勘違いから始まる物語   作:壬生咲夜

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アクセス数35000突破!!
登録数も600ととても驚いています(汗
今回は日常です。
あの兄妹が出ます!!


休日の話

<休日の散歩>

襲撃事件の後、全アリーナの修復やシステムの点検が一斉に行われることになったので、丸一日休みとなった。

折角の休みなのだから息抜きも兼ねて外出しようと思い、昨日のうちに外出届を提出。

早朝の鍛練を終えてから学外へと出る。

 

特に目的も無く見知らぬ土地を気ままにぶらぶらと歩いていると知らぬ赤毛の少女に泣きつかれた。

 

え、何? 俺、何かした?

 

と思っていたら、これまた見知らぬ赤毛の少年に「一夏!! 生きてたなら連絡の一つでも寄こしやがれ!!」と殴られた。

 

……ああ、いつもの勘違いね。

 

流石に殴られたのは腹が立ったので、男の急所を容赦なく蹴りあげたら鶏を絞殺したような叫びを上げるが、それを気にせず怯んでる隙に頭を掴んで全力のアイアンクロウを決めながらじっくりと物理的にO・HA・NA・SHIをする。

その際、面白そうに遠目に眺めていた野郎共が揃って顔を青くして息子を抑えていたが気にしない。

顔を朱らめてモノ欲しそうにこちらを見ていたマゾ女も居た気がするが気にしない。

 

その後、誤解が解けたようで「わ、悪い。お詫びにウチで飯を奢る」と言われ、自営業しているという店-五反田食堂-に案内された。

タダ飯が食えるならという安直な考えがいけなかったのだろうか?

そこでも「一夏君!? 良かった、無事だったのね!!」と母親らしき人に泣きつかれ、「坊主!! 生きてたなら連絡の一つでもしやがれ!!」と中華鍋で殴られそうになった。

 

……この一家は女性が相手を取り押さえて、野郎がその隙に殴るのだろうか?

 

流石に二度目となると対処法は思いつくので、冷静に中華鍋の軌道を逸らす。

隣にいた赤毛の少年にぶつかって悶絶しているが気にしない。

奥から出てきたご老人の頭を掴もうとしたところで、赤毛の少女が慌てて俺の腕を掴んで止めにかかり、別人だと話して誤解が解けた。

ちっ、おしい……。

 

席について暫くすると注文した業火野菜炒め、カボチャの煮付け、餃子、春巻き、唐揚げ、ラーメン、杏仁豆腐が届く。

頼み過ぎだって? 「好きなだけ食べてね」と言われたから好きなだけ注文しただけさ。 思いっきり顔引きつってたけど。

最初は腹いせに片っ端から適当に注文して食べずに出て行こうと思ったが、一教徒として食べ物を粗末に出来ないので止めといてやった。

 

ジロジロと見てくる一家に少し嫌気が刺しながら食べる。

前から少しだけ気になっていたのだが、そんなに似ているのだろうか?

そんな事を聞くと兄妹が慌ててアルバムを持ってきた。

開かれたページを覗くと、今より少しばかり幼い感じのする赤毛の兄妹とちっこいの、そして黒髪の少年が写っていた。恐らく、この黒髪のが“織斑一夏”なのだろう。

鏡を見る習慣があまり無いのでよくわからないが、多分似てるんだと思う。

 

その後、タダ飯を食い終え帰宅する際に「これを機に仲良くなろう」「また、来てくださいね」と言われた。

それに対して俺は、

 

ええ、勿論――

 

 

 

嫌だね。

 

 

口には出さず、心の中でそう呟く。

 

別に飯が不味かったからとか第一印象が悪かったからでは無い。

俺のことを"織斑一夏"と重ねて見ているのが気に食わないからだ。

時折、"一夏"と言いかけたり、アルバムを見せているときも俺が知らないことを懐かしむように“こういうことがあったんだ”と語ってくる。

大方、学園にいる自称姉・幼馴染共と同じように記憶喪失だとかでも思っているのだろう。

 

作った笑顔を浮かべながら社交辞令を告げ、二度と訪れないであろう店を後にした。

 

 

<携帯電話>

休み明けの昼休みのことだ。

 

「ね~ね~ことみ~昨日の休みはどこに行ってたの~」

 

いつものメンバー食堂で飯を食ってたら布仏がそんなことを聞いてきた。

 

