校長室の七不思議を解決して、保健室に戻った樹はカーテンを開けると椛がかけて寝ている布
団を思いっ切りめくった。椛は眠そうに寝ぼけた声で後5分と発したので月狼刀を取り出すと、柄
の方で思いっきり叩いた。
「いった~い!!樹何するの!?」
椛は頭を押さえると樹に批判の声を上げる。樹はカチンと来てもう一度椛を柄で叩く。
「寝ぼけてないで早く行くぞ」
と、威圧をかけて椛の服の襟をつかんで引きずっていく。そのあとを一哉はついてかなかった。そ
の理由は他ならぬ先ほど読んだ竹園 凉の手記を読んで恐怖で動けないのである。この手記で初め
て死について深く考えることになった。
そして屋上では文と死神との戦いが続いていたが、文が劣勢の場面だった。
「はぁ…はぁ…さすがに何百年も戦闘してないから鈍ってしまいましたか…本当に足止めしかでき
ないですよ…これは…」
「何だ大したことないじゃないか?その部下とやらはもしかしてもう一人の女ってことか。多分そ
いつも妖怪だろうな。」
「!?あなた私達を見かけたんですか!?」
「あぁ、昨日遊園地に樹と腰巾着と一緒に向かっていくのを偶然見かけてよぉ。偶々妖力が駄々漏
れだっただけの話だ。」
「あなた相当な手練れですね…弥彦さんの弟子になってどれくらいですか?」
文の質問に死神は握られている大鎌を構えるのをやめると、
「そうだな…大体一か月位前だったな」
「たった二週間で妖力の使い方と感じ方を覚えたと言うのですか!?」
文は目の前の相手がこれまでの呑み込みの早さに驚愕した。才能ピカ一の樹でさえ一か月はかかっ
たと言うのにそれより上回る猛者がいたのだから無理もない。それとは別に一つ死神に問いかけて
みた。
「では、私達が妖怪と言うことは樹さんと一哉さんどちらかが妖怪だと、あなたは思いますか?」
「あぁ、樹あいつではないなあいつは常に霊力を放ってやがるからな、だから結論は腰巾着の方だ
ろうな。あいつは逃げるとか隠すとかそう言うの得意だからな。」
「ご貴重な意見ありがとうございます。そろそろ来る頃合いです。」
文はそう言うと、勢いよく屋上の扉が開いた。そこには椛と樹の姿があった。樹は死神を見ると、
「おい、響谷気持ち悪いぞその格好?」
「気持ち悪いとは失礼なこれが死神の服装ってもんなんだよ。」
死神はフードを脱ぐと、その顔は正しく二宮響谷だった。
「やっぱりか…お前妖力抑えきれてないだろ?だから元凶なんて即座にわかったぞ。」
樹は呆れながら響谷に批判をした。響谷は大鎌を樹に向けると、
「そんなの関係ねぇーな。ここでお前を殺す!それだけのためにこんな大仕掛けしたんだよ二週
間もかけてな!」
その声は憎しみが目一杯感じられる言葉だった。
「その憎しみの理由は去年の関東大会の時俺が『わざと』負けたからか?それ以外に考え付かな
い。」
「そうだよ、剣道の天才のお前がわざと負けたことだよ!!お前なら楽勝な相手をお前は遊んで
それから負けた。それで俺の兄貴の最後の試合になったんだよ!!」
それを聞いて樹は月狼刀を取り出すと響谷に、
「お前馬鹿な奴だよ。俺はあの時風邪をひいてたんだ。その中であの程度の実力しか出せなかっ
た。それだけの話だ。」
「問答無用!!死ねぇ!!水無月樹ぃ!!」
響谷は樹に向かって大鎌を振り下ろす。樹は防御の構えをするのが遅れ、受けきれないと思った
その時、目の前に椛が大鎌を刀で防いで、
「樹は殺させない!!貴方の勝手な理由なんかで殺させてたまるものか!!」
樹は椛の言葉から直接ではないが今まで感じたことがない気持ちがこみ上げてきた。椛は大鎌を
押し返し追撃しようとする。樹は椛の肩をつかむと、
「椛ありがとな!!でもこれは俺とあいつとの問題だ。だかr…(パシッ)」
椛は紅魔館で言った樹の言葉が繰り返される前に樹の頬にビンタをした。
「樹忘れたの?一人で抱え込まないでって私達を頼ってって言ったでしょ?」
樹はすっかりそのことを忘れていて申し訳なく思った。また同じ過ちを繰りかえすことを防い
でくれた椛に心から感謝した。樹は隣に立つと、響谷に刃を向けると、
「じゃあお言葉に甘えさせてもらうぞ!行くぞ椛!」
椛は首を縦に振ると、二方向から響谷に斬りかかる。二人は以心伝心の状態にかなり近く連携
