惑星機構 MECHANIZERD 作:アルファるふぁ/保利滝良
関係ないけど、人間って脊椎動物でしたよね?
ホープディストラクターはドアを蹴破った ドアの向こうには何人かの屈強な男たちがいた
しかし男たちはいきなりの出来事に一瞬固まっている
それが命取りとなった
「うわっ」
ディストラクターは男の一人の首に右手を、肩に左手を乗せた 絞殺などという当たり前なやり方はしない
その男の頭は、体から引っこ抜けた
怪力に任せ、ディストラクターは頭部を背骨ごと抜き取ったのである 生首から垂れた、血の付いた背骨の先端が揺れた
「ぎゃああああああ!!?」
「化け物だああああああ!!」
同僚が惨殺された それも一瞬で
背を向け、その場にいた基地の警備員は皆逃げ出した
「つまんねェ」
首のとれた体と、体から取れた首を後ろへ放り投げ、ディストラクターは歩き出した
辺りに、血が飛び散った
ドアをまた蹴破った その部屋には銃を持った警備員がいる 三人が銃口をディストラクターに向けている
彼はその時、とてつもなく狂った笑みを浮かべた 恐らく、楽しめると踏んだのだろう
マズルフラッシュが部屋を照らした
体を僅かにずらし、銃弾を次々と避け、そして兵士の目の前へ
ヘルメットに向けて握り拳を突っ込む
粉々に砕け散った頭部を守るための器具 ヘルメットを貫通した拳は、兵士の鼻面へ
パチンコで飛ばされたかのごとく吹っ飛んだその兵士は、壁にぶつかり崩れ落ちた とんでもない音が、壁と彼が接触した瞬間に鳴っていた
マズルフラッシュが続けて出現した
兵士達はあえて味方の様子を確認しなかった 油断したら確実に殺られるし、もう死んだことは簡単に予想できたから 実際、殴られた兵士は首を真後ろへ折って息絶えている
腰を落とし、中腰ぎみで疾走 ディストラクターはちょうど二人の兵士の間に入り込んだ
ヘルメットと防護服に守られていない唯一の場所に、手刀を片手で二人に振った
二人の兵士の喉から、勢いよく血液が噴出する そのままへたり込み、その二人は動かなくなった 喉は相変わらず噴水状態だったが
「出ーてこーいよォ」
近くに停めていたメカニザードに乗り込み、ホープディストラクターは引き金を引きまくる
銃弾は着弾地点を抉り、瓦礫を生産していく
が、あえて格納庫には傷を付けなかった
格納庫から、驚異の侵入者を迎撃するべく一機のメカニザードが出てくる
その右手には、通常より明らかに大きい銃が握られている
「よくも散々暴れまわりやがって!」
「待ってたぜェ?テメエをよォ・・・ククカカカッ」
凶悪に笑い、ディストラクターがメカニザードを動かした
基地のメカニザードが、銃の引き金を引いた しかし銃口はディストラクターの方へと向いていない
弾はあらぬ方に飛んでいく
が、銃弾の進行方向は真っ直ぐではなかった
突然発射された銃弾が、曲がった その進む先は、ディストラクターのメカニザード
「終わりだッ!」
直撃は、免れない 曲がる弾を避けられようか 空気を切り裂き、弾が、目標へ突き進む
そして、その弾は、メカニザードの胸部を狙っている
曲がった銃弾が、命中
「そおりゃ」
しない
ホープディストラクターは銃弾を、メカニザードの持つ両手剣で切り払った
真っ二つになった弾が、運動エネルギーを失い地に落ちる
後から来る他の銃弾を、袈裟斬り横斬り突き上げ大上段からの降り下ろし 全て弾く
「避けられねェなら、防えじまえばいいだろ?」
「ば・・・馬鹿な・・・」
あっさりと、まるで魚は海にいると言うかのように、ディストラクターは言い放った
全弾、発射
無数の弾丸は曲がり、複雑な機動を描き、黒いメカニザードへと殺到する
「手品にしちゃ、良くできてたぜェ?」
銃弾を、銃弾で、落とす ダーツの要領で、銃を弾に向け、撃つ
命中、曲がる弾は、またまたあっさりと防がれた 地に落ちる弾丸
しかし、まだまだ弾は飛んでくる
「シャアッ!!」
切り払い
剣は銃より強し
刃の軌跡が銃弾を切断 そして、叩き落とす
もう、弾は、曲がりもしなければ飛んで来もしない
「なんなんだコイツは!?」
残弾ゼロの銃を持った手を振り回すメカニザード
「来るなああああああ!」
しかし無意味だ
銃を構えたディストラクターのメカニザード なんの躊躇いもなく、撃つ
曲がりもしない銃弾は、手品師を轢き潰した
「皆、ご飯ですよ~」
シスターが大きな鍋を台車に乗せて運んでいた その隣に、一人の男はいた
ホープディストラクターだ
シスターは、チルドレン星で争っている三勢力の一つの基地から、孤児達の生活費を借りていた
しかし返すあてもなく、利子だけが大幅に貯まった
そしてその基地は、強力なメカニザードを開発しているという噂があった
それをシスターから教えてもらったマーカスは、すぐにディストラクターに伝えた 交渉は成立した
(ん?)
彼はただその新型と戦いたいだけと、マーカスに言っていた しかしマーカスは見逃さなかった
「シスター、おかわり」
「はい、ホープさん」
二人の仲が異様に良いことに
ホープディストラクターの目付きが、シスターと一緒にいるときだけ僅かに柔らかくなっている あくまで僅かにだが
スパゲティを皿に乗せ、ディストラクターに手渡すシスター 爽やかかつ麗しいその笑顔
「ああ、サンキュ」
にやけながら、マーカスもスパゲティを頬張った
後日、マーカスは基地における戦闘の映像を見て吐いた