鳴上悠と艦隊これくしょん   作:岳海

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馬鹿野郎!なんで投稿が遅れた!言え!なんでだ!!

電「まさか、艦これ改をやっていたのです!?」
天龍「それとも今流行りのアーケードか!?」
雲龍「もしかしてとうとう艦これを初めて、そのせいで!?」

番長「いや、今更メガテンⅣfinalをはじめたのと、モチベーションの問題だ…」


第十九話 The balance of the sword in the left hand to the right hand 前編

 本当にいい天気だ。状況が状況でなければ、まるでピクニックに出かけている気分にさえ思えてくる。こんな艤装なんか付けていないで、絶好の海日和だとか、もしくは陸の上で自転車でも乗りながら、少し遠くまで出かけたい程に。

 いや、そもそも私は自転車乗るのがあまりうまくなかったんだ。四姉妹のうち次女と三女は要領がいいから上手く乗りこなしていたけれど(しかも次女は後輪で立ったまま回転するとかいう、ありえない技まで披露した)、一番上のお姉ちゃんと四女の私は不器用だから、普通の人達みたいに乗るのに少し時間がかかった。

 はは、自分で考えてみてると懐かしいと思う。少し前までは、死んでいった姉達の顔が浮かぶたびに、辛くて、悲しくて、涙まで出てしまう時すらあったと言うのに今ではもう、前のように泣き出したくなる気持ちはすっかり鳴りを潜めてしまった。毎朝行われている墓参りだって、『自分だけ生きていて御免なさい』と懺悔する気持ちから、純粋に姉達や死んでいった仲間達の為に祈ることが出来るようになって来た。

 と、いけないけない、感慨にふけるのもいいけれど、自分にはやるべきことがあるんだった。上着のポケットから海図と羅針盤を取り出して、方向を確認。…うん、間違いじゃなければあっている筈。

 ヴヴヴと、艤装から小気味よいエンジン音が吐き出され、海の上に放射状に波紋を浮かべながら順調に進んでいく。他の人達と違って私のは損傷が少なかったことと、妖精さん達のメンテナスの賜物だろう。燃料にしても、昨日お兄さんがとってきてくれたから何とか確保することが出来た。…まぁこの事は本人には『合流』するまで内緒なのだけれども。あの人の事だから、私が今こうやって行おうとしている行為も、絶対に反対するだろうから…。

 …お兄さんは今はどうしているのだろうか?もう『キス島沖』についたのだろうか?あの海域を訳も分からず、彷徨っているのだろうか?

 

 

 …けどまぁ。

 

 

「………あれ、方向あっているのです…?こんなところに小島なんて、海図見る限りでは無いはずなんだけど…」」

 

 

 現在進行形で絶賛彷徨っているのは、間違いなく私なのだけれど…。

 

 

 本日も晴天ナリ。現在の敵との邂逅も無し。

 ただし、問題発生。駆逐艦『電』人生ではなく、物理的に迷子になりました…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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午前 ヒトマルマルマル

 

 

「………」

「なぁ~に一人でボケっとしてんだよ」

 

 

 

 

 当てもなく基地内を松葉杖つきながら彷徨い、何となく母港に入ると、抜錨するための出入り口を膝を抱えて眺めている雲龍が目に入る。束ねている銀髪が、床の上にとぐろを巻いていない蛇みてーに無造作に置かれているけど、汚くなるとか思わないのかこいつは?

 

「まさかアイツが出て行ってから、ずっとそうしてたのか?一時間くらい前に見送って、それからその状態でずっと飽きもせず海眺めてたのかよ。飽きねえのか?」

「………」

「…腹減ってねえの?」

「………」

「無視かコラ」

 

 松葉杖を持ち上げて後ろ姿の雲龍の銀色の頭の上をコンコンと叩く。そこでようやく、ゆっくりとした動作で首をこちらに向ける。その視線はやはりと言うか、嫌そうなものを見るかのように少し不機嫌だった。いや、不機嫌という感情すら持ち合わせているかどうかすらわからない。興味というものがあるのかどうか…相変わらず可愛げの無い奴だ。大好きな提督からちっとは洒落っ気というものを分けてもらえよな。ま、何気にアイツもこいつの扱いには苦労しているみたいだが。時折何考えているのか分からない天然なところも含めて、雰囲気はどことなくアイツと通じる所があるにもかかわらずにな。

 

「…何か用?」

「何か用って…用がなかったら話しかけちゃ駄目なのかよ。生憎こっちはこの様の所為で退屈なお留守番してんだ。暇を持て余してうろついてちゃ駄目なのか?この基地は我が家みたいなもんだしよ…ちとボロボロだが」

「………」 

 

 相変わらず可愛げの無い反応だな。アイツを慕っている割には、洒落っ気とかそういう所を教えてもらっていないのか?アイツの場合ありすぎだろって、偶に思うけど。

 ふんっと息を一つついて、雲龍の隣に俺も座り…っは杖ついてる状態じゃ椅子じゃないとキツイな。片手で中身の入っていない手ごろな木箱をひっつかんで雲龍の隣に置く。雲龍がじろりと何か言いたげな視線を送っているが、気にせず木箱の上に腰を掛ける。

 

