レイラとカルマ 最強コンビの暗殺劇   作:Marina

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いきなりシリアスです。読みづらいかもしれませんが、ご了承ください。


エピソード5 絶望の果て

「うん、じゃあね」

カルマとの電話を切った後、レイラはぐったりしてベッドに寝転んだ。カルマの前では「初対面なのに恐ろしくフレンドリーな女の子」のふりをしていたレイラだが、本当はある深刻な懸念を抱いていたのだ。

一年前、不良グループ同士の抗争に巻き込まれた際、助けてくれた「彼」はカルマではないか、という。もしそうならば、一言お礼が言いたい。その一心でカルマに近づいたのだが、彼は自分を知らないらしい。これはいったいどういうことなのか。やっぱり人違いなのか。それを確かめるために。レイラは明日、カルマを見張ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日の放課後。捨て身の暗殺を行ったカルマだったが、先生は見事にそれを防いで見せた。その様子を木の陰から見ていたレイラは、間違いない、と確信した。一年前、自分を助けてくれた「あの人」はカルマなのだ、と。ふいにレイラは以前読んだ推理小説のセリフを思い出す。

「世の中には解いちゃいけない謎があるんだよ。」

(解いちゃいけない謎・・・か。)

彼は自分を覚えていなかった。なら、それはどうしてか。レイラは拳をぐっと握りしめ、歩き出した。真実を、確かめるために。

 

 

「あたしはカルマ君の親友なんです。」

レイラはとある病室で一人、医者と向かい合っていた。やはり彼女の予想は当たっていて、一年前自分を助けてくれたカルマもこの病院に送られていたのだった。

「いや、親友だった、と言うほうが正しいですね。」

自嘲気味にそう言い捨てる。そしてレイラは一年前の出来事やカルマに再会したが彼は自分を覚えていなかったことなどをすべて話した。

「親友だった・・・ね。」

医者は目を細め、一枚のカルテを差し出した。記載されている名前は、「赤羽業」。その下に目をやったレイラは驚きの声を上げた。

そこに書かれていた文字は、

「脳細胞損傷」

だった。レイラは震え声で尋ねる

「これはどういう意味…というか、症状が出るんでしょうか?」

一瞬の沈黙の後、

「手は尽くしたんだけどね・・・。彼の思い出の一部は、持っていかれてしまったよ。」

瞬間、レイラの両目から色が抜けた。

レイラはようやく理解した。理解してしまった。

やはり自分を助けてくれたのは赤羽業で間違いなかったということを。

そして自分をかばったせいで彼の記憶の一部がなくなってしまったということを。

医者はレイラを哀しそうな目で見つめると、

「この事実を受け入れて、これから彼にどう接するかは、君次第だよ。」

それだけ言うと出て行った。

バタン、と扉の閉まる音がいやに響く。

部屋の残されたレイラは、ただ茫然としていた。

その両目には、もう一筋の光も映っていなかった。

 

 

 

 

 

中一の夏頃、とあるゲームセンターでしりあっ二人はいくつかの共闘を通して、もはや親友と呼べるほどまで仲良くなった。常人にはとてもまねできないコンビネーションプレイを使いこなし、両者の性格から様々な悪戯を考えたりして、無気力だった彼らの日常はいつしかとても満たされていた。

しかし。

とある不良グループの抗争に巻き込まれたさいに二人とも重傷を負う結果となり、レイラは二か月もの間昏睡状態に陥った。

次に目覚めた後、彼と再会することはなかった。

 

 

「あ、はは。」

笑い声が漏れた。

どこまでも乾いたその笑い声には、何の感情も混ざっていなかった。

それは、自分はただ忘れられていただけで、何かのきっかけがあれば思い出してもらえる、と思っていた浅はかな自分への嘲りなのか。

それともかつての親友を完全に失ったことへの絶望なのか。

「あははははは、はは」

光を失った瞳からは、一筋の涙も流れない。

ただ、空地が漏れる音のような、無に等しい、声。

笑い声と呼ぶには、哀しすぎる、声。

「あはははははははは、ははは、あはははは。」

感情のすべてが抜け落ち、真っ白になった少女は笑い続けた。

狂ったように、笑い続けた。

 

 

 

 

 

 

「ここは・・・・・」

次にレイラが目覚めたのは、病室のベッドだった。

あれからどうしたのか、まるで覚えていない。

彼女の瞳に光は戻らない。

自分のせいでカルマの自分に関する記憶を奪ってしまった。なんと皮肉なことか。

「ごめんなさい・・・・・。」

絞り出すようなそのつぶやきは、誰にも聞かれることなく虚空へと消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

歌が、聞こえた。そんな気がして、。

学校へ向かう途中、少年は公園の前で立ち止まった。

そのまま、歌声に引き寄せられるように公園の中へと進む。

少し歩いたその先に、ギターを持った少女がいた。声を掛けることも忘れて、少年は少女の歌声に耳を傾けた。

 

 

一人でも行くよ たとえつらくても 君と見た夢は必ず持ってくよ

君とが良かった 他の誰でもない でも目覚めた朝君はいないんだね

・・・・・・・・・・・・

どこまでも行くよ ここで知ったこと 幸せという夢を叶えてみせるよ

君と離れても どんなに遠くなっても 新しい朝にあたしは生きるよ

 

一人でも行くよ 死にたくなっても 声が聞こえるよ 死んではいけないと

たとえ辛くても 寂しさに泣いても 心の奥には温もりを感じるよ

 

巡って流れて 時は移ろいだ もう何があったか思い出せないけど

目を閉じてみれば 誰かの笑い声 なぜかそれが今 一番の宝物

 

 

 

演奏が、終わった。

 

 

 

ドサリ。

 

 

 

 

 

 

 

少年は、持っていた鞄を取り落とした・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




長かったー!!
あの空気の中どうやってシリアスに持っていこうか、正直めちゃくちゃ悩みました・・・・・・。
因みに挿入歌はエンジェルビーツの「一番の宝物」です。
それでは、評価と感想お願いします!!
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