東方零短録   作:零ミア.exe

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最後の方が投げやりだったり。

※前半、アリスさんがキャラ崩壊したりするかもしれません(適当)


油断大敵

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

早朝。

俺は物音に反応して目を覚ました。

そりゃそうだ。一人暮らしをしているのに他の音が聞こえてきたら、例え起きるのが嫌でも目を覚まさなければならないだろう。

主に防犯面で。他にあるとすれば……貞操の危機?

いや、俺の事をそんな目で見てる奴はいないだろう。

俺、そこまでイケメンじゃない…だろうし。いや、俺は鏡とか見たことないから分からないけど。多分イケメンじゃないだろう。

…言ってて悲しくなってくるから、今は物音の事に集中するか。

 

自分の部屋を出て、誰もいない事を確認しつつ廊下を進む。リビングの扉に辿り着くと、ゆっくり扉を開いた。

…リビングに人影無し。それでも音は近くなっている。

とすると、この音は台所からということになる。

…貯蔵庫でも漁ってるのか?

なんにせよ、困ることしてたら止めなければ。

 

 

──意を決して台所に突入する。

 

 

「…何してるんすか?」

「何って、貴方の為に朝食作ってるのよ」

 

そこでは、七色の人形遣いが、何故か朝食を作っていた。

…本当になんでだ?

俺、戸締りはいつも完璧にしてるはず…。

 

「ああ、私の料理が待ちきれなくって、起きてきたのね?」

「いや、単純に不審者撃退するために起きてきたんだけど」

「なんですって!?どこにいるの!?」

 

なんか凄い形相で俺の肩を掴んできた。

やめてくれ、寝起きの俺の頭を掻き乱さないでくれ。

 

「俺の目の……いや、もういいや。多分もうどっか行っただろうし」

「そう?貴方がそういうなら私もこっちに集中するわ」

 

…マジでなんでいるんだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

原因が判明した。

玄関を確かめに行ったら、玄関の扉に付いてるドアノブと鍵穴だけが木っ端微塵になってた。

 

もう慣れた。

 

この前は七曜の魔法使いに扉だけを器用に焼かれたし、その前は白黒魔法使いが…うん、これは思い出したくない。

そういえば、吸血鬼に使えるメイドに誘拐されかけた事もあったっけな。

その全てが俺の知ってる人だったから良かったものの、もし俺の知らない人だったらそれこそ不審者だ。もう少しセキュリティーを強化した方が良いだろうか?扉だけ鉄加工とか。

そんなことを考えてたら、目の前の人形遣い──アリスがこちらを見つめている事に気付いた。

 

「ほら、冷める前に食べて」

「おう、わかった。わかったからそんなに見ないでくれ。なんか食いづらい」

「いいじゃない。減るものじゃないし」

「…いただきます」

「召し上がれ」

 

もうここまで来ると面倒なので、こっちが色々と折れることにした。取り敢えず、この明らかに危ない色してる飲み物にさえ触れなければ大丈夫だろう。

さて、アリスの作った朝食は…と。

 

「…明らかに状況を誘ってやがる」

 

一面辛いものだらけ。下手したら痔になるんじゃないかな、これ。

明らかに赤みを帯びているカレーに、見たことのない色をしている肉じゃが等などが並べられている。

いや、色をもう少しどうにか出来なかったのだろうか。美味しそうに見えるくらいにはどうにか出来ただろうに。

ただ、『いただきます』と言った手前、食べなければ食材に申し訳が立たない。

 

アリスにも申し訳が立たない?どんな冗談だ、それ。

そう思うのなら、もう少し人間の俺でも普通に食べる事が出来るものを作ってくれ。

 

まあいい。取り敢えず食べる。朝カレーは良いものだからな。辛さは置いておくが。

スプーンを手に取り、ご飯とルーを掬い上げ、口へと運ぶ。

 

うん。辛い。

すっごい辛い。

でも味が分かる。人参うめぇ。

アリスさんや。力の入れどころが違うんじゃないですかね。

俺は辛さじゃなくて旨さを求めてほしかったなあ。

 

だが、俺は辛いくらいでは飲み物に手を触れない。

むしろ食べ進む。

 

「ああ…私の料理が次々に…」

 

アリスが嬉しそうな表情で何か言っているが、俺は気にしない。肉じゃがも、見た目は辛そうだが、ほんのり甘い。それでも辛い事には違いないのだけども。

…この得体の知れない飲み物、俺が飲んでも大丈夫なのか?

