男主とエリナをイチャイチャさせる小説   作:リルシュ

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エリナちゃん誕生日おめでとー!!!
ってことでタイトルの通り彼女の誕生日話です!



エリナの誕生日

「…………」

 

誕生日にエリナからもらった銀色の指輪

起床してむくりと上半身を起こした俺は、あの日からずっと左手の薬指につけたままのそれをチラリと見る

 

今日は9月18日

 

明日がエリナの誕生日だ

 

「…ふぅ」

 

ベッドに座ったまま、彼女に渡すべきプレゼントについて真剣に悩む

 

「まぁ何回考え込んでも答えは同じなんだけど」

 

俺だけが指輪もらってる状況もおかしいもんな

こっちだって気持ちは同じなんだ

なら…

 

「プレゼントは指輪だ」

 

私と同じじゃん!芸がない!

と、怒られてしまうだろうか?

いや…あいつだって返事が欲しいはずだ

なら、俺はそれに応えなければならない

 

「おそろいにしたほうがいいよな。うん」

 

この指輪もやっぱりあの雑貨屋で買ったのだろうか?

仕事の支度をしながらも、俺の頭の中は彼女の誕生日のことでいっぱいだった

 

「おはよー先輩!」

 

「うぉ!?」

 

部屋の扉を開ければ、待ち構えていたかのようにニコリと笑顔を見せるエリナ

まぁこういうことは何度かあるのだが、日が日だ

無駄に緊張してしまう

 

「なにそんな驚いてんのよ!今日は一緒の仕事でしょ!」

 

「あ、あぁ…そうだったな」

 

クスッと笑う彼女の視線が俺の左手に向けられていることに気がつく

そこにある指輪を確認して満足そうに頷くと、手を繋いでズカズカ歩き始めた

 

「だからほら!行こ!」

 

「はいはいわかったわかった」

 

後のお楽しみのために早く終わらせたいという気持ちが言動でバレバレの可愛い彼女に引っ張られながら、俺達は今日の任務をこなしに行くのだった

 

 

 

 

バグンッ!!!

 

「ふんふんふふ~ん♪」

 

討伐し終えて力尽き横たわるアラガミのコアを上機嫌で取り出してるエリナの傍で、俺はほとんど出番の無かった自分の神機を見ながらぼんやりとしていた

任務の内容は他愛もない

ヴァジュラ1体の討伐

今の実力なら彼女一人でも問題なくこなせるだろう

そう確信できても、やはり目の届くところにいてくれないと安心できないのが惚れ込んでる証拠なのだが

 

…成長してるんだなエリナも

最初に同行した時とは比べられないほど強くなっている

あの時は目の前にしても震えて怯んでしまっていたヴァジュラ相手に、今日はそんな影を微塵も感じさせずテキパキと華麗に動いていた

思わず見惚れるほどに

大人になってんだ

指輪…つけてやらないとな

 

「先輩?どしたの?帰ろ!」

 

「あ…わりぃ、なんでもない。帰ろうか」

 

「うん!」

 

まだ日の高い空から差し込む光を受けて鈍く輝く指輪が、彼女に手を取られたことで隠される

明日にはこの手にも…

 

 

 

 

 

「それじゃー俺はちょっと用事があるんでこれで…」

 

「用事ですか?何の用事だろー?ねー?せーんぱい♪」

 

無事にアナグラまで戻ってこれたので、プレゼントの調達をしに行こうと適当な理由すら思い浮かばずそれこそ適当に離脱しようとしたら、予想通り絡み始めてきやがった

こういうところ、ホントに俺に似てきてるよなこいつ

 

「エリナの誕生日プレゼントを買いに」

 

「…なんで動揺しないの?つまんない~!」

 

予測できてれば焦ることなんてないのさ

はっはっは!

 

「ん~。そこで上目遣いで『プレゼントは先輩がいいです♡』って言われたら動揺すると思うぞ。てゆうか興奮する」

 

「ば、ばかっ!…もう…ずるいんだから」

 

ニヤリと彼女いわく、意地悪な笑みを浮かべてちょっと反撃してやればすぐさま頬を染める愛しい少女の頭をポンポンと撫でる

 

「そういうことだから、今日の夜も俺の部屋に来てくれよ」

 

「…うん。楽しみにしてるからね!」

 

笑顔で手を振るエリナに見送られながら、俺は外出許可申請を済まして外部居住区へと足を運ぶためにエレベーターに乗り込む

 

