東方天風譚「裏」風神録編 ~Wind of the guidance and true faith~   作:新影正虎

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第三章 『嘆きと悲しみの幽霊妖精』の決意
異端の片鱗~守護天使登場?


「‥‥さてと‥なんか余計な邪魔が入ったけど、先を急ぎましょうか」

 勝負ありとみなした嵐は、早苗にそう言うと爆発に背を向け、その場を去ろうとした‥が。

‥‥主(あるじ)様!あれを!

 心中に響いたその風の言葉に嵐は振り返る‥と。

「う‥うぅ‥効いたぁ~」

 そううめきながら、あの幽霊妖精が爆発の中からふらふらと現れる。

「うそ‥あの弾幕に耐えるなんて!」

 驚愕しながらも相手からの反撃に備えるべく、油断なく大幣を構える早苗。一方の嵐は‥

「‥‥‥手加減したつもりはないけど、まさか一時消滅もしないとはね‥‥」

 そう呟く嵐に、一体化したままの風が彼女の内心に語りかけてくる。

‥‥いえ、主様。先程わたくしはあの妖精の周囲に妙な力を感じました‥

‥‥妙な力?‥‥

‥‥はい、それがあの妖精を守り、ダメージを和らげたものと思われます‥

‥‥あの妖精にはまだ仲間がいるって事?‥‥

‥‥恐らく‥‥

「‥‥ふぅむ‥‥それも気になるけど‥‥確かあの妖精、悲しみの感情を食べて生きている、とか言っていたわね。妖精は食事を取る必要が無いはずなのに‥‥やはりあの妖精、普通とは違うみたいね」

「?‥‥普通と違うって‥どういう意味ですか?」

「さあね。ただ、食事をする必要があるという事は、より人に近しい存在という事。つまりあの妖精、他の子と違って消耗しすぎると二度と復活できなくなるかもしれないわね‥‥」

 嵐はそう分析しながらも、同時にその様子から相手には戦うだけの意思も力も失われている事も見抜いており、構えを取ろうとはしない。

 そんな時‥‥‥

 

「ま、まってぇ~!」

 まだ緊迫感が残るその場には不釣合いな間延びした声が聞こえてきたので、嵐と早苗は声のした方へと振り向く‥と。

「‥‥エラミーちゃ~ん、大丈夫~?」

 ゆったりとしたローブ風の服装で、背中に小さな翼をつけた少女がふわふわと危なっかしい様子でこちらに向かってくる。それを見た早苗は顔色を変え‥‥

「な‥何ですかあの子!めちゃくちゃかわいいじゃないですか!先輩!」

 と、黄色い歓声を上げ、それまでの緊迫した雰囲気をさらにぶち壊す。

「‥‥そうね」

「特にあの小さな羽をパタパタさせているところなんてかわいすぎます~携帯!携帯~!」

 そう言いながら目を輝かせて懐からカメラ付き携帯電話を取り出そうとする早苗の姿に嵐は深いため息をつくと、

「早苗‥‥それはまた後にしなさい」

「えぇ~」

「まったく‥‥この子は」

 口を尖らせる早苗の様に苦笑しながら嵐は幽霊妖精と新しく現れた有翼少女の様子をじっくりと観察する。

 有翼少女はふわふわと早苗と嵐の間を通り過ぎると、彼女がエラミーと呼んだ幽霊妖精へと近づき、彼女を気遣う。

「だいじょ~ぶ~?」

「‥あ~‥うん‥‥何とかね」

「もぅ~だから言ったのに~きちんとお話をしてから頼んでね、って~」

「‥‥ごめん~、はじめはちゃんと頼もうって思っていたんだけど、ついいつものくせが~」

 どうやらこの二人は知り合いのようだ‥ということは先程、あの幽霊妖精を守った力はこの有翼少女が発したものということだろうか?‥‥などと嵐が考えていると有翼少女が嵐達に気づき、ふわふわと彼女たちのほうへと近寄ってくると‥‥

「‥‥あ、あの~ごめんなさい~エラミーちゃんには悪気は‥‥無かったとは言えないですけど~とにかく‥‥ごめんなさい~」

 そう言うと二人に向かってぺこぺこ頭を下げてくる。

 その健気かつ、微笑ましい様に嵐は警戒を解いて彼女に近寄ると、事のいきさつを聞く事にした。

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