もうひとりの専用機持ちの日記   作:Maruwell

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○月△日

 

ひなねぇに日記を見られた…

私が出かけている間に勝手に部屋に入って、探し当てたらしい。

というかなんで家にいるのさ、学校始まったでしょうに。

普段は週末に帰ってこないのに、今回に限って帰ってくるとは何事か…

 

しかも部屋に勝手に入った理由を聞いたら、長く帰ってきてなかったから家の中は久しぶりだったし、ひなねぇと私の部屋が隣だから、間違って入った。その時に偶然暇つぶしの本を借りようと思っていたところだったから本棚探してたら、ほかの本を取るときに偶然コレが落ちてきて、それで偶然開いたページが日記が書いてあるところだった、だと。

どれだけ偶然が重なったというのか。

そもそもこれは引き出しの中にしまってあったからそんな偶然起こるわけないだろ…

それより何より先週まで家にいたのに長く帰ってなかったも何もないし、今更部屋を間違えるわけがない。

 

それからコレが何か聞かれたから日記だと答えたら、どう読んでも感想文的な何か。1万歩くらい譲ってもレポートっぽい何か。普通日記なら書き終わりに以上とか書かない。日記って言いたいならせめてその日に起こったことを書け、と言われてしまった。あと無駄に長いとも。

別にいいじゃないかと思ったが、また見られて同じことでいじられるのは癪なので、言われた通りにしようと思う。

いじられるといえば、「芳乃ちゃんのことホント好きね」「私たちのこともかぁ」という感想とニヤニヤ顔も頂いてしまった。

すごく恥ずかしい…

日記の隠し場所を変えようと思う。

 

 

 

 

 

○月□日

 

受験する公立校だが、IS学園にしようと思う。

今日その話をしたら、よっちゃんが誘ってくれた。

ただ先生やよっちゃん以外の友達、家族からは、それは無謀すぎる、せめて希望あるところにしろと言われた。分かってはいるが、みんなから言われるとちょっとヘコむ…

よっちゃんが、私が教えてあげるから大丈夫だよと励ましてくれた。

 

さすがは心友だ。私の味方はよっちゃんしかいない。

まぁそれでよっちゃんが受からなかったら大変なことになるので、もちろんできる限り努力するつもりではいる。

さてそうと決まったら勉強開始だ。時間は1年も無いがやれるだけやろう。

 

 

 

 

 

○月▽日

 

IS学園を受験することに決めたので、ISの適正診断を受けてきた。

これが低すぎたら受けても意味がないので、早めに行きなさいと言われたから今日行ってきた。もちろんよっちゃんと一緒にだ。

我が中学からは、私とよっちゃん以外は誰も受験しないらしい。というか普通は誰も受けないみたいだ。そこまで偏差値の高い学校じゃないんだと。つまりIS学園を受験すると言って問題ないだろう、と言われたよっちゃんは別格だということだ。改めて私の心友はすごい。

私は無謀だが…

それでも私が落ちたら、よっちゃんも私立の方に一緒に行くらしい。嬉しいがよっちゃんの未来がかかっているわけだし、そこは上の学校を選んで欲しいんだけど、よっちゃん曰く

「柚紀ちゃんがいない学校に行ったら、それこそ私に未来なんてありませんから」

らしい。

よっちゃんにとって私って一体なんなのだろうか…

よっちゃんの未来を変えられるほど何かが私にできるとは思えないんだけどな。

ちなみに私がC判定、よっちゃんはA判定だった。やっぱりよっちゃんは凄かった。

 

 

 

 

 

×月○日

 

予想してた以上に私が勉強を頑張っているからと、母さんがプレゼントをくれた。

ミサンガ、だと思う。

形はミサンガなのだが、紐で編まれてる他に何故か金属みたいなのが付いてる。

これって切れたら願い事が叶うとかそんな類いのだったはずなんだけど、これじゃあ切れなくないか?