落ち着いて考えると、外の世界にこんな色の飲み物があったような。

そう考えると、これも飲めそうな気がしてきた。

コップを手に取り、中を覗く。

不透明で、コップの底が見えない。何か仕込んでたりしないだろうな。

 

「なあアリスさん。これ大丈夫なやつ?」

「それは外の世界の『ファンタ』とかいう飲み物らしいわ」

「…じゃあ大丈夫か」

 

毒見するため、ふぁんたとかいう飲み物を口に含む。

ふむ、甘いな。口の中で泡立っているが、そういう飲み物なのだろう。

成程、悪くないかも知れない。

外の世界の飲み物にはこういうのもあるのか。

 

「ああ…私のが…貴方の中に…ふぅ…」

 

前言撤回。何してくれてるんだこの人形遣い。

てかやっぱり何かしら仕込んでたか。この系統の人達が明らかに危ない色した飲み物に何かを仕込まないわけがない。

 

…俺は何言ってるんだろうか。

 

でも、体に変化が起きないし、何を混ぜたんだろう。即効性のある薬か?遅効性のある薬か?それとも、もっと別の何かか?

いや待て、さっきアリスは『私のが…』って言ってたな。

…いやまさかなぁ。

 

「アリスさん?何を混ぜたの?」

「もう…私の口から言わせる気?」

 

なんか良い顔したまま怒られた。いや、正確には怒られてないんだけども。

にしても、本当に何を混ぜたんだろうか。まあ、判明したらしたで俺が社会的に殺されそうだから、これ以上考えないことにするか。

 

それにしても、カレーが辛い。そしてうまい。

やっぱ朝カレーは良いものだな。

そういえば、アリスは食べないのだろうか。

早朝からいるのだとすると、朝御飯食べてないような気がするんだが。

 

「そういえば、アリスさんは朝飯食べないのか?」

「私のはそれよ?」

 

そう言って俺のカレーを指差してきた。

俺、ちょっと何言ってるか理解できないんですけども。

 

「は?」

「いや、だからそれよ」

 

俺が聞き返しても、答えは変わらなかった。一回だけなら誤解だったが、二回も言われると誤解では済まなくなってしまう。

つまり…なんだ?

俺はアリスの朝飯を食べていたということか?

いやでも、このカレーは俺の目の前に置かれていたし、アリスも俺のだって言ってたし…。

 

「…ごめん。返すよ」

 

俺はスプーンを置き、残っているカレーをアリスの前に置いた。

アリスは困惑した表情を俺に向けた。

 

「えっ?」

「えっ?…あっ…」

 

俺の馬鹿野郎!食いかけを渡してどうするんだよ!

もう少し羞恥心を持てよ俺!相手は女性だぞ!

 

慌てふためいている俺を余所に、アリスは予想外の行動を取った。

 

「彼との間接キス…!!」

 

なんか嬉しそうに俺の食ってたカレーを頬張っていた。俺の使ってたスプーン使って。

てか、アリスって辛党だったのか。女性って甘いものが好きらしいから、てっきりアリスも甘党だと思ってた。

いや、そんなこと、今はどうでもいい。重要なことじゃないんだ。

 

「あのー?」

「何かしら?」

「それ本当にアリスさんの?」

「そんなわけないじゃない」

 

嘘でした。

まあ、アリスもカレーが食べたかったんだと勝手に脳内補完しておこう。

そうじゃないと俺の中の何かが崩れそうだ。

実際、俺はもうお腹膨れたし、別に横取りされても構わないんだよな。

 

