超次元ゲイムネプテューヌ 衝動へのリベリオン【完結】 作:ジマリス
かなり遅くなってしまったが、エリカたちから逃げた俺はネプギアたちと無事合流できた。
「すまん、遅くなった!」
「遅くなった、じゃない!何してたのよ!」
「んん、ちょっとね」
ごまかすように言ったが、無理があったか?
「ねーねー。急いだほうがいいんじゃないの?先を越されちゃうよー!」
REDが焦って言う。
「……そうね」
アイエフが何かを察してくれたようだ。
怒りを収めてくれた。
「何か進展があったのか?」
「ユウさんがいない間に、下っ端さんに電話がかかってきたですよ。それでゲイムキャラ、とかブロックダンジョンって言葉が聞こえてきて…」
ずいぶんピンポイントに重要なことが聞こえたんだな。
運がいい、ということにしておこう。
「きっと下っ端もそこに行ったんだ。早くしないとゲイムキャラ取られちゃうよー!」
「そういうことか、よし、急ごう!」
「急ごうって…一応、アンタを待ってたんだけど」
ジト目で俺を見るアイエフ。
「すいませんでした!」
俺は90度の綺麗なお辞儀をした。
そこは様々な色の、人より大きなブロックが積み重なり、ダンジョンを形成していた。
まさにその名のとおり、ブロックダンジョン。
土管のようなモンスターや一列揃えたら消えそうなブロック状のモンスターが存在した。
モンスターを倒しつつ奥に進んでいくと、白い光を放つディスクが浮いていた。
「いた!ゲイムキャラだよ!」
「なんとか先回りできたみたいですね」
俺たちはホッと安堵した。
下っ端より先にゲイムキャラの元へ来ることができた。
「あの、あなた方は?」
安心している俺たちに、ゲイムキャラが話しかけてきた。
「突然すいません。お願いがあるんです!どうか私に力を貸してもらえませんか?」
「またかよ、お前」
「あいたっ!」
開口一番に力を貸してもらおうとするネプギアをチョップする。
ちゃんと順序立てて話しようねって言ったでしょうが。
「あなたは、ネプテューヌ…?いや、違う。似てはいるけど、雰囲気がまるで違う」
ゲイムキャラは今とらわれている女神、ネプテューヌの名を出した。
「そんなに似てるのか?」
「正直そんなに似てないわね…」
ネプテューヌのことは知っているが、直に見たことはない。
アイエフによれば、言うほど似てないというが。
ネプテューヌをと知っているってことは……やっぱり旅に出たあとの記憶をなくしているっていうことか…
いやでも、自分の出身のことも知らなかったってことは…
やっぱり名前と世界のことと女神のことしか覚えていないってことか…。
本当にちょっとしか覚えてないなあ……。
「お姉ちゃんのこと知ってるんですか?」
「お姉ちゃん…なるほど、妹さんなのね。よく知っていますよ。私がここにいるのは、彼女に頼まれたからなんです」
「プラネテューヌの女神が頼んだのか。ルウィーのゲイムキャラに?」
わざわざ他国の女神がゲイムキャラを派遣したのか?
「ルウィーのゲイムキャラはもはや存在しないのです。犯罪組織の手により、みんな消されてしまいましたから」
犯罪組織はそんなにゲイムキャラを破壊しているのか…。
「私はもともとプラネテューヌの者。ネプテューヌに頼まれて、この地へとやってきました」
「お姉ちゃんが…」
「…ですから、あなたに力を貸すことはできません。あなたの姉との約束を破ることになってしまいますから。それともあなたは、姉の願いを断ち切って私を連れ出すことを望みますか?」
おそらく、ネプギアがそういうことできないってわかってての質問だろう。
「すごい意地悪な質問だな」
「すみません。そういうつもりでは…」
「わかってるよ。ルウィーを守る使命ってやつだろ」
ラステイションのゲイムキャラも言っていた。
その地を守る使命があると。
それが彼女たちのするべきことなのだろう。
「ええ。それに私にはルウィーの教祖に託されたもうひとつの使命もあります。ですからどうしても、ここを離れることはできません」
「もうひとつの使命?」
「教祖もそんなこと言ってたわね。そのアナタがここを離れられない使命っていうのは一体何なの?」
言ってたな。
未曾有の危機が訪れる、と。
「それは…」
「見ぃつけたぁ!見つけたぜ、ゲイムキャラ!」
聞き覚えのありすぎる声の方を見ると、下っ端がいた。
しつこい。
会うだろうなあっていうのはわかってたけどね。
「下っ端!?もう追いついてきたの!?」
「うわっ、テメエ等!?なんでテメエ等がここに!?」
「へへ、盗み聞きしてました」
悪びれもせずに俺が言った。
実際には俺は聞いてないけど。
「き、汚え…それが女神パーティのすることかぁ!」
「汚かろうがなんだろうが勝てばいいんだよ」
「…へへっ、甘ェよ。なんでこっちが遅れてきたと思う?」
「知らんがな」
俺は興味なさげに爪を見る。
あ、結構伸びてるな。
帰ったら切ろう。
「もうちょっと興味持てよ、テメエ!それなりの準備をしてきたからだよ!」
下っ端が号令をかけると、ラステイションで戦ったテコンキャットに似たモンスター、アイスキャットが大量に現れた。
