しかし、分配しくった感半端ないですごめんなさい!
射的長すぎたんやほんと…反省
焼きそばにたこ焼きに焼きジャイアントトウモロコシと、いかにも夏祭りといった感じの食べ物屋に片っ端から手を出すエリナ
「せんぱい…私もうお腹いっぱい」
彼女はお腹をさすりながらにこにこと満足げに微笑む
そりゃあれだけ食えば当たり前だ
「そうだな、そろそろ食い物関連はいいだろ」
正直俺ももう厳しい
エリナだっていつもはそんなガツガツ食べないくせに、その小さい体のどこにあんなたくさん入るってんだ
「う~ん、でもまだ食べてないものがいろいろと…」
ちらちらと今度は綿あめやりんごあめやかき氷等、食後の甘いもの系といった食べ物に視線を迷わせるエリナを見て、俺はにやりと口角が上がるのを抑えられなかった
「くくく…」
「あ!なーにイヤらしい笑い浮かべてんのよ!」
それに気づいた彼女がすかさずジト目で睨んでくる
「いんや、可愛いなぁと思ってさ」
「な、なにそれ…///」
そうやってそっぽを向いて頬を染める仕草は何度見ても眼福である
「ま、食い物全制覇するにしても、いっぺんに食べる必要はないだろ?他のところも見てまわろうぜ」
「あ…う、うん!そうだね!別に全制覇しようなんて全然これぽっちも考えてないけど、小腹がすいてきたらまた寄ればいいんだよね」
何強がってんだよそんな輝く瞳で屋台の方を見て
俺嫉妬するぞ
「あっ!金魚すくいだって!私金魚って初めて見るかも!いこ!」
と、思ったらすぐこれだ
まだまだ元気が有り余ってるみたいだな…
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金魚すくいの店ではまず俺から挑戦したのだが、いかんせんこれが思っていたよりだいぶ難しい
ポイの紙がすぐ破れちまって、残念ながら1匹も捕まえられなかった
まぁしょうがないかと、あまりこだわりのない俺は後ろで控えていたエリナを振り返ってみたのだが…
「任せて先輩!射的の時の恩!今返すから!」
そこには腕まくりまでしてやる気まんまんの彼女の姿があったのである
どうやらエリナは俺が失敗しているのを見て学習したようだ
狙いを済ましての素早い一撃で金魚たちを次々と手持ちのボールの中に放り込んでいた
鮮やかな手さばきに素直に感心し、思わず拍手してしまったほどだ
「おぉ…すごいな」
「ふふん!まぁね!」
手渡された袋の中を所狭しと泳ぎ回る金魚達を自慢げにつき出してくる彼女の頭をよしよしと撫でてやる
「けど、こんなに取ってどうすんだよ?」
「えへへ…先輩にあげる!」
あ…うん
ありがとね?
とっても嬉しいよ?
「でもこれ、祭り終了の時までにはちゃんとここに返してやる決まりだからな?勝手に持ち帰ったりしたらダメなんだぞ」
屋台の隣に設置してあった金魚型看板の注意書きを指差して釘を刺しておく
この純粋無垢な笑顔を浮かべているのを見ると、ここ読み飛ばしてる可能性がめっちゃ高い
「え…あ、あはは!わかってるって!金魚はお祭りの間だけ!」
引きつった笑みを浮かべて声を震わせるエリナが俺はちょっと心配だ
部屋に帰ったら金魚鉢が置かれてるなんてことないように願うよホント
「そんなことより先輩!隣にヨーヨーすくいがあるから今度はそれやろ!あれなら持ち帰れるよ!」
「ちょ!まてまて!やるのはいいけどその荷物!俺が持っててやるから!」
カタカタと走り出すエリナを追いかける
両手がくまの人形と金魚の大群でふさがってるのにどうやってやるっていうんだ
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そんでまぁ、ヨーヨーすくいが終わる頃には空も暗くなってきていて、景品の方も予想通り彼女が大量ゲットしていたわけで
え?俺?残念ながら今回もいいとこ見せられずじまいだよ
「私、もしかしたらこういうの得意かもしれない」
くまの人形を抱きしめながら、エリナは俺がもつ金魚とヨーヨーを交互にじっと見ていた
「そうみたいだな…やれやれ、器用なんだか不器用なんだか…」
「むっ!不器用じゃないもん!」
荷物は全部持ってやると提案したのだが、あの人形だけはどうしても手放したくないらしい
先輩が私のためにとってくれたからとか可愛いこと言うもんだから、そこは素直に頷いてやった
「はいはい。わかったから、ちゃんと前見て歩けって。危ねーぞ」
ふらふらと後ろ歩きで俺の顔を見上げる彼女が心配で注意する
ただでさえ慣れない履物つけてるわけだし
「だーいじょうぶっ…!?」
ガクッ!