扉が閉まる直前まで律儀に視線を合わせてくれていた彼女の姿が見えなくなってから、ふぅと無意識に息が漏れた

…あれ

俺、自分で思ってた以上に緊張してるのかも

そりゃまぁ…これから買おうとしてるものの意味を考えれば緊張するのも仕方ないのかもしれないけど

 

ガタンというエレベーターの止まる音と同時にパンパンと頬を叩いて気合を入れ直す

 

「とりあえずあの店…行ってみるか」

 

エリナと何回か一緒に行くうちにすっかりお得意さんになってしまった例の雑貨屋へと目的地を決める

 

「同じ指輪ある可能性も高いし…そうだ、渡すときなんて言って渡せばいいんだ…?」

 

店の場所は足が覚えてるので、脳は既にプレゼントを渡す時のセリフ決めを行うために使われていた

 

「エリナ!これが俺の気持ちだ。受け取ってくれ…なんか普通だな…いやいや、誕生日なんだからまずはそのお祝いの言葉を…」

 

「いらっしゃいませー!」

 

「うわっ!?」

 

ぶつぶつと呟きながら歩いていたら、いつの間にか店内にいたようで、すっかり俺の顔を覚えている店員のお姉さんにニヤニヤしながら声をかけられた

 

「これはこれはエリナちゃんの彼氏さん!彼女の誕生日プレゼントを買いに来たんですねー!?」

 

しかも目的までバレてるし

 

「あ…はい。まぁ正直に言えばそうなんですが」

 

「ふふふ…あの子もあなたの誕生日プレゼントだって、このお店でゆ・び・わ!買って行ってくれましたからね~…早速付けてもらえてるみたいで私も嬉しいですよ!」

 

抜け目なく左手をチェックするとふふふと不敵な笑みを浮かべながら、どうぞこちらへと言わんばかりに手招きして店の奥へと移動するお姉さんに仕方なくついていく

聞いた話だと、この人は前にエリナから恋の相談を受けたことがあるらしい

だから彼女の恋が実ったのが嬉しくてしょうがないようだ

結果、いろいろと世話を焼きたがってるということなのだが

 

「さぁどうぞ!この指輪なんてどうですか!?」

 

小さな店内に所狭しと置かれた商品が入り組んだ通路の奥

案内された先には…

こう言ってしまうのは失礼だが、どこから調達したのか疑うほどの輝きを放たんばかりの…明らかにホンモノの婚約指輪があちこちに置いてあった

 

だが流石にまだ早いし、情けないが値札を見ても気軽に買える値段じゃない

俺は自分以上にハイテンションになってるお姉さんを慌てて説得する

 

「あ、あの~。気持ちは嬉しいんですけど、俺たちにはまだ早いかなって…」

 

「え~?どうして?だっでどーせ毎日毎日イチャイチャナニナニしてるんでしょ?お店にいるときだって、見せつけてるのかってぐらいぴったりくっついちゃって…」

 

「…まぁそこは否定しませんが」

 

「しないんかい!」

 

パシッ!といい音が聞こえてきそうな鋭いツッコミはスルーして俺は話を続ける

 

「俺だってついこの間18になったばっかりだし、エリナに至っては明日でやっと15になるんですよ?」

 

「ん…そういえばエリナちゃんもそんなこと言ってたような…あの子にも最初は本物勧めたんだけどね~」

 

あはは…

慌てて顔を真っ赤にしながら断るも満更じゃない様子の彼女の姿が目に浮かぶようだ

 

「そういうことです。本物は…来年買いに来ますよ」

 

「おぉ!?じゃー待ってますよ~!」

 

「はい。よろしくお願いします。それで実は…」

 

にやにやと肘で小突かれながら、俺は本来の目的であるお揃いの指輪を探しに来たことを告げる

 

「なるほどなるほど…お揃いねぇ…ふふふ…実はそういう希望もあると思って」

 

「あっ!」

 

いつの間に用意していたのか

じゃーんと突き出された手のひらの上には、ご丁寧にも開いた箱に指輪が入っていた

まさしく俺が先日エリナにもらったのと同じものが…

 

「あはは…なにもかもお見通しってわけですか」

 

「エリナちゃんのためだもの~。当然!…で?買うよね?」

 

「もちろんです」

 

そのまま会計へと進み改めて指輪を手に入れた俺は、ひとつ深呼吸をした

 

「ちゃーんと渡してくださいよ~?」

 

「わかってますって」

 

店を出ようとしたところにお姉さんから釘をさされて苦笑い

そこ疑われるほど俺ってヘタレに見えるのか…?

