俺は………人殺しなんです。
「それは…その、エクソシストの時でしょうか」
いえ、それよりもずっと前です。
ちょっと昔話に付き合って下さい。
―――
――
―
俺はある施設で産まれました。
そこには元気なやつ、明るいやつ、臆病なやつ、気弱なやつ、少し抜けてるやつとたくさんの子供たちが居ました。
中でも一番仲の良かったやつとは一緒になる機会が多くてきっと親友だとかそういうのだっと思います。
施設では毎日たくさんの勉強や厳しい訓練をさせられてました。
何のために学んでるのか知りません。ただ、それが義務つけられてたから、遅れやミスをして罰を受けるのが恐かったから、成果以上の結果を出して褒めらるのが嬉しかったから、励ましたり助け合える仲間が居たから、自由に遊べる僅かな時間が楽しかったから、一ヶ所に集まって一緒に眠るのが安心出来たから、あいつらとの時間が何より大切だったからどんな困難も乗り越えられた。
けど、そんな日々は長く続きませんでした。
その日の訓練は暗闇の中で行われました。
『この扉の向こうに侵入者が居るから退治しろ』と。
ただ、部屋は暗くガスが充満してるからマスクを着用を義務付けられ、戦闘に入りました。
そして――、
<――の死亡を確認。訓練を終了します>
え?
なん、で?
どうして君が……
「――――。―――――」
何? 何て言ったんだい!!
「 」
ねぇ、返事をしてよ。ねぇってば!
…ウソだ。こんなのウソだだぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!!!!
部屋が明るくなったと思ったら本当に驚きましたよ。
倒したと思った侵入者はあいつで目の前で死にかけてたんですから。
その事を認めたくなくて必死に手当をし声を呼び掛けました。
そんな事をしても無駄なのに………
だって、殺したと確信したのは誰でもない自分だったから
そのあと直ぐにあそこが“そういう場所”なんだと理解しました。
死んだあいつに変わって何としても仲間を守らなければと、周囲をよく観察し調べ、どうやったら活かせるか考え、仲間を励ましたり手助けしたりと色々頑張りました。
けど、一人、また一人と死んでとうとう独りになったんです。
そんなときです。こうなるよう仕組んだ奴が居る。
それをを知った俺は復讐に走りました。
確実に殺せるよう技術を磨き、悟られぬよう偽りの仮面を被り、入念に下調べをし計画を練り、外部に情報を漏らす。
外部に情報を漏らしてから暫く、施設を制圧しにきた連中を始末しろと命令を無視して計画通りに動き復讐を果たしました。
嬉しかったのは一瞬だけ、胸にぽっかりと大きな穴が出来た様な虚しさのなかある一人の男が現れたんです。
「ほう、これらはお前の仕業か?」
……だったら何だって言うんだい?
「質問を質問で返すとは……まぁいい、全て処分しろと命じられている」
なら、そうしたらいいさ。
「…フム、まるで自分が世界で一番不幸だと。そういう顔だな」
不幸? ハハ……外がどうかは知らないけれど確かに僕以上のはそういないじゃないかな?
「……気にいらないな。お前の様な子供が一番気にいらない」
だったらなんだっていうんだい。
「私自らが教育してやろう」
は? …素直に応じるとでも?
「抵抗してくれた方が私としては少し愉しめそうだが?」
そう……っ!!
―
――
―――
その男――まぁ、師匠なんですけどね。
師匠に負けた俺はあの教会に連れられました。
最初の頃は警戒して時には噛み付いてまるで狂犬の様だって言われてたっけ…。
先輩、前に龍田達が誘拐されたって聞いてますか?
「ええ、ご本人から。そのとき天龍さんが怪我をされ、その……」
龍田が俺の事を恐がった。
当然ですよ。目の前で同い年の子が平然と殺し傷つけてたんですから…。
あの時の俺は馬鹿でした。ただ、効率よく始末することしか考えて無かった。
でも、あの時龍田の顔を見て悟りましたよ。
最初は黙って出ていくつもりでした。
でも、それを止めてくれた人が「おかえり」と迎え入れてくれた人が居た。
その暖かさに救われあの教会が何よりも大切に思えるようになった。
だから俺は神父になる道を選んだんです。
あそこが俺の帰るべき場所だから………。
「…そうですか」
師匠には感謝してます。
やり方はあれでしたけど心を癒してくれた。
殺す術しかしらない俺に他の術を教えてくれた。
家族とも呼べる暖かい場所をくれた。
でもね先輩、時々思うんですよ。
何で俺だけ生き残ったんだろうって
何で俺は仲間を守れなかった。
何で俺はあの時あいつだと気付けなかった。
あいつが生きてたら守れたかもしれない。
いや、そもそもあの時俺が死んでいればよかった。
「っそんなこと!!」
でもどうしても考えてしまうんですよ。
あいつが居てくれたらって
率先して動いて皆を勇気づけてくれたあいつなら。
周りをよく見て仲間を支えてくれたあいつなら。
太陽みたいに笑うあいつが居てくれたら。
――救われたかもしれない――
そういえば、最後にあいつは何て言ったんだろう。
やっぱり恨み事かな? それとも仲間を守ってくれって頼んでたのかな?
ずっと、その答えがわからないままだ。
「大好き」
え?
「そう言いたかったんじゃないでしょうか?」
あいつが、俺の事を?
「ええ、きっと(時雨君もその子の事が……)」
好き、か……
ハハ、そうか。ならあの時のはそういう事か
ったく、何で命を投げ出したんだよあのバカ!!
「どんな方だったんですか?」
……良く言うなら“元気いっぱいの明るい子”、悪く言うなら“アホな子”ですね。
何かと一番に拘る奴でしたよ。
一番になれなかった時は拗ねて悔しがって次は自分が一番になるって競い合ってたのを覚えてます。
もしかしたら、先輩とも仲良しになれてたかもしれませんね。
「ええ、私もそう思います」
…先輩
「なんでしょうか?」
もう少しだけ、傍に居てもらってもいいですか?
「はい」
けど、こっちはあまりみないでください。
「……はい」
あの時、あいつに抱いてた想いがそうなら俺は――
う~ん、少しグチャグチャしてますかね?
纏めますと
時雨はある施設出身で戦う術を学んでいました。
仲間を失った時雨は殺す術を独学で学び復讐に走ります。
復讐を果たした後、綺礼との戦いに負けて教会に引き取られました。
誘拐事件を機に殺す術ではなくそれ以外の術を学ぶために総本山に修行に出ます。
修行の過程でフリードや十三課といった「え、神父なの?」といった面子と出会い性格が拗れました。
最後に“あいつ”は一番が口癖の子で“仲間”はその姉妹をイメージしてます。
<捕捉>
◆エクソシスト
異端者あるいは違法研究所を葬る部隊。
時雨は一時期所属していた。