東方天風譚「裏」風神録編 ~Wind of the guidance and true faith~   作:新影正虎

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小さき妖精の大きな決意~交じり合う二つの思い

「‥‥でも‥さっきのあのおねぇちゃんの怒った顔と‥戦って痛い目にあってはっきりわかった!やっぱり‥‥こんな事しちゃいけないんだ!いくら生きるためだからって、誰かを悲しい目に合わせるなんて‥‥‥しちゃいけないことだったんだ!」

 エラミーがそう叫んだ時、更に濁流の勢いが激しくなり、上流から大量の水が、大きな流木を伴い、彼女達を飲み込もうと迫ってくる!

「くっ!うぅぅぅぅぅ!」

 その勢いを増した濁流によって、エラミーは押し切られそうになる!だが:

「ま、負けるもんかぁぁぁぁぁぁぁ!」

 そう叫ぶとエラミーはさらに力を放出し、自分達を飲み込もうと迫る濁流に抗う‥いや、それどころか『押し返そう』としはじめる!

「もう‥‥誰も悲しませたくなんか無い!つらい思いなんてさせたくない!

だから‥だから!あたしはここで力を使い切って消える!あたしがいることで誰かが悲しい思いをするなんて事を‥‥‥‥もう起こさせないために!」

「エ‥エラミーさん!」

「だから早く行って!あたしのことはいいから!もうかまわなくていいから!」

早苗に対し一方的にそう叫ぶとエラミーは‥‥

「うわぁぁぁぁぁ!」

そう絶叫しながら、その小さい体から猛烈な力を発し、激しく迫る濁流の前に立ちはだかり続ける!

「‥‥‥すごい」

 その‥とても力強く‥勇ましく‥‥そして‥ひときわ‥‥‥儚(はかな)げな後ろ姿を早苗は、しばし茫然と眺めていたが‥‥やがて震える手で持っていた大幣をぎゅっと強く握り締めると‥‥

 

「‥‥そんな‥‥そんな事は‥‥絶対にしません!」

 そう叫んだ早苗は再び結界を張り、エラミーの横に立つと、同じように濁流を食い止めようとする。

「ど、どうしてさ!」

「‥‥昔、先輩に言われました。『力』のあるものはもしものとき、『大切な誰か』を救えるよう『力』と『心』を鍛えなければいけない、と!」

「!」

「‥‥‥例え、今あなたを犠牲にして助かっても‥‥きっとわたしはその事をずっと後悔すると思います!‥‥‥どうしてあの時、助けなかったんだろう!‥‥自分にもっと力があれば、あの時逃げなければ、助けられたんじゃないのか!‥‥って!」

その言葉を聞いた瞬間、エラミーが放出している力が一瞬弱まる。だが、早苗の張った結界がそれを補う。だが、その二つの力は互いに干渉し、反発しあっている。

「だから‥だから‥エラミーさん!『一緒に』助かりましょう!‥‥自分さえいなくなればいいなんて、そんな事言わないでください!きっかけはどうあれ、せっかく知り合えたのにもうお別れなんて寂しすぎます!‥悲しすぎます!」

「‥‥お姉ちゃん」

「‥‥わたしの名前は『さなえ』、『こちやさなえ』です。

‥‥いいですか、わたしがあなたの放出する力に合わせます。二人の力を合わせれば、あなたがそんな無茶をしなくてもこの状況をしのげる筈です」

「そ、そんな事‥出来るの?」

「‥‥昔、先輩がわたしに同じことをしました‥あの時と同じように、今度はわたしが‥」

 そう言うと早苗は目を閉じ、結界に意識を集中する。すると、それまで干渉しあっていたエラミーの放出している無秩序な力と早苗の張った結界が次第に混じりあい、一つの強固な結界へと変化していく。

 そして‥そのとき早苗は感じた。エラミーの力に宿る無数の思念と、彼女自身の心を‥

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