少し私情で時間が取れずに、こんな時期になってしまいました。
第9話 免除と飲み会
樹は文と別れてから一人、帰路を歩いていた。
「そろそろ空を飛ぶ練習しないとな~能力で移動するのもつまらないからな~」
と愚痴を言っているうちに、家に着いた。
「ただいま~椛~。」
椛を呼んだが返事がない。
「何か用事でもあるのか?」
そうつぶやくと、居間のテーブルの上に置手紙があった。樹は手に取り読んでみる。
「何々?『今同期と用事があるので出かけています。夕方には帰ってくるので心配しないで下さ
い。椛』
樹は読み終えると、縁側に座る。はぁあ、とあくびが出たので、寝ようとした。しかし突如ノ
ックが聞こえたので、起き上がり玄関に行ってドアを開けると、
「はいは~いどうぞ~って…文さん!?どうしたんですか?」
ドアを開けそこにいたのは、文だった。何やら真剣そうな顔をして、
「樹、大天狗様が呼んでいますよ。すぐに来てほしいそうです。」
「わかりました、すぐに支度します。」
「じゃあ、私は用が済みましたので取材に行くので、では!」
文はそう言って飛び去っていった。樹はすぐさま能力で大天狗の家の前へと移動しようとしたが気
分が変わり、歩きで行くことにした。
―少年移動中―
およそ30分かけて、大天狗の住む屋敷へやってきた。ここに来るのは、何日ぶりだろうか。確か
文と一緒に来て、仲間にしてもらった時以来だったと樹は少し思い出に浸っていたが、すぐに切り
替えて、ノックをして、
「大天狗様、水無月です。」
とだけ言うと、ドアが開くと大天狗様が出て来て、入りなさい、とだけ言って中に戻っていくと、
樹は中へ入る。ついていくと、最初の時と同じ大天狗の部屋へたどり着く。大天狗はあの時同様に
椅子に腰かけると、
「水無月よ、「はいっ!」お主の実力は噂に聞くが、一人で吸血鬼を倒したことを賞して、訓練生
を特進で免除しよう。そしてなこれをぜひ受け取ってほしい。」
すると、引き出しから正装服と似ている衣服を取り出すと、樹に手渡す。樹は受け取ると、
「免除の件はありがとうございます。で、これは?」
ふと思ったことを聞いてみると、大天狗は表情ひとつも変えずに、
「それは哨戒部隊の隊長、副隊長の特攻服だ。お主を部隊の副隊長に任命したいのだ。受けてくれ
るか?」
樹は驚きを隠せなかった。ここに来てから間もない自分が行き成り副隊長の位を貰ってしまってい
いのだろうか?
「自分なんかで宜しいのですか?少々買い被り過ぎでは?」
「いや、将来的なことを考えての上のことだ。お主はそれほどの天狗だということなのだよ。自分
を誇りに思いなさい。」
そんなことを言われてしまうと樹は引き受けるしかないと思ったが、なんとなく拒否権がなさそう
だと思い、
「はい!是非やらせていただきます!!」
「よく言ってくれた。では来月とは言っても明後日から哨戒が始まるよろしく頼むぞ!」
「はいっ!!」
樹は大天狗の言葉に大きな声で返事をし、一礼してから大天狗の家から去っていった。外に出ると、
もうそろそろ真上にあった太陽が沈み始めていた。
―少年移動中―
家に着くと、椛はまだ帰ってきていなかったので、帰ってくるまで居間で本を読んでいることに
きめ、部屋から何冊か持ってソファに座って読み始めようとすると、ふとテーブルにある置手紙が
違うものだと気づく。溜息をついて置手紙を持つと、
「はぁ…えっと、『同期と一緒に九天の滝で待っています。椛 PS.着替えを持ってきた方が良
いかも』っていったい何やるんだよ…」
樹は早速副隊長の特攻服をストック空間にしまい、あの時にフランにもらった箱から刀身50㎝位の
剣をもしまう。その剣は2本あり、どちらも妖刀と書かれていたので前みたいにすぐには壊れるこ
