その後、間もなくエミールがアラガミを片付けたという報告がはいり、任務は終了したのだった
ちなみにコウタ隊長はすでに自分の分を片付けて、こっちの応援に向かっている途中だったみたい
もちろん、先輩は言うまでもなく担当していたコンゴウを討伐していた
「ふぅ~…なんとかなったなぁ~」
「うん…ありがとね…先輩が助けに来てくれなかったら、危なかったよ」
帰投準備時間の間に、私達は倒したアラガミのコアを取り出して一息つく
「『危なかったよ』じゃありません!」
「え?」
突然大声を出す先輩に驚いて、パチパチと瞬きしてしまった
「まったく俺がどれだけ心配したか…ヒバリからお前のバイタルが危ないって通信入った時は、寿命が縮まる思いだったぜ」
「ご、ごめんなさい…」
先輩そこまで心配してくれたんだ…
冗談抜きで命が危なかったわけだし、決して喜んでいい事ではないというのは分かっているけども…
それでも、私は顔がニヤけるのを抑えられなかった
「つーかエリナ、ホントに怪我残ってないか?大丈夫か?」
「う、うん…大丈夫だよ」
つかつかと歩み寄ってきた先輩が、私の肩や頭をポンポンと触って傷がないか確かめてくれている
「もぅ…恥ずかしいからやめて…ってひゃぁ!!!」
子供扱いされてるみたいでなんだかいろんな意味で悔しくて、ちょっと体をよじっていたら…
…せ、先輩の手が…私の太ももに触れた…っ!
「どうしたんだ?ここ怪我してんのか?」
ちょ…先輩!?
「そ、そうじゃなくてそこひゃう!!」
手のひらが私の肌を撫でる感触に、ゾクゾクっとしたなんとも言えない感覚が背中をかけ登っていく
「内出血でもしてんのか?でも見た感じ…」
「ち、ちがいまぁんっ///」
な、なんで普通に女の子の太もも撫でまわしてんのこの人はっ…!
…もしかして私…女性として見られてない…とか?
「わ、私だって女の子なんですよ!?」
気を使ってくれている彼の手を払いのけるのも忍びなくて、私は納得してもらおうと精一杯いつもどおりの声を装って説得したのだが
「おっと。そうだな。じゃー…」
ふにっ
「…は?」
あろうことか…
先輩の手が…手が…
わ、私の…む、胸にっ…!!!
「ん~…?平気そうだな!…てかエリナ、お前意外と胸あ「ばかぁ~!!!!!」
バシンッ!
「ぶっ!」
思わず手が出て彼の頬をひっぱたいてしまったけど、今のは私悪くない!
いくら先輩とはいえ…その…許可無く胸を触ってくるなんて…///
デリカシーなさすぎ!
「おーい!お前ら無事か…って、なんでコイツ倒れてんの?」
それから少しして合流してきたコウタ隊長が、私の平手を食らって大の字に倒れている先輩を指さす
「…知りませんっ!」
「友よ!どうしたというのだ!死ぬな!君はここで死ぬような人間じゃないだろう!目を覚ませ!友よぉぉおおおぉおお!!!」
腕を組んでそっぽを向く私の後ろで、いつの間にか集合していたエミールが大声を張り上げていた
「ごめんエリナ!この通り!」
アナグラに帰還後。夕焼けが差し込むラウンジのソファーで、隣に座っている先輩が必死に頭を下げて謝る
「…もう怒ってないですよ」
女の子扱いされてない可能性が危惧されて、私は小さくため息をはいた
…今日だけで何回ため息ついてんだろ私…
「いや!我ながらどうかしてたよ!いきなり胸触るなんて非常識にも程があった!」
「ちょ…先輩!聞こえちゃいますから!周り人いますから!」
「おっと…すまん」
…そういえば、出撃する前にエミールが周りの人に聞こえるぐらい大声で、私の恋を応援するとかなんとか言ってたっけ?
