予告はしていましたが…あっまい…
調味料の塩と砂糖を間違えてしまった時の料理並に甘いです
そして料理番組とか出演してる人が、味を言葉で表現してるのを執筆中改めてスゲェと思った
「か、完成しました!」
ホワイトソースの作り直しという大幅なタイムロスをやってしまったアリサさんのシチューがなんとか作り上がった
よかった…これでなんとか4人分…ん?
4人…分…?
…!!!
「わーい!じゃーこれで皆作れたよね?早速味見を…」
「…ちょっと待って下さい。エリナさん…?」
ヤバい…
私、自分の分作ってないじゃん!!!
「…材料は…まだあるのか?」
いち早く状況を察してくれたリヴィさんが食材を確認してくれている
「…ホワイトソースに必要なものが若干足りない…かも?」
ナナさんがポツリと呟いた言葉に、アリサさんの顔が青ざめた
慌ててムツミちゃんの元へと向かうが、やっぱり食材が足りない
具体的には牛乳が…
どうやらあるグループで壮大にアイスクリームを作った際に、大量の牛乳を使ってしまったらしい
…乳製品だし、長時間保存できる量は多くないみたいで…
「わ、私が余計なことしたから…ご、ごめんなさい!」
「だ、大丈夫です!…この余った食材を使って何か別のものを…」
…鶏肉、人参、玉ねぎ、ジャガイモ…
……カr……
いやだ!
それだけは回避したい!
「…これがあれば、極東で昔から伝えられている料理…【肉じゃが】が作れるかも…鶏肉verは見たことないですけど」
責任を感じて必死に考えてくれているアリサさんの意見に食いつく
「それだ!レシピとか、ありますか!?」
「え?は、はい!持ってきます!」
「よし…大丈夫」
肉じゃが…作ったことなんてもちろんないけど…落ち着いて作ればいけるはず!
アリサさんがダッシュで取ってきてくれたレシピに目を通しながら、私は一度深呼吸をする
さきほど手元にはなかった必需品の食材も、なんとか調達できた
時間はもうあまり残されてないので、調味料は【麺つゆ】で代理
【しらたき】とか【インゲン】も入れるといいらしいので、とりあえずムツミちゃんに頼んで用意してもらった
「…あれ?なんかエントランスの方から音が聞こえない?」
女性陣のうちの一人がポツリと呟いた言葉が妙に大きく聞こえて、焦りで冷や汗を浮かべる
…うそ…まさかとは思うけど…
「誰か帰ってきたのかも…」
一応ラウンジの入り口には『無断で入室してきた男の人は、血を見るので気をつけてね☆』って書いた張り紙(カノンさんの戦場写真付き)が貼ってあるのでおそらく大丈夫だとは思うんだけど…
…いや…落ち着けエリナ…周りの音に惑わされるな…
集中して…集中…しゅうちゅ…
『いやー、流石に今回は骨が折れたぜ。なぁ隊長さん』
『まったくですよリンドウさん。俺なんかエイジスで感応種複数体とソロですよ?』
『おいおいそりゃひどいなぁ…よし。今日は俺が一杯おごろう』
この声は…
リンドウさんと…せ、先輩!?
うそでしょ!?
なんでよりによって…
出入口から近い場所で作業していた私達のグループには、エントランスでの会話が扉一枚越しにほとんどはっきり聞こえてくる
『えー?でも俺まだ未成年ですよ?』
『おっと…そうだったっけか?んじゃーあれだ。牛乳とかでいいよな。背伸びるぞ』
『いや別に身長伸ばしたいわけじゃないんですが…エリナとのバランス考えるとこれぐらいがちょうどいいので』
『帰還早々ノロケか?それなら俺も負けてないぜ~?』
『あっ、そういえばリンドウさん子供の方は…』
………
だ、だめだ!
あの二人の会話が気になっちゃう!
てゆうか先輩が私のこと話題に…///
あと牛乳はもうないんですごめんなさい!
「エリナさん!頑張ってください!」
「そうだよエリナちゃん!頑張って隊長においしい手料理ごちそうしてあげようよ!」
…ハッ!
シエルさんとナナさんが動きが止まってしまった私に激励を送ってくれる
…そうだ。仕事帰りで疲れてる先輩に、手料理をごちそうしてあげるのが本来の目的だもんね!
頑張らないと…!
