勘違いから始まる物語   作:壬生咲夜

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お待たせしました。
和解の話 後半部分ができましたので投稿します。



努力家な少女の独白 ②

<事件後>

休みが明けた日、クラスの皆からお礼を言われた。

突然の事で何のことだろうと思っていると、率先として避難活動をしてくれたことだと告げられる。

 

なんだ、そのことか…。

クラス代表として当然のことをしただけだなのに次々とお礼を言われる。

その事が恥ずかしくてそっぽを向いて「別に…」とだけ答えたら、『代表がデレたー!!』、『可愛い♪』と歓喜の声があがった。

 

やめて、本当に恥ずかしいから///

 

 

<変わる日常>

襲撃後から私の周り…というかクラスがガラリと変わった。

今までは遠巻きにコソコソと何かを話しているだけだったのに、今は登校すれば挨拶をされ、「昨日のテレビがどうだった」、「今日の授業がこうだ」と何気ない日常会話から相談しあうことまでするようになった。

その事に不思議に思っていると、今までの私はイライラとした様子で近寄りがたかったみたい。

確かに専用機の開発凍結、姉へのコンプレックス、思うように進まない作業とイライラしていたかも…。

報告や練習をみてた時も何処かビクビクしてた感じだったきがする…。

 

冷静になって考えてみると、学園に広まる噂は殆ど出鱈目だと気づいた。

幾らなんでも強請って専用機が貰えるなんてありえない。

ISのコアは467個しかなく、それが世界中に分配されている。たったそれだけのコアを一個人が強請って貰えるわけがない。

もし、そんなことができるとすればコアを唯一作れる篠ノ之博士の妹さんくらいじゃないかな?

まぁ…流石にそんな子供が親に甘えてお菓子を強請るみたいなこと誰もしないよね?

私は絶対に出来ない。だって恥ずかしいし…

 

 

<親友との和解>

企業での専用機開発がストップしてしまったが、今では和解した幼馴染の本音や整備科志望のクラスメイト、整備科の先輩の協力もあって完成しつつある。

 

大会2週間前になって突然ペアでの形式になったと告げられ、真っ先に思い浮かんだのは本音で彼女に相談してペアを組んで貰った。

どれだけ実績をもった生徒よりも長い時間苦楽を共にした彼女の方がいいと思ったからだ。

 

本音には本当に悪い事をしたと思っている。

私が一方的に姉からの差し金だと思い込んで拒絶していたのに、それでもいつもと変わらず接してくれた。

仲直りした日には抱き合って涙を流し、気づけば同じ布団で眠って朝起きた時に感じた暖かい温もりに心を癒された。

 

ただ、「えへへ~私のおっぱい気持ち良かった~?」って言うのは冗談でも心臓に悪いからやめて欲しい。

 

確かに弾力があって気持ち良かったけど…。

 

 

何とか大会までに専用機“打鉄弐式”が完成した。

試運転も万全、これで全力で戦う事が出来る。

 

私は、例の男子に…言峰時雨に勝ちたい。

彼に勝てばきっと前に進める。

そんな気がした…

 

そして、もし彼に勝って大会を優勝したらそのときは……

 

 

<学年別トーナメント>

とうとう大会の日がきて、1回戦、2回戦と順調に勝ち上がった。

3回戦では同じクラスの子…それも私の専用機開発を手伝ってくれた子たちと当たってしまった。

彼女たちと戦うこと、戦った後の事が恐かった。

けど、いざ試合が終わってみれば彼女たちは笑顔で「頑張って」と応援してくれた。

思わず泣きそうになった顔を見られたく無くて、そっぽを向いてぶっきらぼうにしか答えれなかった。

 

絶対に優勝しようと改めて心に誓った。

 

 

ただ、後ろの方で「素直じゃないな~かんちゃん」、「いや、寧ろそれがいいんじゃない」、「素直になれない代表カワイス」とか全然聞こえない。

 

 

<準決勝後>

負けた。

 