まぁさすがに受験のことなんだから、願い事は叶わない、なんて暗示の品ではないはずだから気にしなくていいだろう。

手首だと面接の時に邪魔になるので足首に付けることにした。これなら隠せるし。

どこで買ったのか聞いてみたけど、特別製だから売ってないとのこと。

残念、よっちゃんにプレゼントしてあげたかった…

 

 

 

 

 

×月×日

 

よくよく考えたら切れるっていうのは受験として考えると良くないと気づいた。

学校との縁が切れるとか、そんな感じで。

よっちゃんにあげなくてよかった…

ということは、あの金属は切れないようにあえて付けてあるのかもしれないな。

なんだ、母さんたちもなかなか気が利くじゃないか。

受験専用みたいな感じだから、特別製なのかな?

とにかくさらにやる気が出てきた気がする。受験まであと半年もない頑張ろう。

 

 

 

 

 

△月○日

 

いよいよ来週が受験だ。

もうひなねぇたちが通ってる私立高には合格したのだから、別にIS学園に受かる必要はないのだが、ここまで頑張ってきたのだし、せっかくだから受かりたい。

よっちゃんにさんざんお世話になってしまったしね。

途中で心配になってよっちゃんの方は大丈夫か聞いてみたら、

「柚紀、私を誰だと思っているか?」

と不敵な笑みを浮かべながら言われた。なんか無駄にかっこよかった。

あと初めて名前を呼び捨てにされてちょっと感動した。何度言っても「さん」か「ちゃん」付けのままだったからね。

というわけで、よっちゃんの方は心配無し。あとは私が受かるだけ。

さぁラストスパート頑張ろう!

 

 

がんばれ、我が妹よ。ここまで協力してもらって芳乃ちゃんにしっかりと恩返しできなかったら、それなりに楽しませてもらうから、覚えておいてね?

                                  陽奈乃

 

 

 

 

 

△月×日

 

なぜだ…

なぜひなねぇに日記の隠し場所がバレている!?

前に見つかって場所を変えたから、それ以降はなんにも言ってこないし、読まれていないと思っていたのに…

さっき日記を書こうと開くまで気付かなかった。

というか何を楽しむというのか…これまで以上のいじりとか、泣くぞ。

ちょうど家にいるので、文句とお礼を言いにひなねぇの部屋に行ったら、どこの制服かわからないセーラー服、首にはマフラーを巻いて壁に寄りかかっていた。

そのセーラー服は半袖で、お腹の部分が少し露出していておへそが見えていた。あとスカートには何箇所か切り込みが入ってた。

そんな奇妙な格好に唖然として、扉を開いて入ったままの格好で固まっていたら、「あさはかなり…」と言われた。というか、それ以降何を言ってもそれしか言わなかった。

もうこの姉は何がしたいのかわからない。

とにかく隠し場所を変えておこう。次こそ見つかるわけにはいかない。

 

 

あさはかなり…

妹よ、お前では私に勝てんよ。

あ、それと今日のコスプレのこと、芳乃ちゃんにお礼言っておいて。いいもの見れたよ、今度改めてお礼するねって。

                                 陽奈乃

 

 

 

 

 

△月△日

 

いつだ…

一体いつ書いたあの姉はっ!!?

今朝は私が起きる前に学校に向かったはずだから、ものすごい早起きしたか、私が寝たあとに忍び込んだか…

もうやだ、明日鍵付きの日記帳買ってくる。それなら安心できる、はず…

ていうかあれの犯人はよっちゃんだったのか…

確かに私の家族とも仲がいいけど、いつの間にそんなことをしていたのか。

本当に余裕だな、よっちゃん。私にはそんな余裕ないんだけどな。

 

 

 

 

 

△月□日

 

いよいよ明日だ。

よっちゃんはもちろん、なんだかんだ言いつつ考えてみれば緊張をほぐしてくれてたであろうひなねぇ、聞けばわかりやすく教えてくれたひなにぃ、それからちょこちょこやる気が出るようなご褒美をくれた両親、それと頑張っているからといろいろしてくれた先生や友達。

最初はよっちゃん以外には無謀と言われたけど、今は自信を持って行って来いと言ってもらえるようになったのだ、私は。

頑張って合格して、みんなにありがとうって言おう。さぁ早めに寝て明日に備えようか。

 

 

受かったら、好きなものを買ってやる。頑張ってきなさい。            父

 

