弓塚さつきの奮闘記   作:第三帝国

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メタいのはアーネンエルベ使用です。


午前9:23

 

 

少女たちが道を歩いていた。

それだけならどこにでも見られる光景であったが、少女らは目立っていた。

というのも、3人の少女は未だ小学生高学年程度の歳相応の幼さを残していたが。

 

その内2人はこの国では珍しい銀色の髪を有する「ガイジンさん」の風貌であったためだ。

しかも3人揃って将来に期待が持てる容姿をしていたため、なおさら道行く人々に見られた。

 

「あーもう、喫茶店いこー喫茶店」

 

焦げ茶色色の肌をした少女、クロエ・フォン・アインツベルンが天を仰ぎつつぼやく。

そして、クロエの橙色の瞳が隣の銀髪少女に向けられる。

 

「そんなこと言ったてお金ないよ、クロエ」

 

視線を向けられた銀髪赤眼の少女、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンが即座にその提案を却下する。

なぜなら、自分たちは未だ小学生であるため使えるお金など知れており、その事実を思い出したクロエが言葉を詰まらせた。

が、そんな2人のやり取りを見ていた黒髪の少女、美遊・エーデルフェルトがそのイリヤの言葉を否定した。

 

「大丈夫、ルヴィアさんからお小遣いは貰った」

「え、お金あるって……うそぉ!!」

「ちょ、ちょっとこれって!?」

 

美遊のい言葉に怪しんだが、視界に入ったそれを見て驚愕する。

そのお小遣いと称するものは財布にギッシリと詰まった福沢諭吉の群れであった。

小学生どころか大人にも手が届かなさそうな金額にイリヤとクロエ思わず唾を飲み込む。

そして、クロエは神妙な顔つきでイリヤに顔を向けると言った。

 

「持つべきは金持ちの友人だとは思わない、イリヤ?」

「自分も過去に似たような事を言ったけど最低だーーーー!!!」

 

『プリズマ☆イリヤ』ではすっかり突っ込み役が定着したイリヤが叫んだ。

 

「だから喫茶店に行っても問題ない」

「じゃ、みんなでケーキを食べましょ!決まりね!」

「待ちなさいよー!クロエ!」

 

美遊の手を握り嬉々とクロエが喫茶店へ走り、イリヤがその後を追いかける。

 

『おや……?』

「どうしたのルビー?」

 

『アーネンエルベ』という名前の喫茶店のドアを潜った後に。

どこぞの割烹着の少女と同じ声を持つ天然人工精霊にしてネタ製造機のルビーが疑問符を口にする。

 

『はーい、なんだか面白おかし……。

 いえいえ、少しだけネタの空気を感じただけですから、イリヤさんは気にしなくて大丈夫ですよ』

 

「それって私にとって凄く嫌な予感を意味するよねルビー!」

 

ルビーの発言にイリヤがまた巻きまれるーと嘆くが時既に遅し。

既にギャグもネタもあるんだよ、という言葉が思わず出てしまうアーネンエルベに入っていた。

 

 

 

※ ※ ※

 

 

 

「改めて結婚、そして懐妊おめでとうございます。両儀さん」

「悪魔なオレからも新たな命の誕生を祝福してやるぜ」

「あ、ああ。どうも……なんか、おまえ達に祝福されるなんて違和感を感じるな」

 

再度改めて言われる祝福の言葉に両儀式はぎこちなく受け取った。

片や同属嫌悪で一度殺しあった人物、片や退治すべき魔である悪魔であるからある意味仕方がない。

 

「しっかし、散々ドラマCDの『アーネンエルベの1日』で、

 「月姫はエロいっ(キリッ)」と言っておいてヤルことはヤッタ式だって十分にエロいじゃないか!」

 

「ぶぅ―――おまっ!」

 

アヴェンジャーの発言で式は口にしたお冷を噴出した。

前に自分が言ったことが今になって反って来たのだから仕方がない。

 

