感想が百件を超えました。中には設定の考察といったものを書いてくださる方がいるので大助かりです。
感想の中にトランクスの気持ちを代弁するものがあるので見ては如何でしょうか?
トランクス → (´・ω・)
エリン → (´・ω・)
ベジータ → (´・ω・)
悟空 → ( `・ω・´ )
その他 → (;´゚д)
何気なくブルマが今回のMVP。
「フン! 見るからに軟弱な奴がサイヤ人だと? 笑わせるなカカロット! 誇り高き戦闘民族たるサイヤ人は安くないんだ!」
ビシッと失礼にも程があるベジータの人差し指と物言い。やけに気合の入った指差しに惚れ惚れするが唯我独尊の態度に思わず顔が歪む。不機嫌そうなのは誰が見てもわかる顔をしているだろう。
俺がサイヤ人であると悟空が説明した上で証拠の尻尾を見せれば地球の悟空の仲間が身構えていた。流石に戦闘態勢に入りはしなかったが警戒しているとわかる態度をしていた。更にはサイヤ人の王子であるベジータのこの物言い。己はジャイアン精神の持ち主か。
「ベジータは置いておいて。このエリンはオラの友達だ。ナメック星が爆発した時に脱出できなくて助けてもらった恩がある」
ポンと俺の肩を叩きながら親しそうにし、地球の仲間皆に説明する。案の定、悟空の説明に過剰に反応するのは未来から来たと俺だけが知っているベジータの息子、トランクス。動揺を隠そうとしているが隠せていないのが丸わかりである。
「ちょっと待ってくれ悟空。ただでさえ超サイヤ人がもう一人いるだけでいっぱいいっぱいなのにまたサイヤ人? そっちのエリンって奴は兎も角、そっちのは信用できるのか?」
ツルツルして背の低いのが特徴の戦士、クリリン。この場にいる者全員の気持ちを代弁するように言葉を紡ぐ。確かに言えてる。俺でも知らなかったらそう思うわ。
「大丈夫だ。悪い奴ならフリーザを倒す手助けはしてくれねぇだろ? 邪気は感じねぇから悪い奴じゃねえ」
「……本当なら自己紹介をしなければならないのですが今は事情があって名乗る事はできません」
おいトランクス。そこでその言い方だと誤解を招くだろうが。
「すいません。少しだけ孫悟空さんと二人だけで話させてくれませんか。どうしても孫悟空さんに伝えなければならない事があるんです」
俺の思いをよそに、トランクスは話を続ける。これ、暗に脅しているようにも聞こえるんだが。悟空よりは劣るものの、あのフリーザを倒した超サイヤ人に変身できるという事実はそれだけで脅迫材料になるのだから。現に誰も口を挟もうとはしなかった。
チラッと悟空と目線と合わせる。返事は肯、頭を縦に振って悟空は返答をする。俺が言うまでもなくトランクスと密談をするらしい。
「いいぞ。ちょっと離れるか」
「ではこちらへ」
先にトランクスが飛ぶ。話す場所に向かっているようで悟空も従うように後を追い、見える範囲にはいるものの絶妙に会話が聞こえない場所に着地する。それからペコリとトランクスが悟空に対して頭を下げ、会話が始まったようだ。
かなり気まずい気持ちで待たされる事になった。スウェットパーカーに付いているポケットに手を突っ込んで悟空とトランクスの会話を“盗み聞く”。ピッコロは素で五感がずば抜けているが、気を操れば五感を強化する事もできるため、ピッコロと同じように二人の会話を聞く事ができる。こっちに突き刺さる視線から逃げるように意識をそっちに集中する。
「ねえ。あなた、孫くんとベジータと同じサイヤ人なの?」
が、すぐに意識を逸らされた。会話は聞こえているが無視するわけにもいかないので話し掛けてきた人間に顔を向ける。向けると、純粋な地球人であるブルマが声を掛けてきていた。後ろでヤムチャとクリリンがブルマを止めようとしていたのかワタワタと手を動かしていた。