は完璧だった。樹は武器を刀とクロスボウで交互に攻撃して隙を作ると、椛がその隙をつき斬
る。その完璧な連携に響谷は防戦一方でなかなか攻撃に移ることが出来ないでいた。響谷は焦
りの色を隠せず、大鎌を振り回して近寄らせないように工夫することだけしかできない。それ
を良いことに樹はクロスボウで矢を射出して傷を増やすことが出来た。
「なんだ~俺を殺すとか言っておいて俺に傷一つつけられないようならまだまだだな~」
と、樹は余裕の表情で言う。しかし、それも束の間後ろから響谷より明らかに威圧感が強い気
配を感じ顔をがひきつって振り返り刀を振るった。しかし、刀は空を斬っただけだった。樹は
フェンスの上の人物を見た。その人物は今の響谷の格好と同じである。
「お前が死霊使いの弥彦さんか?」
その人物はその名前に首を縦に振ると、
「そうだ、私が弥彦だ、お前なぜその名を知っている?」
「そりゃあ、さっき八雲紫さんから聞いたんだもの当たり前だ。幻想郷の妖怪の中ではトップ3
に入っていたと言うことと、その紫さんに幻想郷から追い出されたってこともな。」
樹は紫から聞いたことをすべて弥彦に話していると、響谷が樹に斬りかかろうとしていた。
「俺を無視するn「邪魔するな!!」」
椛が響谷の鎌を刀で防ぐ。樹は弥彦に向き直ると、
「これが本題だ。何をたくらんでいる?」
弥彦はふっと軽く笑うと、
「別になにも企んじゃない。そいつから強い憎しみを感じたからその憎しみを果たすまでの力を
授けただけさ。」
樹はそれを聞いて、響谷を少し見て視線を弥彦に戻す。その眼には怒りが宿っていた。
「その方法が転生させるために殺してもか!!」
樹は怒りに身を任せ攻撃をする。弥彦はその場で剣先を避ける。
「怒りとは似合わないぞ?白狼天狗のガキが」
「何だと!!?」
「こんなんじゃ攻撃する価値もない。響谷相手してやれ。」
「そんなの言われなくても分かってる。」
響谷はいつの間にか背後まで迫って大鎌を振り下ろしていた。
「ぐはっ…」
樹はその場で倒れる。椛は樹に近寄ると、
「樹ぃぃいいいいい!!!」
椛は泣き崩れる。椛は初めて大切なものを失った。家族よりも大切で大好きな樹を目の前で殺され
た。椛は涙を拭うと、
「この異変を解決したら樹に私の思いを伝えようと思っていたのになぁ…でもそんなこともう出来
なくなっちゃった。」
響谷はさっきと同じように椛を殺すため大鎌を振り上げた。椛は樹が使っていた。月狼刀を拾い上
げると、目に殺気が宿った。椛は自身が持っていた刀でガードをすると、もう一本の刀で響谷の腹
を思いっきり切り裂いた。しかし、妖怪なったからこのくらいでは致命傷にはギリギリならない。
椛はそれを知っていた。かつて同じことが自身にもあったことだから当たり前である。もちろんそ
の傷はあるはずがない。樹にも文にもこのことは言っていない。なぜならこれは不幸の象徴この傷
から何もかも狂ってしまった。それを繰り返さないために彼を思い出すたびにその傷があったとこ
ろを軽くなでる。そして2本の刀が抜かれていて大好きな人が使っていた刀、大好きな人が使ってい
たあの技最初に使った椛の刀からあの技が伝わってくる。
「貴方たちを許さない!!仲間を!友達を!好きな人を!貴方たちは天狗を敵に回した!!その報いを受け
ろ!!狼符「白狼双砕牙」!!」
椛は自分の限界のスピードで響谷の懐に飛び込み、不規則な斬りを一撃、二撃、三撃と立て続けに
攻撃したが、響谷は何とか全て攻撃を防いだ。そして目で追えない位のスピードで後ろを取ると、
「もらったぁぁああああ!!」
止めの十字斬を当てる。響谷の背中からは大量出血が起こっている。後は息の根を止めるだけ。そ
れで私の復讐が終わる。その時誰かが背後に寄って椛の延髄にチョップをして気絶させる。
「彼は復讐なんて望んでない。そんなこと私よりあなたの方がずっと知っているでしょうに。」
弥彦はその声の主に覚えがある。かつて幻想郷から追い出した八雲紫だった。
「久しいわね弥彦何百年ぶりかしらね?」
「紫か…今更何しに来た?」
「そうね~あなたを封印しに来たとだけ言えばいいかしら?」
「それは樹と言うやつがやるんじゃなかったのか?」
「もちろんやらせるつもりだったわよ。でもあんなボロボロだったら私が出ないといけないなと
