IS ~この地球(ほし)の光に導かれし者~   作:メテオボーイ

7 / 25
episode 6 歪な再会

 

 

 

 

 

「兄さん、昨日噂で聞いたんだけど如何やら中国から転入生が来るらしいぞ。」

 

「この時期に中国から?転入してくるってことは……」

 

「国家代表あるいは候補生、私たちのデータ取りのためのスパイもしくはその両方といったところでしょうか?」

 

「その線が強いだろうな……注意しておいた方がいいだろうな。マドカ、束さんはどこに?」

 

「当分の間はラボにこもってクリシスの調整に破滅招来体の調査、新装備やシステムの開発とかやることがたくさんあるんだって。みんなは鍛錬と闘いに専念してほしいってさ。」

 

「そうか、それなら飯とか用意してあげないとな。」

 

「そうですね。」

 

 

予鈴が鳴ったので、イチカ達が教室に入ると何やらクラスメイト達がセシリアのもとに集まっていた。

 

 

「どうしたんだ?みんなしてセシリアに寄って集って…」

 

「あっ、おはようクロニクル君達‼今ね、クラス代表戦の事を話してたんだ。」

 

「そうそう、優勝したクラスには学食デザートフリーパスだからね~‼」

 

「セシリアには頑張ってもらわないとね~‼」

 

「皆さんの期待に応えられるように精いっぱい頑張りますわ‼」

 

 

セシリア、かなり気合が入ってるみたいだな…。

 

 

「今度からは私とクロエにくわえて兄さんにも特訓に加わってもらう予定だからな。みんなは大船に乗ったつもりでフリーパスを待っていてくれ。あと私の事はマドカで構わないぞ。」

 

「そうですね。確実に優勝をもぎ取ってみせます。私の事もクロエでいいです。」

 

「おお~、マドマドもクロロンも大きく出たね~‼」

 

 

マドカもクロエもクラスになじめているな……どうなるかと思ってたけど心配いらなかったみたいだな。

 

 

「お二人とも‼あまりプレッシャーをかけないでください‼…あの、イチカさん…ご指導のほどよろしくお願いいたしますわ‼」

 

「ああ、任せろ。代表戦まではセシリアが苦手な近接戦闘の特訓と、あとは…俺の得意技術を教えようと思っているからよろしくな。」

 

「ハイ‼頑張りますわ‼」

 

 

セシリアも気合十分だな―――。

 

 

「みんなもセシリアの事を応援してやってくれ。適度なプレッシャーはいい緊張感を生むからな。あと、俺の事もイチカで構わん。クロニクルの方だと三人もいるからややこしくなるしな。」

 

「「「良いの?」」」

 

「クラスメイトだしな。他人行儀みたいで何か堅苦しいからな」

 

「よ~し、何かいいムードだね~」

 

「これなら優勝出来ちゃうかもね‼」

 

「専用機持ちはセシリアと四組の更識さんだけだから最低でも決勝までは行けるでしょ~‼」

 

 

そういや簪もクラス代表って言ってたな……。セシリアといい勝負になるだろうな…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――――――――その情報、もう古いよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

声のした方を向くと、そこにいたのはツインテールの少女。こう言ったら失礼だが、腕を組み、無い胸張ってふんぞり返っていた。

 

 

「二組のクラス代表、私に代わってもらったから。残念だけど貴方たちの優勝はないわ。」

 

「あら、ずいぶん自信が御有りのようですわね?その自信、私がへし折って差し上げますわ‼」

 

 

少女の言葉にセシリアが食って掛かった。

 

 

「アンタがこのクラスのクラス代表?」

 

「ええ。セシリア・オルコット、イギリスの代表候補生ですわ。」

 

「凰鈴音、中国の代表候補生よ。よろしく。」

 

 

二人は自己紹介をするとがっちりと握手を交わした。気のせいかもしれないが俺には二人の間に火花が散ってるように見えた――気がした。

 

 

「ねえ…」

 

