超次元ゲイムネプテューヌ 衝動へのリベリオン【完結】   作:ジマリス

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10 犯罪神の伝承

女神化したラムは俺に向かって飛んできた。

 

「やあああああ」

 

ラムの杖を刀で受け止める。

 

「ちょっと待ってくれ。ちゃんと話を…」

 

「うるさーい!ルウィーのシェアは渡さないわよ!」

 

ラムは杖を振り上げ、魔法陣を出す。

全然話聞いてくれないよ、この子たち。

まさにもんどーむよー。

 

「アイスコフィン!」

 

魔法陣から氷の塊が出現し、まっすぐ俺に向かってくる。

俺は軽々とそれを避けた。

戦闘経験が少ないのか、攻撃の軌道が読みやすい。

 

「むーーっ、よけないでよ!」

 

ラムが可愛らしい顔で怒る。

 

「そりゃ無茶だろ…」

 

当たったらこっちがただでは済まないんだからそりゃ避けるでしょ。

 

「アイシクルトルネード…」

 

ロムはネプギアに対して雹を含む突風を放つ。

女神化したネプギアも上手くガードしている。

しかし相手は子どもということもあって攻撃はできないみたいだ。

 

アイエフ、コンパ、REDの三人は離れたところで観戦している。

 

「おーい、手伝ってくれよ!」

 

三人に向かって手を振るが

 

「いやよ、子供とは言え女神と戦うなんて」

 

「子どもと戦うのはちょっと…」

 

「嫁には手を出さないよ!」

 

三者三様の返しをされてしまった。

 

「よそ見してる場合じゃないわよ!」

 

ラムはさらに攻撃を加えてくる。

 

「エクスプロージョン!」

 

ラムが杖の先をこっちに向けた。

嫌な予感がして後ろに下がると、さっきまで俺が居た場所が爆発した。

 

「洒落にならねえ!」

 

俺の反応を見たラムはにやっと笑い、杖の先をこっちに向ける。

 

「エクスプロージョン!」

 

俺は一旦刀をしまい、逃げることに専念する。

完全に背を向けているが、振り返ることはできない。

 

「ほーら、わたしってばさいきょー!」

 

ラムは得意げになって爆発魔法を連発する。

 

「ほらほら、もっと速く走らないと」

 

「頑張ってくださいです~」

 

「楽しそ~」

 

観戦している三人が俺を応援(?)している。

 

「お前らああああああ!!」

 

叫ぶ俺のすぐ後ろで爆発が起きる。

 

くそ、こうなったら…。

 

俺はネプギアと戦っているロムに近づいていく。

 

「だから、話を聞いてくれればね?」

 

「やだ…」

 

ネプギアは説得しようとしているみたいだが、ロムは聞く耳を持たない。

 

「私たちはお姉ちゃんたちを…」

 

「むんどーむよー(びしっ)」

 

戦いに夢中で、近づく俺には気づいていないみたいだ。

走りながら、俺はロムをひょいと抱え上げた。

 

「ふぇ…?」

 

何が起きたのかわからない、といった感じでロムは止まってしまった。

 

「あー、ロムちゃんに何するのよこの変態!」

 

ロムを巻き添えにしないため、ラムの攻撃がやんだ。

 

「こらー!ロムちゃんを返しなさーい!」

 

「ならお望み通り返してやるぜ!」

 

抱えたロムを投げ、思いっきりラムにぶつける。

二人は互いの頭と頭を直撃させた。

 

「きゃあ!いたたた…」

 

「いたい…ふぇぇ…」

 

頭をさすりながらフラフラと立つ二人。

 

「あ!ロムちゃん泣かした!やっぱり悪いやつだったのね!」

 

「爆発魔法を遠慮なくやってきたのはお前ら…」

 

「あっかんべーっだ!今度会ったら、絶対やっつけてやるんだからね!」

 

「…べーっ」

 

俺の言葉を遮り、二人は飛んで去っていってしまった。

 