「答えはイエス。名はエリンだ」
「へーっ。孫くんとベジータ以外にもサイヤ人の生き残りがいたんだ」
「広い宇宙、探せばサイヤ人の生き残りはいる。下級戦士は辺境の星に飛ばされていたから無事だったという事があるからな」
初対面のブルマは怖い者知らずなのか。まあ、そんなタマならあのベジータと結婚はしないか。微妙な気分に陥りながらベジータを見ればものっそい睨んできた。親の敵と言わんばかりの視線だ。何が気に食わないのか。
グイグイと質問攻めしては周りの地球人をハラハラさせるブルマ。質問された内容には忠実に正確に返答していると、ピッコロが二人の会話を聞きながら徐々にこちらに意識を向けてくるのがわかった。俺の言葉が気になっているのだろうか。
「じゃあ、あなたは孫くんみたいに悪いサイヤ人じゃないんだ」
「俺の性質は“善”らしいからな。元々の性質が“悪”のサイヤ人という種族の突然変異とも言える……ま。どこかのサイヤ人みたいに無闇な殺生はしないタイプだ」
チラッとベジータを見れば額の青筋が四つくらい増えてた。ストレスがマッハでブチ切れそうになってますがな。ベジータに近かった奴もベジータから少し距離を離しているから殺気が駄々漏れなのだろう。チクチクと刺してくる殺気は確かに感じるが猫が威嚇する程度だな、うん。超サイヤ人でもないベジータだと恐れる意味がない。本人が聞けば怒りそうだから心の中に仕舞って視線に乗っけておこう。
「最初は悟空には警戒されたよ。胃袋攻めたら簡単に気を許して今では友達関係、なのかね。ライバルとも呼んでくれたよ」
「ふざけるな! その程度の戦闘力でカカロットのライバルを名乗るだと? 調子に乗るな!」
「や。でも最初はあっちだから。悟空をナメック星で救ってからずっと一緒に修行してきたけどほぼ五分五分だぞ俺達。ついでに悟空が超パワーアップしてるのはそれ」
「お父さんの気が強くなったのは……」
「ずっと組み手してたからね。ホラ、今から面白いものが見れるぞ」
ベジータとの漫才を終え、いつの間にやら近くにいた悟空の息子である孫悟飯の意識をそっちに向けるように悟空とトランクスを指差す。トランクスの言葉、超サイヤ人になっていただけませんかと聞こえたからちょっとした手合わせをするのだろう。
ボッと黄金のオーラを纏う見慣れた超サイヤ人形態の悟空になる。感じられる気は戦ってもないのに凄まじい、と考えたらクリリンとヤムチャ、天津飯が考えを読んだように同じ台詞を言う。
対抗するようにトランクスも超サイヤ人に変身する。悟空の気、オーラほどではないが今の俺と同等の気を感じる。次元が違うと感じている傍観者一同は改めて絶句している。
「あ、あの超サイヤ人もすげぇけど悟空の気はそれ以上だ……!」
「お父さん、フリーザの時よりもパワーアップしてる……」
ああ、君等にとってはまさにヤムチャ視点だわな。もう次元すらも違うもんな。別に責めはしないけど何で俺を睨むのベジータさんや。
まずはトランクスから攻める。背中の剣を抜いて悟空に斬り掛かると、悟空は人差し指のオーラを強化してから防ぐ……なんて事はせずに手刀の気ブレードを展開して防いだ。あれ、ベジットのスピリッツソードに似ている気がする。
ここまで聞こえる剣戟音。片や真剣なのにもう片方は気で作った剣。同等に渡り合っているように見えるが悟空はかなり手加減しているらしい。本気を出せばトランクスの剣は折れるどころか両断できるだろうに。お遊びの手合わせだから折る必要がないと考えているのだろうか?
