…に見せかけてシリアス展開にしようとしたお話
チョー短い。おそらく過去最高に短い
人によっては鬱考察になるかもしれないので一応注意
「なぁ~エリナ~寒くないか~」
ふかふかぴかぴかのベッドに横たわりゴロゴロと怠惰をむさぼっていたオレは、隣に同じようにして寝転がる最愛の彼女に話しかけた
外は既に黒い絵の具を空にぶちまけたような時間帯になっているし、あと数時間もすれば今日という日も終わりを迎えるであろう
「そうかな~?私はあったかいよ~」
オレとその存在を共有してるかけ布団にくるまりながら、時折寝っ転がり体当たりをかましてくるエリナが眠そうに告げる
明日にはまた命を賭けた戦いが始まるというのに、この部屋の中にそのような緊張感は一切無かった
「そうか…じゃーオレの事もあったかくしてくれよ」
ポフッと可愛く柔らかい感触をオレの身体に預けた瞬間を逃がさずガッチリと両腕でホールド!
はっはっは。捕まえたぞお姫様
「むぅ…せんぱいの身体も十分あったかいじゃん」
そっと俺の腰に回された両腕に優しく引き寄せられた
離れてしまう温もりを逃さないよう…何処か手の届かないところへ行ってしまわないように
自惚れだっていいさ
オレはそういう意思を感じたんだ
「エリナが密着してきたから興奮しちまったんだよ」
「もう…またそんな事言って…」
くしゃくしゃと、腕の中で小さく声を出すエリナの髪を撫でる
無意識に抱き寄せてしまってることに気が付いたのは、彼女が耳元で囁いてきてからだった
「明日もまたこうしていい?」
断る理由など、無い
「もちろんだ」
静かな夜だった
本当に
今尚人類に仇なす存在が外の暗闇の中で闊歩しているのか疑いたくなるような
実はこの部屋だけがオレ達の住む世界なのではないかと、随分思い上がった考えまでもが脳にまで這い上がってきやがる
「私にとっては…せんぱいが…全部だもん」
エリナの長いまつげが鎖骨を擽った
おっと…どうやら口に出してしまっていたようだ
ほんのりとそこに湿り気を感じ、オレの視界も連動するようにぼやけ始める
おかしいな
まだ出てくるのか
エリナの前だとどうも気が緩んじまっていけないぜ
「とりあえず…おやすみかな」
胸元に顔を埋めたままの彼女の震える肩に、そっと手を乗せた
少しだけ力を込めて押し返すように…
「…まだ眠くないもん。せんぱいだってそうでしょ?」
オレの小さな抵抗は、むっと頬を膨らませたエリナの上目遣い&スーパーパワーハグによって中断される
「そうは言ってもな、明日に響くぞ」
優しく諭すように、彼女の頬に残る乾いた跡を撫でながら、その感触を役得とばかりに指先で味わっておくのは忘れない
「………」
おっ?分かってくれたか?
無言のまま焦点だけをこちらに合わせるエリナ
彼女の大きな瞳の中で、自分でもビックリするぐらい優しい微笑みを浮かべたオレが見返してきていた
お前にそんな顔が出来るとは驚き大発見だね
「おやすみ、せんぱい…愛してる」
唇がとても熱かった
「あぁ、おやすみエリナ…オレも愛してる」
〜Fin〜