サブタイに虚視点と書いておきながら、他の人物視点が半分入ってます。
<試合後>
言峰君と神父様との模擬試合ですが、結果は言峰君の負けとなりました。
というか、組伏せた相手に
それで、全身打撲と右腕骨折という重傷を負った言峰君ですが……
「クッサ!? 時雨クッサwww」
「ちょっと臭いよ~時雨www」
「臭いわ~言峰君www」
「兄ちゃんクサ~イwww」
「エンガチョ、エンガチョwww」
「……おいコラ、臭いうつすぞ」
「「「「うわ~い、逃げろ~~♪」」」」
「待てぃ!!!」
悪い顔をした神父様に連れられ長湯されましたが、どうやら
その結果、まともに動けない事を好いことにお嬢様を含めた数名が言峰君をからかって鬼ごっこを始めてしまいました。
もう、怪我人相手に何をしてるんですか!
「フフ、騒がしくてごめんなさいね~」
いえ、こちらこそお嬢様がご迷惑を…
「いいのよ~。何だかんだで時雨ちゃんも楽しそうみたいだからね~」
そう、ですね。
解っていた事ですけど、言峰君の“帰る場所”は
「……ねぇ、時雨ちゃんって学園だとどんな感じなのかしら~?」
え!? その……
「大丈夫よ~。天龍ちゃんに曙ちゃん達のお世話をお願いしてるから。今ここに居るのは私たちだけよ~」
では、彼女たちは……
「……うん、ISのせいで家族を失ったの」
ISの登場によって医療技術が飛躍的に進歩しましたが、その代わり女尊男卑の社会へとなってしまいました。
その結果、身内が冤罪で捕まった、母親や姉妹が豹変した、免職や冤罪で仕事を失った親が自殺したなどそんな事件が各地で幾つも起き“家庭崩壊”が続いてしまっています。
ただでさえ余裕のない保護施設にそんな多くの子を受け入れられる筈が無く、中には路頭にさ迷う子もいれば、保護という名の奴隷や人体実験を受けている子もいるそうです。
「特に曙ちゃんはね~昔の時雨ちゃんにちょっと似てるの。だから時雨ちゃんもあの子を気にかけてて、あの子も時雨ちゃんには心を開いて……ううん、大好きなの」
…見てて解ります。
仕方がない事だと頭でわかっていても感情が追いつかない。
きっと彼女には学園は悪の巣窟で私たちは言峰君を連れだした悪者にしか見えないのかもしれませんね。
「だからあの子たちの事怒ったり嫌いにならないであげてね~。本当はとってもいい子たちなのよ~」
…はい、大丈夫です。
「それで、学園での時雨ちゃんはどうなのかしら~?」
えっと“頼れるお兄さん”というのが仲の良い人からの評価でそれ以外ですと“外道”、“女性に暴力を振るう最低な野郎”といったところです。
「あ~何となくわかるわ~。虚ちゃん自身はどう思う?」
…第一印象は落ち着きのある方でしたね。
「え~大体の人は
確かにそう評価される方もいますね。
けど、私が初めてお会いしたときはその、
「そうなんだ~」
それが暫く触れ合ってみて、どんな屈強にも負けず、努力を怠らないのを知りました。
「そんな姿を見てたらいつの間にか好きになっちゃった~?」
うっ/// き、切っ掛けはその、勘違いだったんですけど…
「うふふ~な~に~? 気になるわ~」
それは、その…ごめんなさい///
「そっか~。時雨ちゃんも罪よね~こんな可愛い人にも好かれて」
か、からかわないでください!!///
「フフフ……ねぇ虚ちゃん。時雨ちゃんの髪って真っ白でしょう?」
ええ、昔修行で色素が抜けたと聞きました。
「……あれってね。私のせいなの」
……え?
<龍田の告白>
ずっと昔、今の電ちゃんたちよりも小さかった頃だったわ時雨ちゃんがここに来たのは。
あの頃の時雨ちゃんは近づくと噛み付く狂犬だったの。けど、本当は寂しくて悲しいのが嫌でも解ったわ。
きっと誰よりも強くて重いキズを負っているんだって…。
そんな時雨ちゃんをほっとけなくて皆で接し続けて漸く時雨ちゃんも笑うようになったときに誘拐事件が起きたの。
連れ去られたのは私と天龍ちゃん。
恐くて泣いてばかりだった私に苛立った犯人がナイフを取り出してね、私を刺そうとしたの。それを天龍ちゃんが庇って……あの眼の傷はその時のモノ。
時雨ちゃんや神父様が駆けつけて助けてくれたんだけど、臆病だった私は私は時雨ちゃんを拒絶しちゃったの。
鋭い眼つきで人を簡単に傷つける彼が、いつもと変わらない顔で手を差し伸べてくれた彼が恐かった。
本当だったら“ありがとう”って言わなければいけないのに……ヒドイ話でしょう?
それからすぐだったわ。時雨ちゃんが教会から出て行っちゃったのは…。
ずっと、後悔したわ。私のせいだって…私が彼を拒絶し傷つけたからだって…
2年くらいした頃にね、突然ふらっと帰って来たの。
急に帰ってくるし髪が短くなってるし真っ白になってるしでビックリしたわ~!
もう何が何だか分からなくてわんわんと泣いちゃったの。
どうしたらいいのか解らず慌てる時雨ちゃんに天龍ちゃんが泣かせたなって怒って喧嘩になって、そしたらいつの間にか教会の皆で大乱闘してて最後には璃正神父に揃って怒られてね。皆で罰掃除してお互い“ごめんなさい”って謝ったの。
それから直ぐかな。時雨ちゃんに惹かれたのは…
「そんな事が……」
時雨ちゃんのことお願いね。あの子、時々無茶な事も平然としようとするから
「…何となくわかります。時々、何処か危ういと感じる時がありますから…」
あら~、よく見てるのね~。
「か、からかわないでください///」
クスクス…本当に可愛いわね~。
あのね~虚ちゃん。時雨ちゃんはそう簡単に渡さないから~。
「っ望むところです!!」
フフ、これで私たちは友達でライバルね。
<オマケ>
◆その日の夕飯
「はい、時雨ちゃんあ~ん」
「し、
「…えっと、俺両利きなn――「おっと手が滑った」――!?!??!? な、何しやがる師匠!!」
「なに、ワザと空気を読もうとしないバカ弟子の関節を外しただけだ」
「ざけんな!!」
「ほら、口を開けなさいよクソ兄貴」
「曙、お前もか……orz」
周りのニヤついた笑みと嫉妬の炎がキツかったです。
◆天龍の剣
「そういえば~天龍さんの~リ、リンド…」
「リンドブルム・ブレードの事かしら~?」
「そうそれ~なんで~?」
「リンドブルムはドイツ語で天空の竜なのよ~」
「あ~それで~」
「因みにあの剣わね~私たちが中学の修学旅行の時に買ったモノなのよ~。ほら、これがその時の写真よ~」
「…この頃の時雨君、今より少し髪が短かったんですね」
「他にも何人か映ってるのに真っ先にそこに気が付くのね虚ちゃん」
「うっ///」
<あとがき>
時雨の過去に少しだけ触れる回を書きたいがために夏休み編を書きました。
龍田が曙の個人情報を話してしまうのはどうかと思いましたが、一応こういう考えの人も居て、こういった被害者も居るんだというのも書きたかったので……
あ、彼女らは別に史実とは関係ありませんよ。
ただ、名前と容姿などが似ているだけです。
さて、これで夏休み編は終わりとなります。
次回からは文化祭後の話を書いて対阿礼戦に戻るかと…