「今頃アイツと『電』はどうしているのかねぇ~」

「………」

 

 

 電は、アイツが出撃してから一時間ほど時間を置いて、後を追うように出撃していった。俺や妖精達は知っている。あえてその事を俺達は奴に知らせなかったが、今頃は先に進めず延々と彷徨っているに違いない。まぁもし帰ったら追及されることなるだろうわな。そん時は拳骨の一つも覚悟しているつもりだ。

 あの『キス島』を攻略するためには駆逐艦の力が必要なんだって。この基地に戦力が整っていたときに、前の提督が艦娘や妖精達を使っ情報を集め、艦隊を編成して調査させたから。調査したその当初は、戦艦やら空母やら重巡やらガチガチの編成で行ったから、羅針盤がうまく仕事してくれなくて迷子のガキみてえに同じルートをあっちこっち移動する羽目になって、結局燃料不足でとんぼ返りする羽目になっちまったが。右往『右』往の、五里『夢』中って奴だ。ただいたずらに燃料や弾薬を消費する結果になった事に、前任の糞野郎は憤り、その時の編成メンバーに当たり散らしていたっけ。気の毒に。

 それでもなお、諦めきれずに日数や資源を消費して調査した結果、駆逐艦のみ、あるいは軽巡を旗艦とした駆逐艦編成で行くことにより、その海域の先へ行くことが発覚。しかしいざその編成で行こうにも、軽巡や駆逐艦をあまり重要視していなかった艦隊の練度はそこまで高くなかった。加えて調査のための資源の浪費により資源不足(まぁあの糞提督が大型の建造を繰り返したためもあるが)。なんとか駆逐艦の練度あげや資源の回復に躍起になって、次の攻略が遅れた結果、とうとう深海棲艦の大規模襲来が起こったという事だ。その後の展開については言うに及ばずだろう。

 その大規模の深海棲艦をたった一人で返り討ちにしたアイツなら、恐らく単騎でも攻略は可能かもしれない。強さを表現すれば、歩く理不尽とかアンタッチャブル、ルール違反無用とかが似合いそうなあの男が、『エヴィデー、ヤングライフ… (うろ覚えだから歌の続きが分からん)』とか笑顔で歌いながら、ヲ級とかル級とかタ級とかの攻撃を華麗に躱して、草刈りみたいに首を斬り飛ばす姿がなんとなく想像できそうなくらいだ。

 そんなアイツでも、一人ではあの海域を攻略することはできない。少なくても電の力が必要だ。しかし今のアイツがそれを素直に頷くかどうか。下手すりゃ『ならば駆逐艦の艤装を装備して言ってくる』とか言いだしかねないからなぁ…特に電を危険な目に遭わせることに、アイツは猛反対するだろう。だから行かせるときに、わざと時間をずらして、アイツを出撃させた後に時間を置いて、電にアイツの元へ向かわせることを提案し、そしてついさっき向かわせたばかりだ。勿論電にはアイツと合流した後で事情を説明させるように言っている。それでもし攻略に成功するならばそれで良し、そうじゃなくてもアイツの事だから、同行させるとなればあの糞野郎と違って無茶な進軍はしないだろう。仮に逃げ帰ってきても、そうなったらそうなったらでもう一度話し合うチャンスが来る。

 …この判断が正しいとかは、自信もって言えないがな。テメエが動けないのをいいことに、本来信頼しているアイツを騙し、守るべき電を危険な目に遭わせている。あいつはいつか俺に、『お前の毛嫌いしている提督と何の違いがある!?』と言ったことがあるが、今更になって突き刺さるな。ったく。

 

 

「…本当に」

「あ?」

「あの駆逐艦を行かせてよかったの?それも一人で。」

 

 抱えた膝に顎を乗せ静かに…形の整った小ぶりの唇がぼそりと呟く。先程のジョークの感想ではなかった。

 

「あんな駆逐艦たった一人で…もしかしたら深海棲艦の群れがあるのかもしれないのでしょ?そんな危険な場所にあの電という子を行かせるなんて…もし提督が知ったら間違いなくあなたを許さないじゃないの?いくら提督がこの辺りの深海棲艦を殲滅して以前より比較的安全になったとはいえ、万が一という事もあるんじゃないの?」

「…………」

「別に私はどうでもいいけど、あの優しい提督が知ったら、間違いなく許さない筈よ。貴方だって、あの駆逐艦の事は大切な妹分の筈だったんでしょ?」

 

 …心でも読んだのかこいつは。人がただ今気にしている事をズバリ言いやがって…。

 相変わらず雲龍はこちらに視線を向けないが、それでもこんなに喋っているのを見るのは初めてかも。よくよく見ると、どこか不貞腐れている風に見えなくもないのは、気のせいだろうか。まさかコイツ、本当は一緒に行きたくてもいけないから、ここで一人不貞腐れていたんじゃねえだろうな。

 雲龍が言い終わるのと同時に、ざざぁ…と静かに波がコンクリートの塀を打つ。それにつられて風に潮の匂いも混ざってくる。嗅ぎ慣れたしょっぱい匂いが鼻腔をつく。それと同時に思い出されるのは、昨日の電との会話。