最後にキィンと一際甲高い音を響かせると手合わせは終わる。ほぼ同時に超サイヤ人を解除し、上に剣を放り投げて納剣する無駄に格好良い事をしたトランクスは冷や汗を流しながら悟空の強さを褒める。しかも底が知れない事にかなり驚いている声色をしている。
「――クソッ。カカロットの野郎め」
ベジータの嫉妬する声を聞こえたのは果たして何人いるだろうか。俺が聞こえたのだから多分、ピッコロは聞こえてるはずだ。
というかベジータがカカロットこと悟空を嫉妬しているのは周知だから聞こえずとも誰でもわかってしまう。
そこからの会話はトランクスが自分が未来人で人造人間に未来の世界を壊されている事を悟空に語る。更に、悟空がトランクスのいる未来では病気で死んでいる事も語る。その話に悟空が疑問を覚え、素朴な返答をする。
突き刺さる三つの視線。ニッと笑う悟空、驚くトランクス、これまた驚くピッコロ。この三人からの視線だった。大体予想はしていたし、口止めもしてないからいいか。
『――じゃあ、俺が知ってる歴史とここまで大きく食い違うのはあの人のせいなんですか?』
『おめぇが言うならそうなんだろうな。もしもおめぇの言うようにオラが死ぬはずの未来があるとすれば、救ってくれたのはエリンだ。悪く言うのはやめてくれ』
『お、俺が来た意味がないじゃないか……』
お、落ち込んでやがる。トランクスがブルマから与えられた最重要ミッションを達成しようとやる気を出した矢先にこれだものな。同情するよ。別に謝りはせんけど。
というかピッコロが見てくる。視線だけで穴が空きそうなほど俺を見てくるよ。今の会話を聞くとそんな反応になるのはわかるがもう少し隠す努力はしようぜ。
大体の伝えたい事を言い終えたトランクスは直に自分がベジータとブルマの間にできた子供であり、名前をトランクスという事を明かした。その破滅した見たいから来たという事も。普通は自分の素性を明かしてからその事を語るのではないのかね? イレギュラーばっかり起きて気が動転でもしていたのか?
ほとんどトランクスの役目ないよな。未来で人造人間が暴れる事は大事だが、死ぬはずの悟空はジッカ人の超科学力で病気になる前にウィルスは死滅させてあるし、ジッカ人の科学で予防策も万全だ。しかも本来よりも多分パワーアップしている悟空が生きて、死なないとなると人造人間に対抗できる最強の切り札となる。トランクスのいる、知っている未来が起きる可能性はほぼゼロに近いゼロだしな。悟空がいれば万事大丈夫、って方程式が成り立つな。トランクスなんていらなかったんや。
そう思うとどうしても哀れに思えてならない。罪悪感が徐々に毒のように俺をジワジワと嬲り殺しにしてくる。こ、これはやり過ぎたな。
「あっ。アイツがどこかに行くぞ」
フイッとトランクスから顔を背けた瞬間を狙ってか、トランクスがどこかへ飛んで行く。残る悟空は腕を組んで悩んだようにこっちに歩いてくる。大方、どうやって人造人間の事をトランクスの事を隠しながら語ろうかと考えているのだろう。
「悟空! お前、また強くなったな!」
「初めて見たが凄まじかったぞ!」
帰って来た悟空を労うようにわらわらと地球のZ戦士達が寄る。寄らないベジータは不機嫌そうに、ピッコロは難しそうな顔をしてむっつり顔で腕を組んでいる。ベジータは相変わらずだなぁ。
悟空とトランクスの会話を見届ける事はできた。色々と歴史が変わってしまっているが、人造人間の存在という新しい脅威に晒される事はわかったのだから悟空達は再び地球の平和を守る為に己を鍛える事になる。となれば、俺は当分出番はないな。というか悟空の強さが天元突破してヌルゲーになっちまう。
うむ。帰るか。生の悟空に続いてベジータとかトランクス、クリリンにピッコロとか孫悟飯以下を見れたし、それで満足だ。
「あれ? どっか行くんか?」
帰ろうとすると、悟空が呼び止める。孫悟飯の頭を撫でながら俺を止めているが、そこは息子に再会した愛情を注ぎ続けるべきなのではないだろうか。
