IS ~この地球(ほし)の光に導かれし者~ 作:メテオボーイ
学校始まるから更新遅れるかも………
事件から一夜明け、その日は生徒たちの心理状態を鑑みて臨時休校となった。休校といっても生徒たちの外出は許されておらず、一日寮で過ごすことになった。教師たちは今後の対策を立てるために職員会議を行っている。
その日セシリアはイチカとマドカとクロエが寝ている病室に向かっていた。その手にはフルーツの入ったかごが握られていた。
コッヴとパズズが倒されたあと、イチカとマドカが墜とされた場所へ向かおうとすると、気を失っている二人をクロエがゼウスを纏ったまま背負って帰ってきた。クロエも二人を降ろすとそこで限界が来たのか気を失ってしまった。三人はそのまま病室に連れてこられたのだが三人とも昨日はそのまま目を覚まさなかった。
「イチカさんたち…今日は目を覚まされるでしょうか?」
そんな心配をしながら歩いていると、病室の前に見知った顔があった。
「おおぉ~セッシー‼セッシーもイッチーのお見舞い~?」
「あら、本音さんもですの?」
「そうだよ~‼かいちょーにかんちゃん、お姉ちゃんも一緒だよ~」
「そうでしたの、それでは改めて自己紹介いたしますわ。セシリア・オルコットです。イギリスの代表候補生で本音さんとはクラスメイトですわ。セシリアとお呼びください。」
セシリアの自己紹介に続いて楯無たちも自己紹介を順にしていく。
「じゃあ私から。二年の更識楯無、ロシアの国家代表でこの学園の生徒会長をやっているわ。よろしくね、セシリアちゃん‼」
「更識簪…日本の代表候補生。四組のクラス代表もやってるから対抗戦のときはよろしくね。」
「布仏虚です。いつも本音がお世話になっています。」
「よろしくお願いしますわ。」
「さてと…自己紹介も済んだことだし、さっそく突撃しましょ‼」
そう言って楯無が扇子を開くと『熱烈特攻』の文字。セシリアは口許をひくつかせていた。
「その扇子…どういう仕組みをしてますの?」
「ウフフ、細かいことは気にしない気にしない‼それじゃ、オープ~ン‼」
うまい具合にセシリアの追及をはぐらかし、楯無が病室の扉を開ける。
「イチカくん達~、起きてるかな~―――――って、あれ?」
病室はもぬけの殻だった。
「イチカが……」
「いませんわ……」
「マドマドとクロロンもいないよ~?」
「どこにいったのでしょうか?」
「とりあえず手分けして探しましょう‼」
セシリア達が病室を訪れる一時間ほど前、イチカとマドカは屋上で柵にもたれかかって腰を下ろしていた。クロエは三人が昨日から何も食べていなかったので購買にパンなどを買いに行っていた。自分たちも行くと言ったが「安静にしていてください」と却下された。
「それにしても…俺たちがウルトラマンか…」
「そうだな…」
イチカの手にはエスプレンダーが、マドカの手にはアグレイターが握られていた。
昨日の夜にいち早く目が覚めたイチカはこっそりと夜通しでこの二つを作り上げたのだ。
「このことは俺達だけの秘密だ。あとマドカ、ポセイディアを貸してくれ。」
「分かってる。ん?どうするんだ兄さん?」
エスプレンダーとアグレイターをそれぞれ内ポケットにしまい、ポセイディアを受け取るとイチカはパソコンを開きポセイディアに何かをインストールしていく。
「インストール完了。ほい、マドカ。」
「何をしたんだ兄さん?」
「遠隔操縦制御プログラムをインストールしておいた。サーヴァントを纏った状態で変身したとき解除されて俺たちがいなかったらばれちまうだろ?これを起動させれば俺達が変身してもこのプログラムがある程度勝手に動いてくれる。もとになってるのは俺たちの戦闘データだから墜とされることは多分ないだろう。幸い俺たちの機体は全身装甲だから見た目は何ら変わりないと思うぞ。」
「そうか、それはありがたいな―――――って兄さん、これいつ作ったの?」
「昨日その二つを作ってからこのアイデアが浮かんでな。」
「まったく…作ってくれたのは嬉しいが、兄さんには『例のハンディ』があるんだからあまり無茶はしないで早めに自制してほしいな。」
「了解…―――――‼」
