勘違いから始まる物語   作:壬生咲夜

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今回は時雨→第三者→時雨→第三者といった風に進めます


学年別トーナメント ②

特別ルールとしてタッグ形式で執り行うことになった学年別トーナメント。

特に大きなトラブルも起こることなく一回戦、二回戦と試合数を消費し、大会二日目が終わろうとしていた。

 

「「「大会二日目お疲れー!!」」」

 

今日の試合を終わらせた俺たちは食堂へと集まり、ささやかなパーティを開いていた。

集まったのはいつもの面子に加えて最近話すようになった相川、四十院らといった一部のクラスメイト達だ。

 

「言峰君とカレンさん、ブロック準決勝おめでと」

「ありがとうございます」

 

そっちもブロック準決勝出場おめでとさん。

 

「あ、ありがとう」

 

俺とカレン、谷本と鏡はブロックこそ違うが、共にブロック準決勝まで勝ち進んでいる。

 

「まぁ、私たちがここまで勝ち残ってるのも言峰君のアドバイスのお陰なんだけどね」

 

大会前、訓練機のレンタル時間が少なくこれでは連携訓練も出来ないと困っていた2人にちょっとしたアドバイスというか作戦を与えた。

スポーツによる一種の連携訓練。ISでの実戦とは違うが呼吸を合わせることはできる。

作戦暗号の作成。咄嗟に内容の全て言うよりも予め決めていた暗号を使った方が行動を起こしやすい。

ここまでは他の生徒もやっていることだ。

 

俺は“初戦でペアの一人を退場(・・)させ、残った一人を相手に連携訓練をすればいい”と教えたのだ。

 

やり方としてはまず、片方がペアの一人を引き離し相手をする。

もう片方が両腕に持ったアサルトライフルで相手を上空へと逃がし続け、ルール違反で退場させる。

そして残った一人を短期決戦で決めず、時間ギリギリまで使ってしまえ。

 

たったこれだけ。

これによって実戦経験と連携訓練の2つが同時に得られる。

まさに一石二鳥だ。

 

「で、でもちょっと悪いことしちゃったかな?」

 

いいんだよ鏡。

ちゃんとルールに則った作戦なんだから。

 

「…言峰君の場合“則る”の字が“乗っ取る”になってる気がします」

 

ハハ、面白い冗談だな四十院。

おいおい、皆して頷いて…泣くぞ?

 

「普通は対戦相手の武器を奪って戦わないと思うよ」

「外部に後付けして武装を増やすなんて考え付かないじゃないかな?」

 

…ちゃんとルールに則ってるだろ?

 

「「「「「“則る”の字が違う(かな?)」」」」」

 

うわぁいイジメだイジメ。

 

 

 

食堂の一角で小さなパーティを開いている俺たちであったが、遠巻きに様々な視線を送る者たちがいる。

主な視線の先は俺で次いでカレン、準決勝に勝ち進んだ谷本と鏡の二人。

最近はなりを潜めていた俺に対する悪態がカレンを巻き込んで再発したのも、先ほどまでの試合が原因だろう。

 

―――

――

 

<Aブロック 二回戦 第四試合>

 

「はぁっ!」

 

カレンが電撃を纏った鞭(スレイヤー・ウィップ)を振るう。

 

「ん゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁっ!!!」

 

「やぁっ!」

 

鞭を振るう。

 

「い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛ぃぃっ//////」

 

「ちょっとセシリア闘う気が無いなr――「衝捶!!」――ごべぇっ!!??」

 

時雨の八極拳(ショートイグニションブースト付き)が鈴音の溝に入り吹き飛び、その勢いは止まらずセシリアまでもを巻き込んでいった。

そして追撃にとカレンは拡張領域からバズーカを、時雨は左腰のホルスターから“AKグレネードランチャー”を取り出して二人へ向けて放ちエネルギーを全損させた。

 

「「ふぅ…汚い花火だ(ですね)」」

 

≪し、試合終了。勝者、言峰・オルテシア ペア≫

 

 

 

<Aブロック 三回戦 第一試合>

 

「邪魔だぁっ!!」

「あー、武器が落ちてしまいましたわー」

 

箒が剣で斬りかかり、カレンがそれを鞭で防ごうとするも呆気なく弾き飛ばされてしまう。

…ただし、棒読み付きでだ。

 

「(わざとらし…)」

 

そう思いつつ、引き受けていた相手(ランサーダート×3をお見舞い)から離れ盾とライフルから弾幕の嵐を放つ。

 

「っ邪魔をするないちkぐっ!?」

 

武器を取り落としたからと言って敵に背を向けてはいけない。

カレンの手元には拡張領域から取り出した2本目の鞭。

そしてそれは箒の首元に巻かれ――

 

「さぁ、豚のような悲鳴をあげなさい」

 

冷徹な微笑みを浮かべながら容赦なく電源のスイッチを入れた。

 

「ぐっぁぁあああああああああ!!!!!????」

 

悲鳴があがるなか、カレンが(わざと)落とした鞭を“右手”で拾う時雨。

正面へと回り込み、悪役もビックリな笑みを浮かべながら遠慮なく電撃を纏った鞭を打つ。

 

「ふっ」

 

鞭を打つ。

 

「はっ!!」

 

打つ。

 

数十秒もしないうちにエネルギーが全損した箒を放り捨てもう一人のペアと体を向けると、

 

「あ、降参します」

 

三本の槍で磔にされた鷹月静寐が引き攣った顔を浮かべながら降参を宣言(リザイン)した。

 

――

―――

 

やっといて何だが……やりすぎたか?

