ONE PIECE 海賊王とソルジャー   作:黒崎士道

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激突、バギー一味

「すまない、世話になって」

 

「なに、気にするな。わしもシュシュにエサをやるついでにここに来ただけだからな」

 

バギー一味からなんとか撤退したルフィたち一行は現在、町の中に佇む一軒のペットフード店に身を隠していた。撤退の最中にこの町の町長であるこの武装をした老人、ブードルと出会いゾロの治療も兼ねてこの老人の世話になっている。ゾロはブードルが避難所で医師に診てもらえと言うが寝れば治ると言ってペットフード店の隣にある彼の家で休養をとっている。ついでにティファもゾロの看護について行った。

 

「こんにゃろー!何すんだ犬っ!」

 

「あんたは犬相手に何してんのよ!」

 

そして向こうではルフィがシュシュと呼ばれる犬相手にムキになり小さな喧嘩が勃発している。それを先ほどの泥棒少女、ナミが諌めている。そんな光景に呆れながらもクラウドはブードルの話を黙って聞いていた。

 

このペットフード店の主人はブードルの親友の老人で、10年前にあの犬、シュシュと一緒に開いた店らしい。この店は二人にとっても思い出のたくさん詰まった大切な店のようで、シュシュの体には海賊たちからこの店を守った証としてなのか、傷跡が多くある。だが、店の主人は三ヶ月前に病気で亡くなったようだ。クラウドはシュシュは今も主人の帰りを待っているのではと思ったが、ブードル曰く、この店はシュシュにとって宝なんだと告げた。大好きだった主人の形見だからこそそれを守り続けているのだと。

 

『撃て!特性バギー玉‼︎』

 

突如、町にバギーの怒りのこもったような怒号が鳴り響いたと同時に、目の前のペットフード店が何かに吹き飛ばされた。いや、それだけではない。その横の家も、建物も、ブードルの家も、みんなまとめて吹き飛ばされ、木っ端微塵となった。

 

「ちょっと!家に腹巻の奴と黒髪の子がいるんじゃないの⁉︎」

 

ナミの言葉でハッとした。そうだ、ブードルの家には休養中のゾロとティファがいるのだ。

 

「ティファ!ゾロ!」

 

クラウドが二人の名を呼ぶと、崩れた瓦礫の中から人影が現れる。

 

「あーー、寝ざめの悪い目覚ましだぜ」

 

「いたた……どうなってるの?」

 

なんとか二人とも無事だったようだ。後ろではナミがなんで無事なのよ…と、呟いている。そんな時、黙っていたブードルが震えながら口を開いた。

 

「胸を抉られるようじゃ…‼︎町長はこのわしじゃ!わしの許しなくこの町で勝手な真似はさせん‼︎」

 

「ちょ、ちょっと待って町長さん!そんなの無謀すぎるわ‼︎」

 

ブードルが槍を片手に駆け出そうとするのをナミが止めに入る。それもそうだ、老人一人が海賊に、しかも悪魔の実の能力者相手に敵うはずもない。みすみす殺されに行くようなものだ。

 

「無謀は承知‼︎」

 

だが、ブードルの涙を溜めた目がそれを邪魔するなというような強い意志と覚悟を持っていた。それを見たナミは思わずブードルの体を離す。

 

「待っておれ!道化のバギー‼︎」

 

拘束から解放されたブードルは叫びながら町を駆けていく。自分の誇りと町のために。

 

「町長さん…泣いてた……‼︎」

 

「そうか?俺には見えなかった」

 

「で、どうするのルフィ?バギーのところに行く?」

 

「おう!俺はあのおっさん好きだ!絶対死なせない!」

 

ルフィが笑いながら叫ぶと、ナミに手を差し伸べる。

 

「ナミ、仲間になってくれ。偉大なる航路の海図も宝もいるんだろ?」

 

「……私は海賊にはならないわ。『手を組む』って言ってくれる?お互いの目的のために!」

 

ナミは差し伸べられた手を叩くことで取り敢えず共闘には応じてくれた。これで取り敢えずは航海士(仮)が仲間になったわけだ。

 

「…決まりだな」

 

「よし、さっさと行こうぜ」

 

壁に背を預け大剣を肩に担いでいるクラウドと額に鉢巻を巻いたゾロは準備万端のようだ。

 

「あんた、お腹の傷大丈夫なの?」

 

「治った」

 

「治るかっ‼︎」

 

そんなゾロとナミの漫才じみたやり取りを見送りながら、一行は再びバギーが根城とする酒場に向かう。そこでクラウドは崩壊した店の前に座り込んでいたシュシュに向かって声をかける。

 

「待ってろ、お前の宝を壊した奴らを倒してくるからな」

 

「ワン!」

 