思っただけよ。後あの子面白いことするから一緒に戦えるのが楽しみだからね」
「しかし、そう簡単に封印できると思っているのか?私もスキマを使えること位覚えているだろ
う?」
「そこはあの子が戻ってくれば余裕よ。もう少しで来ると思うんだけど。」
「ではその前に帰らせてもらうよ。そこの手下も連れてな。」
そのやりとりの間に紫の隣からスキマが現れたそこからは先ほどやられたはずの樹が右肩の付
け根を抑えて出てきた。
「助けてくれてありがとうございます紫さん。」
「良いのよ、礼なんて話し相手が少なくなるというデメリットが私にかせられるだけだから。」
「そこはもっと反応下さいよ…」
「じゃあ弥彦のスキマを使用不可にして」
紫がそう指示したので意味がよくわからない樹は問い返しそうになったが、早くしろと言う目を
していたので急いで能力を発動させ弥彦のスキマの使用を封じた。退路を断たれた弥彦は響谷を
担ぎ、フェンスの向こうに行く。そこで二人が予期せぬ行動に出た。そう飛び降りたのだ4階の
高さから人間だったら運が良くて助かるレベルだ。しかし、あの二人は妖怪だ怪我くらい時間が
経てばいずれは治ってしまう。そう思いながら二人が下をのぞいた時には弥彦と響谷の姿はなか
った。紫は月を見ながら樹に話しかける。
「ありがとう樹、これで解決とは言い難いけどこの異変は終わったわ。それにしてもあの面白い
こといつの間に身につけたのかしら?」
紫は樹の幻影を指さして問いかける。樹は印を解くと樹の幻影は消える。
「これは能力で自分の姿を見えなくしてから妖術で分身を作ったそれだけです。正直これを身に
つけるまでそう時間はかかりませんでした。でも重症になるのが欠点ですけど。」
紫はスキマを開くと、
「そう…樹あんまり無理しちゃだめよ?そこにいる彼女が悲しむわよ?」
「…善処します…」
「まぁ、頑張りなさい。後私に敬語はいらないわよ。じゃあまた何かあったら私の家までね?」
「わかりm…わかった…」
樹は若干敬語抜きで話すか迷ったが紫本人が良いのならそうしようと思って言うと、紫はスキマ
で幻想郷に戻っていった。樹は気絶している椛の体を揺すると、少し唸ってから目を覚ました。
「あれっ!?樹?何で!?さっき死んだはずなのに何で!?」
樹は申し訳なさそうに頭をかくと、
「あれは妖術で作った幻影だよ実際受けたのはこれ位重症だけど紫が応急処置で何とか動けるけ
ど…それとごめんな、心配かけたよな?」
椛は樹の服の裾をつかんで顔を隠すと涙声で
「本当だよ…樹ったら…いつも無茶するんだから…さっきだって、死んですごい悲しかったんだ
から…」
「ごめんな…本当に…それと俺さお前に言いたいことがあるんだ…」
樹は椛の顔を自分の顔に向けさせると少し照れくさそうに、
「俺、お前のことが大好きだ!!俺と付き合ってくれ!!」
樹の告白、椛にとっては驚きだった。それは顔にも出ていた。椛立ち上がると、涙を拭いてから
満面の笑みで、
「私も樹のことが好きだったよ?返事はもちろんYesだよ。」
「よっしゃー!!これからもよろしくな椛!!」
「うん、樹これは私からの約束無茶だけはしないでね?」
椛は小指を突き出す。つまり指切りしてと言う証だと察し樹の指を椛の小指と交わらせる。
そしてそのドロドロした雰囲気の中屋上の隅で二人の様子を見る人が一人
「これはスクープですね~明々後日の一面はこれで決まりですね♪」
文はシャッターを切って見守る。
「個人的には私より先に彼氏ができるなんて妬ましい限りです…私も見つけないとな~彼氏
を…」
二人は文がこの『ネタ』を取材しているなんて気付かなかった。そしてそれが後の妖怪の山
に大きく影響するなんて誰一人知る余地なかった。
そして、幻想郷の地底旧都の郊外にひっそりと古びた家に弥彦と響谷はいた。
「幻想郷久しいな。この家よく潰されていなかったものだな。」
そう言うと、重症の響谷を寝かせ、扉に手をかけると、妖しい笑みを浮かべ、
「次の種は撒いた。さて、これからの活躍を見せてもらうぞ水無月樹」
そう言うと旧都へと出かけた。
投稿遅れてすいませんm(__)m
そして異変の割には話が少ないですよね…これは反省点として改善していきます
そして閲覧してくださってありがとうございます!!是非とも感想、指摘をお待ち
しています