べ、別に今までのストレスやら恨み何か乗せてないんだからね!!

おい、カレン。汚物を見るような眼で見るな。

 

「…私たち他のブロックで良かったね」

 

「「「「「うん」」」」」

 

ヒデェ…

 

因みに今回のでドS兄妹、ドM製造コンビ、女王様といった噂が流れている。

今回に限っては――今までも特にした覚えはないが――噂を否定する気も撤回する気も無い。

それと言うのも俺の眼の前で四つん這いにしたオルコットに座る義妹のせいなのだが…。

 

「このセシリア・オルコットにこの様な辱め、絶対に許せませんわ!!!///」

 

なら、息を荒げるな。顔を朱らめるな。

ホント、入学当初のオルコットはどこにいった?

 

「五月蠅い椅子ですね。他のと交換しましょうか」

「………」

 

おい、黙るのかよ。

んでもってそこの柱にいる一回戦の子よ。朱い顔でモノ欲しそうにこっち見んな。

 

「ところで静寐。よく篠ノ之さんと組む気になったね」

 

ああ、それは俺も気になった。

オルコットやちっこいのなら候補生で専用機持ちって事でペアを組んでくれっていうのが居るかもしれないが、篠ノ之に関しては剣の腕が凄いが猪突猛進がブッチギリマイナスへと引き込んでいる。

好んでペアを組もうとするのはいないから、余った生徒同士抽選で決まると思ってた。

 

「……香奈がね凄く泣きそうな顔で助けてって言ってきたの」

 

納得。

けど良かったのか? 一年の初めとはいえ、戦績によっては今後の進路に響くだろ?

 

「う~ん、どうなんだろう。ISに憧れてここに来たけど、最近裏方の仕事も魅力的に視えてどっちに進むか悩んでるの」

「裏方っていうと整備科?」

「ううん、管理科。言峰君に頼まれて情報収集してたときにそれを纏めて分析するにやりがいを感じてね…」

「へ~、いいんじゃない? 私は応援するよ」

「ありがとう癒子」

 

…そういえば、布仏はどうしたんだ?

こういうのにアイツなら絶対参加すると思ってたが…

 

「ほ、本音ちゃんはペアの子とやることがあるってどっか行っちゃったの」

 

ふ~ん。

んじゃ、俺はここいらでお暇しますかね。

 

「も、もう帰っちゃうの言峰君」

 

いや、整備室に行こうと思ってな。

 

何でと不思議そうな顔を浮かべる皆。

明日明後日は2~3年の試合で埋まっているため俺たち1年は休みとなる。

普通ならそれに合わせて対策を練ったりするのだが……

 

ちょっとした疑心を植え付けるつもりでな。

流すのならなるべく速い方がいいんだよ。

 

本当は今のところ特に武装を変更するつもりはない。

だが、行くのと行かないのでは大分違う。

もしかしたら装備が変わっているかもしれない、あるいはフェイクで変わっていないかもしれない。

そんな疑心からいらない対抗策まで練らせるのが俺の狙いだ。

普段から無理やたらと誤報を流しやがって…ククク、悩め悩め。

 

「「「「「(うわぁすっごいあくどい顔してるよ)」」」」」

 

んじゃ、またな。

 

 

 

 

 

時雨が席を立ってから暫くの事、

 

「……言峰君ってあれだね」

「うん」

「あれよね」

 

「「「「「悪役(ヒール)」」」」」

 

別世界において某五次戦争の黒幕の弟子にして養子のため凄く否定し辛い。

 

「よくもまぁ、あれだけ裏をついた事を考え付くわよね」

「ね~」

「…今のはそれっぽい事を言いましたけど、あれは多分左腕を直しに行ったんだと思います」

「どゆこと?」

 

カレンがポツリと零した言葉に皆反応する。

 

「三回戦の時に左手の反応が少しばかり遅かったので、恐らく二回戦の時に使った技の負荷が機体に残っていたのでしょう」

「あ、あれでそうだったの?」

 

思い出すのは2回戦で漫画やアニメの様に殴り飛ばされる凰鈴音

そして…

 

「(私、片手の調子が悪い相手に負けたんだ……)」

 

内心ちょっぴりショックを受けた鷹月(3回戦の相手)であった。

 

 




鈴音が殴り飛ばされるシーンはアニメ終盤で言峰が切繋に八極拳を食らわせるシーンをご想像ください
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