「あ…行っちゃった」

 

「全然話、聞いてもらえなかったですね」

 

「厄介だな…」

 

あの二人にも手伝って欲しいのに…。

 

「女神候補生っていうのは変な奴多いな」

 

「あの子達もあんたには言われたくはないでしょうね…」

 

 

 

誘拐事件は解決、ということで俺たちは情報を得るために協会へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「失礼します」

 

ルウィーの教会に入って、俺たちは服に積もっていた雪を払った。

外に比べて、中はかなり暖かかった。

 

「ようこそ、ルウィーの教会へ…あら?あなたはプラネテューヌの…」

 

水色の長い髪を持つ、眼鏡の女性が話しかけてきた。

 

「あ、はい。女神候補生のネプギアです。今日はどうしてもお願いしたいことがあって…」

 

「私はこの国の教祖で、西沢ミナと申します。お話、伺わせていただきますわ」

 

ルウィーの教祖、西沢ミナは笑顔で俺たちを受け入れ、話をするために椅子を用意してくれた。

上着を椅子の背もたれにかけ、腰かける。

 

「なるほど、それでこの国のゲイムキャラを…」

 

ネプギアはギョウカイ墓場での戦いや、いままでの旅のことを話した。

ミナは話を黙って聞いてくれた。

どうやらこっちの事情については理解してくれたみたいだ。

 

「それじゃ…」

 

「申し訳ありませんが、ご期待には応えられません」

 

と思ったら否定された。

一筋縄ではいかないか。

 

「ど、どうしてですか?」

 

「この国のゲイムキャラには、ある重要な使命を担ってもらっているんです。もし国を離れたら大げさではなく、ルウィーが未曾有の危機に陥ることになります」

 

「その使命っていうのは?」

 

「あまり軽々しく話せるものではないんです。ご理解ください」

 

ゲイムキャラについてはよほどの機密事項らしい。

しかし俺たちが探すのは止めないみたいだ。

ルウィーが未曾有の危機に陥る、か。

それが本当なら、軽々しく教えるわけにはいかないだろうな。

 

「さて、せっかく訪ねていただいたのに、これで追い返すのはあまりに失礼ですね」

 

ミナは軽くコホンと咳をした。

 

「みなさんは、この国に伝わる犯罪神マジェコンヌの伝承についてご存知ですか?」

 

「犯罪神の伝承なんてものがあるのか?」

 

そんなに受け継がれるほどの話があるのか、犯罪神っていうのは。

 

「ルウィーは犯罪神が生まれたとされる国ですから…そもそもみなさんは、犯罪神がどういう存在なのかご存知ですか?」

 

「はい先生、全然知りません!」

 

俺は勢いよく手を挙げる。

わかってもわからなくても手を挙げるのがいい生徒らしいよ。

とりあえずレッツチャレンジってことで。

 

「せ、先生…?」

 

「自信満々に言うことじゃ……でも、言われてみたらよく知らないかも」

 

俺たち人間だけでなく、女神候補生であるネプギアも知らないみたいだ。

 

「犯罪組織が蘇らそうとしてるんだから、アイツ等にとって都合のいい神様なんじゃないの?」

 

「いいえ。誰かにとって都合のいい神などではありません。犯罪神は、神とは名ばかりの存在。その存在意義は、ただすべてを破壊し、全ての命を葬り去るためだけにある…とても人間に御せるような存在ではないのです」

 

「でも、なんでそいつらそんなのを復活させようとしてるの?」

 

「本当に復活を企んでるわけではないと思います。組織の旗頭として掲げているだけでしょう」

 

なるほど、犯罪神の伝承を知っているなら、組織だてて復活させようなんて思わないだろうしな。

それとも犯罪新復活のことは幹部相当のやつらしか知らないとか?

