ついにレミリアを倒し、一哉を再度救出そして、樹と一哉の行く結末が決まる
紅魔館の出来事から3日経って、ようやく一哉が目を覚ました。樹と椛はこれまでのことを話す
と、一哉は申し訳なさそうに、
「ごめん…樹、椛さん…その前の日の樹との喧嘩の影響で帰りたくないという思いが強くなって寝
静まった時に、逃げだしたんだ…そしたらいつの間にかその紅魔館ってところにいたんだ。」
「それで中に入ったと、中に入る前に門番に襲われなかったか?」
一哉は首を横に振ると、
「ううん、襲うという感じはなかったよ?むしろ歓迎されてたような気がするよ…」
それを聞いて、樹と椛は、
((計画的な実行犯か…))
と心の中で思っていた。少し呆れたような溜息を2人でつくと、
「二人は仲がいいんだね。」
と一哉はニコニコしながら言うと、
「「そうでもない(よ)!!」」
と二人は顔を赤らめて言う。二人とも恥ずかしそうに互いの顔を見ることが出来なかった。クスリ
と笑うと、
「二人ともこのまま付き合っちゃえb…」
一哉は言い終わる前に、椛は剣を、樹はクロスボウを構えていた。それも妖しい笑顔で、
「なぁ椛、人間の肉ってどうなんだ?」
「人間の肉は一週間位は何も食べなくても大丈夫な位満腹になるよ。」
一哉はそれを聞いて、あまりにも事実に冷汗がにじみ出てくる。これからの出来事を想像すると、
恐ろしくなり、
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいもう何も言いませんから食べるのだけは勘弁してくださ
い。」
土下座をしながら、二人に謝罪する。一哉の土下座する姿で二人は吹き出して笑い出す。
笑い出してから約五分経って、ようやく二人の笑いが収まる。
「さすがにお前を食おうとはしねぇよ。少し脅し程度に使ったんだけど、本当に人間の肉が食べた
くなったじゃないか。」
樹は笑いごとに言うが、言われた一哉にとってはとても恐ろしい発言だとはもちろん樹もわかって
いる。でもそれは種族の違いを気づかせるために言ったのだ。これが人間と妖怪との違いだと、
「まぁ、そんなことは置いておいて、起きたんだから、帰るべき場所に行くぞ一哉。」
「うん、わかってる。」
一哉は頷いて立つと、樹の後を追いかける。
広い場所まで行くと、樹は能力を発動させる。あの時八雲紫が使っていたスキマとよく似た空間
が現れる。そこに、一哉に入るように促すと、空間の中に入ってく、そして入ったことを確認する
と、樹自身もその空間に入るとその空間は消滅した。
―とある神社―
移動した先は、樹自身も初めてきた場所であったが、地図では博麗神社という場所の前にある石
段に到着する。一哉は瞬間移動したことに驚きを隠せない。樹は自分の能力については一哉に話し
てはあるが、実際に起こっているという事実に驚いたと言った方が正しいのだろう。そんな一哉の
肩に樹の手を置くと、
「この幻想郷は俺たちが住む世界の非常識がこっちの常識なんだよ。だから驚くのも無理はない
よ。じゃあこの石段登るぞ、ちゃんとついて来いよ?」
一哉は始めの部分は軽く受け流して頷く。これから来ることのないこの幻想郷について知っても別
に意味などはないだから一哉は軽く受け流した。それと戻ってこんな話をしても、親も友達も誰も
信じてくれる人はいないそんな気持ちを一哉は抱いていた。樹は何か抱え込んでいる一哉に気づか
ずに、石段を登り始めた。
階段を登り終えると、そこにはこまめに手入れされている神社の境内があった。本殿の近くで、
紅白を基調とした、巫女服を着た17、8歳くらいの少女が箒で掃除をしていた。そして、本殿の縁
側にはなぜか魔理沙が暇そうに足をぶらぶらさせていた。魔理沙が樹の姿を確認すると、手を挙
げて、
「よぉ~樹お前すごいな~まさかレミリアを一人で倒すなんてよ~あいつ相手に私と、霊夢と二人
掛かりでやっと倒したっていうのにさ~。」
すると、巫女服を着た少女は、若干怒り気味で、
「あんなの私一人で十分だったのよ!?なのにあんたが攻撃の邪魔をするからあんなに手間がかかっ
たんじゃない!!」
そこからなんやかんやで霊夢?らしき少女と、魔理沙との喧嘩が始まってしまった。樹と一哉は失
笑するしかなかった。
そして10分経っても二人の喧嘩は終わる気配がなかった。樹は呆れの溜息をつくと、一歩前に出
て、
「風刀『空衝派』!!」
パンチをすると、衝撃破で霊夢?と魔理沙は見事に吹っ飛んでいった。そして、能力で二人の前に
立つとクロスボウを二人に向けて構えて、
「いい加減にしろよ?こっちは用があってきてんだからよ~」
半分切れた口調でいうと、