クラウドの言葉に鳴いて答えるシュシュ。クラウドはふっ、と笑いながらルフィ達の後を追う。

 

 

それからバギーの根城に戻ったルフィたちはバギーに無謀に挑もうとしたブードルをルフィが壁に吹き飛ばしたことでなんとか阻止、逆にそっちの方がブードルには瀕死の状態だった。そしてルフィがバギーに向かってデカッ鼻発言をしたことによりバギーが激怒、大砲をこちらに放つがルフィが体を風船のように膨らませて砲弾を跳ね返した。崩壊した酒場からはバギーと幹部のような男二人、それから子分たちが何十人も這い出てきた。

 

「モージ!テメェは子分と一緒にあのソルジャーと小娘どもをやれ!あの麦わら小僧とロロノアは俺とカバジでやる!」

 

「了解しました!バギー船長!」

 

「…だそうだ」

 

「なに落ち着いてんのよあんた!」

 

落ち着いて現状分析をしているクラウドにナミが叫ぶ。そうしている内にモージの指揮のもとでバギー一味たちが雄叫びを上げながらこちらに向かってくる。隣ではティファが戦闘用グローブを両手に装着しており、クラウドは背負った大剣をゆっくり抜くと集団に向かって駆け出す。

 

「ぐあぁぁぁぁぁっ‼︎」

 

クラウドが横に薙ぎ払った剣で海賊たちの体が宙に舞い吹き飛ばされる。クラウドの放った剣の一閃が屈強な男たちを吹き飛ばしたことに驚くナミ。

 

「てめぇら、よくもやってくれたな!覚悟しやがれ!」

 

その中でクラウドの攻撃から逃れた他の男たちがナミに襲いかかろうとした時、ナミの隣にいたティファがその華奢な体に合わないほどの怪力で男の体を回し蹴りで吹き飛ばした。

 

「やあっ!」

 

「ごほっ⁉︎」

 

他にも襲ってくる男たちを次々と殴り飛ばしていくティファ。向こうでは次々と海賊たちを切り捨てていくクラウドに向かって銃を持った男たちが標準をクラウドに合わせて発砲すると、クラウドは巨大な剣を持っているにも関わらず普通の人間ではあり得ないような高さの跳躍を見せた。

 

更に宙に浮くクラウドに放たれた砲弾を体を回転させて真っ二つに斬り裂いた。全員が驚愕する中でクラウドは涼しい顔でもう終わりか、と言いたげなようだった。

 

「くっ!リッチー!あいつを殺せ!」

 

「ガルアアァァァ‼︎」

 

「ライオンは俺がやる。ティファはあの着ぐるみ男を頼む」

 

「わかったわ!」

 

着ぐるみのような変な男、モージを乗せた巨大なライオンはそのままクラウドに突っ込んでくると、そのまま右足をクラウドに振り下ろす。クラウドはそれを剣で受け止め、動きが止まった隙にティファが駆け出す。

 

「サマーソルト!」

 

「ぐぼあっ⁉︎」

 

ティファがライオンの上にいたモージの顎を蹴り上げた。蹴り上げられて宙に浮いたモージは空高く舞い上がり、ティファはライオンの背を踏み台にしモージを追って高く跳躍すると、モージの服を掴み空中で振り回す。

 

「いくわよ!メテオストライク!」

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ‼︎」

 

そのまま地面に叩きつけられたモージは地面にめり込んでいた。その光景に愕然とするライオンにクラウドも決着をつけるべく剣を振り払いライオンの足を浮かせると、剣を肩に担ぎライオンに向けて高速の連続斬りを振るう。

 

「凶斬り!」

 

「ガルゥゥゥゥッ⁉︎」

 

高速で振るった剣閃が「凶」の字を虚空に描き、ライオンはそのまま倒れる。ゾロの方を見ると、バギーにやられた怪我で少し苦戦はしていたようだが、参謀長カバジをなんとか斬り伏せていた。そして、ルフィの方では、

 

「アアッ!テメェナミ!俺のパーツを……!」

 

「ハハハッ、流石泥棒!」

 

ルフィのアシストをしていたのかナミがバラバラになっていたバギーの体のパーツを縄で縛り上げ、あまりのパーツでバギーは頭、手、足のみのバラバラ人間ならぬ二頭身人間となっていた。なんというか、情けない姿だ。

 

ルフィは両腕を限界まで体の後ろに伸ばし、目の前にいるチビバギーを見据える。

 

「吹っ飛べバギー!」

 

「ちょっ、待てーー‼︎」

 

「ゴムゴムのバズーカ!」

 

ルフィのバズーカの如く一撃に吹き飛ばされたバギーは虚しい叫びを残しながら星となって空の彼方へと消えていった。

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