「私達も調理を手伝ったほうがいいのかもしれないが…それでは意味がないんだろう?」
「レシピを読むぐらいならいいですよね!?エリナちゃん!疑問に思うところがあったら聞いてください!私が読み上げます」
一人で手作りすることに意味があるのをわかっているリヴィさんと、それでもやはり原因が自分だと思って責任を感じているアリサさんが、最低限の手伝いをしようとしてくれていた
「みんな…ありがとう…うん。わたし、絶対美味しい手料理を先輩にごちそうしてみせる!」
~エントランス~
「ところでお前さんら、一体どこまでいったんだ?」
エントランスにあるソファにどっかりと腰をおろしながらリンドウさんが配給された缶ビールを一つ、爽快な音を立てて開封しゴクゴクと喉を鳴らす
一瞬ラウンジに入りそうになってしまったのだが、入り口に今朝の段階ではまだなかったはずの不吉な張り紙を発見
しかも笑顔でこちらにブラストを向けるカノンの写真付きだったので、流石のリンドウさんも入室は断念したらしく自室に保管してあるビールをここまで持って来ていた
「どこって…外部居住区ぐらいまでしか任務外だと行けないですからねー今のご時世。後は聖域ですかね?」
「…あー…いや、そういう意味じゃーないんだが…まぁいいか」
…?
どうやらリンドウさんの期待していた答えではなかったらしく、苦笑いしながらビールを飲んで誤魔化されてしまった
「とにかく、子持ちの親としてお前さんにアドバイス出来ることもあるかもしれん。困ったことがあったら是非聞いてくれ」
「あはは。流石にそれはちょっと気が早いですよ」
…とかなんとか言いながら、俺はエリナの子供だったら彼女に似てカワイイんだろうなとか、考えてしまっていた
…自分で言うのもあれだが、ほんとに惚れ尽くしているというかなんてゆうか…
ガチャ
「お?」
ラウンジの入り口から人の気配を感じて振り返ると、ムツミちゃんが笑顔で扉を開けていた
「リンドウさん!たいちょーさん!もう入ってもいいよ~!」
おぉ!
待ってましたぁ!
エリナがたb…エリナの手料理が食べられるぞ!
「今日はみんないろんな料理作ってくれたから、好きなのものを晩御飯として食べてもらおうかなって!」
なるほど!
それはいい案だ!
エリナが作ったものは、全部俺が頂いてやるけどな!
~再びラウンジ~
「おぉーウマそうな匂いだなぁ。これ、先着順で食べていっていいんだよな?」
リンドウさんがラウンジに入って周囲を見渡す
「どうぞー!」
「そんじゃー隊長さん。またあとでな」
ヒラヒラと手を振って彼が奥の方に歩いて行くのを見送りながら、俺はエリナの姿を探していた
「んー…お?いたいた」
ほとんど入り口に近い場所で、ブラッドの女性メンバー+アリサさんと共にいる最愛の彼女の姿を発見
「おーい!エリナー!」
「っ!あ…せ、先輩…///」
俺が近寄っていくと、エリナの顔は徐々に赤みを帯びていき最終的に俯いてしまった
…うん。かわいい
しかもプレゼントしたエプロンを着てくれているとは…
感極まる!
「いやー腹減ったー!今日はこれだけが楽しみで仕事してたんだぜ?」
思わず抱きしめてしまいそうになるのを、ぐっと全身全霊の力をかけた理性で押しとどめ、頭を撫でるぐらいに押しとどめておく
「そ、そんなに期待されてると…ちょっと緊張しちゃうな…」
照れ笑いする彼女の表情を見ていると、なんだかそれだけでただのライスでも10人前ぐらいいけちゃいそうな気がしてきた
だから何も問題ない!
「…えと…これ、どうぞ」
エリナが取り出したお椀に盛られていたもの…
なんだろう?
「これは…?」
「【肉じゃが】っていう極東で昔から食べられている料理みたいなんだけど…」
なるほど!
肉じゃが…
食ったことないけど、エリナが作ったんだ
旨いに決まってる!
「それじゃー頂きます!」
「えっ!?ちょ…ちょっとまって先輩」
恥ずかしいのか、彼女は慌ててオロオロし始めるが、もう遅い!
机の上に備えられていたハシを持ち、【肉じゃが】を口に入れる
…こ、これは…
じゃがいもがふっくらと口の中で溶け、その上に人参の甘みがひろがり…旨い!もう一口!
今度は肉中心に…
「…もぐもぐ…」
…鶏特有のしつこくない脂身が料理の味を引き立てていて、玉ねぎとインゲンでリフレッシュ
自然にハシが進んでしまう
しらたきの歯ごたえも飽きを感じさせないでグッドだ!
…うん
とりあえず旨い!
これはうますぎるぞ!
マジでライスが欲しくなる旨さだ!
「エリナ!これスンゲーうまい!」
ゴクリと口の中にあった分を飲み込んでから満面の笑みを浮かべるが、彼女は少し不貞腐れた表情を浮かべていた
…あれ?なんで?