「「すいませんでした(なんだぜ)…」」
二人の謝罪を聞くと、クロスボウをしまうと、一哉のもとへ戻る。そして、霊夢?が立ち上がっ
て、樹と一哉のもとに歩いてくると、
「確か初対面よね?私は博麗霊夢よ。あんたが捏造新聞に載ってた樹だっけ?そっちのは?」
「あぁ、こいつは、外の世界での俺の友達の日之影一哉だ。用っていうのは、一哉を外の世界に
戻してほしいっていうことだ。」
一哉は紹介されると、お辞儀をする。霊夢ははぁ…と溜息をつくと、
「良いわよ…面倒だからあんたからそれなりに貰うわよ。」
霊夢は樹を指さしながら言うと、
「あぁ、最初からそのつもりだったからな、でも迷惑料として払おうとした3割はカットするから
な。」
「はぁ…しょうがないわね、その3割は魔理沙からもらっておくわ。」
すると、魔理沙が霊夢のもとに走りこんできて胸ぐらをつかむと、
「はぁ!?なんでそうなんだよ!!」
「もとはと言うと、あんたが原因でしょうが!!」
それを聞いて、掴んでいた腕の力から力が抜け、
「グッ…それを言われたら、言い返せないぜ…」
胸ぐらから手を離すと、ちぇっと言い、魔理沙は飛んでいった。
「ようやく喧しいのが帰ったことだし、一哉だよね?こっちに来なさい。それと樹、前金だから寄
こすか、賽銭箱に入れなさい。」
樹は正装服の裏から、お金を取り出し、霊夢に渡す。渡された金額に霊夢は驚く、
「こんなにいらないわよ。半分返すわ。」
「いや、家に困るほどあるからあげるよ。」
「ふーん、じゃあお言葉に甘えてもらっておくわ。じゃあ一哉準備は大丈夫?多分一生という確率
で会うことは出来ないけど、別れの言葉位言えば?」
一哉は霊夢の方を向いて、
「多分長くなるかもしれないけど良い?」
「別に構わないわよ、どうせあのスキマ妖怪を待たないといけないし、でも来たら途中でも始める
からね。」
「わかったよ。」
一哉は樹の前に立つと、真剣なまなざしで見つめ、話し始める。
「ねぇ樹は覚えてる?僕たちが出会った日のこと。」
「あぁ、あの出会い方は忘れたくても忘れられないからな。1年前に確か桜が散り始めた公園での
出来事だろ?」
「うん、あの時女子にいじめられてたのを、樹が助けてくれた。そして、そこから仲良くなって今
となっては、今ここにはいないけど、もう一人親友が出来た。いつも3人でいろいろと語ったね、
それは僕にとってはかけがいのない時間だった。とても楽しかったよ。」
「てか、なんで男のお前が女にいじめられてるのが今でも不思議でならないけどな…」
樹は出会いの瞬間を思い出して苦笑いをする。
「まぁ、それは置いておいて、そして月日が流れて、10日前位かな?ここに来て無性に樹たちが心
配になったよ。」
「まぁお前は異常って言うほどの心配性だからな~」
「でも、5日前樹と出会うことが出来た。そういえば、樹はどうやってこっちに来たの?」
「確かな…お前に化けた妖怪が俺を廃神社に誘き寄せて、襲ってきたから逃げた先に八雲紫さんが
使ったと思われるスキマに入って、こっちに来たんだぞ。その際に、狼から、魂を引き継いで、こ
っちについた時には、この姿だった。そしていろいろな人に助けられて今にいたるのさ。」
「姿にはついては聞いてなかったんだけど、とりあえず助けてくれてありがとね!」
満面の笑みで樹に礼を言うと、
「まぁ、礼には及ばないぞ。最後にお前に会うことができたから嬉しかったぜ!一哉!あいつにもこ
う言っておいてくれ。突然いなくなったことにはすまないと思ってるけど、こっちには戻れないん
だ俺はいつもお前達親友をいつも想ってる、ってなもちろん親友としてだぞ。」
「うん、理也に言っておくよ。そして親友としてもってことは理也もわかるから。もちろん僕もね。」
樹もにかっと笑うと、能力で自分で見つけたストック空間を開き、中から携帯を取り出すと、
「最後だし、記念撮影しよっか?霊夢写真大丈b…(ブォン!!)」
許可を取ろうとした途端に何度も感じているこの風の速さ、あの人しかいない…樹は自分の裏にい
る人の名を振り返らずに告げる。
「文さん何の用でしょうか?まさか一哉のことを取材ってことでもなさそうですね。むしろ一哉だ
けではなく、俺も取材の対象内つまり、この別れを取材に来たのですか?」
「あややややっ!?樹勘が切れてますね~正解です。外来人の二人の運命の再会そして、一人は妖怪
化して帰れない状態でここに残る選択した人間だった妖怪は親友と辛い別れをすると言う記事がち
ょうどいいと思いましてね。で、そろそろお帰りに?」
「まぁ、帰る前に記念撮影しようとしたところです文さん。ちょうど良いので撮って貰っても良い