とはないだろう。そのうちの天魔刀を腰の鞘にしまい、もう一本の月狼牙を空間に収めると、能力
で九天の滝へと向かう。
着くと、滝つぼに椛と同期と思われる男女の四人がいた。そのうちの小柄な男が前へ出て、
「初めまして樹君、椛さんの同期の秋風葉月です。それと後ろにいるのは秋雨百合君、女っぽい名
前だけど、れっきとした男だからね。それと柊杏子さんよろしく。」
「あぁ、よろしくな。」
樹は頭の中で、整理すると小柄なのが秋風葉月、体型がごっついのが秋雨百合、そして体型が細め
な女が柊杏子と認識した。そして、ここに来る前の疑問をぶつけてみる。
「あのさぁ~絶対自己紹介だけじゃないよな?」
これを聞き、百合が前に出て、
「これから歓迎会の催しとして、俺、杏子、葉月と戦ってもらうぜ!」
「やっぱりそっち系か…予想はしてたけど、三人相手か~まぁ受けてたとう!」
鞘に納めている天魔刀を抜くと、その場で静かに構える。
「そうこなくっちゃ。じゃあまずはあたいから行くよ。」
そういうと、杏子は大剣を肩掛けして向かってくる。もちろん、低空飛行をしながら、樹は能力で
空間の重力を変えて飛べなくすると、杏子はフルスイングで大剣を薙ぎ払ってくる樹は後ろに沿っ
て避けると、
「水無月流抜刀術 五月雨」
樹は回転切りで杏子を薙ぎ払うと、後ろから百合の拳が飛んでくる。ガードするが、滝に吹っ飛ん
でいった。ずぶ濡れになった樹は立ち上がると、納刀して百合のもとへ走り、パンチを繰り出すが
避けられ百合は蹴りを繰り出そうとする。樹は避けることが出来ず、直撃して空中を舞い百合が追
撃しようと追ってくるが、樹は体勢を立て直し、
「居合 白狼咆哮の太刀」
樹の剣と百合の拳がぶつかるが、樹は能力を使い、移動すると百合は空振り樹を探していると、真
上から
「水無月流受け身の型 うつし雨」
樹の声に気づき上を向き、パンチを繰り出そうとしたが、樹の剣が先に百合を捉え、斬りつけた。
百合は落ちていき、滝の中に落ちていった。滝に落ちていったのを確認すると、着地する。すると
その瞬間、何かが切れた音が聞こえた。見ると、それは樹自身の髪の毛だった。そして目の前には
葉月が短剣を振り下ろした姿が映っていた。あの一瞬で目の前まで来て、斬ったことに樹は少し戸
惑ったが、我に戻り、空間からもう一本の月狼牙を取り出して、妖力で弾幕を撃つ、短剣で弾いた
一瞬をつき攻撃をするが、もう一本の短剣がそれを阻んだ。さきほどの二人より葉月は断然強い。
流石は天狗、伊達に長生きしてないなと最近天狗になった樹は心からそう思い、
「葉月お前最高だよ!特別にこの技を味わせてやるよ!」
その言葉から葉月は守りの構えを、樹は天魔刀を抜く。椛は樹の構えを見て、
「あれは!?あの時の!!?」
印象が強くて、椛は大声をだす。それが合図だったかのように樹は走り出すと、葉月の守っている
のにも構わず、斬り上げ空中へ飛ばすと、今回は能力で上に移動して、斬り下げ、また斬り上げす
ると、レミリア同様上に注意を向けられたので、背後から斬りつける。白狼双砕牙がこれにて完成
させることが出来た。着地すると、椛が近づいてくるが、目の前で静止させた。理由は単純に濡れ
ていたからである。そして、3人も寄ってきた。
「まったくもって完敗だよ…僕たち3人もいたのになぁ~」
「いや、完敗じゃないだろ~杏子はまだまだだけど、百合の力の強さと、葉月の素早さには驚いた
よ。」
「むぅ…言ってくれるじゃない…」
「第一撃からフルスイングはないと思ったぞ?避けられたら一巻の終わりだしな~」
「ぐうぅ…」
樹の指摘に杏子は膨れるが樹はスルーする。椛はパンパンと手をたたくと、
「はいはい、もう話はおしまい、皆早く着替えて、宴会行くよ~」
「「「「了解」」」」