「フリーザとコルド大王は死んだ。フロスト一族の中でも強い奴が消えたからその報告をしに帰る」
「大丈夫なんか? 宇宙にはフリーザよりも強え奴がいるって言ってたろ」
和気藹々としていた空気が凍る。悟空、何も爆弾発言をしなくてもいいじゃないか。
「そっちは俺がやろう。フリーザを倒したんだから次は俺の番だ」
「何言ってんだ! フリーザよりも強えのがいるならオラ、戦いたいぞ!」
「人造人間が来るからそっちで我慢しろ悟空」
「人造、人間?」
「聞こえてたんか」
「彼もだ。このナメック星人が件のピッコロって人だろ? 彼も会話が聞こえていたはずだ」
スッと上に引っ張られるようにゆっくりと浮かぶ。パーカーのポケットに手を入れながら浮かべば緊張感が走っているようだ。どうやら俺はまだ警戒されているようで、少しだけ落ち込む。
「もし説明が難しいなら彼に任せるのも手だぞ。大方、もう一人のサイヤ人の説明が難しいみたいだからな」
「へへっ。やっぱりわかっちまうか」
「あんだけ長くいればお前の性格だとかは何となくわかる」
ああ、と思い出した事があるのでそれを渡す事にした。下のスウェットのポケットに入っている小さな物体を取り出すと、悟空ではなくブルマに投げ渡す。投げられたブルマと言えば慌ててキャッチしてこぼれ落ちそうになる小さな物体をしっかりと掴む。
え? え? と不思議そうにブルマは何故自分にそれを渡したのかわかっていないようだ。まあ、悟空に渡さなかったのは精密機械オンチだから。ブルマはそっちの筋ではジッカ人に負けない力があるのでそちらに任せた方がいいと判断した。
「お嬢さん。それは通信機みたいなものだ。使い方は何となくわかるだろう?」
「……わかるわ。でもここまでコンパクトになる通信機は見た事がない」
「フッ。銀河一の科学力を持つ種族の作品だからな。良ければ時間がある時に俺達の本拠地に案内しよう」
「ああ、ジッカ人んトコか」
「ま。そこら辺も適当に言っといてくれ」
じゃあ、と手を上げながら悟空の乗ってきた宇宙船に向けて飛ぼうとすれば更に悟空が止める。ちょいちょいと手招きをしながら。
「ベジータ。おめぇ、コイツが弱いと思ってんだろ? ちょっくら力の差を知っとくのもいいんじゃねぇか? 宇宙にはまだまだ強えのがいんだぞ、って事がわかるとやる気も出るだろ?」
「フン。性質が善などという軟弱者にこのベジータ様が負けているとでも?」
お? 言ったな? 言ったな? ただのプライドの塊みたいなベジータが言うようですね。見た目に騙されてはならないと地球で悟空と初めて戦った時に学んだろうに、まだ懲りていないらしい。
目で見せてやれ、と悟空に訴えられる。しょうがない、と溜め息を吐きながら少しだけ高度を上げて止まる。見える距離で尚且つ、余波が届かない距離のはずだ。それを確認してから浮きながら足を少し開き、拳を固く握って腰から少し離して構える。
気の解放、自分の中にある太陽に触れながら少しずつ目視できる白いオーラを発する。ズゴゴゴゴ、と空中にいるのに大気を震えているのが肌で感じる。立ち昇るオーラ、白いオーラは少しずつ赤に近い色合いが混ざり始めた上で赤に近付いている気がする。あくまでも気がするだけで、もしかしたら赤いサイヤ人の存在を知ったから変身できる兆しが見え始めているのかもしれない。
ある程度、悟空と戦う時だけに見せる本気レベルのパワーまで上げてから悟空を見て困ったように両手を上げて竦める。
「超サイヤ人にならないオラよりも強えぞ。超サイヤ人になれば互角以上に渡り合う事もできる」
「……さ、さっきの超サイヤ人と言い、新しいサイヤ人は皆化け物かよ……」
「というか超サイヤ人に変身すれば悟空よりも強いんじゃないか!?」
「残念ながらそれは無理ですねぇ。悟空に教わったけど変身の兆しがない」
これだけ距離が離れても声は届くらしい。身に纏うオーラを霧散させ、素の状態に戻ると悟空に手でジェスチャーをする。
