緋弾のアリア スパロボ風 短編集   作:茨の男

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鉄の棺の蓋が開く

〜あらすじ〜

理子の願い出により吸血鬼ヴラドの別荘「紅鳴館」から彼女のものだった十字架を盗むこととなったキンジ達。

しかし、いざ取り戻してみれば理子は裏切りを起こし、キンジとアリアに襲い掛かろうとする。が、理子は紅鳴館の現管理人にして武偵高校の教師でもある小夜鳴徹に不意打ちを喰らい、十字架を奪われてしまう。

実は小夜鳴は吸血鬼ヴラドの別人格だったのである。小夜鳴ーーいやヴラドは本性を露わにしてキンジ達に襲い掛かった。

苦戦を強いられるも、HSSを発作したキンジと理子の騙し打ちにより遂に吸血鬼ブラドを瀕死に追い詰めた。

しかし喜ぶのも束の間、一人分の拍手が鳴り響く。

振り返れば彼の前に、血の様に赤い外套を羽織った男が佇んでいたーー。

 

 

ソレは静かに佇んでいた。

 

「噫ーー」

 

一体何時から其処に彼は何故居るのだろう?

 

「やはり、人間は素晴らしい。化け物を殺すのはいつだって人間なのだから」

 

まるで始めから其処に居て、最初から全てを見ていたかのように、満身創痍に等しいキンジ達の目の前に赤い外套を纏った長身の男が現れた。

 

「っ、まさか増援⁉」

 

しかし、おどろおどろしい気配はあれども闘志と感じられるものは何一つとしてないのだ。寧ろ、彼から贈られたのは畏敬の念からくる讃頌の拍手、それはまるで劇に感激している観客に他ならなかった。

 

「ば、馬鹿な…」

 

キンジ達が困惑しつつも警戒していると、衰弱した上に鉄柱の下敷きとなって微動だに出来ないブラドは怯えた表情で震えるように口を開いた。

 

「貴様は、貴様は死んだはずだろう⁉ ヴラド杭刺し公(ヴラド・ツェペシュ)! 何故生きている⁈」

 

その言葉にキンジ達は一瞬思考が止まった。

一体何を言っているのだ、奴「も」ヴラド?では、ヴラドが二人もいるのか。ーー有り得ない。

 

「フン…それは嘗ての私の名だ、吸血鬼」

 

突如、空気が凍り付く感覚に陥った。どうやらヴラドが口にした事柄が彼の至福の時に水をさしてしまったらしい。彼がヴラドに向けるその眼差しは実につまらないものを見てしまったと言いたげだった。

 

「私が英国で消えかけ、三十年もの間“毒血”の処理に追われたのをいいことに私の威光を使って優雅に過ごしてたらしいな、それ相応の力があると自負してだろうーー」

 

だが、とそのまま溜息を吐くのではないかと思わせる落胆を彼は見せながら続けた。

 

「長く生きた割には随分あっさりと倒されているではないか、期待外れもいいところだ。ナチスの残党共の方が余程力があったぞ?」

「英国、吸血鬼、ナチス……」

 

先程から彼らの会話を静聴していたアリアの様子がおかしい。

呪文でも唱えるかの如く俯いて単語を繰り返していた。しかも繰り返す度に顔が険しいものになっていくのだ。

そして結論に至ったらしく、直様顔を上げた。

 

「ーーまさか貴方“Alucard” !?」

「Alucard……“Dracula”の逆綴りのか、ということは彼も吸血鬼なのかいアリア?」

 

その言葉が聞こえたのか、外套の男は本来の仕事を忘れてたと言わんばかりだった。

 

「失敬、同類がどうにも情けなかったもので腸が煮えくり返ってしまい忘れて挨拶さえ怠ってしまってしまい済まない」

「貴方が、あの機関のーー」

「その通りだお嬢さん、君の推測は正しい」

 

外套の男は帽子をとり、英国紳士らしい立ち振る舞いをして言葉を続けた。

 

「私は嘗てヴラド串刺し公と呼ばれたモノ、“アーカード”だ。以後お見知り置きを」




緋弾のアリアの吸血鬼は正直かませだと思ってしまう今日この頃。
もし彼のファンがいたら済まぬ。自分にとってヴラドとは彼にしか当てはまないもので…。
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