白式改から新たな機体にコアを移植することになった。
これは別に白式が完全大破したからでは無く、2学期の時点から“機体と本人の相性が悪いのを使わせるのはどうなのか?”と意見が上がっていたのだが、その度に俺の存在を快く思わない委員会とデータを独占したい倉持技研が「所詮はデータ取り」や「機体に合わせるのもパイロットの務め」などと主張し流されていた。
だが、倉持技研没落の一件で白式の所有権が教会へと移り、俺がイタリア国籍を取得したことから政府からの加護も得て移植することが決まったのだ。
男性IS操縦者のデータ独占に各国が難色を示したが、白式及び改でのデータの公表で手を打った。
相性の悪過ぎる機体で出したデータに意味があるのか知らないが…。
それでもグチグチ言う国も居たが2学期終盤に織斑一夏が学園で捕まり、監視という名の保護を認める代わりに全テータを公表することで落ちついたようだ。
新たな機体はテンペスタ・カスタムから基礎設計を、稼働データは俺とカレンのを使った格闘型で名を“
イタリア語で幻影を意味する本当の俺だけの機体。
この機体の大きな特徴とも言える右腕には“トリケロス”を魔改造した見た目は盾と爪を一体化した大きな武器を、バックパックには通常は飛行ユニットとして、ある時は巨大な隠し腕に変形し相手や武器を捕獲する装備を配備。
そしてコアのせいなのか相変わらず
目の前で先輩達が慌ただしく動き回り調整しているのだが、俺は整備とかに関して任せっきりなため正直に言うと荷物を運ぶ以外は役立たずだ。
なので邪魔にならない場所で作業を見守りながらふとこの1年の事を思い出す。
あることが切っ掛けでISに触れてしまい乗れることが発覚しIS学園に通う事になった。
そこで元担任や自称幼馴染sに織斑一夏だと勘違いされて悪評が広まり
流れでオルコットと戦う事になり「候補生に喧嘩を売った無謀な男」と影で言われ
勝ったらオルコットがマゾ化してその手の趣味の持ち主と距離を置かれ
対抗戦に向けて整備室に行ったら更識や会長さんに襲われ
襲撃してきた無人機を迎撃したら変な風に噂が広まりバーサーカーと恐がられて
デュノアの正体を見破ったら生徒を追いつめて退学させたと噂され
また転校生が来たかと思えばまさかの
先輩に告白まがいのことをしてしまい
タッグマッチではいくつもの二つ名を付けられ
臨海学校では一方的に犯人扱いされ
下着泥棒の犯人である阿礼には果実判定をくらい
夏休みは借金返済に明け暮れ
文化祭ではテロリストを迎撃し
織斑一夏が見つかったら偽物扱いされ
タッグバトルではまた無人機と二度と会いたくなかった阿礼が襲撃し右眼を失った。
…こうして振り返ってみると殆どが勘違いから始まってるな。
これだともうISが反応したのも誰かが勘違いした結果の陰謀な気がするよ。
だいたい何で借金の取り立てから逃げる為に適当に入った部屋にISが鎮座していて、起動した瞬間に世界中に配信されるんだ? ホントわけわかめ。
でもこの学園に来たのは決して悪いことばかりでは無かった。
更識とはISという別のジャンルのライバルとなり
教会や孤児院の奴ら以外と距離を取っていた俺に友人ができ、クラスメイトと和解し、先輩に過去を打ち明け答えを得た。
だからこそ俺は、
―――
――
―
機体の調整が終わり、祝勝会と機体完成祝いを兼ねた小さなパーティーが開かれた。
場所は食堂の一角で会費は俺もちで主催者そっちのけでのドンチャン騒ぎ。
……俺、
先輩とパーティをこっそり抜け出して夜道を歩く。
あの時と同じ場所、同じような時間。
夜空を見上げればあの時と同じような――
…先輩。
「はい」
月が、綺麗ですね。
これにて『勘違いから始まる物語』完結です。
連載を始める時から1学年のみとし、タイトルを変えた時点で終わり方を決めてました。
思えば去年の3月、皆さまからの後押しで連載を始めました。
当初は20話くらいで終わるかな~と思っていましたが、気付けば1年も経ち70話近くも……。
週1更新を心がけてましたが、遅れたり2話投稿したり、番外で時間をつくったりと色々とすみません。
初投稿で30、連載から2週間で500、今では1600もお気に入り登録ととても驚き嬉しく思います。
この場をお借りしましてここまで応援・ご指摘・ご意見・評価をしてくれた方々、本当にありがとうございました。
中には投稿の度に感想を書いてくれる方もいて本当に嬉しかったです。
さて、先ほど完結と書きましたが“一応”となります。
今後は後日談だったり本編では描かれなかった亡国企業サイド、2年以降の話をのんびりと書こうと思います。
個人的には番外編に載せてる3学年シリーズを1から書き直したり、FATEネタもいいかな~って思ってたり……
時雨の専用機と虚の答えですが
“イルジオーネ”はテスタメントガンダムのIS Verをイメージしてください。
ただ、時雨のが抱えていたトラウマ“親しい・大切な人が傷つく事”と“大量の血”から紅色が苦手なためカラーリングは他の色になります。
候補としては黒か紫かな~とは思ってますが……
虚の返事はご想像にお任せします。
因みにですが、二人が食堂に戻ったら祝勝会の幕が変わってて、質問攻めにあったり弄られたりして祝われてたりします。
では最後に“とある未来に繋がる”ちょっとした話をお送りして失礼させてもらいます。
―数年後―
やれやれ、凄い数だなこりゃ…
さて、一応聞くがこれらは全てお前らが盗ったモノだな?
「見ればわかる事だろう」
「それにだったらなんだっていうのお兄さん?」
そうだな…窃盗を繰り返す悪ガキを捕まえて然るべき処置をしてくれと言われている。
「だったらそうすればいい」
「僕たちじゃあ、お兄さんからは逃げられそうにないしね」
……まるで自分が世界で一番不幸だと。そういう顔だな
「不幸だって? ああそうさ私たちは不幸のドン底にいる!!」
「パパもママも死んで、親戚はボクたちから何もかも全て奪った!!」
「碌な食事もとらせてくれないどころか暴力を振るってくる」
「誰もボク達を助けてくれない!!」
「生きる為なら泥水だって啜った!!」
「本当だったらこんなことしたくない!!」
「「私(ボク)達が一番不幸だ!!」」
………。
『不幸? ハハ……外がどうかは知らないけれど確かに僕以上のはそういないじゃないかな?』
……気にいらないな。お前らみたいなガキが一番気にいらない。
「だったらなんだ?」
な~に、俺自らが教育してやるよ。
「そんなの素直に聞くと思ってる?」
いや? 抵抗してくれた方が俺としては少し愉しめそうだが?
「「っ上等!!」」
―――
――
―
「お帰りなさい時雨神父。その子たちは?」
気に入らないから家で育てることにした。
名は――
「ラン」
「ユウキ」
そうか、ならお前らは今日から俺達の義娘で弟子だ。