つまらなかったらごめんなさい。
≪選手入場を確認しました。 これより一年生の部 準決勝を始めます≫
アリーナの中央に立つ4つの機体
時雨の駆る純白の機体“白式”
カレンの駆る黄色の機体“テンペスタ・カスタム”
本音の駆る灰色の機体“打鉄”
そして簪の駆る水色の機体“打鉄弐式”
「…意外ですね。あなたとここで当たる事になるとは思いませんでした」
「よろしくね~カレっち~」
「はぁ…本当に調子が狂います」
「エヘヘ~」
これから試合前とは思えない間延びたやり取りだ。
≪試合開始10秒前≫
「…ありがとう。ここまで来てくれて」
「別に、ただ勝ち進んできただけさ」
「そう…」
≪5秒前≫
「…私は――貴方に勝ちたい!!」
「そうかい。でも残念、勝つのは俺たちだ」
≪3秒前≫
「…違う」
「?」
「勝つのは、私たちだ!!!」
≪試合開始!!≫
「はぁぁぁあああ!!」
「でぇえええい!!」
時雨のトリケロスと簪の持つ超振動薙刀“夢現”がぶつかり合い火花を散らす。
『本音!!』
『はいは~い』
合図を送るのと共に鍔迫り合いを止めて横に跳ぶ簪。
それと入れ替わるかのように彼女の影に隠れていた本音が両手に持ったライフルを時雨に向けて掃射。
「っち」
すぐさま盾で防ぎながら後ろに下がる時雨であったが、それでも数発喰らってしまいエネルギーを少しだけ削られてしまう。
『カレン、プランCだ』
『わかっています』
事前に決めた作戦の内の1つ、互いに持つ中距離武器による多対一の集中攻撃。
ちょうどVの字になるような形で本音に向けて互いの持つ射撃武器を撃ち放つ。
「わわっ!?」
今度は自分に向ってくる弾丸の嵐を慌てて浮遊する盾を操作して前面へと回す。
その1秒にも満たないすぐ後に聞こえてきた無数の弾丸を弾く音に本の少しだけ背筋がゾッとする。
「ええい!!」
本音のピンチを救うべく文字通り横槍にと襲いかかる簪。
その刃はエネルギーこそ削れはしなかったが、時雨の持つアサルトライフルの破壊に成功。
しかし、このままただではやられないと爆発寸前のライフルを簪へと投げ捨てる。
だがそれも時雨の予想してた通り、あっさりと弾かれるがある程度の距離を取る事ができた。
流石にあの近すぎる距離で全武道中最強と謳われる薙刀とやり合うには少しばかり分が悪かったのだ。
「(
時雨たちの連携は付け焼き刃よりかはマシだが、やはり簪らには劣る。
今も簪が斬り込み下がった瞬間に本音が援護射撃と逃げる時間を稼ぐ。そのタイムラグはほぼゼロと言ってもいいほどだ。
「(にしてもどこが“姉の威光で候補生の座と専用機を手に入れた落ちこぼれ”だよ。やっぱ噂は宛にならねえな)」
クラス代表選で集めた際に得た情報を思い出し苦笑を浮かべる。
実際に戦ってみて解る。
事細かな機動、薙刀の腕前、射撃センス、相方のサポートとどれも自分より上で唯一勝っていると言えば実戦経験くらいだろう。
噂に関しては簪と同じ候補生や予備候生らが妬んで流したデマなのかもしれない。
時雨と簪が激しい戦闘する一方、本音とカレンも一進一退の攻防を繰り広げていた。
本音がグレネードランチャーを構えて撃ち、それをカレンが鞭で叩き落とす。
続けてアサルトライフルを撃とうとする前に鞭での破壊を試み、慌ててそれを回避する。
本音としては慣れない戦闘にカレンとしては柳の様にゆるゆると動く相手に苦戦していた。
「うわっ!? おっとと~危ないよ~カレっち~」
「っちょこまかと!!」
このままでは埒があかないと鞭を仕舞い西洋剣を
逆に本音はこの時を待ってましたともう片方の手に銃を
その2丁の銃が火を噴く瞬間、カレンはニヤリと冷たい笑みを浮かべた。
「かかりましたね」
「えっ!? な、なに?」
突如西洋剣だったものが分裂しチェーンによって連結された刃が本音へと襲いかかる。
それを先程までのように避けるが蛇のようにしつこく追い回される。
鞭を一切振るっていないのにだ。
―――イメージインターフェイスによって自在に武器を操ることを目的としている―――
カレンが転校してきてすぐにそんな話をしていたことを今になって思い出す。
今までの試合全てがこの特性を隠すための囮だったのだ。
本来ならば鞭もあそこまで大げさに振るわずとも同じような事ができるのだろう。
「(わ~これ無理かも~)」
既に両腕の武器は破壊され、残っているのは“葵”一本とボロボロの盾のみ。
何とか襲いかかる刃から身を護っているが、それも時間の問題だろう。
「本音!!」
「余所見はいけないな!」
「っ!?」
本音の危機に一瞬気を逸らしてしまった簪。
隙ありとガントレットを展開した左手で殴りかかる時雨。
彼女の脳裏に咄嗟に浮かぶのは遠くに殴り飛ばされた
このままでは負ける。
嫌だ。
だって私は
強くなりたい。