 俺の不手際で迷惑かけておきながらいまさら言うのはんだけどさ、正直俺だって電を危険な目に遭わせたくないさ。そもそも装備とか練度とかそれ以前にアイツの気性は戦いには向いてない。たとえ三人の姉達を殺した敵にあったとしても、直接その手に掛けられるかどうか。

 だからそんなアイツが、自分から危険地帯に乗り込みたいと一昨日の食事の後で言い出したのには驚いた。いや、心の片隅でその事を理解していた自分もいたが。

 

 

 

「前までの俺だったら…いや、今の俺でもそう易々は賛成しかねるさ。今の電じゃあ危険すぎるし、第一アイツだって承知しねえだろう。何の対策もなく着いて行くというんなら直々に、電の艤装をぶっ壊し、最悪アイツの体を出撃できない体に追い込むつもりだった…いや、未だってお前の言う通り自分のこの決断が正しかったのか疑問に思っているよ」

「……………」

「…でも」 

 

 

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一昨日の夜に話は遡る。

 

 

 

『だからと言って、もう守られたばかりは嫌なのです…』

 

『電ちゃん…』

 

『電はずっと守られてばかりで、本当に何もできませんでした。お姉ちゃんたちや龍田さん達が沈んじゃった時も、何もできず泣いてばかりで…この間…レ級が攻め込んできた時も、結局何もできずに同じことの繰り返し…』

 

『そ、それを言ったら私達だってそうだよ…電ちゃんだけがそう思う事なんて…』

 

『妖精さん達は本来、サポートがメイン。けれど電はこれでも『艦娘』なのです。本来のスタートラインに立つのが、かなり遅れてしまいましたが…』

 

『…っ』

 

『お兄さんがどうしてこの基地にやってきて、どうしてあのレ級にから狙われることになって、どうしてあんな力を持っているのか、電には未だによく解らないのです。けれど何となく分かるんです。お兄さんが気丈に振舞っている中で、本当は何処か苦しそうにしているのを…なんとなくわかるんです。そしてあんなに優しいからこそ、みんなを巻き込んだり、傷ついたりするのが怖くて、痛いのも苦しいのも自分一人で背負っているんだって…。弱い電はお兄さんのすべてを助ける事も、あのレ級を倒したりする事はできないのです。けれどせめて…せめて痛いのや苦しいのが少しでも辛くならないようにしたいです…。電にとっては、あのお兄さんが『司令官さん』のような…ものですから…』

 

『………』

 

『何もできないのはもう…嫌なのです』

 

『電ちゃん…』

 

『電よぉ…』

 

『?』

 

 

『……何もできないかどうかは、まだわからないぜ?』

 

 

 

 

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「…電は生まれてくる星や種族を間違えてると、常々思ってたよ。訓練でもすぐ泣く、遠征失敗してすぐ落ち込む、敵と相対しても怖いだとか可哀そうとか言って、まともに戦闘も出来ねえ。前任の提督は『役に立たないクズ』と言って、いつもアイツに当たり散らしていた…」

「…前任の提督やらとは知らないけど、当然の意見ではないの?」

 

 …認めたくはないが、容赦ねえ正論だ事。案外お前も、その前任の提督の艦隊襲ってたかもしれないから、もしそうなら決して他人事じゃないんだけどな?

 

「けど俺やアイツの姉妹は別に気にしなかった。そんな泣き虫の、弱虫の、『兵器』になり切れないアイツが、なぜか嫌いになれなかった。一人くらい戦いを嫌う『艦娘』がいた所でいいじゃないかってそう思ってた。アイツも、きっと俺と同じ意見だろうよ」

「………」

 

 

 戦い嫌いで臆病だった筈の電が、とうとうどこか無理しているアイツを見てらんなくて、自分なりに訓練初めて、そして今こそ役に立とうと決めたんだ。アイツの姉貴分としてその考えをどうするか悩んだけれど、悩んだ末に決意した事を駄目と言えなかった…何より、俺だってアイツと同じ気持ちだから…。

 

「…そう」

 

 

 雲龍は興味無さそうに素っ気なく言っている物の、本心ではきっと同じことを考えている筈だ。それと少しの、嫉妬かな。コイツには記憶がなくても、雲龍となる前の『ヲ級』だった頃の記憶が、無意識のうちに心の中に残っているのかもしれない。そうじゃなきゃ、ほぼ初対面のアイツを慕っていないし、アイツの事になると目の色を変える。なのに戦う力がないから、自分より力がないくせに出撃できる電に、多少なりとも『嫉妬』の念を感じているんだろう。へっ、アイツも罪な男だな。

 

「それともう一つ言っておくとよ…電に戦う力がないとは、言いきれないぜ?」

 

 雲龍が顎を持ち上げてこちらを見る。瞳には僅かに困惑の色を、浮かべながら。

 

「お前、アイツがここ最近俺を『ペルソナ』とやらの力で治療しているのを知っているよな?だとしたらどの『ペルソナ』で『メディア』とやらをかけていると思う?」

「?何の話…?」

「アイツが言うには俺に『メディア』かけているのは、『節制』とやらの『シルフ』とやらのペルソナらしい。丁度、レ級と戦って気絶している時にどういう訳か、突然復活したらしいんだが」

