東方天風譚「裏」風神録編 ~Wind of the guidance and true faith~ 作:新影正虎
「‥‥‥せんぱい‥‥‥」
一方の早苗は、放心状態のまま、しかし、それでも未練がましく嵐を見ながらそこを離れる。
そんな彼女によりそうエラミーは、心配そうに早苗の顔を見ていたが、やがて‥‥何かを決意したのか、真剣な表情で嵐に声をかける。
「あ、あのさ‥‥おねぇちゃん!」
「‥‥何?」
「あたし‥‥わかるよ。ここにいるみんながおねぇちゃんの事で悲しんでる‥‥でも‥‥あたし‥‥おねぇちゃんからはあんまり悲しみを感じないんだ‥だから‥だからさ‥帰って‥来るんだよね‥‥また会えるんだよね『絶対』に!」
目に涙を溜めたまま、まっすぐに自分を見つめるエラミーの、そのひたむきさに対して嵐は‥‥
「‥‥もちろんよ」
かぶっていた帽子を目深にし、そう答えるだけだった。それを見たエラミーは何かを感じ取ったのか‥‥何かを取り繕うように言葉を続ける。
「‥あ!でも‥えっと‥えっと‥あのさ!今度弾幕勝負の上手いやり方を教えて欲しいんだ!だから‥だからさ‥『できるだけ早く』帰って来てね!」
「‥そうね、あんたはまだスペルカードも持ってないみたいだし‥教えがいありそうね」
「うん!」
言いながら顔を上げて自分を見る嵐に対し、笑顔で頷くエラミー。だが、その目にはまだじんわりと涙が浮かんでいる。そして‥その隣にいるアスメルもまた‥‥
「アスメル‥‥‥これからもエラミーと一緒に不幸や悲しみを減らしてあげて」
「‥‥はい~ですが~おねぇさんが~この世界にいたほうが~そういうものは~もっと~減ると思うのです~ですから~それまでは~たとえおねぇさんの事を忘れててしまっても~がんばるようにしますね~だから‥‥だから~」
相変わらずおっとりとした口調ながらそう言うアスメル。だが‥彼女の口からはもう、言葉が出てこない‥それでも必死に何かを言おうとしているアスメルに対して嵐は‥‥
「‥‥分かってる、分かっているわ‥‥‥だから、もう無理して言わなくていいのよ」
そう優しく制する。それに対しアスメルは‥‥
「は‥‥はい~」
涙を浮かべながらも何とか笑顔を作り、頷く。
「‥‥ちょっと待ちなさい。あんた、何妖精や天使相手に盛り上がってるのよ」
アスメルをなだめている嵐に時雨子が食ってかかる。
「‥‥あんたは知ってるはずよ!神って言うのはね‥‥された事は返さないと気がすまない事を!あたしはあんたにされた事、まだぜんぜん返せていない!それなのにあたし達に自分の事を忘れさせてどこかに行くって言うの!そんな勝手‥‥あたしは‥‥絶対に赦さない!‥‥だから必ず借りを返させなさい!‥‥いいわね!」
怒りの眼差しで嵐をにらむ時雨子。しかし、その目端には光るものが‥‥‥