この人に、
言峰時雨に勝ちたい。
「あああああああ!!!!」
薙刀を振り下ろす簪。
だが、それがその刃が時雨に当たるまでにはあまりにもリーチが長すぎる。
勝負は決まった。
試合を観戦していた誰もがそう思った。
だが――
「変われぇぇえ!!!」
突然薙刀から小刀へと切り替わり垂直に振り下ろされる。
それは展開されていたガントレットの繋ぎ目を正確に貫いていた。
「っクイックシフト!?」
あまりに予想外の出来事に咄嗟の癖で距離をとってしまう時雨。
その隙にと空いた左腕で空中に投影させたコンソールを操作し6機のミサイルポットからそれぞれ8つのミサイルを撃ち放つ。
「マジか!?」
残ったホルスターからショットガンを抜き撃つ。
全弾撃ちつくしたものの、襲いかかるミサイルには時間差があり、破壊できたのは撃たれた半分も無かった。
「(これは囮と誘導!? まさか本当の狙いは)っカレン!!!」
「っ!?」
「逃がさないよ~」
時雨の叫びに危険を察知したカレン。
急いでその場を離れ迎撃に移ろうとするも背後から本音に抱きとめられ身動きを封じられてしまう。
その直後二人の悲鳴と共に爆音が鳴り、2機のISがエネルギーを全損させた。
「やってくれましたね布仏さん」
「てへへ~、ごめんね~カレっち~」
「はぁ…」
本当に呆れたと思わず溜息を吐くカレンであった。
『本音、どうして…』
彼女を救うために放ったミサイル群。
だがそれはカレンを確実に仕留めるために彼女はあえて犠牲になった。
まるで親友を犠牲に勝ちに出たかのような形に心を痛めてしまう。
『えへへ~ごめんね~かんちゃん。でも~あのまま残っても私じゃあ足手まといにしかならないから~』
『でも、こんな』
『うん。かんちゃんの言いたいことはわかるよ~。けど~ことみ~に勝って前に進みたいんでしょう?』
“強くなりたい”、“勝って前に進みたい”
本音にペアを組んでくれと頼んだ時にそう零した言葉。
『だから~、勝って前に進もう』
『…ごめん、本音』
『違うよ~こういう時は“ありがとう”だよ~』
『うん…、ありがとう』
手に持ったままの小刀で何度も斬りかかる簪。
それを時雨は盾で防ぐのではなく左手を刃の腹に当てて1つ1つ確実に逸らしていく。
互いにもう武器の耐久値もエネルギーの残量も殆ど無い故の行動。
「足下が留守だっ!!」
「っ!?」
幾度かわからぬ攻防戦の末に小刀に集中しすぎた簪はいつかの時とは逆に足払いを受け体勢を崩してしまう。
このままでは不味いと無理な体勢から後方宙返りで距離を取るが、それを逃がさんとばかりにトリケロスを構え全てのランサーダートを射出。
追撃してくる3本の槍
1本目は身体を捻り避ける
2本目は小刀で槍の腹にあてて弾く
3本目も弾こうとした所で耐久の限界がきた小刀が折れ、右肩に被弾。
「っ~このっ!!」
仕返しにと“春雷”の残された弾道を全て打ち放ち、トリケロスを吹き飛ばす。
華やかさなんてものは無い荒々しい試合。
だが、見て居たもの全てがそれに魅了した。
簪は薙刀を時雨はナイフを
互いに残された最後の武器。
エネルギーは二人とも2桁を切っている。
あと一撃。
どんな攻撃であろうとこれで決まる。
互いに弾切れとなり邪魔となった武器を切り離して斬りかかる。
「これでぇええええええええええ!!」
「終わりだぁぁああああああああ!!」
二つの機体が交差しぶつかり合う金属の音。
互いに着地するものの全く動く気配が無い。
嫌な静けさが会場が包む。
まるで誰かがゴクリと飲み込んだ唾の音が聞こえてきそうなほど…。
試合結果を知らせるアナウンスが異様に遅く感じる。
結果はどうなったのか?
どちらが勝ったのか?
誰にもわからない。
まるで永遠かと思わされる時間であったが、遂にその結果を知らせるべく、静かにアナウンスが流れた。
≪試合終了。勝者――――≫
つ、疲れました。
もう戦闘描写は書きたくありません。
というか勘違い要素を本当に書きたいです。
山嵐ですが、原作通りマルチロックシステムは完成して無く、手動でロックしました。
あれって全弾一斉掃射よりも若干のラグを作って撃った方がいい気がしてのでこのようにしてみました。
因みにですが、カレンが蛇腹剣を使ってる様子はリリなののシグナムがレヴァティンを扱う様を、簪が短刀で切りかかり時雨がそれを逸らす様子はFATEの綺礼と切繋の攻防戦をイメージして頂ければ幸いです。
あと、どうでもいいかも知れませんが、感想で「ものすごくアレっぽいです。金と黒で塗ったらそれこそアレっぽく……」と言われましたので自分なりに塗りつぶしてみました。
【挿絵表示】
何となくギアスのガウェインが浮かびましたね…。
次回で学年別トーナメントは終了となります。
やっと戦闘描写から解放される!!
それではまた…