 

 ぱちぱちと、話についてこれずに目をしばたかせる雲龍。ついでに補足しておくと、アイツからこの雲龍にはここ最近の出来事や、ペルソナ能力については一通りの説明はしてある。ついでに俺がアイツのペルソナとやらである、『コウリュウ』とかいうでっかく、そしてカッチョイイ黄金の龍を宿している事もだ。おかげでこの女から『いいペルソナ持っているのね…』と一時しつこく言い寄られる苦労をしたもんだが。

 

「しかしアイツが言うには、いきなりそのシルフとやらが出てきたわけでなく、『ある二体』のペルソナが出てきて、そいつを『合体』させたから、そのシルフとやらが出てきたらしい」

 

 困惑の表情が、どんどん興味をひかれたように真剣みを帯びてくるのが分かる。食いついてる食いついてる。

 これもアイツに聞いた話だが、唯でさえ個体数が少ないペルソナ使いの中でも、さらに特殊な部類に入る『ワイルド』と呼ばれる特殊なペルソナ使いは、唯使役するだけでなく、それぞれを『合体』させることが出来るとの事。そうすると今回みたいに、合体する前のペルソナより強く、そして異なる『アルカナ』を持つペルソナを作り出すことが出来るんだとか。しかも時には2体だけでなく、3体や4体以上も合体させることが出来て、本気を出せば12体合体させることも出来るとか言っていたな。ぶっ飛びすぎてツッコミが追い付かねえ。それだけでも話が着いていけないのに、過去に存在したワイルドには、一人でなんか合体技したり、そのペルソナがアイテムを『孕んだり』させることが出来るらしい。その話を聞いて理解するのに必死な俺に『全能の真球がいつまでも来ないとか、別の意味で困っていたらしい』とか話してた。ごめん、人類には早すぎる会話はやめてくれ。…まぁ、話がそれたが重要なのはそこじゃないんだ。

 

「…なんか、老け込んだような顔してるけど…」

「そっとしておけや…んでその問題の現れたカードだがな、そいつが言うには『法王』と『正義』のアルカナが出てきたと言っていた。それらを合体させて、なんとかメディアを使えるペルソナを作り出したとか言ってた。ちなみにそのメディアをひたすら自分に掛けることによって、レ級につけられた傷や骨折を無理やり完治させたんだと」

「………」

「でな、そうやってレ級を撃退させることが出来たはいいが、どうして急に自分にその2体のペルソナチェンジが出来るようになったんだと、アイツは疑問に思っていた。ペルソナを呼び出すには、アイツが世話になっているある『部屋』の人物から呼び出してもらったり、アイツの世界にいた『シャドウ』を倒した時に発生する『シャッフルタイム』とやらでしか、新しいペルソナを手に入れる事はできないらしい。その事についてずっと悩んでいたらしいが、考えた末に、アイツの中である仮説が生まれた」

「…仮説?」 

「アイツがペルソナを手に入れた時とほぼ同じタイミングで、俺は『コウリュウ』を手に入れた。アイツやレ級が言っていたが、俺の持っているコウリュウは、『法王』のアルカナを持っている事に関係があるんじゃないかって。だとしたら、あの時現れた『法王』のアルカナのペルソナが現れたのは、俺がアイツから『コウリュウ』を受け取ったことに関係があるんじゃないかって言ってた。あくまで仮説だけどな。なにしろ初めての状況で、結論付けるには根拠が足りないらしくてな…」

 

 何しろここで発生したことに関しては、アイツにとっても初めてのケースらしいからな。俺は考えるのは苦手だし、そもそもアイツほどにペルソナの知識があるわけじゃねえ。なにしろ『ペルソナ』とかっていうトンデモ能力は、船として砲やら艦載機やらでドンパチしてきた俺達にとっちゃあ、全く異質な力だったしなぁ。でもアイツが考えた仮説には何故だか、信憑性を感じられた。それ以外に筋が通る話がないせいなのか、もしくはアイツが語る伝達力に、引き寄せられたせいなのかは分からないが。

 

「…?待って、仮に法王とやらがあなたが関わっているかもと言いたいのは分かった。それじゃあ、残りの『正義』は…?」

「…あのときレ級は言っていたぜ。『覚醒するのはそこのガキだと思ったのに、まさかお前が覚醒するとはな』とかなんとか」

「……!」

「だとするなら、もしかしたら電には…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ズン……!!

 

 

 

 

 唐突に、視界が、一瞬にして暗転する。周りの壁や、雲龍ですらモノクロのように視界が暗転する。

 何だ…!?停電?と一瞬疑うも今は午前中だぞと一人ツッコミを入れ…そして……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 またもや視界が暗転する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 驚くのも束の間、コマ割りのように景色が次々変わっていく。相も変わらず色彩のないネガのような光景で。

 必死に薙刀を振るうアイツ。

 魚雷をぶち込まれているアイツ。

 そのアイツを高笑いしながら白い球のようなものを次々と差し向ける深海棲艦。

 その白い球のようなものから吐き出される攻撃が、アイツに直撃する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いつの間にか、視界はいつものように元に戻っている。コンクリートの壁と地面、傍らで座り込む雲龍。そして包帯がまかれている自分の体、抜錨するための出入り口やその先に広がる水平線。