「ああ、自己紹介が遅くなってすまない。イチカ・クロニクルだ。こっちが妹のマドカ・クロニクルとクロエ・クロニクルだ。宜しく頼む。」

 

 

無難に自己紹介をして右手を差し出す。

 

 

「…………」

 

 

しかし目の前の彼女は俺の事を驚いたような顔をして見ていた。

 

 

「……どうかしたのか?」

 

 

すると、返ってきた言葉は俺の予想を超えた言葉だった。

 

 

「―――アナタ、織斑一夏でしょ!?覚えてない?私よ、鈴よ‼」

 

「(―――‼彼女はどうして俺の前の名前を知ってるんだ!?)―――俺の名前はイチカ・クロニクルなんだが……それに俺は君とは今日初めて会ったんだが……」

 

「嘘よ‼マドカ達も何か言ってよ‼どう見たってアナタ一夏と瓜二つじゃない‼私、アナタにずっと謝りたかったの‼だから―――「そこまでにしておけ、凰」何よ‼……って、千冬さん。」

 

 

すると丁度いいタイミングで千冬姉が教室に入ってきた。

 

 

「織斑先生だ。今ならまだ見逃してやる、早く教室に戻れ。」

 

「……ハイ、分かりました。一夏、放課後空けておいてよ‼」

 

 

そう言い残すと凰は教室に戻って行った。

 

 

「さて、お前たちも席に就け。授業を始めるぞ。」

 

 

千冬姉の言葉でみんなは自分の席に戻って行った。

 

 

「放課後はセシリアの特訓があるんだけどな……――――にしてもさっきの奴、凰鈴音、だったか?一体何者なんだ?俺達の事を知ってるみたいだったけど…」

 

 

不思議に思いつつも俺は考えるのを中断して席に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その光景をマドカとクロエは悲愴な面持ちで見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「鈴…すまない…」

 

 

 

 

 

 

 

小さく零したマドカの言葉は誰にも聞かれることはなかった――――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後イチカはマドカ、クロエと一緒にセシリアの特訓のためにアリーナに来ていた。

 

 

「イチカさん、ひとつお伺いしてもよろしいでしょうか?」

 

「ん?どうした?」

 

「凰さん、でしたかしら?あの方はイチカさんとはどういった関係ですの?」

 

「俺も分からない。」

 

「どういう事ですの?」

 

「……今日が凰さんとは初対面―――のはずだ。向こうは俺たちの事を知ってるみたいな感じだったけど他人の空似だろ。よく言うだろ?『世界には自分と同じ顔の人間が三人はいる』って。」

 

「確かにそうですけど……」

 

「……まあ分からないことを気にしてもしょうがないからな。さてセシリア、特訓を始めるぞ。」

 

「ハ、ハイ‼宜しくお願いしますわ‼」

 

 

多少の疑問を抱きながらもセシリアはイチカ達との特訓に励むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうして一夏は来ないのよーーーーーーーーっ‼‼」

 

 

 

 

そう叫ぶ生徒がいたとかいなかったとか―――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからイチカ達とセシリアの特訓は毎日行われ、とうとうクラス代表戦当日となった。

 

 

「まさか初戦からとはな……くじ運が良いのか悪いのか…」

 

 

イチカ達の視線の先には液晶の画面。そこには代表戦の対戦表が映し出されていた―――――

 

 

 

 

 

1回戦

 

 

1組 セシリア・オルコット vs 2組 凰鈴音

 

 

 

 

 

「いずれ当たるのだからいつ当たっても一緒だぞ兄さん」

 

「まあ、それもそうか。クロエ、ブルー・ティアーズの調整はどうだ?」

 

「いつでもいけます。」

 

「織斑先生、そろそろ……」

 

「オルコット、既に凰が待っている。準備しろ。」

 

「ハイ‼」

 

「セシリアちゃん、頑張って~‼」

 

「応援してるね。」

 

 

ピットには俺たちの他に千冬姉に山田先生、楯無さんと簪もいた。

 

 