とちょっと不安に思ったが、今はそんなこと気にしている場合ではない

 

「…ケーキ。どうすっかなぁ」

 

そう

プレゼントの次はケーキだ

店を出て、買ったばかりの指輪が入っている箱を見ながらフラフラとその辺を歩きつつ考える

彼女は手作りまでしてケーキを調達してくれたが…

残念ながら俺にそんな料理スキルは備わっておらず

 

「エリナに料理教えてもらう約束してたし、もっと早く教わっておけばよかったな」

 

と後悔してももう遅い

 

「仕方ない…どっかで買うしかないか…売ってるかな~」

 

「それならオススメの店ありますよ」

 

「うわっ!」

 

外部居住区の店はあまり詳しくないしどうしたものかと悩んでいたら雑貨屋のお姉さんが背後から声をかけてきた

 

「なんでついて来てるんですか!?」

 

「んー?だってやっぱり心配で」

 

うそつけ

ただからかいたいだけだろアンタ

ニヤニヤ笑いが隠せてないんだよ

 

「…雑貨屋は?」

 

「え?だいじょーぶだいじょーぶ!」

 

ほんとに大丈夫なんですか

あとで怒られても俺のせいにしたりしないでくれよお願いだから

 

「いいから!このお店!行ってごらんよ!」

 

どこまで用意がいいのか

周辺の地図を記した紙切れを胸元に無理やり押し付けてくると、彼女は使命は果たしたと言わんばかりにドヤ顔ウインクを決めて去っていってしまった

 

「…信用はできるし、いい人なのはわかってるんだけどな」

 

まさか帰ったふりしてずっとつけてくるつもりじゃないだろうな

…冗談になってない

 

結局俺は地図にでかでかと○印で記されている場所へと向かうまでに何度も背後をチェックするハメになったのだが、彼女らしき人影は見えなかったし出てくる気配もなかった

時には曲がり角が気になってわざわざ覗きに行くぐらいのことをしていたのに

ちくしょうめ

すれ違った一般人に奇特な目で見られただけじゃないか

 

ぶつぶつと文句を垂れながらも入った目的の店は確かにあの人が勧めるだけあって、ケーキはもちろんいろんな種類のお菓子が売られているお店だった

…まさか外部居住区にこんなお店があったなんてな

それにしてもこれだけのお菓子をどうやって調達…いや、詮索はやめておこう

 

誕生日に贈るケーキを買いたいとの旨を伝えたら店員の人が快く承諾して見せてくれた一人分のショートケーキを購入

ネームプレート用のお菓子の為に贈り相手の名前を聞かれたのだが

 

「あの…それだけ自分でやりたいんです」

 

名前を書くぐらいだったら…と思って勝手なことを言っているのはわかっていたが、店員さんは承知しましたと言って空白のプレートを載せてくれた

 

「ありがとうございます」

 

「いいえ~!お買い上げ!ありがとーございますー!」

 

ケーキの箱と指輪の箱

愛する女性への贈り物二つを手に、アナグラへと帰還する

 

「さてっと…あとはプレートに名前を書いて準備完了だな」

 

例のお姉さんに後を付けられてることもなく無事に戻ってきた俺は、ラウンジでムツミちゃんに事情を話してチョコを借りてきた

作業は誰にも邪魔される恐れがない自室で行う

 

「エリナ誕生日おめでとう…あいつと同じ文面だけど…変に凝らないでもいいよな」

 

そもそもやってることが彼女と同じすぎて今更ながらこれで良かったのかと若干不安に駆られたのだが、間違ってはいないはずだと強く自分に言い聞かせる

大丈夫だ…絶対喜んでくれるさ

 

「よし…!書くぞ…!」

 

 

---------------------------------

 

 

そわそわ…

 

「先輩何くれるのかなぁ…楽しみ…」

 

自室のソファーにぐてーと座りながらもう何度言ったか分からない言葉をぼんやり呟く

無意識のうちに左手の薬指へと視線が動いた

 

「…………欲しいな~」

 

時計を確認しても、まだ夕方と言える時刻

部屋を訪ねるのは早すぎるのだが…

 

「んんん!!!もう我慢できない!」

 

バッ!と立ち上がって私は部屋を飛び出す

先輩だってもう流石に準備済まして帰ってきてるよね!

いいよね!

部屋行っても!