ですか?」
「まぁ取材なんで、撮ってあげますよ。プライベートなら上司にこんなことさせたら10年パシリで
すからね。仕事だったからですからね!?わかりましたか!!?」
「わかりましたよ。じゃあ次もある予感がするんで、今日一哉が帰ったら団子を奢りますよ。」
「言いましたね!?その言葉忘れちゃいけませんよ!?」
そろそろ文との会話も疲れてきたので、携帯をカメラ画面にして文に渡すと、
「画面の下のボタンを押すだけなのでお願いしますね?」
「まっかせてください!それでは行きますよ?」
準備をすると、俺と一哉は並んでポーズを取ると、
「はい、チーズ!(カシャッ)はい、これでいいですか樹?」
文から携帯を手渡されると、写真を確認すると、ばっちりブレなく撮れていた。樹と一哉満足し
て、文に礼をすると、大丈夫ですよ~と言ってくれた。そして、空気と化していた霊夢が出てき
て、
「そろそろ行くわよ?良い一哉?」
「はいっ!!お願いします!霊夢さんと…おばさん誰?」
「誰がおばさんよ!!ゴツンッ」
紫は一哉に強烈なパンチを顔面にヒットする。樹と文は呆然としていたが、樹は我に戻ると、
「すいませんでした!紫さん!!一哉は初対面の年上の女性と話すと、おばさんというくせがありまし
て、許してやって下さい!お願いします。」
紫の前で土下座をして、謝罪する。紫は溜息をつくと、
「まぁ、樹がそこまでするなら許してあげるわよ。さて、霊夢さっさとやるわよ。」
「言われなくてもそのつもりよ。」
「「5重霊符『『エンターバック』』」」
すると、一哉の姿がなくなった。つまり、帰ったようだ。霊夢は疲れたから寝ると言い、神社に戻っ
ていく。紫はいつの間にか姿を消していた。残された樹と文は人間の里に先ほどの約束の通り、甘
味屋で団子を奢っていた。
―同時刻妖怪の山椛の家―
椛は他の白狼天狗を追い返して一件落着したところで、同期の秋風葉月と柊杏子、秋雨百合の4
人で駄弁っていた。
「ねえ、椛?樹ってどんなやつなの?」
樹の話題を持ち出した杏子は興味津々だった。椛はそんな顔をみて、溜息をつくと、
「うーん性格は仲間とか友達思いでいい人だよ。後、料理が物凄く上手なの、私が非番の時にいつ
も外の世界の料理教わってるんだ~」
「へぇ~生活力高い男最高だね~あたいも教えてもらおうかな~」
そんなことを言っていると、小柄の葉月が挙手して、
「ねぇ提案があるんだけど、今日樹君の歓迎会をやらない?」
「いいな~それ!ついでに3人で樹に挑んでみないか?歓迎会の催しとしてよ!」
「それ、あたいも賛成!」
「私も賛成だよ、でも樹がお酒に耐えられるかが心配だけど…」
「そこはお茶でも準備すれば良くない?」
椛はそうだね、と頷くと、皆で分担して歓迎会の準備を開始した。
―外の世界―
一哉は気が付くと、家で自分のベッドだった。
(帰ってきたんだ…僕がいるべき場所に…)
一哉は起き上がると、
「あれっ?涙が…そうか、樹とはもう会えないんだよね…それで寂しくて、涙が出たんだ…」
一哉はベッドから出ると、時間を確認した。5月3日の朝5時だった。今日からはゴールデンウィー
ク連休が始まる。時計を元の場所に戻した瞬間、携帯の着信が流れた。確認すると、とある無料チ
ャットアプリの通知だった。送信者は水無月樹と書かれていた。幻想郷では早くはなくとも電波は
あるみたいだ。トーク画面を確認すると、画像と一つのメッセージが送られてきた。画像はあの時
撮ってもらったものだ。メッセージにはこう綴られていた。
『能力使って、電波繋がるようにしておいたから。いつでも送って来い、電話でも構わないから
な。それと理也に言っておけよ。』
一哉はクスッと微笑むと、
画面を消して着替える。そして、勉強机に向かうと、幻想郷に行っていた一週間分の勉強に取り掛
かった。
一時間が経って日の出の時間になり、朝のきざしが窓から一哉の部屋を照らす。下からは、朝ご
飯の匂いだろうか?おいしそうな香りが部屋をほのかに漂っている。まだ朝ご飯を食べるにはまだ
早いので、幻想郷での出来事を振り返ってみた。あの世界でしか味わえない非現実的なことに心を
高鳴った。
「できたら、また幻想郷に行きたいな~怖いことはさすがに勘弁だけど…」
そんなことを呟くと、部屋から出て行った。あの非現実的な経験は出来ないが、忘れないようにす
ることはできる。あの世界での体験、親友との別れを文章で残そう。それが自分にできる最善なこ
とだと信じて。
これにて第1章終了です。投稿遅れてしまいすいませんでした。
第二章でもよろしくお願いします。
後、この回から5000字を目安に書いていきたいと思います。