長門有希(偽)の浪漫紀行〜ソードアート・オンライン キリトとひみつの道具使い〜 (改訂版)   作:どらやき

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お待たせしました。
やっと出来たので投稿します。

あとスミマセン。ひみつ道具はまだでないです。



いざ、アインクラッドへ!

 二○二二年 十一月六日 午前十一時

 

 SAO正式サービス開始日

 

 風邪を完治し、桐ケ谷家にお邪魔した私は、桐ケ谷一家(和人、直葉ちゃん、小母さん)と桃印鉄道をしていた。

 

「……おー。今度はラーメン屋が大盛況。お金がっぽがっぽ」

 

「よっしゃあ!一番乗りだ!」

 

「……またビリだよ。…え?……うええぇぇぇ!?また貴方ですか貧乏王様!?もうやめてぇ!私の所持金はもうマイナスよ!?」

 

「あら?また直葉なのね」

 

 

 貧乏神に愛された直葉ちゃんが意気消沈しながらも、トップを独走中の和人に貧乏神を擦り付けようと機関車から新幹線に進化してストーキングを開始する。

 

 ちなみに私と小母さんはゆるりと自分のペースで稼いで、対貧乏神用決戦兵器を買い漁ったり、カードを集めたりと趣味に走っている。

 

 おや?闇落ちした直葉ちゃんが黒いアレ(和人)と僅差で追いかけっこしながらこっちに来た。ならば、私は魔法カード【ミサイルカード】を発動。このカードは相手一人を1ターン行動不能にし、修理代を発生させる。目標は黒いK。たーまやー。

 

「あー!?ちょ、おま、テメ、何てことしやがる!?」

 

「さよなら和人。貴方のことは直ぐに忘れる」

 

「有希!謀ったな有希!」

 

「オニイチャーン?ツカマエタヨー?イッショニオチヨウ?」

 

 おお、怖い怖い。くわばらくわばら。

 

「私のターン!私は速攻魔法【ミサイルカード】を発動。目標は有希ちゃん。」

 

 小母さん!?ぐふぅ……。ま、まだだ。まだ終わらんよ!

 

 

 

 

 SAOの正式サービス開始は午後一時。

 

 現時刻 午後十二時五十五分

 

 熱中し過ぎて、時間をわすれてたよ。昼食はカップ麺になりました。

 

「チクショウ!流石に99年は無理だった!」

 

「……そもそも何故桃鉄を始めたのか」

 

「そこに桃鉄があるからだろ」

 

「……原因は私達か」

 

「悲しいかな。ゲーマーの宿命だな」

 

 目を擦りながらナーブギアを被り、ベットに寝る和人に返事をする。

 

 ちなみに、結果は途中で中断したが小母さんが暫定一位になりました。あの後、和人と直葉ちゃんの貧乏神の擦りつけ合いに巻き込まれて資産が吹き飛び 、気がつくと小母さんがちゃっかり一位になっていた。流石は元ゲーマー。和人のお母さん。この親にしてこの子あり。

 

「アバター名は何に?」

 

「俺はあっちじゃ《キリト》ってアバターネームだからよろしくな」

 

「了解。私は―――《ユキえもん》で」

 

 

  サービス開始まであと十秒

 

「向こうでまた、《キリト》」

 

「おう、《ユキえもん》」

 

 ––––––––3

 

 –––––2

 

 ––1

 

 この時、約九千八百人ものプレイヤーが一斉に魔法の言葉を口にした。

 

 

 –––––『『『リンク・スタート!!』』』–––––

 

 

 

 私が魔法の言葉を口にした瞬間、体の感覚が喪失し、景色が一変した。真っ白な空間に色とりどりの線が走り後方へと流れていき、設定画面が現れる。分身となるアバターとアバター名を入力し全ての設定を終わらせれば、また景色が変わり私はいつの間にか地面に立っていた。

 

 周囲は中世のヨーロッパに似た街並みで私はその中の大きな広場の中にいるらしい。

 

 服装が変わっていて初期装備であろう厚手の革製の防具にショートソードを背に背負っていた。眼鏡は無かった。

 

 石畳を踏み締めれば、確かな感触が、頬を撫でる風、空気の匂いも味も本物と余り違わない……と思う。

 

 これがソードアート・オンラインか。これは凄い。この世界《ゲーム》だけ二十二世紀みたいだ。

 