 

ドキドキと期待と緊張で跳ね回る心臓に手を当てながら、私は乗り込んだエレベーターの中で少しでも落ち着こうと深呼吸する

 

いけないいけない

これじゃー先輩と同じじゃない

落ち着いて落ち着いて…

 

チンッ

 

「ついたっ…!」

 

彼の部屋があるフロアに止まったエレベーターの到着音を聞いて、ゆっくりと足を踏み出す

部屋の扉はもう目の前だ

ごくりと喉を鳴らして、震える手でノックする

 

コンコン

 

「あ、あの…せ、せんぱい…」

 

「お!エリナか!?早かったな!入っていいぞー!」

 

「は、はい!」

 

待ってましたと言わんばかりの嬉しそうな先輩の声色に、自然と期待も高まった

緊張も解けていくのだから不思議だ

楽しみ…ほんとに楽しみ!!

 

「じゃー遠慮なく!おじゃましまーす!」

 

てっきり彼はいつものニヤニヤ笑いを浮かべていると思っていたのだが…

予想に反して、落ち着いた優しい微笑を浮かべているだけだった

 

こういう顔をするときは、真面目な話をするときだ

いつもの軽いノリでプレゼントを渡されるんだろうなという考えが一瞬で打ち消される

今日先輩は…何か大事な事を…

 

トクッ…トクッ…

 

そう頭が理解してしまうと、やっぱり緊張感が戻ってきてしまう

 

「あ~…どうする?もうその…渡したほうがいいか?」

 

「え…あの…えっと…せ、せんぱいに任せます…!」

 

震える声でなんとかそれだけ言うと、彼は小さな笑い声をあげながらキッチンに置かれていた箱をとってきた

 

「じゃー…お前の時と同じだがまずはケーキを」

 

「ケ、ケーキ!?ま、まさか先輩が…!?」

 

手作りなのかと思ってドキッと心臓が一層激しく高鳴った

 

「いやいやいや!残念だけど俺にそんな料理スキルは備わってないからな。店で買ってきたんだ。わりぃな」

 

「う、ううん!とっても嬉しい!」

 

自分の為に、先輩がケーキを買ってくれたという事実だけでも十分に嬉しすぎる出来事だ

 

「お前に料理教わったら…次こそは作れると思う。だから、手作りは来年に期待してくれ」

 

「あ…はい!ふふ…じゃーはやく先輩に料理教えてあげないとな~♪」

 

今から来年が楽しみになってきちゃった

どんなケーキを作ってくれるんだろ…

 

「まぁケーキ本体は無理だったが、それでも俺がひとつだけ手を加えたところがある」

 

「え!?なになに!?」

 

「…見ればわかると思うぞ」

 

恥ずかしそうに頬を掻きながら彼が言った言葉が気になって、うずうずと収まらない期待が我慢の限界に達しようとしていた

 

「うぅ~。気になる!あけてもいいよね!先輩!」

 

「あぁ。どうぞ」

 

改めてすっと差し出されたケーキの箱を、そっと開けてみる

 

「…あ!」

 

ケーキ自体は普通のショートケーキ

私が先輩の為につくったものとサイズもほぼ同じ

だけど…

 

「ありがとう!」

 

真ん中に鎮座されてるネームプレートに、慣れないことをしているのがバレバレのぐにゃぐにゃな文字で

 

『エリナ誕生日おめでとう』

 

と書いてあった

間違いない

手を加えたって言ってたのはこれだ

 

「わりぃな…文面もやってることもお前と同じで…しかも字きったねぇし」

 

「そんなこと関係ないよ!とっても…とっても嬉しい…」

 

あははと自虐的に笑う彼の言葉をふるふると頭を振って否定して、私は素直に嬉しいことを伝える

 

「そ、そっか…なら、よかった」

 

受け入れてもらえるのか本当に不安だったのかもしれない

ほっと安心したように一息つく先輩に、私はちょっとだけ頬を膨らませた

 

「先輩がくれるものに、私が文句付けるはずないでしょ?あなたは逆の立場だったら…文句言うの?」

 

ちょっと意地悪な返しになってしまっただろうか?