 今のはなんだ?幻か…いや違う。よく解らないが…けれど、何故か頭に思い浮かんだのは今のはなんだったんだ?という疑問ではなく…。

 

「アイツが…!」

「提督…!」

 

 傍にいる雲龍と声が重なる。眠気から覚めたように限界まで目を見開かせ、その顔色に若干の青色が混じっている。

 

 

 

「っ!!」 

 

 

 

 俺が反転するよりも先に、雲龍が壁にある館内電話へと飛びつくように向かい、ガチャリと受話器を取り、基地の周辺の索敵を行っている工廠妖精へと掛ける。トルルルルルの僅かな時間ですらも惜しいと考えているのか、早く早くと、ガンガン壁を叩いて苛立っていた。普段なら黙って待てねえのかと突っ込みたいところだが、今回ばかりは恐らく俺も同じことをしていただろう。

 

『…もしもし、工廠妖精ですが何か…』

「…何でもいいから艤装を出して…!!」

『は?』

 

 

 

 

 

「提督が今、危ない目に遭っているの!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 想像してみてほしい、例えば外で一匹の蠅がいたとしよう。そして右手(左手でもいい)には蠅叩きがあって、貴方は目の前にいる蠅に向かって、それを振り下ろす…慣れていたり、要領のいい人は蠅を叩き潰すのに時間はかからないだろうし、それ以外の人はすばしっこく逃げる蠅を中々倒せず、存外に時間がかかるかもしれない。それでも頑張って倒したときには、何分、何十分、何時間とかかるのか?それでも倒し終わった後はホッと一息ついて、達成感のような物が、体中を巡るのだろう。

 さて、ここからはさらに想像力を膨らませて欲しい。もしこの蠅たたきが、もしも『屋外(・・)』で、尚且つ『バイクかなにかに乗りながら(・・・・・・・・・・・・・)』、そして尚且つ蠅が一匹なんて可愛い物じゃなく、『四十や五十が群れで目の前に飛んでいた場合(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)』を…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁっ!!」

 

「キャ……!!」

 

 

 打ち上げられた魚のごとくに飛び上がった敵の一体を、薙刀で貫く。醜悪な赤ん坊とイ級が合体事故でも起こした姿を連想させるその生き物(?)は、しばらく突き刺さったままもがいていたが、そのまま電流を流して強制的に止めを刺す。ぶすぶすと黒焦げになったそいつを、苛々しながら乱暴に薙刀を振って、海へと亡骸を放り捨てる。

 

 

「キャホハウハハハウホホホホハハハ!!!」

「ハァ…ハァ…ハァ……」

 

 その場の様子を一言で表すなら、黒い赤ん坊達による、『フルーツバスケット』のような光景と言えばいいのだろうか

 三位一体となった何組もの赤ん坊みたいな深海棲艦が、ダンゴムシの群れのように俺の周囲に集ま

 

 短距離走で全力疾走したかのような、疲れるという言葉が裸足で逃げ出すような、地獄の追いかけっこが終わったのも束の間、呼吸を回復させる時間も惜しんで次の性質の悪い追いかけっこが始まる。何十分もかけてようやく一匹…。

 先程葬った一体と連携を組んでいた残る二体に、がむしゃらに薙刀を振り回すも軽々と躱される。無様に薙刀を躱された俺を挑発するかのように響き渡る耳障りな笑い声を、辺りに喚き散らしながら。

 ただでさえ部活の合宿練習レベルの運動量を強いられている上に、さっきから気味悪い甲高い声で精神がやすりのように削られて、『プリンパ』と『バルザック』を同時に掛けられてるような気分だ。これも一つの戦法なのだとしたら的確すぎて、頭に来る。考えた奴と遭ったらどうしてくれようか。

 悪態をつきそうになる気持ちを堪えて、次の一手を考える。こいつらのすばしっこさは正直やりにくい…これに対抗るにはこちらの素早さを上げるしかない…しかし…。

 

「…ヒート…ライ…ぐはぁ!」

 

 隙を狙われ、三位一体の別の群れから三発の魚雷が飛んできて、諸に俺の体に直撃する。一発一発の威力は少ないが、頭に来るほど狙いが精妙で、耐え切れずに海面の上を俺の体がバウンドする。本体である俺がふっ飛ばされたせいか、同じポーズでイザナギがふっ飛ばされ、体が粒子となって消え去る。

 …シャツ一枚の人間に、好き勝手やってくれる…。『ペルソナ』宿してなかったら、右肩の根元から先が吹っ飛んでたぞ…。

 魚雷を受けた右肩と胴が、『アギダイン』で炙られたバットで思いきり突かれたみたいに…要するに滅茶苦茶熱くて、滅茶苦茶痛い…。残り一発は何とか躱せたのが幸いか…。傷口を冷やそうにも、海水しかない…。場違いな事を思いながらも、何とか起き上がって正面を向き……。

 

「キャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」

「っっ!!」

 

 休む暇もなく、続けて海中からやって来た魚雷を視認。そして滑るように何とか回避…。

 

 

 

 

 

「小鬼共ニ気を取ラレたママでいいノ?」

 

