もし、俺がヘスティアファミリアだったら   作:単品っすね

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「エイナさぁぁぁぁぁぁぁんっ‼︎」

 

バカがバカな声を上げてどっかの建物に突っ込む。俺はぶっちゃけ初めてヘスティアファミリアの家(?)から外に出たので、ここに何があるのか分からない。ていうか、返り血で血塗れになった格好で建物に突っ込んだら……、

 

「エイナさぁぁぁぁぁぁぁんっ‼︎」

 

「うわああああああああああっ‼︎」

 

いかん!

 

「アイズ・ヴァレンシュタインさんの情ほ……」

 

そこまで言った時、俺はベルを後ろからドロップキックした。

 

「んおぉぉぉぉぉぉぉぉぉッッ‼︎⁉︎」

 

「イヤァァァァぁぁぁぁぁッッ‼︎‼︎」

 

コーラスが響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ベル君、キミねぇ、返り血浴びたならシャワーくらい浴びてきなさいよ……」

 

「すいません……」

 

返り血を浴びたベルが突っ込んできて、同じく血塗れになった女の人と、ベルと俺は建物のシャワーを浴びてから、お互い椅子に着いた。あ、念のため言っとくけど全員順番に入ったんだからね?

 

「あんな生臭くてゾッとしない格好のまま、ダンジョンから街を突っ切って来ちゃうなんて、私ちょっと君の神経疑っちゃうなぁ」

 

「そ、そんなぁ」

 

涙目になりながらベルはしょんぼりする。

 

「で、ベル君。隣の子は?」

 

「あ、えーっと、僕のファミリアに居候してるエルです。下の名前は自分でも覚えてないそうです」

 

「覚えてない?記憶がないってこと?」

 

「や、そういうじゃなくてだな。こう…知らないっつーか…」

 

俺がそう説明すると、そのエイナさんは少し考えるような顔をする。が、すぐに笑顔になった。

 

「ま、それならあまり聞かないね?私はエイナ・チュールです。ギルドの窓口受付嬢をやってるの。君も血塗れでやって来たけど、冒険者なのかな?」

 

「ちげーよ。俺は無職、居候、穀潰し、ニートだ」

 

「いやそんな誇られても……」

 

困った顔をするエイナさん。

 

「それで、アイズ・ヴァレンシュタイン氏の情報だっけ?どうしてまた?」

 

「えっと、その……」

 

さっきまで、俺が来るまでにあったことを話すベル。聞けばこいつ、普段通ってるダンジョンの二階層を五階層まで降りたようだ。で、そこでミノタウロスと鬼ごっこしてたらしい。

 

「もお!どうして君は私の言い付けを守らないの!?」

 

突然立ち上がるエイナさん。

 

「ただでさえソロでダンジョンに潜ってるんだから!不用意に下層へ行っちゃあだめ!冒険なんかしちゃいけないっていつも口すっぱく言ってるでしょう!?」

 

「は、はいぃ……」

 

「まぁまぁエイナさん、男ってのはいつでも冒険してる物なんだよ。TSUTAYAのアダルトコーナーに立ち入る瞬間、コンビニの雑誌コーナーの一番端を覗く時、ジャンプやマガジンでカモフラージュしてエロ本をレジへ運ぶ勇気、それらを乗り越えて初めて男は……」

 

「そっちの冒険じゃないわよ!ていうかえ、え、エッチな事ばかりじゃない!ていうか君は18歳未満でしょう!?」

 

「悪いか?」

 

「最低だね君!?」

 

顔を真っ赤にするエイナさん。

 

「ていうか君もだよ!木の剣一本でダンジョンに入るなんて!鎧も着けてないじゃない!冒険者は冒険しちゃダメだって……」

 

「バッカ俺は冒険者じゃねぇよ。常連さんだよ」

 

「そっちの話じゃないわよ!ダンジョンの話!」

 

「ああ、分かるよ。あまちゃんの冒険者が冒険してあんまりハードなの買うと止まらなくなるからな」

 

「……いい加減にしないと叩くわよ」

 

「ごめん、調子に乗りすぎた」

 

で、いい加減話は戻る。

 

「はあ……君達は何だかダンジョンに変な夢を見ているみたいだけど、今日だってそれが原因だったりするんじゃないの?」

 

「ちげーよ。俺はこいつ迎えに来ただけだから」

 

「あ、あはははっ……」

 

苦笑いするベル。それに深いため息をつくエイナさん。まぁこの人の言わんとすることは分かる。下手に調子に乗って強い所に行くとぶっ殺されるからな。レベル1でゾーマに挑むようなもんだ。

 

「それで、ヴァレンシュタインさんのことを……」

 

「うーん……ギルドとしては冒険者の情報を漏らすのは御法度なんだけど……」

 

とか言いながら平気で漏らすエイナさん。ロキ・ファミリアの中核を担う女剣士で、剣の腕前は冒険者の中でもトップクラス、たった一人でLv5相当のモンスターの大群を殲滅したこともあり、剣姫だの戦姫だの呼ばれてるそうだ。

 

「何その完璧超人……」

 

思わず声が出た。が、ベルは納得いっていない表情。

 

「あの…冒険者としてとかじゃなくて…趣味とか好きな食べ物とか……」

 

「お前、お見合いでもすんの?」

 

「へっ!?そ、そそそんなことしないよ!ち、違くて…その……!」

 

「好きになっちゃったんだ?」

 

「いや、その……ぇぇ、はい……」

 

「あはは、まぁ、しょうがないのかな。同性の私でも彼女には思わず溜息ついちゃうし」

 

苦笑いしながら紅茶を一口飲んだ。

 

「趣味とかそこまで踏み入った話は流石にきいたことがない……って、ダメダメ、これは職務にてんで関係なし!恋愛相談は受け付けてないって!」

 

「そ、そこをなんとか!」

 

「だーめ!ほら、もう用がないんなら帰った帰った!」

 

そう言いながらエイナさんは俺とベルを追い出そうとする。

 

「ああ、エイナさんのいけず……」

 

「あのねぇ……君は冒険者になったんだから、もっと気にしなきゃいけないことが沢山あるんだよ?」

 

「うっ……」

 

「君はもうロキ以外の神から恩恵を授かったんでしょう?ならロキ・ファミリアで幹部を務めてる彼女にお近付きになるのは、私は難しいと思う」

 

「………はい」

 

「………思いを諦めろなんて言いたくないけど、現実をしっかり見据えなきゃ」

 

「そうだよお前。現実を見ろ。お前は永遠にこの眼鏡のおばさんと家のクソガキにしか構ってもらえないんだよ」

 

「あなたは黙ってなさい。で、ベル君。女性はやっぱり強くて頼り甲斐のある男の人に魅力を感じるから、強くなったベル君に振り向いてくれるかもよ?」

 

その瞬間、ひまわり満開の笑みを見せるベル。

 

「エイナさん、大好きー‼︎」

 

「えうっ!?」

 

「ありがとぉー!」

 

「帰るぞバカ」

 

エイナさんにそのまま抱き着きそうな勢いのベルを俺は約束通り引きずって帰った。

 

 

 

 

 

 

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