超次元ゲイムネプテューヌ 衝動へのリベリオン【完結】 作:ジマリス
「バカっ!」
アイエフの鋭いビンタが俺の頬を叩いた。
俺の頬は赤くなり、ひりひりとした痛みが残る。
「もうちょっとで危ないところだったのよ!」
よく見れば、アイエフの目からは涙がこぼれていた。
「すまない…」
焦っていた。
しばらく考えまいとしていたが、あの二人組、オルガとエリカの言葉が俺を冷静でいられなくした。
「すまないじゃないわよ…」
「もうあんな無茶はしないでくださいね」
みんなは俺を心配するように言う。
「……ああ」
みんなの目をまともに見れず、目をそらしてしまった。
落ち着いた俺たちは、キラーマシンの対策を聞くために教会へと急いだ。
「そうですか、キラーマシンが…」
教会についた俺たちはさっそくミナにブロックダンジョンでのことを話した。
「それで、勝てないから逃げてきたの?なっさけないわね!」
「…ケガ、してない?」
ラムの発言に対し、ロムは心配そうに俺の近くへ来た。
「ああ、大丈夫だ。危ないところだったけど」
ロムを撫でる。
こんな小さい子も心配してくれていることにちょっと感激。
「むっ。ロムちゃん。こんなやつのこと心配しなくていいの!」
ラムが頬を膨らます。
ロムを取られたくないって思ってるんだろうな。
随分仲がいいようだし。
「それで、あのキラーマシンってのは何なの?こっちの攻撃がまるで効かなかったけど」
「遥か昔、犯罪神が造りだしたとされる殺戮兵器です。その戦闘力は…いまさら説明するまでも無いでしょう」
俺たちが束になっても目に見えるダメージはなかった。
攻撃力はともかく、防御力は凄まじかった。
「ルウィーには数十体…あるいは数百体のキラーマシンが封じられてると言われています」
「あんなのが数百体…」
うへえ、考えたくもないな。
「未曾有の危機っていうのも、誇張表現ではなかったわけだ」
「ふん、何百体でもだいじょーぶよ。わたしとロムちゃんでぜーんぶやっつけちゃうから!」
「…がんばる」
「うーん、頑張ってどうにかなるかなあ…」
機械だし、魔法が弱点だったりする……のか?
「現実的ではないでしょうね。ですから私たちも、ゲイムキャラの力を借りて封印を施していたのですが…」
「バラバラにされちゃいました…ゲイムキャラのディスク…」
ネプギアはばらばらになったディスクを取り出す。
下っ端がキラーマシンを叩いている間に回収していたのだ。
できる子やでえ。
「ともかく、何らかの方策を講じましょう。幸い犯罪組織も、すぐに仕掛けてこようとはしていないようですし」
「それだけ入念に準備してるってこともあるわよ?」
「それでも、猶予があることに変わりはありません。みなさんには街の警戒や、情報収集をお願いしてもよろしいでしょうか?他国の方に頼むことではないのですが…」
「気にしないでください。こんな状況ですし、私たちにできることでしたらなんでも言ってください」
「ありがとうございます。今日のところはみなさんもお疲れでしょうし、街の方でゆっくり休息を取ってください」
一旦街に出てきた俺たちはあてもなく歩いていた。
「ユウ、大丈夫?」
「……ああ」
REDに突然話しかけられ、おもわず元気のない声で返してしまった。
「そんなに辛気臭い顔してたら、誰だって嘘だってわかるよー」
「なにか悩んでることがあるなら、言ってください」
「…ありがとう」
みんなの優しさに甘えることにした俺は、オルガとエリカに言われたことを皆に話した。
「大丈夫です!」
黙って俺の話を聞いていたみんなだが、俺が話し終わると同時にネプギアが叫んだ。
「ユウさんが人殺しなんかじゃないって私が証明してみせます!」
「ネプギア…」
ネプギアが俺の手をギュッと掴む。
「私、ユウさんを信じていますから!」
「ありがとう…」
「そうです!きっとその人たち嘘ついてるです!」
「うん、だってそいつらの言ってることめちゃくちゃじゃん!ユウが人殺しなわけないよ!ユウはきっとおせっかいな変態さんなだけだよ!」
「フォローしてくれよ」
励ましてくれてるのはわかってるけど、変態言うな。
「ははっ」
おもわず、笑い声を発してしまう。
それに釣られてみんなも笑う。
「うん、いつものユウに戻ったわね」
そうだな、ずるずると悩むのは俺らしくない。
くよくよするのは全てがわかったときでいい。
「さて、困ったわね。街の警戒って言っても、今のとこ相手は動いてないし」
「それに実際キラーマシンが来たら、わたしたちだけで街を守るのは難しいです」
「一体でも倒せるかどうかなのにな」
「ゲイムキャラも消されちゃいましたし…いったいどうすれば…」
倒す方法を思いつかない限りはどうしようもないな。
俺たちはネプギアが持っているバラバラの破片を見た。
「んー、頭使うの苦手だよ…その割れちゃったディスク、直したりできないの?」
「あれ使おう、セメ○インとかアロ○アルファ」
「そんな簡単に直せるわけ無いでしょ」
アイエフが呆れ気味に言う。
