あと、特別捜査隊の男性人がゲスト出演です。
外伝・なるかみの湯 前編
「これが…!」
ここは、鎮守府にあるとある施設の一室。腕組みながらある場所を凝視するは、我らが番長こと鳴上悠。
男性でありながら艦娘の『艤装』をつけることが出来る、曰く『艦息』。曰く『鋼のシスコン番長』。曰く『神にスタイリッシュな離婚をした男』…いろんな意味で様々な異名をもつその男が、ある一点を『マヨナカテレビ』を見る時のように真剣な表情で見つめる。
「…これが、俺専用の…!」
時は少々遡る
「俺専用の入渠施設?」
「そうです」
これまた鎮守府のとある一室。この鎮守府で働いている妖精が考えている『案』があるというので、普段作戦会議に使われているという会議室にてテーブルで向かい合う形で鳴上と『工廠娘』の一人が真剣な表情で見つめあう。ちなみに妖精は、体のサイズが人間と比べたらまさに小人サイズなのでテーブルの上にジャストフィットなサイズの小さなサイズの椅子に座っている。
「ご存知のように、提督や『他の3名』さんは『艦娘』の皆さんと同じように『艤装』をつけて海上での活動や戦闘を可能にしています」
「ああ、そうだな」
「そして、当然のことながら戦闘で被弾すれば当然『艤装』や提督自身も傷つきますから『入渠』の必要性だって出てきますよね…?」
妖精の眉が僅かに上がる。心なしか声から不機嫌さが混じってい風に感じられるのは気のせいだろうか?
「しかし、『入渠』するにしても施設は基本『艦娘』専用、相手は船とはいえ異性…裸体を晒して同伴するなんて論理的にも『憲兵さんこっちです』レベルで問題大有りですし、かといって時間をずらして入るというのも、提督自身にも『艦娘』自身にも就寝時間にも影響を及ぼし、下手をすればコンディションの問題にも繋がりますから実用的とは言いがたいです…そこで!」
妖精が、目の前に設置してあるこれまた座っている椅子と同じくジャストフィットなサイズのテーブルをバンッ!と思い切り叩き、もう片方の手を演説するかのように、握りこぶしを振り上げる。
「提督による、提督の、提督のための入渠施設…名づけて『なるかみの湯』を設置することをここに提案いたします!!」
「…なるかみの…湯?」
「これさえあれば普段『勝利の雄たけび』や『メシアライザー』で済ませている艤装の回復は勿論、普段海に入ったり、体を布で拭いて済ませている提督の心身・精神ともにリフレッシュさせるためのまさに『司令艦・鳴上』のみに許された入渠施設!まさに一石二鳥の士魂の策!構想や施設の設置場所はすでに考えてあります!あとは、貴方の許可さえあれば今すぐにでも…!」
瞳をメラメラと赤い炎のように燃やし力説を始める妖精。その威圧感さえ感じさせるその眼はまさに、遠征部隊が持ち帰ってきた『ボーキサイト』を見つめる某一航戦の如し。
「…別に、俺自身はこのままでも構わないけど、資源が勿体無いし」
「何いってるんですか!?ここは『よし、行って来い!』とかいいながらGOサインを出す空気じゃないですか!?」
「つい最近明石や夕張と結託してこっそり無断で開発をして、資源が『大型建造』2回分したみたいに減ってなければ考えていたんだがな…」
「うっ…」
「それで出来たのはなんだったっけな?46センチ一つと大量のペンギンと綿みたいなの、ついでに那珂ちゃん20体だったな」
「いや、あれはまぁ…出来心というか…意味はないけれどムシャクシャシしたからというか…」
先程の勢いはどこへやら、罰の悪そうな顔で視線を泳がせる妖精。
お陰で資源が千単位しか残らなかったのと、『ナカチャンダヨー』×20が日夜鎮守府内で響き渡る羽目になってしまった。はっきり言って夜中に『夜戦ー!!』と叫びまわる声が鳥の囀り程度に感じるレベルだ。解体?ごめん無理。
罰として発起人である工廠娘には1ヶ月の便所掃除と資源回復のために給料を半分カット、明石と夕張は『テレビの中』ダイブして完二のダンジョンに直行してもらい、ナイスガイとタフガイに抱きつかれながら罵声を浴びせられるという陽介が『真理の雷』食らったみたいな精神的な仕置きを施した。おかげで半月たった今でも2人は医務室で目が虚ろのまま白い天井を見上げるという状態に陥っている。
…ちょっとやりすぎたかも、二人には復帰したら間宮券をお詫びに与えようか…。
「と、とにかく!絶対提督の役に立ちますから!ね!?それくらいなら残りの資源でも出来ますから…それに、提督のお連れの御3人だってきっと喜んでくれるはずです!」
「うーん……」
時は戻る。
一週間前にはなかったはずの、木で出来た看板に大きく『なるかみの湯』と書かれて銭湯の暖簾のようなものが目の前に『どどんっ!』と効果音が出来そうな勢いで目の前にあった。そして暖簾の向こうには女人禁制の入渠施設があるというわけだ。
「で、出来たのがこれか」
後ろから馴染み深い声が響き、後ろを振り返る。
「おおっ!これが『
「『艦』娘な?眼の娘って何だよ怖えーよ。あと『入渠』だから。住むつもりかよ」
「クマはー、かわいいベイビーちゃん達と一緒ならどこでもいいクマ!いい加減ヨースケと同室は飽きたクマ!ムサイクマ!」
並んで陽介、完二、クマが自分のところまでやってくると、そろって『なるかみの湯』を眺める。相変わらず言葉間違っている完二に陽介が呆れ、着ぐるみ状態のクマが妄想丸出しで騒いでいる。
「気が早いな、もう入りに来たのか?」
「いやー、流石に今は入るには早いしな。んなことより助かったぜ相棒、いい加減こっちも風呂に入りたかったことだしな?」
「ははは…」
流石に風呂が出来たということで気分が高揚して3人とも見に来たらしい。
「最初、なんなら他の『艦娘』と一緒でも一向に構わない!と『豪傑級』の勇気を振り絞って言ったんだけどな…」
「マジで!?直球すぎんだろ!」
「そしたら妖精が『北上さんと風呂に入りたいって言ってたって大井さんにあることないこと言いふらしますよ?』って言われて断念したんだけどな…」
「そ、そうか…」
陽介を代表に三人が『さもありなん』といった感じで頷く。現に、最初に北上を飯に誘おうとしたりナンパに誘おうとした陽介やクマは、大井にその現場をばっちり見られて酸素魚雷の洗礼を受けて軽くトラウマになりかけていた。
「ま、まあそれはともかく、こうやって俺達の為に風呂を作るようにしてくれたなんて流石センパイッス!今日の夜、ありがたく入らせていただきやすから!早速今日、男同士で汗を流しましょうや!!」
完二がその場の空気を変えるように上腕ニ頭筋を見せつけながら力強く提案するも…。
「夜はパスで」
「相棒に同じく」
陽介とほぼ同じタイミングで拒否する。
「何で即答なんだよ!?」
「…貞操の危機?」
「お前と一緒の風呂なんて、こっちの休まる気がしないんだよ!?」
「クマにエロイことするつもりなのね!?エロ同人みたいに!」
「いい加減そのネタやめろってんだよ、しめんぞコラァ!!」
なんだかんだあったが、今日の夜が楽しみだ。騒いでいる三人を見ながらそう思った。
「フッフッフ・・・いいことを聞いたデース」
続きは…何時になるかなぁ?