 いや、二十一・五世紀かな?あっちは肉体丸ごとだし。

 

 早速、街の案内板を見て防具屋に行き眼鏡を購入(ファッションアイテムなのか 結構高かった)して、街の外《フィールド》に出た。

 

 フィールドは広大な草原で早速狩りを始め――ようとしたが、よく考えると《ソードスキル》とやらの使い方や戦い方を知らなかった。

 

 ウウム、浮かれ過ぎていたようだ。

 

 しかし意気揚々と街の外に出た手前また直ぐに街に戻るのは何処か情けなく感じる為、チュートリアルはないのかと右手で《メインメニュー・ウインドウ》を開く。

 

 戦い方や基本知識は何処かにいるであろうキリトに聞けば教えてくれそうだが、事前に待ち合わせすればよいものをし忘れてしまい、探そうにもフィールドや街は非常に広く、プレイヤーも多いため闇雲に探しても時間を無駄に浪費するだけだろう。

 

 ウインドウに記載された情報を脳内にインプットしながら戦闘項目の欄を調べていると

 

 –––––思考誘導型自動攻撃機能?

 

 システムアシストによる攻撃補助……。なるほど初心者救済措置か。

 

 これは良いものを見つけたと脳内インプットを中断し、すぐさま救済措置を実感してみる為、離れた所にいた青いイノシシに剣で攻撃してみる。

 

 てやー、と打ち込んだ普通の斬撃は一割ほどしか猪のHPバーを削れず逆に、ぷぎーっ!とイノシシの怒りを買って反撃とばかりにこちらに突進して来た。

 

 うわっ!?イノシシちょー怖い!

 

 突進を転がりながら避け、自動攻撃の発動キーを脳内で入れる。

 

 スイッチ、オン。てっ——うおおっ!?

 

 体が勝手に動き出し、突進から反転してこちらに頭を向けたイノシシに対して地を滑るように駆け、右に斬り抜けながら背後に回り、右下から斜め上に切り上げ、片手剣ソードスキル《スラント》を縦一文字に走らさせる。

 

 一瞬の間の後、イノシシの体はガラスのように砕け散った。

 

 ……システムアシストってすげー。体が勝手に動いたのは驚いたが、何より凄いのは理想のままに体が動くことである。

 

 素人がいきなり剣を振ってへっぴり腰になるところが、達人もかくやというと動きが素人でも再現出来る。

 

 しかし、同時に思う。少しリアル過ぎやしないかと。感覚的にも現実的に差異が殆ど感じられない。まるで意識がゲームの中に取り込まれた様に思う。それに漠然とだが不安感も感じる。リアル感を追求しすぎだろ開発陣営。

 

 だが、それがイイ!!

 

 それから周辺の雑魚モンスター達を眼に着いた端から切り捨てまくり、ヒャッハーをしていると、遠目に見覚えのある顔を見た気がしたので私はそちらに向かった。

 

「……やっぱりかず––––キリトだ。………キリトだよね?」

 

 以前に現実世界の和人の後ろからパソコンを覗き見たときに見た、和人とは似ているようでやっぱり似ていないイケメンアバターがそこにいた。あと変なバンダナのせいでどこかアンバランスな赤髪のイケメンがもう一人。

 

「っ!?お前有希か!?」

 

 ………おい。

 

「……本名言うのはマナー違反」

 

「あっ!ゴメン…。……じゃなくて!何でリアルの顔のままなんだよ!?」

 

 ヘイッ、キリト君。そろそろ、他人がいるのに個人情報暴露するのはやめようか。それにまんまではないぞ。髪は黒いし、泣きホクロがあるから。

 

「お、おい、キリト。この別嬪さんは誰だよ。………まさか彼女か!?この裏切り者!!」

 

「「違う」」

 

 失敬な。髪の毛抜くぞ。

 

「……妻です」「夫だ」

 

「ぬあぁぁぁにぃぃぃぃい!?」

 

「「嘘です」」

 

 いえーい、引っ掛かった、引っ掛かった、とキリトと手を叩き合う。

 

 ついやってしまったが、弄ると面白そうだなこの残念なイケメン。おいそこ、ナニコイツラとか言うな。

 

「…で、残念なイケメンを装備した変なバンダナは誰、和人」

 