三割くらい本気なんですけど。
「でも、ディスクを直す方法を探したほうがいいかもしれません」
「それはそうだけど…そんな方法あるの?」
「やっぱり接着剤使うか、一回溶かして固めるか」
「お前馬鹿かにゅ」
俺の発言に対して即座に馬鹿といった方を見た。
そこにいたのは黄色く丸い生物に乗った、猫耳のような帽子をかぶった幼女がいた。
「……誰?」
「ブロッコリーにゅ」
「初対面で馬鹿ってお前…」
やっぱり最近の子酷いよ…。
なにかにつけて馬鹿にしてくるんだもん。
「馬鹿に馬鹿って言って何が悪いにゅ。そのディスクはそんな方法では直らないにゅ。ブロッコリーなら直せるにゅ」
ブロッコリーは得意げに言った。
ついでに俺をディスるのはやめてくれ。
「……えと、本当にこのディスク、直せるんですか」
ネプギアがバラバラになったディスクを見せると、ブロッコリーは頷いた。
「昔買った攻略本に直し方が書いてあったにゅ」
「攻略本……」
「これはまた最上級にメタな発言ね…」
「細かいことは気にしちゃだめにゅ。とにかく、材料さえあれば、直せるはずだにゅ」
少し不安だが、他に情報もやれることもないし、とりあえずこの毒舌幼女を信じるしかないか。
「材料って何が必要なんですか?」
「確か、レアメタルとデータニウムだった気がするにゅ」
「気がする…」
その言葉で不安が再来した。
「接着剤で直すよりは確実にゅ」
「あ、はい。すみません」
ごもっともなお言葉に謝罪。
やらないよりかはマシだって思ったんですよ。
「時間がもったいないわ。急いで材料を持っていきましょ」
ブロッコリーからレアメタルを持っているモンスターの絵をもらい、俺たちは国際展示場へ向かった。
「あのモンスターでしょうか」
国際展示場を探し回り、ようやく見つけた。
丸い殻に包まれて、両手が浮いているモンスター、メタルシェルを発見した。
絵と見比べてみると、確かに似ている。
「倒してみればわかるでしょ」
俺たちは武器を抜いた。
メタルシェルの外殻は硬いが、それほど強くはない。
すぐに弱点に気づいた。
殻からのぞく内部を攻撃しようとすると、体の向きを変え、防ごうとするのだ。
みんなにアイコンタクトで陽動を頼むと、みんなは正面からメタルシェルを攻撃しはじめた。
俺はメタルシェルに気づかれないように後ろに回りこんだ
メタルシェルに乗っかかり、殻の中を一突き。
予想はあたっていたようで、メタルシェルは一撃で消えた。
メタルシェルのいた場所には輝く金属、レアメタルが落ちていた。
「よし、ゲット!」
「これであとはデータニウムだけだな」
レアメタルを手に入れることができた俺たちは歓喜したが、データニウムに関しては情報がない。
ブロッコリーも知らないと言っていたし…。
「どうするです?」
「分かれて情報を集めよう。気になることがあったらNギアで連絡を取るってことで」
俺の提案にみんなは頷いてくれた。
危険に遭うことも考え、俺とネプギア、アイエフとコンパとREDの二組に分かれることにした。
ひとまずブロックダンジョンに来た俺とネプギアだったが、データニウムなるものは全く見つからなかった。
「どこにあるんだ…」
「時間がないのに…」
焦る俺たち。
殺戮兵器はまだ復活しきっていないらしく、数体しか見えなかった。
だが、一体でも厄介なキラーマシンだ。俺たちは見つからないようにデータニウムを捜索する。
早くしないと数百体のキラーマシンがルウィーを襲ってしまう。
「見つからないな」
「あっちからも連絡はありませんね…」
Nギアを操作しながらネプギアはそわそわしだす。
「ユウ」
聞き覚えのある声に振り向くと、
オルガが立っていた。
「この人は?」
「さっき話した篠宮オルガだ」
そう言うと、ネプギアは武器を構えようとする。
「やめろネプギア」
「でも…」
俺はネプギアを手で制す。
「いまは争っている場合じゃない」
一刻も早く素材を手に入れなければならないんだ。
どうにかしてこの場は静かに収めたい。
「いまの状況はわかっている」
オルガの様子は落ち着いている。
今までとは違い、戦う意思は見えなかった。
オルガが懐から何かを取り出し、こっちに投げた。
俺はUSBメモリのようなそれを受け取った。
「データニウムだ」
オルガは言った。
俺たちがこれを探しているのを知っていたのか。
「今回は俺を殺さないのか?」
「……」
俺の問いには答えず、オルガは去っていった。
「情緒不安定なやつだな…」
データニウムを眺めながら俺はつぶやいた。
殺しに来たり、必要なものを渡しに来たり。
なにが目的なんだか…。
まあいいや。
「ともかくこれで揃ったな」
「信じていいんでしょうか…」
「やつの目的はわからんが、世界を滅ぼすつもりはないだろうさ」
なにせ「世界を滅ぼした俺」を憎んで殺そうとするくらいだからな。
「アイエフたちに連絡してくれ」
「はい」
少し腑に落ちない様子だったが、ネプギアは従ってくれた。
ブロッコリーのいるところに戻りながら、俺たちは向こうに連絡した。