「セシリア……ブルー・ティアーズの事を、今日までの特訓の日々を、そして自分を信じろ。」

 

「イチカさん///」

 

「大丈夫、セシリアは強くなった……俺が保証する。よし、行って来い‼」

 

「ハイ‼」

 

 

そしてセシリアはブルー・ティアーズを纏う。

 

 

 

 

 

 

「セシリア・オルコット……ブルー・ティアーズ、行きます‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリーナに出ると、上空には既に鈴が待機していた。

 

 

「やっと来たわね。」

 

「遅くなってすみませんわ、凰さん。」

 

「鈴で良いわ。そのかわりアンタの事もセシリアって呼んでいい?」

 

「良いですけど……勝ちは譲りませんわよ?」

 

「言ってくれるじゃない……まあ、それでも勝つのは私よ。」

 

「いいえ、これだけは譲れませんわ。特訓に付き合ってくださったイチカさん達のためにも…負けるわけにはいきませんの‼」

 

 

そうセシリアは宣言し、スターライトmkⅢを構える。

 

 

「言ってくれるじゃない……なら私も…『試合開始‼』――――全力で行くわよ‼」

 

 

鈴は開始の合図と同時に甲龍の近接装備『双天牙月』を構え、セシリアに向かっていく。

 

 

「ハアアアァッ‼」

 

「お行きなさい、ブルー・ティアーズ‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試合開始から数分、セシリアがブルー・ティアーズやスターライトmkⅢで攻撃を繰り出し、それを鈴がひたすら躱すといった戦況だった。鈴はセシリアの攻撃を紙一重で躱しながら隙を伺っていた。

 

 

(さっきからビットは動いてるけど…セシリアはあの場から動いてない。―――もしかして!?)

 

「ヤアアアアアッ‼」

 

「くっ、……インターセプター‼」

 

ある一つの考えに至った鈴は、攻撃を躱しながらセシリアに接近し双天牙月を振り下ろす。セシリアはギリギリのところで展開を解除、インターセプターを呼び出しこれを何とか受け止めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「案外早く気が付かれたな…」

 

「そうですね…」

 

「イチカ、気が付かれたって何に?」

 

 

ぽつりと零したイチカとクロエの言葉に簪がいち早く反応する。

 

 

「セシリアの弱点にだ。」

 

「弱点?」

 

「……なるほど、イチカ君。弱点って近接戦闘技術ともしかして…『動けないこと』なんじゃない?」

 

「楯無さんはどうやら気づいたようですね。」

 

「どういうこと?」

 

「セシリアはブルー・ティアーズを展開または攻撃するときにその場から動くことが出来ないんだ。技術を磨けば動きながらでも使えるようになるんだが、試合まで日数があまりなかったからな。機体とビットの両方を動かすにはまんべんなく意識をいきわたらせようと思うと付け焼刃程度にしかならないと思った。そこでだ……俺の得意技術を教えた。これなら接近を許さない戦法も取れるし、何よりセシリアの射撃センスにピッタリだと思ったからな。」

 

「イチカ君、セシリアちゃんに一体何を教えたの?」

 

「まあ、見てれば分かります。」

 

 

イチカの言葉を聞いて彼女たちは再び試合の方に目を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

両者は今一度距離を取り上空で向かい合っていた。

 

 

(やっぱり。セシリア、アナタはビット操作と並行して自分は動くことが出来ない‼それにさっきの装備を呼び出すスピード、武器の扱い…見た感じ接近戦も苦手なようね。だったら使う隙を与えないまで‼)

 

 

鈴は衝撃咆『龍咆』から圧縮した不可視の空気弾をセシリアに向かって放つ。

 

 

「これで終わりよ‼」

 

「‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鈴に自分の弱点がバレてしまったこの状況でもセシリアはいたって冷静だった。

 

 

(鈴さんの表情が変わりましたわ……おそらく私の弱点に気付かれてしまいましたわね…。イチカさんのおっしゃっていた通りになりそうですわね――――)

 

 

セシリアはイチカに言われたことを思い出していた―――――

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。