5分もして、着替えが終わる。樹はもちろんさきほど大天狗からいただいた副隊長の特攻服に着替
えた。皆は樹の格好に驚き、質問するが、
「とりあえず、宴会の会場で質問に答えるから」
と言い、皆で会場へと移動する。
―少年少女移動中―
5人は会場に着くと、座敷に腰をかけると、たくさんの瓶が運ばれてくる。その中身はなんとな
く樹は察した。そして、それを注ぐと、
「樹の歓迎を込めてかんぱ~い」
「「「かんぱ~い」」」
「みんなありがと!じゃあ、なぜ特攻服を持っている理由を言うぞ?」
ここに来る前に大天狗の家に行ったことを樹はすべて話すと、
「ちくしょー俺たち何百年真剣に仕事してももらえないのに何で新参者の樹がもらえるんだよ!」
百合はすでに酔っていて本人の目の前と言うのにも関わらず、愚痴をこぼすがそれと対照的に葉月
は酒に強く、
「それはさっきやってわかったでしょ?百合君。それほど樹君は強いんだよ。能力も持っているか
ら尚更納得いくよ。」
その話に樹は、
「えっ?椛以外持ってないのか?能力…」
「まぁ僕は持ってるけど、さほど哨戒にむかない能力だから下っ端のまんまなんだよ。百合君と杏
子さんは持っていませんよ。」
「へぇ~そうなんだ…能力持ちはそんないないのか~じゃあ希少なんだな俺たち能力持ちは、」
樹は少し不安になりながらも言っていると、
「ねぇ~樹ぃ~もっと飲もうよぉ~まだはじまったばっかりなんだからさぁ~」
もうすでに椛は酔っていたそれもかなりと言えるくらいに、杏子もかなり酔っていてふらふらに
なっていた。
(なんか嫌な予感がする…)
そんな樹の予感がこの後見事に的中した。二人が顔を合わせると、険悪雰囲気が広がっていき、喧
嘩が始まった。樹はすぐさま止めたが、二人の拳が顔面にヒットし、気絶した。葉月は苦笑いをし
ながら、見ていることしか出来なかった。
「「表に出ろ!」」
この言葉を最後に口喧嘩から殺し合いに等しい喧嘩に発展してしまった。
その5分後、樹が気が付いて葉月に
「おい!あのバカどもどこ行った!?」
「さっき二人とも武器を取って外に出て行ったよ…僕も止めに入ったけど無理だったよ…」
通りで頬に2つの手跡があるわけだと、樹は一人納得してから立ち上がる。葉月は心配そうに、
「大丈夫なの?」
「まぁ能力で止めるだけだから大丈夫だ。感知系の能力なんかにゃ負けねぇーよ。それに部下をま
とめることもこれからの仕事だからな。今のうちに慣れておかないといけないし、」
「それもそうだね。じゃあ頑張って多分また九天の滝でやってると思うよ。」
「おう、ありがとな」
樹は葉月に礼を言うと、能力で九天の滝への空間を開き、入っていった。残っている葉月は酔いが
覚めて、寝ている百合を起こすと、さっきの出来事を話始めていた。
一方九天の滝では椛と杏子の戦いが繰り広げられていた。二人とも酔いが覚めていたが、戦いを
始めたら勝負が決まるまで戦い続ける性格をしているというのと、お互いライバル視しているとい
う二重の意味で行っていた。
「杏子そろそろ決着つけるよ!」
「望むところ!!あんたにだけは負けたくない!!」
二人が剣を振り下ろそうとした瞬間、椛と杏子の首元に痛みが走る。その勢いで滝に落ちていく
が、寸前で誰かが2人の体を持ち抱えた。そして、地面に寝かされると、椛は目を開き、その『誰
か』の姿を見る。そこには怒りの表情がむき出しの樹の姿があった。見たことのない表情に、椛で
さえひぃっ!、と言うほどであるのだから、
「二人ともとりあえず正座しろ!((はい…))」
あまりにも威圧が強く従うしか二人の選択はなかった。それから約2時間樹に説教された椛と杏子
であった。
これより第二章始動です。
これからも東方咆狼伝をよろしくお願いします。