティアーズ、簪は打鉄弐式を纏った。(この時点では打鉄弐式はまだ完全には完成してはいない。)

 

 

三人は装備されている武器で時間稼ぎを図るがパズズには効果が薄く、その侵攻を遅めるには至らない。むしろパズズはその攻撃に逆上して学園に向かって角から雷撃を放った。

 

 

「万事休す、ね…」

 

 

楯無がそう呟く。誰もが直撃を覚悟した、その時―――――

 

 

 

 

「「させるかあぁぁぁ‼」」

 

 

ギリギリのところでイチカとマドカはパズズと学園の間に割って入り、ともに背中に搭載されているビット『ファルコン』を8機ずつ展開しエネルギーシールドを形成、パズズの雷撃を寸でのところで防ぐが、相殺するのが精いっぱいで地面に物凄い勢いで叩き付けられてしまった。

 

 

「ぐっ……兄さん…大丈夫か?」

 

「身体は動く……だが…機体の方がさっきのでもう機能しない…」

 

「残念だが…私もだ…」

 

 

二人の機体は待機状態に戻ってしまっていた。

 

 

「くそ‼間に合わなかったのか!?俺たちが今までやってきたことは…全然…間に合わなかったっていうのか!?」

 

「ガイアもポセイディアも動かない、私たちも満身創痍…どうしたら良いんだあ‼」

 

 

 

 

 

絶望感に打ちひしがれていると、急に流れる水も、鳥も、風に揺れる草木も―――すべてが静止し、二人の周りを青い光が包む。何事かと二人が辺りを見渡していると突然――足元が抜け落ち二人は真っ逆さまに落ちていった。

 

 

「うわあああ‼」

 

「どこに向かってんだよ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

落ちて二人がたどり着いたのはどこか別の空間、どこまでも続く荒野のような場所だった。

 

 

「ここは一体…」

 

「兄さん‼」

 

 

マドカが指さす方にいたのは赤と青の二体の巨人。

 

 

「……ウルトラマン?」

 

「兄さん?」

 

 

何故かは分からないがイチカには確信めいたものがあった。彼らは『ウルトラマン』なのだと――――

 

 

「ウルトラマン‼地球が危ないんだ‼俺はお前になりたい‼お前の光が欲しい――俺に力を‼」

 

「私もだ‼みんなを、夢を、そして地球を守りたい‼――私に力を‼」

 

 

二人がそう言うと、赤いウルトラマンはイチカに、青いウルトラマンはマドカに両手を突き出す。

 

 

「俺たちを…試しているのか?」

 

 

イチカとマドカもウルトラマンに向かって両手を突き出す。すると二人は赤と青の光に包まれる。

 

 

「この光…凄い暖かくて、俺を包んで…」

 

「気持ちいい清らかな光に包まれて…違う、光が私たちの中に入ってくる‼」

 

 

力がみなぎってくる――――これなら‼

 

 

「マドカ‼」

 

「行こう、兄さん‼」

 

 

二人は再び立ち上がる。地球《ほし》の光を託されし戦士―――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウルトラマンガイア、ウルトラマンアグルとして――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何あれ…」

 

「カッコイイ…」

 

 

突然の二体の光の巨人の出現に楯無は驚き、簪はその姿にうっとりしていた。

 

 

「ディア‼」 「オアアッ‼」

 

 

ガイアはコッヴを、アグルはパズズを押し出し学園から遠ざける。

 

 

『私たちは負けない‼オオオッ‼』  

 

『俺たちは……ウルトラマンなんだ‼オラァ‼』

 

 

遠心力でコッヴとパズズを投げ飛ばす。二体はふらつきながらも立ち上がり、コッヴは頭部から光線を、パズズは雷撃を放つ。

 

 

「「フッ‼ハッ‼ディア‼」」

 

 

ガイアはコッヴの光線を全て弾きアグルはバク転で躱す。

 

 

 

「ハッ‼ハアアアァ………ディアッ‼」

 

「オアアァッ……デュア‼」

 

 

ガイアはエネルギーを溜め頭(ガイアヘッド)から鞭のようにしならせながら光の刃《フォトンエッジ》を、アグルは頭部(ブライトスポット)からフォトンクラッシャーを放ち、それをくらったコッヴとパズズは爆散して消えた。

 

 

「勝ちましたわ‼」

 

「良かった~一時はどうなるかと思ったよ~」

 

 

セシリアは巨人の勝利に歓喜し、本音も安堵していた。その他の面々も緊張の糸が切れたのか同じような表情をしている。

 

 

 

ピコン、ピコン、ピコン――――

 

 

 

「巨人の胸元が点滅してますの……」

 

「活動限界ということでしょうか?」

 

「おそらくそうだろう……むっ?」

 

 

カラータイマーが点滅を始めたところでガイアとアグルは再び光となって姿を消した――――。

 

 

「消えちゃった~…」

 

「……って、そんなことよりも‼イチカくんとマドカちゃん、助けに行かないと‼」

 

 

楯無の一言で一同は二人が墜ちたと思われる場所へと駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

元の姿に戻ったイチカとマドカは力を使い果たし、地面に伏していた。

 

 

「マドカ…大丈夫か……?」

 

「何とか……ん、これは…」

 

 

それぞれの視線の先に小さな光が二つ浮かんでいた。二人は鞭打って身体を動かし、制服の内ポケットに入れてあった光電子管に光を呼び込む。

 

 

「これが地球に託された…希望の光…」

 

「とんだものを…引き受けてしまったな……兄…さん」

 

 

次第に意識が薄れていく―――。

 

 

「ガイア………」

 

「アグル………」

 

 

そう零したところで二人の意識は途切れた―――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






この調子でゆったりと更新していきます
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