 

 

 

 した途端に、俺の周囲を爆撃が襲う。火薬の匂いの直後に強烈な爆風がもろに俺の体を襲い、そのまま驚く間もなく仰向けに吹き飛ばされ、再び海の上に転がる。勢い良く叩きつけられた海面が、張り手のように痛む。最近の俺、こんな事多すぎだな…。

 

 

「『姫』デアル私もいるのダカら、油断しチャダメでシょ?まぁもっトモ、この小鬼共ニ行動を遮られてイテは、仕方ないんだけレド…?」

 

「…言ってろ…痛っ…」

 

 

 そのまま気を失いたくなるの堪えて、瞑っていた視界を開ける。すぐさま視界が捉えたのは、はるか遠くに見える青い空、少しばかりの雲。その雲と同じ色をしている、浮遊して、それでいて不気味な顔たこ焼きのようなモノ。普段俺達がジュネスのフードコートで売られているような物とはかけ離れた似ても似つかない代物で、逆にお前を食らってやると言わんばかりの、肉丼をクマに取られた時の千枝みたいな、凶悪な顔を浮かべている。運用の仕方から察するに、艦載機の類だろうか?先日の空母の子や、ヲ級やヌ級の艦載機とは威力が比べ物にならない。

 だがいくら強力だろうと、艦載機は艦載機…こんなもの『マハジオダイン』で……ッッ!!!

 

「きゃははははほっほほはは!!!!」

「ああああぁ!!!」

 

 スキルを使おうと、集中しようとするところを、例の小鬼群とやらの一団がまたもや魚雷を投げ込もうとするのを、我ながら奇妙な叫び声をあげながら無理やり起き上がり、転がるように回避。先程まで海上で浮かんでいた地点を爆風が襲う。鼓膜と肌がキンキンチリチリとなりそうになるのを感じながら、日光に照らされた海面よりも、背筋が冷たくなるのを感じる。

 

「あラ避けられた。俊敏さでなら小鬼共といい勝負してルジャなイ?」

 

 こんな気持ち悪いのとか?雪子ですら笑わない冗談はやめてほしい。ただでさえこっちはここ最近、『寛容さ』のレベルが下がって、気が短くなっているのだから。おまえにこっちはその気持ち悪いのの所為で、苦戦を強いられているのだから、余計に太刀が悪い…。

 さっきからレ級とは別の意味でムカつく笑顔で、にやけているあの痴女…『装甲空母姫』とか名乗るあの深海棲艦…あのたこ焼きみたいな艦載機といい、火力といい、あの佇まいといい、アイツの実力はこの辺の『elite級』の深海棲艦と比べて、次元が違うのは見ただけで分かる。伊達に『姫』は名乗ってはいないという事か…。

 だが飽く迄『elite』と比べれば(・・・・)というだけの話だ。あの理不尽な強さの『レ級』に比べれば、個としての強さは見劣りするし、本来一対一に持ち込めれば、勝てない相手ではない筈。なのにこんな大苦戦を強いられているのは…。

 

 

 

「キャホハウハハハウホホホホハハハ!!!」

「…少しは静かにできないのか…」

 

 

 俺の体の至る所に、魚雷をぶつけた張本人————それしか楽しみがないのかと呆れるべきなのか、もしくは同情…はできないな。ともかく馬鹿笑いをしながら、フルーツバスケットの中心の椅子みたいに大軍でこっちを囲んでいる、ガー○ー黒光り小鬼なんとかを、ささやかな抵抗に忌ま忌まし気に睨みつける。

 見た目の大きさに違わぬ鰻や鱧のようなすばしっこさで、先程からこの薙刀を躱されては魚雷をぶつけられ、ブレイブザッパーを躱されては魚雷でカウンターを食らい、アグネヤストラですら『下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる』レベルの情けない命中率、そしてやはりというかすかさず、魚雷の返礼。その素早さですら厄介なのに、放ってくる攻撃のほとんどがクリティカルヒット。しかも魚みたいに動いているから、こちらの近接戦闘とは相性が悪い。例えるなら常時『リベリオン』がかかった『レアシャドウ』の群れと戦っているよう。更に泣きっ面に蜂なのが、それに対抗してこちらがスキルを発動させようと行動を起こすたびに、魚雷をぶっ放してくる。結果スキルの行動を阻害され、そしてスキルを消耗した際の体力や精神の消耗だけが残る…魚雷によるダメージも勿論上乗せされて…調整間違えているにも程があるぞこれ。

 俺の周囲を多数の群れで囲い、こちらの攻撃に対してカウンター。そのせいで十八番の『アリ・ダンス』が役に立たない。人型の『リ級』や『ル級』とは違った、一気に押し潰すのではなく、俊敏で特殊な手駒でもって紐でゆっくりと首を絞めるかのようにじりじりと…こちらの消耗を狙う。くそ、この間の60体との乱戦なんかよりも戦いにくい。せめて6体とかそれくらいなら何とかなったかもしれないが、その5倍も6倍の量で攻められるとなると…これまで戦った深海棲艦は勿論、去年戦った『シャドウ』だって、こんな戦法はなかったぞ。