ブルマに、渡した、通信機で、電話よろ。
悟空がわかったかはわからないが、ピッコロにわかるように少しだけ声を出したので大丈夫だろう。言いたい事を全部言えたので本来はトランクスがやるはずの軽く手を上げての挨拶を俺がする事になった。ニッと悟空のように愛嬌がある笑いをしてから再び小さなオーラを纏う。
最後にチラッと見ればベジータが悔しそうに手をプルプルと震わせているのが見えた。俺が気を使ってもベジータのプライドを逆撫でするだけなので何も言わずに去る事にした。バシュッと高速移動をしながら飛び去り、悟空の宇宙船を回収する事にした。
ドラゴンボールの世界観に合わない、どちらかと言えば格好良い系のSFにある戦闘機のデザインの悟空の乗ってきた宇宙船のエンジンに火を入れる。パチパチとスイッチを切り替えながら宇宙を飛ぶのに必要な準備をしながら操縦桿を握る。
ヴオオオ、とエンジンが唸る音が振動と共に宇宙船を揺らすのを体で感じる。少しだけ薄暗いコクピットの前方に見える地球の光景は、俺の知る田舎や都会の光景とは違う、ドラゴンボールの背景によくある荒野を見納めながら段々大きくなるエンジン音に呼応するように宇宙船の反重力モジュールが起動する。
少しだけ浮こうとすれば前に広がる光景に新しい光景が割り込む。厳しい表情をした人間が浮かびながらこちらを睨んでいるようだ。
「トランクス……?」
暖まり始めるエンジンをそのままに、シートベルトを外して外に出る事にした。明らかに一人用じゃない宇宙船が広いせいですぐに出れなかったが、紫髪のトランクスは律儀に待ってくれていたようだ。
スライドするドアから外に出れば、トランクスの視線がこちらに向く。会話をする為に互いの距離を埋めるように俺が近付く。背中の剣に手を伸ばそうとしてないのは幸いだった。そこまで恨まれていないらしい。
「君は、トランクスだっけ?」
「ええ。やっぱり聞こえていたんですね」
「色んな技を覚えているからな。その中の一つに五感を強化するものがある。それを使えば、あの程度の距離の会話は聞こえる……今から未来に帰るのか?」
「その前にあなたの正体を聞きたい。俺の知っている歴史と大きく変わったのはあなたが原因らしいと孫悟空さんから聞きました」
答えない事は許さない、と目が言っている。そんなに睨まなくとも教えてあげるから。
「俺の名前はエリン。正義の心を持つ異端のサイヤ人の最後の生き残りだ。命を救ってもらったジッカ人という宇宙の種族に世話をしてもらってる身だ」
「サイヤ人の生き残り? 孫悟空さんやベジータさん以外にも」
「あ。お前さんがベジータの息子なのは知ってるから大丈夫。他人行儀じゃなくて父と呼んでやれ」
確か、わざわざタイムマシンで過去に戻る理由の一つに自分の父を見たいという気持ちもあったような気がするのだが、そこら辺はかなり曖昧だから本当なのかもわからない。俺なら死んだ父には会いたいと思うな。サイヤ人としての父と母は未だに顔も名前もわからんが。
トランクスに自分がサイヤ人である事を改めて告げると、驚きはしなかったものの、難しい顔をしていた。まさかサイヤ人の生き残りがいるとは思わなかったのだろう。未来の、トランクスの母であるブルマですら俺という存在は知らないと思うし。
「俺の母から聞いていた孫悟空さんの強さとは大違いでした。聞けば、あなたと修行をしたから強くなったと言ってましたが」
「事実だ。ナメック星からの脱出に失敗してるのを助けてからずっと一緒に行動していた結果があれだ……何か、正直スマン。同じサイヤ人に会えた興奮でつい」
「つい、で俺の役目を一気に潰されたのか……」
orzでもしそうなほど落ち込むトランクス。落ち込む理由が俺だから慰める事もできない。だけど謝るように落ち込んでいるトランクスの肩を叩いてあげた。
「いえ、でもあれほどの強さなら人造人間に負ける事はないでしょう。一番の不安点だった孫悟空さんの死はもうないんですよね?」