正直驚いてるよ、よくここまで頑張れたじゃないか、その根性、さすがは私の娘ってことね!悔いだけは残さないようにしなさい。あと前にあげたアレ忘れるんじゃないわよ?  母

 

芳乃ちゃんも一緒なんでしょ?だったら何も心配いらないよ。頑張れ!       姉

 

努力は裏切りませんよ、決してね?私自身の体験談ですから柚紀も大丈夫です。確認だけは忘れないように。                                兄

 

 

 

 

 

△月▽日

 

終わった…まだ実技試験残ってるけど。

結構手応えはあったと思う。

よっちゃんは本番でも余裕そうだった。朝会った時も私をずっと励ましてくれていたし、会場でも参考書を開くわけでもなく、目をつぶって瞑想(?)してた。

なんかこう、見せつけられたね。私以外の受験生も化物を見るような目でよっちゃんのことを見てた人が結構いたと思う。

とはいえそんなこと今更だし、それでよっちゃんのことを嫌いになるわけもないけど。さんざん教えてもらっておいて嫌うとか、それやったら多分、母さんとひなねぇからの制裁で私が死ぬ。

まぁそんなありえないことはいいとして、明日の実技も全力で挑もう。動かし方とか知らないけど、それは代表候補生以外みんな同じなんだから。

それとなんか男性操縦者が見つかったみたいなことをみんな話してたけど、なんのこと?ちょっと余裕がなさすぎて、ニュースとか全然見てないんだけど…

よっちゃんもひなねぇも気にする必要はないって言ってたし、試験終わってから調べてみよう。

 

さてとりあえず書かなきゃいけないよなーと思ってるから書く。

だからいつ探し出した!?

昨日は早めに寝たけども!それでもあそこを見つけ出すとかおかしいでしょう!?

しかも家族全員で読んでるとか、なにそれ、なんて公開処刑?

応援ありがとうございました!それともう読まないでください!というか鍵まで見つけるとかどうかしてると思うよ!?私のプライベートを返してくださいお願いします!

 

 

 

 

 

△月▲日

 

柚紀ちゃん、試験お疲れ様でした。いきなり専用機を出した時はびっくりしました。それにさすがの運動神経ですね、初めてだとは思えない動きでしたよ?もし一緒に合格できたら操縦教えてくださいね?

                               『あなたの』芳乃

 

 

 

………???

おかしい、いつ書くタイミングがあったというのか。

今日はほとんどずっと一緒にいたはずだぞ。

というか誰だ、会場に私の日記帳持ってきたのは。

いやそもそもなぜ入れるし、一般人って試験終わってからなら入れたっけ?そんなことなかったと思うんだけどなぁ。

そしてよっちゃんよ。なんだ「あなたの」って。しかも何か強調してあるし…

なんだ、何かがいろいろおかしい気がする…

主に私のプライベートとか家族とか、あとよっちゃんとか。

ま、まぁいいか、うん。いや良くないけど、考えても何かしたとしても、私の浅知恵ではどれもなんともできる気がしない。

 

試験のことを書くまでに時間がかかったぞ…

今日の実技試験はとりあえず驚いた。

私も、よっちゃんも、試験官の先生も。というか1人を除いて、その場にいた全員が驚いた。

そりゃそうだよね。一切情報のない専用機がいきなり登場とか、大騒ぎになるわ。

頭の中真っ白になって、その場に立ち尽くしていたら1人の先生が近づいてきて、既に連絡は入っているから問題ないと言って場を収めてくれた。

あとその人、ブリュンヒルデ様だった。写真で見たまんまの顔で、違う意味でもう一回頭の中が真っ白になった。

そんなこんながあって、ちょっと落ち着こうってことで試験順を最後に回されちゃったけど、そのおかげでなんとか動けるまでには落ち着けた。

で、試験は結構粘ったほうだと思う。まぁ一発も攻撃当てられないまま負けちゃったけどね。

それでも最長の試合時間だって、試験官の先生が教えてくれた。

ちなみによっちゃんは、時間は短かったけど、1発入れてた。もう驚かない。

 

あとは待つだけだ。受かってたらいいなぁ。

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