 不味いのはそれだけじゃないこれまでのダメージが蓄積されて、そろそろ体力が笑えなくなってくる状況まで減って来た。しかし『ペルソナチェンジ』をして『メディア』で回復を図ろうとしたところを、こいつらは先ほどのように魚雷で阻害してくるに違いない。しかもパワーアップさせたイザナギだからこそ、この程度のダメージで

済んでいるが、もう片方のペルソナは初期の方のペルソナだから、そこまで『耐』が高くない。せいぜい加入したばかりの雪子位が関の山だ。そんな状態であんな魚雷を立て続けに受けたら…考えただけで冷たい汗が目のすぐそばを流れて伝う…マズいな。

 薙刀を強く握りしめて、頭の中で何とか対抗策を必死に巡らせる。最近こんなような事ばっかりだから、いつかストレスで髪や頭の中の寿命が縮まって来るんじゃないか?それもお無事に帰れたらの話だが…。前までの俺なら『メギドラオン』なり『回転説法』して一瞬で全滅させることが出来ただろうに…。もしくは仲間の力を借りて…。

 …仲間。

 

 

「囲まれている中デ考え事トは、ずいブン余裕ネ?」

 

 

 特別捜査隊、あの基地の仲間たちの顔が脳裏に浮かぶ一瞬の隙。目の前を、あの凶悪な顔の艦載機の口部分が赤く光る。なんとなく俺を嘲るように見えた。

 たった一人で、調子に乗るからだと言わんばかりに。                    

 

 

 

 

 

 

 

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 私の護衛要塞が容赦無く、目標の男に向かって爆撃をたたき出す。先程まで浴びせ続けた魚雷と合わせたなら普通の艦娘ならこれだけでも大破、最悪の場合轟沈してもおかしくないだろう。が、油断はできない。報告によれば人間の癖に戦艦以上にしぶとい生命力を持っているらしいからね。

 それもこれも全て、あの男の中に眠っているという『力』がそうさせているのだろう。報告だけで詳しくはよく解らないが、本来なら普通の人間であるらしいあの男が、普通の艦娘や深海棲艦を凌駕する程の力…恐らくはさっきから突然出てきたり消えたりしている長身の怪人が、関係しているのだろうが…本当に興味深い。真っ向から戦えば我々『姫』…下手をすれば『水鬼』ですら手を焼きそうな単体での戦闘力。その戦闘力によって、この海域を占領していたeliteの部隊が悉く壊滅。あのレ級ですら捕獲に失敗し、逃げ帰りもした。素晴らしいが…恐ろしい。そしてその力が、我々の『悲願』を遂げるための鍵になるのだと…。

 まあ、しぶといならしぶといで、それはそれで好都合なのだが。何せこちらの目的は『轟沈』ではなく『生け捕り』。これまでに散々嬲り殺して葬って来た艦娘共のようにもしうっかり殺したりすれば、我々の『悲願』が文字通り水の泡と化しかねないのだから。いくらあのレ級が『必要な物』の『ほとんど』を持ってきたからと言って、『全部』ではない。我々の目的のためには欠片も残してはならない。もし奴を殺すのであれば、奴の中にあるものを全て吸い尽くしてからだ。

 

「PTはいつデモ次の魚雷ヲ放てる体勢デ待機。ただし殺スナよ。せいぜい動けナイように手足をフっ飛ばす位に留メテ置け。羆を仕留めるマタギのヨーニ」

 

 数十M先の奴の周囲にいる小鬼群に、そう指令を出す。これで奴がどんな動きを見せようとも、あのように小鬼共に囲まれた状況下ではどうする事も出来ない。すぐに達磨のヨーニして終わりだ。

 確かに奴の力は得体が知れなく恐ろしい。まともにぶつかり合うのは危険だ。だからこそこの状況を作り出すのに部下を使ってあの男をできうる限り調査した。時にはeliteやflagshipの部下の命まで使って…そして本来、息も絶え絶えな艦娘基地を潰すための前線拠点であるこの『キス島海域』までおびき寄せ、わざわざ別の海域の小鬼共まで引っ張り出し、あの男を包囲。ただでさえ砲撃を当てにくい小鬼共相手に、あの男は艦らしかぬ薙刀をわざわざ武器に選んでいるから相性は最悪だろうと踏み、さらには基地に残っている艦娘共の状態や、この男の特性や思考や性格までも考慮して、高い可能性で単体で来るように仕向けた。そして、その目論見は見事に大当たり。後は数に任せて相手一人を一気に押し潰すという事をあえてせず、むしろ相手の行動を封じるようにじわりじわりと攻め続け、慎重に立ち回るだけ。事前に奴の攻撃方法も調査済みだから、どのような攻撃にも可能な限り対策を立てて、そして現在に至る…。

 計画通り…まったくもって計画通りだ。今目の前に広がっている光景は、私の明晰な頭脳によって作り出された『過程』と、計画を現実に移すだけの実力によって、掴み取った『結果』なのだ。そう思うと笑みが零れる。自分の予想が当たる瞬間というのは本当に心地いいわぁ…。