私は、彼に…言峰時雨に勝てなかった。

親友を犠牲にしたのに……。

本音は自分が勝手にやったことだと言うけれど、それでも罪悪感がわいてくる。

勝てなかったことが、負けてしまったことが悔しくて、罪の意識が湧いてきてまた本音に慰められる形で泣いた。

なんだが最近、彼女の胸に抱きついたり抱きつかれたりしてる気がする。

というか、依存? この程良い柔らかさがとても安心する。

 

 

<和解>

本音にパーティが終わった後、彼にある場所に来てもらうよう頼んだ。

その場所は彼と初めてあった場所……整備室だ。

 

暫くすると、少し警戒した様子で彼が部屋に入ってきた。

先ずはあの時の、突然暴力を振るってしまったことを、誤報を鵜呑みにして罵倒してしまったことを謝罪。

彼はその事を全く気にして無かったけれど、してしまった過ちはちゃんと正さないといけないと思ったからというと「そうか」と一言だけ告げ、そっぽを向いてしまう。

 

ちょうどいい機会だから、どうして強いのかを聞いてみた。

肉体的な強さだけじゃない、彼に纏わりつく噂は嫌というほど知っている。

それを知ってなお、どうして平然としていられるのかどうしても聞きたかった。

 

「噂に関しては特に気にしてないだけ。あと、俺は強くないぞ」

 

ウソだ。

 

「まぁ、確かに強い方に部類されるのかもしれないが、俺自身はまだまだ弱いって思ってる。もし、俺が強くなったと、強い人間になったと思ったとき……それは師匠を超えたときだ」

 

師匠?

 

「そ、外道で畜生で本当に神父なのかを疑う鬼畜(ヒト)だけど、俺を拾い救ってくれた恩師」

 

…良いヒトに巡り合えたんだね

 

「前半部分聞いてたか?」

 

そう言いながらも彼の顔は笑っていた。

 

その師匠には勝てそう?

 

「今のところ全戦全敗。勝てるビジョンが全く浮かんでこない」

 

そんなに!?

 

「けど、いつか絶対に勝ってみせる。その暁には今までの恨み辛みを乗せてやる」

 

そう言った彼の顔はとても勇者(ヒーロー)には見えず、むしろ悪役(ヒール)にしか見えなかった。

 

そっか…強い目標があるんだ。

 

なら、私も強くなろう。

 

今は負けてもいい。

 

負けた経験を糧に強くなろう。

 

 

次は負けない。

 

 

気がついたら、そう漏らしていた。

彼はちょっとだけ眼を丸くしたけど次には意地の悪い顔で「でも残念、次も勝つのは俺だ」と言う。

 

ム、絶対に私が勝つ!!

 

 

そう言った私の心はとても晴れやかだった。

 

 

 

<>

「え゛、俺って他クラスだと織斑千冬と姉弟だと思われてんの?」

 

うん、『実の姉弟だけれど、ある時を境に弟が家出をし、教会で悪の神父に染まった』、『髪を染めて偽名を使ってるのも、織斑先生や幼馴染に冷たくするのもグレてるから』だって。

 

この噂が広まった原因は自称幼馴染を豪語するおっきいのとちっちゃいのの二人のせいかな?

どこがとは言わない。

 

彼と…時雨と和解し、少しだけ残った時間を使ってちょっとした世間話。

話の内容は試合で感じ取ったことや噂について、今話したことは本当に知らなかったみたいで心底嫌そうな顔をしている。

 

彼はやっぱり強いと思う。

この他にも悪い噂や蔭口を叩く人、嫌がらせを受けているのにも平然としている。

本人は気にして無いと答えるだけだけど、辛くない筈がない。

私だったら絶対に潰れてる。

 

現に似たような事が家であったし、お姉ちゃんから『無能なままでいなさい』とまで言われて一度くじけたのだから……

 

「ああ、例の中二病発言」

 

ちゅうに、病?

 

 

……

 

………

 

ぶっ、た、確かにあのときお姉ちゃんは中学二年生だったけどだからといって

 

「……私、TUYOOOOOOOI(裏声)」

 

ぶはっ!?

 

「生徒会長様は最強様よ(裏声)」

 

や、やめてお腹が捩r

 

「まぁ、そんな気張らなくてもいいと思うぞ。あいつ、完全無欠の超人とか言われてるけど、実際はただのヘタレで変態ストーカーだし」

 

………え?