「あぶなっ!」
何かにつまづいたのか、バランスを崩して転倒しそうになったエリナの腰に腕を回して、なんとか支えることに成功する
「ほらみろ言わんこっちゃない」
「あ…ありがとう…」
なんとか水ヨーヨーも金魚も潰さずにすんでよかったよ
…いや、ヨーヨーなら割れて水浸しになるのもそれはそれd…おっと
今はこんなバカな考えに耽っている場合じゃないな
「立てるか?」
「う、うん。へいk…っ!」
俺の腕を支えに立ち上がろうとしたエリナだったが、カクンっと膝をついてしまった
「おいどうした?まさか怪我でもしたのか!?」
「あ…あはは、ちょっと足捻っちゃったみたい」
「なに!?」
座り込む彼女の足首を慌てて見ると、確かに若干腫れていた
「で、でも大丈夫だよこれぐらい!」
「バカ言うな。お前もここじゃー普通の人間なんだ。無理すんじゃねぇ」
迷わず手を取り肩を貸す
とたんにさっと赤くなる頬が視界の隅に映った
「は、恥ずかしいよ先輩…」
「不注意の罰だ。しばらく我慢しろ」
「うぅ…ごめんなさい…」
周囲の視線を一身に浴びながら、エリナは頬を染めたまま俯いてしまった
しかし、この状況でも人形だけは手放さないのはなんというか嬉しくもあるのだが…
「その人形、そんなに嬉しかったのか?」
「当たり前でしょ!」
「そう断言してくれるのは嬉しいけど、体の方も大事にしてくれよな」
「あ…う、うん。わかった…ありがと」
俺の心配が伝わったのか、エリナは素直に頷く
こんな些細なことでも、お前になにかあって欲しくないんだよ
「…お前にもしものことがあったら俺は」
ドンッ!
「え!?なんの音だ!?」
その状態のまま、どこか休めそうな場所がないか探して歩いていた俺達の耳に、上空から突如腹に響くような大きな音が聞こえた
周囲の人も何事かとザワつき始める
慌てて星明かりに照らされている夜空を見上げるが、特に変わった様子は見受けられない
しかしなんだろう
あの音は聞き覚えがあるぞ
確かナナの新作スタングレネードを試した時に
ドンッ!
ふたたび鳴り響く音と、先程は祭りの明かりで気付かなかったわずかな閃光
「あっ!」
エリナが声をあげる
空を見上げたままだった俺達には、その正体は容易に認識できた
「花火か!」
ドンッ!ドンッ!
最初の数発は試し打ちだったようで、次第に音や光のバリエーションを増やして次々と打ち上がる花火
祭りに来ている人達の歓声もすごかったが、それを打ち消すほどの迫力があった
「すごい綺麗だね!先輩!」
周囲の音にかき消されないよう耳元で喋るエリナに、俺もちゃんと聞こえるよう振り向きながら返事をする
「ああ!こりゃーすげーや!」
「…ねぇ、あそこいこ。七夕の時の」
肩に回された腕に力が込められるのを感じた
ほほーう…二人っきりで見たいってか?
いいぜもちろん賛成だ!
「任せろ!そしたらこんなゆっくり移動してたら花火が終わっちまうぜ!エリナ!おんぶと肩車とお姫様だっこ好きなやつ選べ!」
一旦彼女を離して目の前に移動しニヤニヤしながらそう聞いてやる
「え!えぇ…じゃ、じゃー…えっと…お姫様だっこで…お願い」
「お…おぉふ…」
え…マ、マジ?