マドカに指摘されて少し小さくなってしまうイチカ。しかし、それも一瞬の事で、急に真剣な顔つきになる。
「兄さん?」
「この感じ……何か…来る‼」
その瞬間、地面が大きく揺れる。揺れは徐々に大きくなりついには先日コッヴが襲来した地点が割れ、そこからマグマ怪地底獣ギールが出現した。
『グギャアアアアアアァァァァァ‼』
「地中からだと!?破滅招来体ってのは宇宙からだけじゃないのか!?」
「こっちに向かってくるぞ‼」
ギールは出現と同時にIS学園に向かってきていた。
「マドカ、ポセイディアは使えるか?」
「大丈夫、予備のパーツを使えば行けるよ。」
「俺の機体はまだ未完成だ。万一のことを考えてマドカはここに残ってくれ。アイツは俺が倒す‼」
「分かった。無茶はダメだぞ兄さん、私もいるんだからな?」
「了解」
イチカは内ポケットから再びエスプレンダーを取り出す。エスプレンダーに宿る赤い光がイチカに呼応するように輝く。
「今は俺が―――――ウルトラマンなんだ‼」
エスプレンダーをはめた右手を一度左肩に持っていき、前方に突き出すと同時に戦士の名を叫ぶ―――。
「―――――ガイアァァァァ‼」
「こんな時にまた怪獣ですの!?」
「イチカ君たちも見つかってないって時に‼」
「どうするの~!?」
「とりあえず生徒たちの避難をするべきでは……」
「お姉ちゃん、あれ‼」
『デュワッ‼』
地面を巻き上げて地上に降り立ったのは――――
「光の……巨人………」
『ハアアアァッ‼』
ガイアはギールの後ろに回り込みしっぽを掴むと、学園から遠ざけようとする。ギールも抵抗するがガイアは軽々と引きずり学園から距離を取ることに成功する。
『ハッ‼ハッ‼ディヤ‼』
引き寄せたギールにガイアはチョップやパンチを浴びせていくが、ギールにはあまりダメージを与えれていなかった。
(こいつの表皮は堅いな…だとすると弱点は――――)
ガイアはギールの顎を掴み持ち上げる。するとギールの腹に何やら変形した表皮に守られているような場所を見つけた。
(これはビンゴだ、ここを狙えば――――‼)
すると変形した表皮が急に開き赤い部分が露わになり、そこから球体の光線が発射されるがいち早くそれに気づいたガイアはそれを躱した。
『(このままだと被害が大きくなる‼だったら―――)ディア‼ハアアアァ……』
ガイアはギールを投げ飛ばすとフォトンエッジの体勢に入る。投げられたギールもすぐに腹をガイアに向ける。
『(もらった‼これでもくらえ‼)………ディアアアア‼』
そのままガイアはフォトンエッジをギールの腹に叩き込み、ギールは爆散した。それを確認するとガイアは光を放ち姿を消した。
「お疲れ、兄さん。」
「おう、ただいま。」
そうこうしているとクロエがいくつかパンと飲み物を買って帰ってきた。
「兄様、マドカ‼よかった…無事でしたか」
「ああ、俺たちが出る前にあの巨人が倒してくれたよ。」
「そうでしたか。…いけません、忘れるところでした。」
そう言うとクロエは手に抱えていたものを地面に広げた。
「いくつか適当に買ってきました。」
「サンキュ、クロエ。」
「いえ…これくらいは。」
「焼きそばパンは私がもらった‼」
「あっ、マドカ‼俺が狙っていたやつを‼」
「大丈夫ですよ兄様。こんなこともあろうかと焼きそばパンは人数分買ってきました。」
そんなやり取りをしながらイチカ達はそのまま食事を始めた。
「あの巨人さん……本当にお強いですわね。」
「うん……かっこよかった////」
「そうね~、それにしてもイチカ君達どこ行っちゃったんだろ?」
「あと探してないのは~……」
「屋上だけですね」
五人はあと探していなかった屋上にやってきた。すると案の定屋上に三人はいた。
「イチカさん、心配しましたわ‼勝手に病室を――――‼」
「どうしたの、セシリアちゃん?」
「お姉ちゃん、イチカ達……寝てる。」
「えっ?」
イチカが柵にもたれかかり、マドカとクロエがイチカの伸ばした足を枕代わりにして三人仲良く眠っており、とても仲睦まじい光景だった。
「イッチーたち、気持ちよさそうに寝てるね~」
「ホントですわ…注意する気も失せてしまいましたわ。」
「じゃあ私も一緒に―――」