なんにせよ正気の沙汰とは思えないな。

 

「さて、いかがでしょう。少しは参考になりましたでしょうか?」

 

「すべてを破壊するための存在…それが、犯罪組織マジェコンヌが崇拝する犯罪神マジェコンヌ」

 

「どっちがどっちのこと言ってるのかこんがらがる~」

 

REDが顔をしかめる。

確かに名前が同じでややこしい。

 

「じゃあとりあえずマジェコンヌを倒すって覚えといたら?」

 

どっちも敵なんだからそれでいいんじゃないか?

我ながらナイスアイデア。

 

「あ、なるほど。さっすがユウ!」

 

 

「ミナちゃん、おなかすいたー!」

 

「おやつ…」

 

話も終わり、俺たちが立ち去ろうとしたとき、教会の扉が勢いよく開いた。

現れたのは俺たち知る二人、ルウィーの女神候補生ラムとロムが現れた。

見れば見るほど見た目そっくりだな。

 

「こら、はしたないですよ。お客さんが来ているんですから、少し我慢してなさい」

 

女神のサポートである教祖ということもあり、ミナ保護者的な立ち位置のようだ。

しっかりふたりを叱る。

 

「お客さん?あーっ!さっきの変態と悪い女神!」

 

「(びくびく)」

 

ラムは遠慮なく俺たちを指差す。

 

「変態って…」

 

まだ根に持ってるのか。

その呼び名は失礼すぎやしませんかね。

 

「変態…悪い女神…何を失礼なことを言ってるんですか!」

 

「あの、じつはさっき…」

 

 

 

ネプギアは先ほどの誘拐事件について話した。

 

 

 

「まあ、この子達がそんなことを…申し訳ありません」

 

ミナが深々と頭を下げる。

保護者っていうのは大変だな。

 

「ほら、あなたたちもごめんなさいは!?」

 

「えーなんでー!?変態と悪い女神に謝るなんてやだー」

 

「わたしも、いや…」

 

ミナが謝罪を促すも双子は頑として断る。

 

「女神候補生っていうのは俺の心を削っていくなあ…」

 

ユニの時も最初無視されてたしなあ。

 

「ああ、すみませんすみません!ほら、はやくごめんなさいって!」

 

「ふーんだ。私たち、おそわれただけだもーん」

 

「戦って、負けた…痛かった…」

 

頑なに謝ろうとしない双子に堪忍袋の緒が切れたのか、ミナの目が一瞬光った。

 

「ご・め・ん・な・さ・い・は?」

 

「ごめんなさい」

 

「なさい(びしっ)」

 

ミナの気迫に気圧され、双子はあっさりと謝った。

 

「今一瞬、黒いオーラが見えたですけど…」

 

「俺もなんか謝るところだった…」

 

思わず身震いする。

ここの教祖はまともだと思ったら曲者だった。

まあこれくらいじゃないとこの子達の保護者は務まらないのかもな。

 

「本当にもういいですから。それよりあの、出来たらこの子達にも協力して欲しいんですけど」

 

「保護者としては、素直に頷けません。何分、まだ幼い子達ですから、国の外に出すのは早いかと…」

 

そりゃそうだよな。

我が子を戦いに送るようなもんだからな。

 

「もっとも、この子たち自身が、女神としてそう望むのなら、話は別ですが」

 

「やだ!敵といっしょなんて!」

 

「ラムちゃんがいやなら、わたしもいや…」

 

ミナがちらっと双子を見るが、ふたりとも拒否。

ううむ、こっちでも協力は得られないか…。

 

「望み薄、ね。ま、こっちの要件は伝えたんだし、そろそろお暇しましょうか」

 

「そうだな、あまり時間を使うわけにもいかないし」

 

「すみません、何もお力になれず…あ、最後にひとつだけ。最近、この国は非常に治安が悪くなってるんです。大事件が起こるかもなんて噂まで流れているほどで…くれぐれもお気をつけてください」

 

ミナはそれでけ言うと、俺たちを見送った。

 

「はい。それじゃ、失礼しますね」

 

俺たちは礼をし、ゲイムキャラを探すために教会をあとにした。

 

 

 

 

 

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