「おい、本名言うなよ!たくっ。……この変なバンダナはクライン。いきなり俺に、レクチャーをしてくれ、って頼み込んできたんだ。バンダナの癖に」

 

「俺はバンダナが本体じゃねえよ!初対面で言う言葉じゃないからな!?キリトも乗るなよ!」

 

  おお、いいツッコミだ。

 

「……ナイスツッコミ。一目見て貴方はそういう反応をしてくれると思っていた。貴方みたいな人結構好き」

 

「すっ……好き!?……改めまして、クラインといいます。二十二歳独身です」

 

 ……この人ホm––––ゲフンゲフン、薔薇?」

 

「ちげぇよ!?」

 

「口に出てるし誤魔化せてないぞ、ユキえもん」

 

 おっといけない。

 

「改めて、キリトの友人のユキえもんです。こんな姿だけど中身は男。……よろしくクライン」

 

「おう、よろしく。………え、男?……マジで?」

 

「マジ」

 

 軽い印象がするが悪い奴ではなさそうだ。むしろ、弄り倒したくなるな。ウェヒヒ。

 

 

 

 自己紹介の後、三人で周辺の雑魚を狩りながら和気あいあいとしているうちに、和人と私のレベルが三、クラインがレベル二に上がった。

 

 キリトは私の剣筋(自動)をみて感嘆したり、悔しがっていたが何だったのだろうか。

 

 その中で、クラインが狼型モンスターの群れを引っ掛けたり、逃げ回っているうちに他のモンスターも引っ掛けたり、体力回復アイテムをあまり持っていなかった為、三人揃って死にかけたのはちょっとした余談である。

 

 

 赤みをおび始めた夕陽の下で三人仲良く草原で寝そべる。

 

「はぁ~。しっかしよ……未だにここが《ゲームの中》だなんて信じられねえな」

 

「別に魂がゲームの中に吸い込まれたわけじゃないぜ」

 

「……でも意識はゲームの中だから、ここがもう一つの現実世界ともいえる……と思う」

 

「確かにな!もうここまでくると現実と変わんねえや。……マジ、この時代に生きててよかったわー」

 

「それは同感だな」

 

 そのままボーとしていると、キュルル〜、と私のお腹が鳴る。

 

 ……お腹空いたな。まあカップ麺しか食べていないから当然か。

 

「……いい時間になってきたけどこれからどうする?」

 

「……うおっ、そろそろ落ちてメシ食わねぇとな。ピザの宅配の五時半に指定してっからよ」

 

「準備いいなあ」

 

 よっこらせとクラインが起き上がる。

 

「っとそうだ、二人共フレンド登録しようぜ。俺はメシ食った後に他のゲームで遊んでたダチ達とこっちで合流するつもりなんだが、後で一緒に遊ばねえか?」

 

 私はそれでも構わないのだが、チラリとかz––キリトを見ると、少し困り気な顔をしていた。

 

 人見知りだからなぁキリトは。……私も人のことは言えないが。

 

「あ、無理にとは言わねえよ。また紹介する機会があるだろうしな」

 

「……悪いな、ありがとう」

 

 雰囲気を察したのかすぐに訂正するクライン。クラインマジ兄貴。

 

「……うちのキリトは人見知りでして。申し訳ない」

 

「なぁユキ、ブーメランって言葉知ってるか?」

 

 全体攻撃武器のことだろう?あ、冷蔵庫のプリンご馳走様。ユニークな味だった。

 

「俺のプリンがぁ!?お前絶対許さねぇ!剣を抜けぇ!決闘【デュエル】だ!」

 

「……望むところだ。来い、涙の貯蔵は十分か?」

 

「はは、仲良いな。じゃあな、二人共。俺は先に落ちるぜ。」

 

「おう、またなクライン」

 

「……んじゃ」

 

 ヘッヘッヘ、我が経験値してくれるわ、か—キリトォ!

 

「行くぞぉ!ユキィィィ!」

 

「来い」

 

『決闘【デュエル】!!』

 

 ……ガトチュ、エロスタイム!!

 

 なんの!フタエノキワミアー!!