ナニ、ソレ…?

 

「いや、よく執拗に後をつけられるんだよ」

 

だ、誰が?

 

「俺がだよ。他にも何かと(からかおうとして)胸を押しつけてくるし、たまたま生徒会室に行ったら縄で縛られて声を荒げてるし(サボって先輩に叱られてた)、(更識の)盗撮写真を見ながらニヤニヤしてるし、(更識の)物を盗むし、今だってほら天井のうr――」

 

頭の中がグルグルする。

あれ? お姉ちゃんは完全無欠でヘタレな人で中二病で変態ストーカー?

え、なに、わけがわからない。

暫く会って無い間に何があったの?

中二病が悪化したの?

影で『エターナルフォースブリザード!! この技を受けた相手は必ず死ぬ』とか言っちゃてるの?

そういえば、過去の戦闘データを見たとき、やたらいい発音で『清き熱情(クリア・パッション)』って叫んでたっけ?

……練習したのかな?

 

あれ? いつの間にか時雨とお姉ちゃんが目の前でバトってる。

 

「何簪ちゃんに嘘を教えてるのよ!!」

「事実だろ? (半分は更識のだけど)」

「いや、まぁ事実なのもあるけど」

 

あ、認めるんだ。

 

「ここは私と簪ちゃんの仲直りフラグを立てて姉妹ヒロインルートに突入するのがセオリーじゃないの!」

「…あんたが何を言ってるのかわからない」

 

私もわからない。

現在進行形で頭の中グルグルしてるもん。

 

あ~、何だかもうツカレタや。

帰って寝よ。

 

「あ、待って簪ちゃん」

 

何ですか?

 

幾ら待っても固まったまま喋ろうとしない。

いや、喋ろうとしてるんだけど、あとかうとか言葉に詰まってる感じ…

なにこのヘタレ?

 

用が無いなら失礼します()()()()

 

部屋を立ち去る際に何かが崩れ落ちる音が聞こえた気がしたけどどうでもいいや。

そうだ、帰って本音に頼んで胸枕させてもらおう…。

 

 

 




というわけで、時雨と簪が和解する話でした。
これから簪は主に切磋琢磨するライバルボジションにするつもりで、原作とは違った性格になっていくと思います。
タグに性格改編をいれるべきでしょうか?

あ、楯無とは和解してません。
ついでに姉妹ルートもバッキバキに折りました。
彼女にはこれからも残念なポジションで行くつもりです。

誤解をわざと作った件に関しては執拗なストーキングや、嫌がらと地味にストレスが溜まっていたのです。
今回の話し合いも心配だからと天井にへばり付いて視てたのがイラッとしたからです。
け、決して、仲直りするきっかけを与えるふりをして天国から地獄に一気に堕とすとか、他人呼びされて絶望に打ち轢かれる顔をみたかったからとかそんなじゃりませんよ(棒読)

次回は日常編か新聞部副部長の取材記録を予定しています。

それと、以前感想を書いてくれたにもかかわらず返事がかなり遅くなってしまい、本当すみませんでした!!

今後、このような事が無いようにします。

【オマケ】
◆その1

「何で余計な事をしてくれたのよ!!」
「俺だけ勘違いワールドに取り残されるのが寂しかったの(棒読)」
「コロス!」
「はっ、返り討ちにしてやる」

この後バトってたら生真面目な少女に揃って叱られました。


コトミネシグレ マジデ コロス By生徒会長

溜まったストレス解消できた(笑) By見習い外道神父

……疲れました By生真面目な少女


◆その2

「本音~(ギュゥ~」
「はいは~い。あ、そういえば~かんちゃんは~優勝したら誰に何をお願いするつもりだったの~?」
「あれはデマでしょ?」
「そうだけどさ~」
「……と……った」
「?」
「…お姉ちゃんと出かけるつもりだった…」
「ふぇ?」
「仲直りしたいってお願いするのはあれだから…その、切っ掛けになればいいなって……でも、今になったらどうでもよくなってきたかな…あのヘタレで変態ストーカーの駄姉なんて」
「……(ことみ~恨むよ~)」
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