「ケケケケ、そういえばオレはカレンと教会で後ろからヤッタがやっぱオマエもそうなのか?」

「う、うるさいな!」

 

女性に向けて体位を聞くなどセクハラ全開の発言をアヴェンジャーはする。

これに何時もの式ならば養豚場の豚を見るような冷たい眼と共にで物理的に切り捨てていただろう。

 

が、覚えがあるせいで顔は赤くなり、動揺が止まらずたじたじになる。

この様子にニヤニヤと人が悪い笑みを浮かべた悪魔は更なる追撃をしようと試みたが。

 

「失礼じゃないか士郎君、いやこの場合アヴェンジャーか。そんな事を言うなんて」

 

さらに何か口にしようとした刹那。

しかし、遠野志貴がアヴェンジャーに制止を促す。

式が殺人貴といえどもその辺は常識人であることに感謝した。

 

「だいたい女の子、例えばアルクェイドだってエッチが好きだし、俺も大好きだ。

 すなわち、エッチが大好きなのは男女の区別はない。つまり、両儀さんは普通だ!」

 

「そこの絶倫眼鏡は喧嘩を売ってるんだな。

 そうだな?次に会った時はたっぷり買ってやるから覚えていろ」

 

式の殺意交じりの鋭いジト眼が主人公2人に向けられた。

 

「……はぁ。で、おまえ達はセイバーとアーパー吸血鬼を連れていないのか?」

 

これ以上この手の話を追求するとこちらがまた弄られる。

そのことを知っていた式は前回ここに来た際にいた主人公に伴うヒロイン2人について言及する。

 

「ええ、もう直ぐ来ると思いますけど。なにせ携帯電話とか持ってないし」

「こっちも以下同文。まぁそのうち腹ペコの騎士王サマは来るだろうから問題ないぜ」

 

のんびりと答える志貴に、やれやれと言いたげにアヴェンジャーは答えた。

 

「そういえば、おまえ達は携帯電話とか持っていなかったな」

 

今や日常生活に不可欠な文明の利器を持っていない事実に今更ながら式は気づいた。

 

「まあ『月姫』は『魔法使いの夜』より新しいけど、

『空の境界』と並んで年代が少し古いですから、琥珀さんが仕事で使っているのなんて黒くて頑丈な奴ですよ」

 

「メタいな、おい」

 

「こっちは辛うじて2000年代の一桁のせいか正義厨は持って無くもないが、

 普段持ち歩かない上にネットなんて繋がらない通話とメールだけで姉貴分からのもらい物だ」

 

日本のガラパゴス的技術、文化の象徴として日本の携帯電話がしばし指摘される。

今でこそスマートフォンに押されているが1996年に世界初の着メロを開始。

また、1999年に京セラは世界初のカメラ内蔵携帯を発売。

2001年にはインターネット回線と繋げるようになるなど技術的には最先端を走っていた。

 

「まあ、2014年秋に公開されるだろうFateで正義厨の服装も変わる様だし、その辺も変わるかもな」

 

「そういえばそうだったね、リメイクおめでとうアヴェンジャー君」

 

「ケケケ、今回はゼロでも好評だったufotableが担当だからDEENのようにはいかないぜ。

 この人気を背景に、このままホロウまでアニメ化すれば今までゲームでしか出番がなかったオレとしては満足だな」

 

「リメイクなんて相変わらずFateは型月のドル箱だな。

 ああでもDEENの事は言うな、当時はあれで面白かったのだから……」

 

元々ufotableはオリジナルアニメの作成より、

原作の再現度に高い評価を得ており『空の境界』そして『Fate/Zero』で高い評価を得ている。

一方DEENは全体的に可も無く不可もなくで、たびたびufotableと比較され、酷評されてしまっている。

 

「カッコイイポーズとかか?」

「あれは、うん。そうだな、うん……」

 

