東方天風譚「裏」風神録編 ~Wind of the guidance and true faith~   作:新影正虎

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示された道~新たなる絆

「‥‥そこまではわかりませんが、そうかもしれません。少なくても先程エラミー様はそれを強く望まれたのは確か。それに対して我ら‥特に東風谷様とアスメル様の強い悲しみの感情を糧に力を取り戻されたエラミー様自身が応えたとしてもおかしくはありません」

「よかったね~エラミーちゃん~!」

「‥‥う、うん‥‥そうだね」

 まだ、自分自身の変化に対する実感が無いのか、我が事のように喜ぶアスメルとは反対に戸惑い気味なエラミー。

 そんなエラミーに嵐は自分の思い付きを話す。

「‥‥まあ、そうでなくてもわざわざ悲しみの感情を思い起こさせる必要は無いと思うけどね」

「どうしてさ?」

「‥‥墓場とか賭博場、囲碁や将棋の会所に行けばいいのよ。墓場は死者の霊を悼むために行く場所だし、勝ち負けのある勝負の世界なら負けた側は必ず悔しい思いをし、悲しむはず‥‥まあ、後は超ネガティブ思考の人間の近くにでもいれば大丈夫なんじゃない?」

「超ネガティブ思考?」

 嵐の言葉に早苗は首をかしげる。

「‥‥‥あんたとは真逆って事よ、早苗。いつも『わたしってば不幸です~』とか言って物事を悲観的にしか考えられないタイプ」

「そ、そんな人いるんですか~?」

「さあ?幻想郷にいるかどうかは知らないけど、あたしの知り合いのそのまた知り合いにそういうヒトが何人かいたらしい‥‥ああ、そういえば神様でなら心当たりあるわね。秋が終わり、冬が近づくとやたら悲観的になる神様が。

‥‥それにまあ、幻想郷にだってお盆になれば墓参りをするヒトが多くなるだろうし、そのときにたっぷりと溜め込んでおけばそれからの一年を生きる分には心配無いんじゃない?」

「先輩~エラミーさんは冬眠前の熊じゃないんですよ~」

 

 その嵐と早苗のやり取りを聞いていたエラミーはしばし茫然としていたが、やがて‥‥

「そうか‥そうなんだ‥ははははっ!おねぇちゃんすごいや!あたし、そんな事一度も考えた事なかったよ!」

 そう叫びながら宙に浮くと、嬉しそうに辺りを飛び回る。

「エラミーちゃん‥‥」

 エラミーはしばらくの間そうして飛び回っていたが、やがて嵐の元に舞い降りると、

「あたし、もう誰にも悲しい思いをさせず生きられるんだね!生きていいんだね!」

 と、瞳を輝かせて聞いてくる。そんな彼女に嵐は頬をぽりぽり掻き、

「‥‥多分ね、でもこれはただの思いつきよ、本当にできるかどうかは判らないわ」

 と、いささか言い訳めいたことを言うが、エラミーは全く気にする様子を見せず、

「うん!それでもいい!あたしやってみるよ!」

 と、嬉しそうにうなずく‥が、

「‥‥あ、そうだ‥‥」

 何かを思い出したか、エラミーは突然もじもじし始めると‥‥

「‥‥おねぇちゃん達‥‥さっきはごめんなさい」

 そう、ぺこりと頭を下げる。

「?‥‥ああ、出会った時の事ね。あたしも早苗も気にしてないわ‥‥でしょ?」

 エラミーが言わんとしていることを察した嵐がそう言うと早苗も‥

「はい!そのとおりです!何しろわたしとエラミーさんは共に困難に立ち向かい、助け合って切り抜けた、いわば『戦友』も同然!ですからその前の事はもう何とも思っていません!安心してください!」

 なぜかびしっと、あさっての方向を指差し、無駄に元気よくそう答える。

 そんな熱く語る彼女の様を見た嵐は‥‥

「‥‥この子はまた、そんなどこかの正義オタクみたいな事を‥‥」

 そう言ってあきれつつも口元をほころばせる。そんな彼女に対し、その顔を見上げながらエラミーが不安げに聞いてくる。

「‥‥本当に?」

「‥‥本当よ。あの程度のことにいちいち本気で怒っていたら、あたしはとっくの昔に幻想郷を『何度も』壊滅させているわ。だから安心しなさい」

 相当さっきの弾幕戦が堪えたのか、おどおどした様子のエラミーにそう冗談めかして答える嵐。それを聞いたエラミーは‥‥

「そっかぁ‥よかったぁ~」

そう言うとようやく彼女の表情がにこやかになる。そんなエラミーの様子を見た嵐は、また別のことを思いつく。

「‥‥‥ああそうそう、その代わりと言っては何だけど、もし何か悲しい事が起きそうだって感じたらこの子に伝えて欲しいのよ」

「‥‥さなえに?」

「そう‥妖怪の山に新しく神社ができたんだけど、この子はあそこの巫女なのよ」

「巫女?それって博麗神社の巫女と同じなの?」

「‥‥‥まあ、だいたいね」

 なぜか珍しく歯切れが悪い嵐だが、エラミーは気にする事無くうなずく。

「うん、わかった。でもどうして?」

「だってあなた、悲しみを糧にして生きてきたんでしょ?だったらそういう感情を遠くからでも感じ取る事ができるんじゃない?」

「‥‥え?う~ん‥そうだね。そうかもしれない」

「あたしとしては、あなたが持つそうした能力を人助けや異変の兆候をいち早く発見するのに活用したいのよ。協力できるかしら」

「わかった!‥‥う~ん、ほんとはよくわかんないんけど、誰かが悲しい目とか辛い目にあいそうだって感じたら山の神社に行って教えればいいんだね」

「‥‥‥まあ、そうとってもらって構わないわ」

 少々不安はあるものの、エラミーなりに自分の提案を理解したと判断した嵐がそう頷くとエラミーは‥‥

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