 

「あれ?ログアウトボタンがねえぞ」

 

 ……………。

 

 …………。

 

 ……。

 

「「えっ?」」

 

 

 

 クラインの爆弾発言でにより急遽決闘を中止して、三人でログアウト方法を模索する。

 

「……で先駆者(βテスター)であるキリトはログアウトボタンを押す以外にログアウト方法を知らないと?」

 

「……ああ、マニュアルにもそのことは載っていなかったし、βテストのときにもそれ以外の方法は聞いたことも無い」

 

 キリトがチラリと横を見ると、音声入力を試そうとクラインが色々とログアウトに繋がりそうな言葉を叫んでいた。

 

「バグの可能性は?」

 

「バグの可能性が無い訳でも無いけどよ、今じゃ流石におかしいことはお前も分かってて言ってるんだろう?」

 

「……(コクリ)」

 

 まあ、確認の為に聞いただけだからな。

 

「ゼェ、ハァ……。だ、駄目だ、自分の体に戻れねえ……」

 

 今まで色々と叫んでいたが努力の甲斐虚しく、クラインがへたり込んでしまった。

 

「な、なあ。おかしいって何がおかしいんだ?ログアウト出来ないのはバグじゃないってのか?」

 

 おお、叫びながらもこっちの会話を聞いていたか。

 

「……憶測でしかなく、情報の伝達に齟齬が発生するかもしれない。それでも?」

 

「ああ、何も分からないよりはマシだ」

 

「言ってみてくれ。俺も考えを確かめたい」

 

「……分かった。……私達がログアウト不能を気づいてGMコールしてから十五分程経つが、運営から一切のアナウンスも無ければ、サーバーを停止して全プレイヤーの強制ログアウトも無い。それにログアウト不能が何時から発生したか知らないが私達以外にもこのバグが発生したとすれば、私達が気付く以前から運営に苦情が殺到して、既に何かしらのアクションが運営からある筈。それでも何も動きが無いということは、これが意図的なことであるか、運営で予想だにしない何かが起こって対処できないでいるということ、ぐらいか」

 

 ふう、喋りすぎて喉が渇いた。

 

「俺と考えている事が殆ど同じだな」

 

「……成る程なぁ。それによぉSAOの開発運営元のアーガスと言やぁ、ユーザー重視な姿勢で有名だろ。それが初日でこんなポカをやらかしちゃあ信用は落ちるし、リリースの争奪戦で勝った意味がねぇぜ」

 

「だよな。それにSAOはVRMMOってジャンルの先駆けでもあるしな。ここで問題起こしたら、ジャンルそのものが規制されちまうかもしれない」

 

 アーガスのことやVRMMOの先駆けのことは知らんが規制されるのは一人のゲーマーとして勘弁願いたい。

 

「……とりあえず、街まで戻る?他に人がいるだろうし」

 

「そうだな、いつログアウト出来るか分からないし、人に聞けば何か分かるかもな」

 

「おう、それに俺のダチもいるかもしれないしな」

 

「……あと、何か食べたい」

 

「それが本音だな、ユキ」

 

 いいじゃないか。本当に空腹なんだから。

 

「じゃあよ、ピザ食おうぜ。現実(むこう)で駄目ならこっちでだ」

 

「余裕だな二人共。あ、ユキ、俺のプリン奢れよ。それでチャラにしようじゃないか」

 

「……たしか露店にイカ墨プリンが売っていた筈」

 

「……美味いのかそれ?」

 

「……一個五百コルだったかな?」

 

「高ぇよ!?五十コルの間違いだろ!」

 

「ぼったくりか?稼いだ金が吹っ飛ぶなぁ」

 

 やいのやいの騒ぎながら今が非常事態ということも忘れて、《始まりの街》に歩を進め——

 

 

 ––––––リンゴーン、リンゴーン––––––––––

 

 突如として鐘の音が大音量で世界に鳴り響いた。

 

「な……っ」

 

「何だ!?」

 

「っ!?」

 

 そして、私達の体を、鮮やかな青い光の柱が包み込んだ。

 

「……っ!これは!?」

 

「うおぉ!?今度は何だ!?」

 

「なっ……!?転移《テレポート》だt———」

 

体を包む光が強く脈打ち、視界を奪う。

 

 そして、世界は有り様を変えた。永久に。

 

 私は生涯忘れないだろう。

 

 この時から始まった戦いを。

 

 本当のSAO《ソードアート・オンライン》を。

 

 

 




確認していますが、誤字があれば報告お願いします。

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