対バーサーカー戦で見せたアーチャーのカッコイイポーズ(棒)

を思い出した式は露骨に眼を逸らし沈黙した。

 

「しかし、いいねFateは派生作品もあって。

 こっちの『月姫』はリメイクしているらしいけど全然だよ」

 

「別にいいじゃないか、静かで。

 こっちは銀幕に出たりエクストラで出演したりで忙しかったからな。

 ま、『魔法使いの夜』もなんだかんだと言って出たわけだしそのうち出演する機会はあるさ」

 

「何この銀幕出演者の余裕はよお、おい?」

 

志貴のぼやきに式は経験者として助言する。

だがどう見ても出番がある恵まれた役者の類の発言でアヴェンジャーが突っ込む。

 

「で、そこの全身刺繍のウェイターは雑談ばかりでいつまで客をいつまで待たせるつもりだ?」

 

再度ジト眼でアヴェンジャーを見る式。

忘れてしまっていたが、この場ではアヴェンジャーは喫茶店「アーネンエルベ」の店員である。

 

すっかり客に奉仕する義務を忘れ、雑談に興じてしまっていたけど。

なお式の手には空になったお冷を持っており、どうやらお冷もほしいようだ。

 

「ぎゃはは、そうだったな。

 オレとしたことがすっかり忘れていたぜ、出来ちゃった婚のお・きゃ・く・さ・ま」

 

「知っているか?妊婦は感情が乱れ易いってことを。

 ――――――なあ、こいつを17分割にしてもいいか?」

 

「抑えて!両儀さん抑えて!芸風、これは彼の芸風だから!」

 

煽るスタイルのアヴェンジャーに苛立ちが抑えられない式は懐のナイフを手にする。

そして最後の良心として妊婦による殺人事件を止めるべく志貴が必死に思い留まるように説得する。

 

だが、式は本気らしく眼を青く光らせる。

重心も前のめりになり、次の瞬間には切りかかって来そうである。

ここは俺が全力で止める必要があるかもな、そう志貴が達観した刹那救いの主は外から来た。

 

「店員さーん、ケーキとかある?」

 

ドアの鈴を鳴らし、愛らしい少女の声が店内に響く。

流石に人前で流血沙汰はまずい事を自覚していた式はその声でナイフを仕舞う。

来客が幼い少女であることを確認したからなおさらである。

 

「……銀髪の少女か、いや2人揃って普通の人間じゃないと来たか。

 おまけに妙な存在が一緒にいるし、いよいよアーネンエルベが魔窟じみてきたな」

 

が、唯でさえ目立つ銀髪の妙に整った顔をした肌黒の少女。

同じく黒髪の少女の正体を一発で看破し、意味人外の類であることを察した式が眉を顰める。

ついでに、愉悦製造機の人工天然精霊の存在も式は看破した。

 

そして式の呟きは少女たちに聞こえたらしい。

現に黒髪の少女はびくり、と肩を震わせる。

黒い肌をした銀髪の少女は意味ありげに式に視線を寄越し言う。

 

「あら、悪魔に人の皮を被った殺人貴、それに空の入れ物。何だかここは妙に賑やかね」

「へぇ、歳の割には言うじゃないか――――コピーの割には」

 

嫌な緊張感が漂う。

俺は喫茶店でのんびりするはずだったが、どうしてこうなった?

志貴は嘆くが、再度救いの主は外からやって来た。

 

「待ちなさいよークロエ!ってお兄ちゃん!?じゃなくて誰なのよ!」

 

さらに遅れて店に入ってきた銀髪の少女、イリヤがアヴェンジャーを指差して叫ぶ。

騒がしい奴が来たな、と面倒臭そうに見る式に本格的に接客をしなければいけない事にやれやれとアヴェンジャーは頭を振る。

 

そして、志貴。

遠野志貴はまたカオスが深まることを予感した。

 

 

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