昨日は自由気ままに街を散歩してたよ。

 

「何? 鍛練を一日でもサボるとはどいう事だ一夏」

 

あんたに言われなくても朝と夕方にちゃんとやってる。それと人違いだ。

 

「何であたしを誘わないのよ!!」

 

何でお前を誘う必要があるちっこいの

 

「あの、時雨さんの握力ってどれくらい」

 

昨日の危ない視線の正体はやはりお前か…

 

「そうなんだ」

「わ、私たちも街に出て買い物してたんだよ」

「ことみ~も誘おうって探してたんだよ~」

 

ム、そうだったのか。それはすまなかったな。

 

「いえいえ~。あ、そうだ~ことみ~携帯番号教えてよ~」

 

布仏の発言にいの一番に反応したのはお断り3(俺命名)の連中だった。

 

「仕方がない一夏、連絡が取れないとなっては今後色々と不便だろう」

「ほら一夏。携帯貸しなさいよ。登録してあげるわ」

「あの、時雨さん。時雨さん専用の携帯電話を購入しましたの。こちらに連絡して頂ければ、私いつでも大丈夫ですわ」

 

……ツッコマないぞ俺は。

 

悪いけど、携帯電話は持ってないんだ。

 

「え~そうなの~?」

 

「ハァ? 何言ってんのよ一夏。今どき携帯の1つも持ってないとか嘘つくんじゃないわよ!!」

「そうですわ。私なんて、仕事用、友人用、IS関連用、時雨さん用をお持ちなんですよ!」

 

持ってないモノは持ってないんだよ。

んなもん買う余裕なんて無かったし、必要だと思ったこと無いからな。

 

「で、でもこの間、言峰君誰かと電話してなかったっけ?」

「あ、それ私も見かけた」

 

この間?

……ああ、多分コレのことだな。

 

そう言ってポケットから1つの機械を取り出す。

 

コレはまぁ…無線機みたいなモノでコレと同じのとしか通信出来ないんだ。

原理は詳しく知らないけど、周波数も独自なモノを使って電波障害が受けにくくかつ長距離通信を可能にしてるらしい。

 

まぁ、これは通信以外の使い方として、向こうからの定時通信が出れない、あるいは俺からの通信がワンコールで切られたら教会はナニカが起きたと判断して動くようになってるんだけど。

 

「言峰君は携帯買わないの?」

「い、色々と便利だよ」

 

ん~、今までも特に必要と思わなかったし、プレハブのローンとかでそんな余裕無いからな…。

 

「そうなんだ~残念」

 

悪いな。

あ、パソコンなら部屋にあるから、そっちに連絡してくれ。

これ、アドレスな。

 

布仏らが受け取るよりも速くにお断り3にメモをぶんどられる。

その日の夜、何十通も送ってきたので速攻で別アカウントとアドレスを作って布仏らにだけ教えた。

 

 

――――――――――――

<プレハブ小屋>

 

「新しいアドレスは布仏達にだけ送って、前までのアカウントは……ほっとくか」

 

パソコンでの作業を止めると、部屋に置いてあった蓄音器から音が鳴る。

 

『……久しいな』

「お久しぶりです。師匠」

 

声の主は彼の師であり、義父でもある“言峰綺礼”であった。

 

『時臣氏から譲り受けたときは正直いらないと思ったモノがこんなところで役立つとはな…』

「ハハ、それトッキーに言ったら泣いちゃいますよ?」

 

プレゼントだと渡されたときのことを思い出す。

「通信機能を備え、かつレコードとしても使える素晴らしい代物だ」と優雅に語る彼を余所にほぼ全員がいらないなと思っていた。

 

まず、レコードなんてもの師匠らくらいしか持ってない。寧ろCDプレイヤーを持ってた。

通信ができるのは対となるモノでしかできない。固定電話の方が優秀。

外見が蓄音器なので無駄にスペースを取る。邪魔。

 

トッキーが帰ってすぐに倉庫にしまったのは内緒の話だ。

 

「それで何のようです?」

『なに、我が義息子の安否を気にかけてやっただけだ』

「ハハ、思っても無い事を言わないでください。キモチワルイ」

『フ、違いない。本題に入ろう………仕事だ時雨』

「………」

『―――――――――――――――――をお前に命じよう』

「……了解した。地獄に堕ちろ師匠(マスター)

『クククッ…』

 

 

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