「きゃあ!モンスターがたくさん…」
「テメエ等はそいつと遊んでな!その間にこっちはゆっくりと…」
ゲイムキャラに近づこうとする下っ端を止めようとするが、アイスキャットが邪魔をする。
「くっ、まずいわね…さっさと片付けるわよ!」
「こんなことしてる暇はないっていうのに…」
俺たちはそれぞれ武器を構える。
すばしっこいアイスキャットだが、似たような動きを経験している俺は次々に切り伏せていった。
周りを見ると
「フォーミュラーエッジ!」
「けん玉フルスイング!」
「カオスエッジ!」
どうやらレベルの上がっているみんなも苦戦はせずに戦えているらしい。
コンパも後ろからみんなを回復してくれている。
だが
「数が多すぎる」
一匹一匹は強くないが、余りにも数が多くてキリがない。
仕方ない。
「伏せろ!」
俺の言葉を受け、みんなは素直に伏せる。
俺が刀に魔力を集中させると、魔力で形成された刀身が刀の先から伸びた。
「トルネレイドドソード!」
刀を横一周になぎ払う。
魔力によって伸びた刀身はすべてのアイスキャットを切り裂き、消滅させた。
「よし、仕留めた!」
「ゲイムキャラは…」
「いません!どこにもいないです!」
俺たちはゲイムキャラのほうを見る。
「いくら探しても見つかんねえよ!片付けちまったからなあ!」
下っ端は得意げになっている。
その足元にバラバラになったディスクが落ちていた。
「間に合わなかったの!?」
「このディスクは…ゲイムキャラか」
「ひどい…」
「アンタ、覚悟は出来てるんでしょうね」
俺たちは下っ端に武器を向ける。
「くっくっく、オレにかまってるヒマがあるかねえ…ゲイムキャラが消えたってことは、蘇るぜ。あいつがよぉ」
「あいつ…?」
「そおよ。ゲイムキャラによって次元の境界に封じられていた殺戮兵器…その名も、キラーマシン!」
「やだ、名前めっちゃ安直…」
「余裕ぶっこいてられんのも今のうちだぜ!」
下っ端がそう言うと、突然地中から十数メートルはあろうかという尻尾が生えた機械型のモンスターが現れた。
右手にモーニングスター、左手に斧を持っている。
「わ、なにこいつ!?敵のくせにメカっぽくてカッコイイかも!」
「ゲイムキャラの使命ってのは、こいつを封じること…!」
「なるほどそりゃ離れるわけには行かないな…」
こんな凶悪そうなモンスターを封じてたんじゃ、ほかのところに行くわけにはいかないし、力の一部を渡すのも危険だってことか。
「きたきたあ!出てきたぜえ!コイツが大量に蘇りゃ、ルウィーなんざあっという間に制圧だあ!」
「大量に出てくんのかよ…」
「さあ、いけ!キラーマシン!手始めにこいつらから片付けちまいな!」
俺は武器を構える。
機械のモンスターか。
俺たちの攻撃がどこまで通じるか…。
「……」
動き出すのを待っているが、しばらく沈黙が続いた。
「…ん?」
「来ない…ね」
「来ないな」
「ちょ、ちょっと待ってろ。おーい、キラーマシン?キラーマシンさーん?」
下っ端は動く様子のないキラーマシンに呼びかける。
「さんざん大仰な登場のしかたしてこれ?」
「封印されてる間に、壊れちゃったですか?」
えええ、結構緊迫した感じだったじゃん。
「ふ…ふざけんな!そんなオチがあるかよ!動け!動きやがれ!」
下っ端はキラーマシンをガンガンと叩く。
するとおどろおどろしい起動音とともにキラーマシンの目が光った。
キラーマシンは武器を構え、俺たちを見る。
「そんな古いテレビ直すみたいなやり方で動くとか…」
アナログだな……まあ古代兵器らしいし。
「あ…やった!動いた、動いたぞ!」
「今度こそ来るぞ!」
再び俺たちは武器を構える。
キラーマシンはその巨躯を突進させてくる。
俺たちはなんとか避け、攻撃を加える。
「喰らえ!」
だが、俺たちの攻撃はいとも簡単に弾かれてしまった。
「硬っ!硬いよ、こいつ」
「攻撃が効いているのか、全然わかりません」
「効いてないだろうな……まずい…」
「一旦引くわよ。ルウィーの教祖ならなにか対処法を知ってるかもしれないわ」
「でも、簡単に逃げられるでしょうか…?」
コンパが隙を見つけるためにちらっと下っ端を見る。
「お?逃げんのか?いいぜ、逃げろよ。敵に背中を向けて、無様に逃げ回りな!」
「いや、逃げるわけにはいかない。はやく手がかりを見つけないといけないんだ!」
俺はさらにキラーマシンに攻撃を加える。
だが、派手な金属音が鳴るだけで全くダメージを与えられていない。
「ゲッターラヴィーネ!」
俺は跳躍し、刀を思いっきりキラーマシンの頭に振り下ろした。
キラーマシンは少しよろめいたものの、あまりダメージを受けた様子はない。
「くそが!」
「ユウさん、危ない!」
その言葉に我を取り戻すと同時、キラーマシンの斧が迫ってきた。
間一髪、ネプギアが俺を抱えて後ろに下がった。
目の前を斧が通過し、俺は冷や汗をかいた。
「だ、大丈夫!?」
「なにやってんのよ!」
「無茶しすぎです!
口々に俺を心配する声にやっと冷静になる。
「……すまん」
キラーマシンに勝てないとわかった俺たちは一旦引くことにした。