一番予想外な答えきちゃったよ!?
「な!なに自分から聞いておいて照れてるのよ!何回もやったことあるくせに!」
そっちだって顔真っ赤だぞという反論は置いておいて…
今は時間がねぇんだ
「わ、悪かったな!それより急ぐぞ!まずは救護施設でお前の足なんとかしてもらって…」
「それはあとにしよ!花火終わっちゃうよ!」
「え?いやでも怪我…」
「いいから!花火終わってから行くの!わかった!?」
半ば強引に腕の中に飛び込んできて無理やり体を預けると、そのまま俺をじっと見上げる
あぶねぇぞヨーヨーと金魚潰れっぞ
「さ!急いで先輩!」
「…はぁ、仕方ねぇ。わかりましたよ」
まるで本物のお姫様みてぇだなまったく…
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「ついたぞ…ふぅ」
エリナと荷物に負担がかからない程度での全速力で来たかいあってか
まだ花火は続いていた
祭りの喧騒はだいぶ小さくなっていたが、花火の迫力ある光と音はここでもなんら変わりない
むしろ周りが静かで暗い分、先程より身近に感じる
「お疲れ様!ありがとね!」
お礼を言ってその場にぺたりと座り込むエリナ
「あーあー、浴衣ではしたないなぁ」
「いいじゃん。先輩しか見てないんだし」
「そうかい。なら、もっとちゃんと見せろ。ん?今日も白パンかこのやろー」
「何言ってんのよもう…バカ」
しょうもない会話を楽しみつつ、俺も彼女の隣に腰を下ろした
ドーンッ!
しばらくの無言
鳴り響く花火の音と光だけが視覚と聴覚を満たす
「あのさ、せんぱい」
「どうした?」
しばらくその状態が続いたあと
ジリジリと座ったまま俺との距離を詰めながら、肩にちょこんと頭を乗せてエリナが話しかけてきた
「花火が最初に打ち上がったとき、『お前にもしものことがあったら』って言って、続き言いそびれてたでしょ?」
あ
コイツちゃっかり聞いてやがった
「ふふ…なーんて言おうとしたのかなぁ~?ねー?セーンパイ♪」
にやりとしながら顔を覗き込んでくるエリナに、俺もにやりとし返してやる
そんなんで追い詰めたつもりか?
甘いぜ!
「さぁ~てね」
「あ!なにそれ!ちゃんと言いなさいよ!」
むすっと頬を膨らませる彼女の頭を撫でながら、俺はこのあとの反応が楽しみで更に表情を緩める
「ほほぅ…そんなに言うならちゃんと言ってやるよ」
「っ…」
にやけそうになる筋肉をなんとか張って真面目な顔を作ると、エリナもゴクリと息をのんだ
なんだかんだで期待してるのが丸分かりでかわいい奴だ
「お前にもしものことなんて起こさせない」
「へっ…あ…そ、そんなの…///」
「俺がずっとそばで守ってやる!お前に降りかかる火の粉は全部俺が打ち払ってやる!だからエリナにもしものことなんてぜってぇ起きねぇ!どうだ!」
「なっ…あ…あ…せ、せんぱ…そ、それ…///」
この暗さでもわかるぐらい頬を真っ赤に染めて口をパクパクさせる彼女の様子があまりに想像通りで、俺はクックックと笑いをこらえていた
「だ、だいたいそれじゃーさっきの出だしと辻褄が合わないじゃん!」
「いいんだよ。さっきのはもう忘れた」
「むぅ~!」
エリナは納得いかない様子で俺を睨んできたが、今言ったことは確かに即席で考えたこととは言え嘘ではない
「だからさ。来年もそのまた来年も…もちろんそのあともずっと。こうして二人で花火を見ようぜ」
「…うん。もちろん」
ドンッ!
最後の花火が打ち上がった後も、俺達はしばらくそのまま夜空を見上げていた
END
今回は投稿ペースにしても内容配分にしても反省点が多い文になってしまいました…
くっ!精進します!