と思ったけれど、彼は迷わず即答

 

「言うわけないな」

 

「でしょ?」

 

お互いの返答に思わず吹き出す

こういう小っ恥ずかしいことをしてるから、バカップルとか言われちゃうのかな…

私はそれでも全然構わないんだけどね♪

 

「それじゃー…いただきます」

 

ソファに腰を下ろしてケーキを食べながら、隣に座る彼との思い出話に花を咲かせる

告白した日に行っていたミッションでハガンコンゴウに遭遇しちゃった話

シエルさんのバレット研究に付き合って講習会的なものが開催されちゃった話

それから手作り料理を振舞ったり風邪を看病してもらったり恋バナしたり夏祭りに行ったりその他にもいろいろ…

 

まだ出会ってから1年も経ってないのに、話せることは山積みだった

 

それほど彼とたくさん関わっているということなので、先輩の彼女になれてホントに嬉しいと改めて思う

 

話が盛り上がって、気がついたらとっくに日が落ちている時間になっていた

最後に普通に美味しかったケーキをどこで購入したのか聞いてみると、なんと外部居住区だという

 

「へぇ~。そんなお店があったんだ」

 

「あぁ、ほら、あの雑貨屋のお姉さんがさ。教えてくれたんだよ」

 

「あの人ほんといろんなこと知ってるよね」

 

確かにとお互い頷きあってたら、今の一言で私はひとつ気になる点を見つけてしまった

 

「…あれ?でもこのケーキ買ったってことは、あのお姉さんに会ったってことだよね?…ということはつまり、あの雑貨屋さんに今日行ったの?」

 

「流石エリナ。鋭いな」

 

それまで気楽に笑っていた先輩の表情が突然引き締まる

私でさえ、任務中以外は滅多に見れないその顔に、ケーキと会話ですっかり緩んでいた緊張感がまたしても復帰してきてしまった

 

「ケーキ渡すとき言っただろ?『まずは』ってな」

 

「…………」

 

言葉が…でてこない

胸が痛い

 

私の予想が正しければ、彼は…

彼が用意してくれているものは…

 

「時間もいい感じだしな…今、持ってくるから」

 

立ち上がった先輩がベッド傍にある引き出しから何かを取り出すのが見えた

小さな箱だ…

それを大事そうに両の掌に乗せて、固まる私の目の前に差し出す

 

「エリナ。誕生日おめでとう」

 

「…………」

 

ありがとう

そう言いたかったけど、口を開いても出てくるのは乾いた呼吸だけ

震える手でそのプレゼントを受け取って、彼の瞳をじっと見る

開けてもいい?

…と伝わるように

 

「…あぁ、開けてくれ」

 

その言葉を聞いて、まともに動かない頭を無理やり頷かせた

ケーキの時以上にゆっくりと…

慎重に開封していく

 

「………っ!」

 

予想はついていたし、途中からはほとんど確信に変わっていた

けれど、実際目にしたらその感動はとても言葉では言い表せない

 

 

指輪…だった

 

 

しかも、私が彼に送ったものと同じ種類

鈍く銀色に輝くそれが、涙の溜まった瞳へとぼやけた光を送っている

 

「…せ、せんぱ…あり…ありがっ…!!」

 

やっと口に出せたお礼と同時に頬を何かが伝う感触

 

「お、おいおい泣くなって…」

 

それを拭ってくれる彼の腕にひっくと嗚咽を漏らしながらぎゅっと抱きつく

 

「だって…だって…!!!嬉しいんだもん…!!」

 

「ははっ…そんなに喜んでくれると俺も嬉しいよ」

 

全然泣き止む気配のない私の左手が握られる感触

ぴくっと一瞬涙の止まったスキに、いつの間にか彼が持っていた指輪がすっと薬指に通された

 

「来年本物渡すから」

 

チュッ…

 

「っ…!!!」

 

自分の指に付けられたプレゼントに視線を合わせていたら、唇に触れる暖かい不意打ちの感触

 

「ありがとう…ありがとう!先輩!」

 

感極まった私が突進する勢いで抱きつくと、先輩は私より一回りも二回りも大きな体でしっかりと受け止めて、無言で頭を撫でてくれる

 

抱きしめ合う私達の左手に付けられてる指輪から放たれる銀の光が、お互いを照らしたその時

日付が変わった

 

9/19

 

「エリナ。改めて、誕生日おめでとう。これからもよろしくな!」

 

END

 




プレゼントに悩む男主を書いてたら長くなってしまった
今までの話を振り返るとか最終回的な雰囲気出しちゃってるけど、まだまだ執筆はネタ思いつき次第続けていく予定です
てゆうかアナザーワールド放置しすぎだし、料理教える話もまだ書いてないし…
あれ?ネタあるじゃん←

ま、まぁそれはおいおい書いていくとして…!


最後のセリフは俺からも言いたいです

エリナ。これからもよろしく!
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