勘違いから始まる物語   作:壬生咲夜

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ドジっ娘副担任の部屋割模様

とある日の休日。

学生は休みの日をそれぞれ満喫するが教員もそれに便乗するわけにもいかず休みを返上して無料奉仕に精を出さなければならない。

ここ、職員室にて何やら大量の書類と睨めっこしている山田麻耶もそれにあたる。

彼女は副担任なので本来ならば担任の補佐や振舞をみて勉強する立場なのだが、担任(織斑千冬)が女子寮寮長と学園主任を兼任するという傍から見たらアホだろと思える行為をしているので、それらの補佐もしなければならないのだ。

そこそこ長い付き合いな上に性格上断り辛く泣く泣く引き受けてしまうパターンが多い彼女だが、今回に限っては率先と……いや、むしろ千冬から半分無理矢理奪う形で引き受けたのだ。

 

さて、その引き受けた仕事というのは1年女子寮の部屋替えだ。

この作業はかなり精密に行わなければならない。

というのも生徒同士の性格が合わないというモノから宗教・国の関係上同室にしてはならないというのもある。

それらを踏まえた上で一人一人アンケートを取って一度データに纏め、そこから部屋割を決めるのだ。

 

去年は二人でやっていた作業をどうして一人でやっているのかというと、今年度入学者の部屋割を決める際に無理矢理生徒の一人を「姉弟が一緒に住むのは当たり前だろう」と言い張って自分の部屋に住ませようとしたり「ならば仕方がない。気心がしれた奴の方がいいだろう」と、とある剣道少女と同室にしようとする振りをして自分の部屋に住ませようとしたりするので御退場して貰ったのだ。

それでも時折、介入しようとしたりプレハブ小屋に突撃して連れ去ろうとするので監視付きの書類地獄を理事長自らプレゼントして脚止めをしてもらっている。

なので、脚止めが効いている内にこの作業を終わらせなければと急速かつ丁寧に作業を進めているのだ。

 

生徒一人1枚提出させたアンケートは山の様に積まれ、そこから1枚取り出して内容を読む。

中にはどの様な人と一緒あるいはどのような人とは嫌というのが書かれているのが定番。

さて、今取り出したのにはどんなことが書かれているのか…

 

「えっと、3組の相楽さんはこのまま同室でよくて、相手の子も特に何も書かれて無いので変更なしと、鏡さんと谷本さんが同じ部屋を希望で同室だった子も別の人を希望しているので交換しちゃいましょう!」

 

どうやら特にクレームが無かったようですんなりと勧められたようだ。

このようにすんなりと作業を進められればいいのだが、そうは問屋が許さない。

 

「あ、布仏さんですね~。なになに~『かんちゃんと一緒がいいな~』フフ、実名で書いてくださいね~」

 

一瞬、“かんちゃん”って誰? と思うが確か幼馴染が4組にいるというのを聞いていたので多分その子だろうと4組の生徒名簿を取り出して名前を確認する。

 

「次は~『簪ちゃんと一緒がいいわ!! これは姉として決して譲れないことよ!!』 あれれ~? 何で2年の楯無さんのがあるんでしょう。嫌がらせですかね~」

 

その申請は問答無用でゴミ箱へポイしました。

 

作業を進める中、時折同室相手だった子の悪口の様なモノが書かれていることもあり、それを見るたびにムッとした表情になってしまう。

自分自身女子校に通っていたのでこういう陰口があるのは思い知っているが改めてみるとやはり嫌な思いを抱いてしまう。

そして中には「男子と同じ部屋は嫌だ」等といったピンポイントにディスってるモノもあるのだ。

プレハブ小屋が壊れない限りそんなことありえないのにというのに…。

 

実は男子が入学するのにあたって新しく校則が幾つか追加されているのだ。

その中には男子はとある一定区画への侵入を禁ずるというのがある。

これを決めたとき一部の教員が喜んだ顔を浮かべていたが、実はこれプレハブ小屋をすんなりと作り手を出しにくくさせるように目論んだ理事長(真)の策だったりする。

あとで気づいて撤回しようとするものの発言したのが学園の最強権力者たる理事長(本物の奥さん)であるため、言葉に出せず苦々しい表情を浮かべていたとか。

 

そして時にはこの様な内容が飛び出てくる。

 

『鷹月静寐:病んだ眼で竹刀で素振りをする人以外でお願いします』

『鈴木加奈:キングサイズベットでスペースを占領したり、深夜に国際電話をしない相手。時折、「今日もイッパイ御仕置きを~」と朱い顔で悶えるドM以外でお願いします』

 

「………」

 

無言で眼元の汗を拭った。

 

 

「はい、次は……あ、篠ノ之さんですか。はい、ゴミ箱へポイッ」

 

続いて取り出した用紙の名前を見た瞬間に捨てる。

そんなことしていいの? と思うだろうが実はこれ既に5回目の行為になるのだ。

内容? んなの遠まわしだったりツンデレ風だったり無茶苦茶な理論だったりと複数のパターンで「一夏(時雨のこと)と同室にしろ!!」と書かれてるだけで、3回目で既に飽きた。

 

「篠之乃さんといい凰さんといい日本語がわからないんですかね? 一人一枚までだと言ってるでしょう?」

 

ニコニコとした笑みを浮かべているが、声から苛々しているのがわかる。

また一人、近くにいた教員が無言でスッと席を立ち職員室から去って行った。

 

「次は…えぇ~オルコットさんですか。 はぁ、何となく嫌な予感しかしませんが、なになに…『私を躾けてくれるとのg―』掴んだ紙を丸めてゴミ箱へシューッ!! 超エキサイティング!!!」

 

………どうやらかなり疲れているらしい。

また一人教師がそっと外に出て行くのかと思いきや、無言で彼女の机に栄養ドリンクを置いてから出て行った。

偶然居合わせた生徒会会計が言うにはかなり哀れんだ眼をしていたとか。

 

こうしてストレスを溜めては発狂・発散させながら貫徹で作業を進め何とか終わらせ、部屋に戻ると壊れたロボットの様に倒れ爆睡したらしい。

翌日、彼女の部屋から悶えるかのような叫びが聞こえたとか……。

 

 




何となくスラスラと書けてしまったので投稿しました。

“かなりん”の名前が解らないので“鈴木 加奈”にしました。

鈴木⇒鈴(リン)+加奈(カナ)=かなりん

安直ですね(苦笑)


たくさんのご感想ありがとうございます。
お陰さまで登録数800、閲覧数65,000超えしました!
仕事の都合上投稿が遅れてしまったり、筆が乗らなかったりで亀更新となるかもしれませんが、連載するのにあたって決めた終わりまで書きたいと思います。

それでは、また…
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