「お嬢様はダメです。まだ生徒会の仕事が残ってるんですからね。やることきちんとやりませんと好きな人に嫌われても知りませんよ?」
「ううう虚ちゃん////何を言ってるの!?そんな訳……」
「隠しても無駄ですよ。何年お嬢様と一緒にいると思ってるんですか?昨日今日のお嬢様と簪お嬢様の行動を見ていれば私たちからすれば一目瞭然でした。そうよね、本音?」
「そうだね~、昨日イッチーたちを助けに行くときの慌てぶりとか見ててもそうだし、かんちゃんなんて部屋でぼぉ~っとしてたし、その時の顔は完全に~恋するオ・ト・メだったよ~‼青春だね~、セッシー?」
「ほ、本音さん‼なぜ私に振りますの////!?」
「ええ~、だってセッシーもイッチーの事好きなんでしょ~?」
「バ、バレていましたの……////」
「やはり三人ともそうでしたか……」
「「「……………/////」」」
三人とも顔が真っ赤な茹蛸状態だった。そんな中、一方的にやられるのが癪だったのか楯無が反撃に出るのだが――――
「そ、そういう虚ちゃんと本音はどうなのよ!?」
「私の場合、気心知れた数少ない友人といったところでしょうか?仲良くなっても親友までだと思います。」
「私にとってイッチーは理想のお兄ちゃんってとこかな~。お菓子とかくれるし、優しいし‼」
――――――完敗だった。これはどうやら初めから負け試合だったようね……
(千冬様の恥さらし‼)
(お姉さんは出来てたのにどうしてあなたたちは出来ないの?仮にも『織斑』なんでしょ!?)
誰も…俺を一人の人間―――織斑一夏として見てくれない……
(こいつ、ブリュンヒルデの弟なのに超弱いじゃん‼)
(完全にお荷物じゃん‼)
大人数でかかってきておいてよく言うぜ……
(ISを動かせない弟の存在なんて千冬さんの足枷以外の何物でもないわ‼)
ISを動かせるってだけで……お前たち自身の力じゃないだろ‼
誰だよ……俺を嘲笑い蔑んでんのは‼
痛い………
苦しい………
辛い………
もう…こんなの……感じたくない……嫌な思いはしたくない…
(『――――――――‼』)
誰かの声がする……誰だよ?…っていうか俺を呼んでるのか?…もういいや……
何も見たくない…感じたくない……続くのはただただ、闇、闇、闇――――――
「………いさん‼兄さん‼しっかりして‼」
「…………マド……カ?」
「よかった…気が付いたんだね兄さん‼」
「大丈夫ですか兄様?」
「クロエ?それにみんなも…(今のが…マドカの言ってた俺の空白の八年間の記憶なのか?)」
目を覚ますとマドカ、クロエの他にセシリア、簪、楯無さん、のほほん、虚さんが心配そうな顔をして俺の見ていた。
「イチカさん、大丈夫ですの!?」
「イチカ君ずいぶん魘されてたけど…」
「イチカ…大丈夫?」
「イッチー、大丈夫~?」
「まだ休んでいた方が良いのでは?」
ここにも俺の事を心配してくれる人はいるんだな……そういやあいつら、元気かな――――
「ああ、大丈夫だ…ちょっと変な夢を見ただけだ。」
「そうですの…何かあったら遠慮なく仰ってくださいまし‼セシリア・オルコット、いつでもイチカさんのお力になりますわ‼」
「お姉さんも力になるわ‼」
「私も……イチカの力になりたい‼」
「いや、でも…」
「兄さん、好意はあるうちに受け取った方が良いよ。」
「そうですね、その方が良いと思いますよ兄様。」
「そういうものなのか…分かった、その時は頼むよ。セシリア、楯無さん、簪。」
「「「//////」」」
「ん?どうしたみんな?」
イチカの笑みは三人にはとても輝いて見えていた。見惚れてしまっていたのだ―――――
「のほほんと虚さんも何かあった時には頼みますね。」
「ええ、任せてください。」
「任せて~‼」
さてと、そうと決まればまずは―――――
「ちょっと早いけど昼飯にするか……」
こうして波乱な休日は過ぎていったのだった―――――――
同日、空港に一人の少女が降り立った。肩からボストンバックを提げ、ツインテールの少女が向かうは―――――
「IS学園………謝らなくちゃ…あの日の事を――――」
「―――――――――――――――待ってて……一夏。」