「じゃあ、御馳走様でした」

「お粗末さまでした」

 

さて、仕事の準備するか。

家を出るときにアリスさんを追い出そう。他人に留守を任せる訳にはいかないし。

てかまだアリスさんカレー食べてるし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕方。

俺は仕事をサクッと切り上げ、自宅という名の安全地帯に帰ってきた。

現在、玄関の扉の前に立っているのだが、現実逃避したくなる事案が一件、脳内に届いている。

今朝、アリスが壊した扉を修理したはずなのだが、ものの見事にドアノブの辺り一帯が壊されていた。悪夢再びである。守備力が零の闇属性モンスターを二体も回収出来そうなほどの再現率だった。安全地帯なんて無かったんや。

おまけに家の中から騒ぎ声まで聞こえてくる。

これは複数人いるな。なんでまた俺の家に…。

家の前でぐちぐち考えてても仕方がないので、扉に簡易修理をしてから家の中に入る。

簡易修理と言っても、垂れ下がってたドアノブの破片を綺麗に切り取っただけだけど。

はあ…この鍵とも今日でさようならか。一回も鍵穴に差し込んでやれなくてごめんな。

 

「…ただいま」

 

俺はそう呟きつつ、破片をその辺に置いてリビングへ向かった。

案の定というかなんというか、リビングは明かりが付いており、その明かりが廊下に差し込んでいる。

俺がリビングに入ると、その場にいた人物全員の視線が俺の方に向いた。

 

「あら、おかえりなさい」

「貴方、今日帰ってくるの早くないかしら?」

「私も邪魔してるぜ」

 

他者多様の返事をどうも。

それよりも、七曜の魔法使いがこの時間帯にここにいるのは珍しいような…。

 

「…何してるの?」

「…魔女達の晩餐よ」

「いや、晩餐ならパチュリーさんの所でやればいいじゃん。広いでしょ?」

「図書館で出来る訳ないでしょう?本に匂いとか移るもの」

「それなら魔理沙さんの所で…」

「私ん家は足の踏み場があると思うか?」

「ならアリスさんの所で…」

「…今日は家に帰りたくないのよ」

「なんで!?」

「母さんが…ね」

「…俺が悪かった。どうぞ御寛ぎください」

 

諦めた。このアリスさんには勝てない。

 

「で、また貯蔵庫から勝手に食糧使っただろ」

「こ、今回はきちんと人里で調達してきたわよ!」

 

意外だった。この人達が人の物を勝手に使わなかったとか。明日は俺の働いてる店が繁盛しそうだ。

 

「おい、お前何か失礼なこと考えてないか?」

「いや、特には」

「ならいいが」

 

なにこの白黒魔法使い。紅白巫女並みに勘が鋭いぞ。

やっぱり異変解決してる人は直感が違うのか。

何はともあれ、貯蔵庫のものを使ってないなら俺が怒る筋合いはないな。場所ぐらいなら提供しても問題ないし。

これが毎日続くようだったら考えものだけど。

 

「ほら、貴方の分もあるからこっち来なさい」

 

あ、俺の分もあるんだ。夕飯作る手間がないのは助かる。

それよりも、朝みたいにまた何か仕込んでないよな?

さっきからアリスが隣に座るように誘導してくるし…。

…でもまあ、パチュリーや魔理沙もいるし、考えすぎか。

じゃあ、お言葉に甘えていただきますか。

アリスの誘導に従い、隣に座る。

…なんかパチュリーからの視線がきつくなった気がするが、気にしたら駄目なんだろう。素直に怖い。

 

「じゃあ、いただきます」

『いただきます』

 

料理を一口。うん、旨い。良い感じに出汁が効いてて、味噌の味を引き立ててるな。

ん?なんで皆が笑顔でこっち向いてんの?

それに、魔理沙とパチュリーが二人に増えてるし…。

あれ…?意識が遠のく──。




この後何が起こるのかは、皆さんのご想像にお任せします。
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