 …唯一の心残りといえば、いつも我々を小馬鹿にした様子で見下していた、あの『レ級』の歯噛みする顔が見れなかったという所か。今のアイツは先日の任務に失敗して帰還してから、頭のネジを十本くらい無くしていてキチ○イのように喚きたてているからな。あの様子では会話どころか、自分が何者かでさえ、分かっているのかさえいるのかどうかだ。なにしろまともなコミュニケーションも取れないから、どうしてあんなふうになったのか謎だが、まぁ…恐らくあの男に何かされたんだろうけど。今頃また『ユ゛ウ゛っッ!』だとか『ぜんぱいッッ!!!』だとか訳の分からない事を喚きながら暴れて、取り押さえるのに何体ものflagship達が犠牲になっているのだろう。ぶふっ…思い出しただけで笑える…。白目剥いて泡拭いたあの顔と来たら…仮に正気を取り戻した後、自分の手で目標を捕らえられなかったことを知ったら、どんな顔をするか…。二重の意味で楽しみだが…。

 

 

 

 

 

 

 

 

『オメエと組んで、『ワイルド』を捕らえろダと?俺が…お前ト?』

 

『…そうダ。貴様が言ってイた例の男、艦娘共の襲撃によって弱っているらしいじゃないか。もし捕らえルトしたらこのタイミングをおイて他にナい』

 

『……………』

 

『…貴様の事はいけ好かナいのは確かダ。『その体』ヲ与えてやっタ恩があるにも関わらず、他の『姫』や『水鬼』を軽んじ、勝手な事ばかりしテイるお前ハ気に入らナイ…。しかし、お前の実力ダケは認めているノダ。ココは『姫』である私トお前と組んデ『目的』確実に…』

 

『…ぶっ…アーっハッハッハッハッ!!!!!』

 

『…何がオカシイ?』

 

『クックック…アー笑えル…。どうしテ大魔王を倒しに行くのに、村人Cを連れて行かなくチャならナイんだヨ?』

 

『っ!?何だト!!??』

 

『実力を弁えロヨ?その辺の雑魚艦娘共の艦隊を、ぶっ潰スのとは訳が違ウンだ。テメエが来てモ足手纏いダヨ』

 

『…『姫』であル私が、力不足だトデモッ……!!??』

 

『ハンデ付いた状態のあの『ワイルド』ですラ、テメエ如きナンか相手になんネえヨ。もし力奪う前だったラ、20秒ありゃテメエを八枚におろしてモ、釣りがくルナ』

 

『っっ!??』

 

『というわけデ、てメえミテえな雑魚が来ても邪魔だカラ、大人しく留守番してロ。私ト、昨日深海棲艦に『堕としてヤッタ』あの重巡と空母だけで十分ダ…』

 

『……『姫』である私を愚弄するカァ!!レ級貴様ァァァァぁぁぁぁ!!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

『…分んネー奴だナー…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………っ」

 

 

 ギリリ…と強く歯を噛みしめる。このまま歯が欠けるか折れてしまうのではないかと思う程に。先程まであった愉悦が油まみれになり、ぶすぶすと黒い炎が燃えていくのを感じる。

 レ級め…貴様にこの光景を見せてやれないのが本当に残念だ。貴様のいつもヘラヘラした道化師みたいなその面が、恥辱と怒りで染まった顔を見て溜飲を下げる事が出来ないのが本当に残念だ…。 

 あの向こうで無様に倒れ伏しているあの男が、『姫』である私以上だと?無礼な汚らわしい嘘つきの糞戦艦め…お前ガやけに肩を持っていたあの男はあの様だ。所詮ただの人間。奴があんなふうになったのは大方、奴の性格が災いして何か大きな油断をし、そして無様にあの姿になったに違いない…。

 見ていろ…芋虫みたいに打ちのめされたあの男の体を正気を失った貴様の前に晒しだして、高笑いをあげながら今度はこちらが嘲り、お前を見下してくれる。そしてあの男が用済みになって処分した後に…。

 

 

 

 

「レ級、次はお前「……『ブレイブ・ザッパー』」を……!?」

 

 

 左の肩から、右の腹にかけて熱い何かが素早く這っていく感覚。そして飛び散るように視界に映る、開花した花のような青い飛沫…遅れてやって来る痛み…。

 目を大きく見開き、視線を上にあげる。焼け焦げだらけの服、切り傷と打撲だらけの引き締まった体、銀に近い灰色の頭髪、そして…。

 

 

「頭の中の妄想に気を取られたままでいいのか…?間抜け」

 

 

 突き刺さる深海よりも冷たい視線。何故かいもしないはずのレ級に言われたような…忌々しい声。




金剛「ヘイ提督ゥ、目障りだから近寄らないで下サーイ。というか消えろ」
榛名「なんで榛名が、貴方みたいなゴミとケッコンカッコカリしなきゃいけないんですか?寝言は寝てから言え」
鳳翔「食事?生憎豚以下の人間に作る食事はありませんが?お願いだから店に来るな」
鈴谷「キモイ。視界入らないでくれる?」
夕立「魚雷撃ち込まれたくなかったら、さっさと鎮守府から消えろっぽい」



番長「お、おれの今回の話で受けたダメージはこんな感じだ…だ、だからまだ大丈…」


赤城「提督、資源を3万ほど食べましたが問題ないですよね?」
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