「早期解決している。前に悟空の体をスキャンすればとある星のウィルスが紛れてたからな。早めに治療しておいたから少なくともウィルス性心臓病で死ぬ事はない。今からはどんな病気になるかはわからんがなったらなったらで俺達が彼をサポートする」
本来の歴史にある悟空の心臓病はヤードラットで拾ったと思われる。真相は謎のままだが、考えを明かせば瞬間移動で他の星に行ってウィルスを拾ったのかもしれない。しかも遅延性で発見時には手遅れってクソレベルのウィルス。もう発症する事はないが、地味に治せる薬を作る未来ブルマ凄いな。
ジッカ人の科学力、ジッカ人連盟の治療に長けた種族の手を借りればほとんどの病気は治せるだろう。これは自信を持って言える。
「……孫悟空さんには渡していませんでしたが、これを」
チャプンと音が聞こえるような水の打ち方をするカプセル。トランクスが指で挟みながら俺に渡してくるカプセルは心臓病の特効薬か。まあ、あの話の後だと必要ないわなこれ。取り敢えず疲れ切った様子のトランクスからそれを受け取っておく。
「もう必要、ありませんから」
おいやめろ。見ているだけで心が痛いだろうが。貴様は俺を罪悪感だけで殺すつもりか。
見たところ、頑丈な仕組みになっているようなので適当にポケットに突っ込んでおく。カプセルを入れた時に指がポケットの中身に当たったのでトランクスへのお詫びに渡しておこうか、と考えに至る。
水の雫のような形をしている金属を取り出す。トランクスがそれは何だ、と聞きたそうにしているが敢えて無視してから手首に当てる。カシャカシャと音を立てながらSFによくある無駄ギミックを発揮しながら手首に装着される。宇宙服の腕モニターと同じものなので簡単に操作をする。ジッカ人が作ったから超高性能という言葉だけでは足りない高性能っぷりを発揮するガラメカみたいな物だ。もうGショックブーム到来してるな。Gショックと同じレベルでは失礼だが。
カコカコ、ピッピッと操作すると待機している宇宙船の天井が開く。ペッと吐き出すように物が飛び出すとそれをキャッチした。そのまま呆気に取られるトランクスに手渡す。
「これをやる」
「え? 何ですか?」
「あー、何だ。この地球にある仙豆のような便利アイテムが幾つか入っている。銀河一の科学力で生み出された物だから性能は保証する。君の母、ブルマに渡せば量産はできるだろう。救急キットもあるから怪我人を治す事もできるはずだ」
「! あの、いいんですか?」
「荒廃した未来だと物資も不足しているだろう? 君に迷惑を掛けたお詫びだ」
使い方はブルマに解析させればわかるはず(投げやり)
最初に会話した時よりも親交が深まったらしいトランクスは本来は悟空達にするはずの挨拶をタイムマシンに乗りながら俺だけに見せてくれた。晴れ晴れとしたトランクスの微笑みが何とも痛々しい事か。タイムマシンが消えた瞬間に顔を背けてしまった。
「……帰ろう。我が家に」
この台詞は言う場面によっては感動するんだろうな――メンタルダメージ甚大なフリーザ襲来編、人造人間の前奏曲であった。
エリン、トランクスに苦手意識を持つの巻。罪悪感で死ねるレベルである。物資提供で少しだけ心を癒しました。
力の差が大きいサイヤ人が三人もいる事でベジータは嫉妬が加速したようです。下手すれば超ベジータ覚醒が早まるかもしれないし、超サイヤ人になれずにトランクスが消失する未来があったり? ないけど。
ブルマがエリンに話し掛けたおかげで全ての情報を伝える事ができてホッとするエリン。クリリンとかはまだ警戒しているけど悟飯だけはちょっとだけ歩み寄る事ができている感じです。父を救ってくれたと悟空自身が言っているのでそこまで警戒はしていないようです。
そしてトランクスの扱いに涙不可避。感想のトランクスの扱いにも涙不可避。ベジータ揃って親子は原作でもそんな扱いに不憫過ぎて泣ける。
クウラを入れてから人造人間に入ります。後はゲロイン(エネルギー波)も出します。