そして極東支部のほぼ全員が私が先輩の事好きなの感づいてるみたいなことも…
少なくとも一緒に外出してたことはバレてるっぽいし…でもそれぐらい友達の関係でもするよね?
あ…でもコウタ隊長が確か私の言動でバレバレみたいな事言ってた気が…
「…ねぇ、先輩」
「ん?」
…聞いちゃおうかな
先輩の恋愛事情
現状では希望は薄そうだけどね
きっと彼の目に自分は【後輩】としか映ってないんだろうなぁ
良くて妹ってところかも
…ははっ…なんか泣けてきた
「今、好きな女の子とかさ…いるの?」
半ば諦めていたからかもしれない
自分でもびっくりするぐらい冷静に、落ち着いて聞けた
「…え?」
予想外の質問だったのだろう
先輩がポカンとした表情を浮かべる
「だから…好きな子…いるの?」
じっと瞳を見つめる真剣な私の眼差しから、冗談とかの類ではないことを察したのかもしれない
先輩も仕事中以外では滅多に見せない真面目な顔つきになった
「…俺がさ、さっきエリナの胸触っちゃったのはさ」
「って!先輩!?」
なんでその顔でさっきの話題繰り返すんですか!?
「これでも真面目な話をしようとしてんだ。聞いてくれないか?」
「えっ…う、うん…わかった…」
そう言われちゃったら…黙るしかないけど…
胸の話題を出されると、さっきの大声の影響でこっちを見ながらひそひそ話している人達の視線がまた気になり始めてしまう
「…俺さ、任務終了後も言ったけど、エリナがピンチって聞いてホント心配したんだよ」
…うん
「だからさ、改まってお前の無事な姿見て…マジでどこにも怪我してないのか?後遺症とかないのか?って考えちまって…」
大げさすぎ…って言葉が喉まで出たけど、ぐっと押さえ込む
「そしたら…その…エリナの『女の子だから』ってセリフで胸でも怪我してんのか?って勘違いして…手が勝手に動いちまったというかなんというか…」
「えっ…?」
先輩が照れくさそうに頬を染めながらも視線を外さず言ってくれる言葉に、私は都合のいい解釈をし始めて思わず反応してしまった
「だからさ…俺、お前のことになると周りが見えなくなっちまうというか…それだけエリナに夢中というか…」
「…せ、先輩…?」
え…これって…
「…あぁ~!!ダメだな!俺こういうまわりくどいの向いてねぇわ!はっきり言っちまうよ」
心臓が痛いくらいに鼓動をうち、全身に緊張感が走る
先輩が次に言おうとしていることを察して…
「俺が好きな子は…エリナ…お前だよ」
ホント…に?
うそじゃないよね!?
「先輩…一応聞くけどさ…それ、友達として…とか、妹として…とかじゃないよね?」
自分で聞いておいて、その答えに自信が持てなくて思わず聞き返してしまった
「おいおいどんだけベタな展開に持ち込む気だよ。てゆうか、エリナから聞いてきたんじゃないか。『好きな女の子とかいるの?』ってな」
そ、そうだけどさ…
「なんだ?自信持てないってか?じゃーもう一回はっきり言ってやろう。俺はエリナが女性として好きだ。愛してる。I LOVE YOU!だ」
「むっ…なんかそういうふうに言われると冗談っぽく聞こえます!」
素直になれないのが私の欠点だとは自覚してるけど、やっぱり簡単に納得はできないよ…
「え~…じゃーどうすりゃ信じてくれんだよ?」
「そ、それは…」
…これ言っちゃったら後戻りできないけど……
いいよね?
私、先輩の言葉を信じるからね!
「…えっと…じゃー、キス…してください…」
「……………」
場が静まり返った
…あれ?私、そんなに変なこと言った?
…だ、だってさ!好き同士の男女ならキスぐらいするでしょ!?