「…もう…先輩慌てすぎ」
「いやー、だって腹ペコの状態でエリナの手料理を目の前に出されたら、それはもう飛びつかないわけにはいかないだろ?」
「そう思ってくれるのは嬉しいけどさ…ちょっとやってみたいことがあったのに…」
なに?
やってみたいこと?
「あれ?そうだったのか?スマンスマン。今からでも間に合うか?」
「…うん…けど、ちょっと恥ずかしいから…こっち来て」
俺の手を取って椅子のある場所まで向かうエリナ
…まぁ、今回のイベント的にラウンジで完全に人目を避けられるところはないんだけどな
「…あのさ。私達完全に眼中になかったね」
「仕方ないさ。うちの隊長はほんとにエリナに夢中のようだからな」
「そうですね~…」
「よし…私もこれで…いつか…」
背後から聞こえたシエル達の会話に声ぐらいかけるべきだったかなと思ったが、やっぱりエリナの手料理の魅力には敵わずあとで皆には挨拶することにするのだった
「…で、やりたいことってのはなんだ?」
椅子に腰を下ろしながら、肉じゃがを一旦机の上に置きエリナの方を振り向く
彼女も俺の隣に座ると、備えられていたハシを自分で持った
…もしかして味見?
でもそれは恥ずかしいことではないよな…
「…あ、あ~ん…」
………
ハシで料理をつまみながら、それをこちらに持ってきて喋るエリナの行動に目が点になる
…あ~ん?
…え?それってもしかして…
「………っ///」
いつまでも行動を起こさない俺に恥ずかしさが頂点に達したのか、顔を真っ赤にしたまま彼女はとうとう自分の口に料理を運んでしまった
「…おいしい」
もぐもぐと口を動かしながら、若干不満の残る赤面でこちらの様子をチラチラと伺ってくるエリナ
…なんだこのカワイイ生き物は
「エリナ。もう一回やってくれ」
「えっ!?…う、うん…!」
真剣な表情でそう言えば、とたんに笑顔でもう一度肉じゃがをハシでつまむ
「はい!あ~ん」
「あーん…んむっ」
口に含んでいる物は自分で食べた時と変わらないのだが…
なぜだかそれの数倍はおいしく感じる
…あ
「…そういや間接キス…」
「…あっ!…///」
俺の言葉にますます照れるエリナが、あたふたと視線を泳がせるのをニヤニヤ見守りながら自分のハシで料理を取った
「んじゃー今度は俺の番だな♪エリナ~、あ~ん…」
「あ…あぅ…///…あーん…」
エサを待つひな鳥の様に小さく口を開けて、瞳まで閉じてしまった彼女にそっと料理を運んであげる
「…んっ…」
慌てて咀嚼して、そっぽを向く様までかわいらしくて…
「エリナ。お前かわいすぎ」
「なっ…!い、いきなりそんなこと言うなんて…ふ、不意打ちすぎ…///」
「すまん。つい本音が」
「っ~!!!」
イチャイチャと肉じゃが一つにものすごい時間をかけて食事をしていたら、いつの間にかほとんどの人が帰ってきていて…
「なぁ、あそこだけなんかすんっっっっっごい熱いんだけど、なに?なにがあったの?」
「…俺に聞くな」
コウタとソーマさんが近寄りがたいとでも言いたげな雰囲気でこちらを見ながらヒソヒソと話している声が聞こえ…
「おいロミオ。しっかりしろ」
「…ギル…ジュリウス…あとは…任せた…ぜ…」
「もう少しの辛抱だ。見ろ、美味しそうなカレーがある」
ブラッドの男性陣が満身創痍で(主にロミオ先輩が)ジュリウス先導でカレーの元へ向かうのも…
「ヒバリちゃん。俺達も何か熱いものを…」
「はいどうぞタツミさん♪アッツアツのコーンポタージュです」
「え?ちょ、それは洒落にならなあっつ!!!」
タツミさんとヒバリが仲良く(?)している様子も見えた
やっぱりこれだけ人目がある場所では、少し控えたほうがいいかな?
と、流石の俺も思ってしまったが…
「…えへへ…」
満面の笑みで満足そうに料理を頬張るエリナを見ていると…
うん、まぁ無理だな
そう確信してしまうのだった
「あ、そういやエリナ。俺、メインディッシュが食べたいんだけどさ…」
END
最後にタツミを持ってきたのは、若き日の彼が主役の連載漫画が始まるらしいからです!
地味な応援…w
そしてそろそろ1日1話更新はきつくなってきたな…(ネタ的に)
でもまだまだ終わるつもりはありませんよ!