「…エリナ…ここでしろっていうのか?」
…あ
慌てて周囲を見渡せば、私と先輩の会話の雰囲気から興味を持ったのであろう人達がチラホラこっちを見ていた
その中には知り合いもいて…
ムツミちゃんの前の席に、コウタ隊長にハルオミ隊長…それにギルバートさんとカノンさんまでいた
「…///…あの…じゃー…あとで…私の部屋に…」
「い、いきなり部屋に来てとは…それは誘ってると解釈してもいいんだな!」
「ち、ちがいます!先輩のエッチ!」
それだけ言って、私は逃げるように先ほど視界に入ったカノンさんが座っていた席の隣を陣取る
「お疲れ様です。エリナちゃん」
まるですべてを知っているかのように優しい声をかけてくれるカノンさんの横で、私は机に突っ伏すのだった
その様子を見て、入れ替わるようにハルオミ隊長が先輩の元へと歩み寄って行く
「いや~、ブラッドの隊長さんも隅に置けないねぇ~」
「…ハルさんなにかもお見通しって感じですね」
…あまり大きな声じゃなかったけど、先ほど私達がいた場所からここまで十分会話が聞こえてきた
つまり、あの恥ずかしい会話も筒抜けだった可能性があるわけで…
っ~!!!もうしばらく顔をあげられそうにないなぁ…
「そりゃ~もう。極東支部所属の職員達は、いつお前さんらがくっつくのかとやきもきしてたもんだぜ」
「はい!?じゃー俺がエリナをそういう対象として見てたってみんな知ってたんですか?」
「確信はなかったけどさ、友達にしては仲良すぎだし、先輩後輩の仲っていうのともちょっと違う感じはしてたからな~」
「うっわ…まじか…てゆうか俺、まだエリナに返事もらってない気が」
「隊長さんよ。それは贅沢ってもんだぜ。返事なんて貰わんでもエリナちゃんの気持ち…わかるだろ?」
「いやでも俺としてはちゃんと確信を得たいというか…よし!」
!!!
黙って耳を傾けてたけど、先輩がこっちに歩み寄るのが聞こえて再び緊張感がこみ上げてくる
「なぁエリナ。さっきの返事、してほしいんだ。ここじゃー嫌なら俺の部屋か…さっきの件もあるし、お前の部屋に行こう」
先輩の声色からして真剣に言ってくれているんだということが分かって、私も覚悟を決めて顔を上げた
「…うん。分かった」
席から立ち上がり、先輩の隣に立つ
「隊長。戻ってきたらブラッド全員でお祝いしてやるよ」
先輩の近くに座っていたギルバートさんが彼の肩を小突く
「私もお菓子を作って待ってますね!」
そして私の両肩に手を置くカノンさん
「隊長さん~。明日のことも考えてほどほどにな~」
意味深な言葉を先輩にかけるハルオミ隊長
「エリナ~。明日休暇届け出しておいた方がいいか?」
「余計なお世話です!」
最後までニヤニヤ笑いのコウタ隊長
みんなに見送られて、私達はラウンジを後にしたのだった
…私の先輩に対する返事?
そんなのもちろん決まってる
「先輩…私も大好きですよ」
END
最後だけやけに長くなってしもうた…
なんか同じ言い回しが多くて誤字探しの試し読みの時くどく感じてしまうところが多々ありました…(これで誤字があったら恥ずかしい)
ボキャブラリーを増やしていかなければ…!
この反省点を活かして次回からも頑張って行きたいと思います!
あと、思っていたよりたくさんの方に目を通していただけているようで…
このサイトでの初投稿だったわけですが、やっぱりたくさんの人に読んでもらえているのがわかるとモチベーションが上がりますね!
お気に入り登録してくださった方も本当にありがとうございます!
皆さんの期待に答えられるように精進していきたいと思っています!
最後に、ここまで読んでくださった皆様本当にありがとうございました!