超次元ゲイムネプテューヌ 衝動へのリベリオン【完結】   作:ジマリス

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19 教祖が怪しい?

ユウさんと別れた私たちは、私への用事を聞くために協会へ来た。

 

「こんにちはー…あ、人がいる。あの、あなたが箱崎チカさんですか?」

 

「………」

 

何やら険しい表情をしている緑色の長髪の女性に話しかけたが、無反応だ。

 

「あのー、チカさん?じゃないんですか?」

 

「え…?あ、あああ!そうです。わたしが箱崎チカです」

 

もう一度話しかけると、今度は笑顔で応えてくれた。

 

「ええと、あなたはネプギア…さん。だったかしら?」

 

「わあ、私のこと、知っててくれたんですね」

 

どこかで聞いたことのあるような声のチカさんは私のことを知っててくれていたみたいだ。

ちょっと嬉しい。

 

「ぎくっ。い、いえ。それはその…」

 

「ギアちゃんに用事があるって言ってたですから、知ってて当然ですよー」

 

「あはは、そう言えばそうですね」

 

「…用事?」

 

チカさんは焦ったような表情で ? を浮かべた。

 

「はい、私に会いたいって言ってたって。いーすんさんから聞きました」

 

「会いたい…あ、ああ、そうだったわね!うん。すごく会いたかったわ!」

 

「…で、どうしてネプギアを呼び出したの?」

 

アイエフさんが少し警戒した様子で質問する。

 

「えー、あー、それはその…えっとえっと…そう!モンスターを退治して欲しいのです!」

 

「それだけの用で、わざわざネプギアを?」

 

「うう、それは…ほら!この国には女神がいないから!モンスター退治も一苦労なの!」

 

「だから、ベテラン女神候補生のネプギアさんに、ぜひ助けて頂こうかと!」

 

「や、やだ、ベテランなんて!私なんて全然まだまだ未熟ものですよ」

 

ブンブンと手を振るものの、ベテランと言われて悪い気はしなかった。

 

「そんなご謙遜を。まあそんなわけで、街の近郊の草原にいるモンスターを退治してきてほしいんですよ。大したモンスターではないですから、ネプギアさんならきっと楽勝ですよ。きっと」

 

「はい!任せておいてください!」

 

「ネプギア。こっちにも用事があるでしょ?」

 

「あ、そうでした。あの、私たちリーンボックスにいるゲイムキャラの力を借りに来たんです。それで、ゲイムキャラの居場所とか知ってましたら…」

 

「あ、はいはい。戻ってきたら教えてあげますよ」

 

ダメと言われたり、もう少しなにか条件を出されたりするかも…と思っていたが、チカさんはあっさりと許可をだしてくれた。

 

「わ、すごくあっさり」

 

「協力的な方ですねー」

 

「ありがとうございます!あ、でも。私がゲイムキャラを連れて行ったら、この国の加護が…」

 

「あー、別にそんなのたいしたことないですよ。ゲイムキャラの加護なんて。いくらでも持ってっちゃってください」

 

いくらでも持って行っていい?

その言葉に少し引っかかりを覚えたものの、気をよくした私はOKの返事を出した。

 

「………」

 

アイエフさんはまだ疑ってるようだったけど…。

 

「よかった、それなら安心です。それじゃ、急いでモンスターを退治してきますね!」

 

「はーい。よろしくお願いしますねー」

 

 

 

 

 

「…ねえ、なんか怪しくない?」

 

教会をあとにし、モンスターのいるガベイン草原へ向かう途中、アイエフさんは疑いを口にした。

 

「え?何がですか?」

 

「あのチカって人。ゲイムキャラの情報、ましてや持ち出しまで簡単に許可するなんて。それに態度も、全体的に胡散臭かったような…」

 

「そうでしょうか…あまり人を疑うのはよくないと思うですけど」

 

「教祖様だよ?教祖様が悪い人なはずないよ」

 

「私も気にしすぎだと思いますけど…」

 

私もチカさんがちょっと変だなあと思ったけど、特に気にはしていなかった。

アイエフさんは納得せずに、眉間にシワを寄せた。

 

「…まあ、注意だけはしておきましょう。真偽がわかるまでは、絶対油断しないようにね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                  △

 

 

 

 

 

 

 

「ユニ?」

 

「げ、ユウ!?」

 

公園で一休みし酔いがなくなった俺は、街を歩くユニを発見し声をかけた。

 

「げってお前…げってお前…」

 

相変わらず俺の心をえぐるのがお得意なようで…。

 

「っていうか顔が赤いんだが、風邪か?女神って風邪引くのか?」

 

「べ、べべべべつに何でもないわよ」

 

勢いよく首を横に振るユニは新鮮だな。

そして可愛い。

 

「一人なの?ネプギアたちは?」

 

「今は別行動だよ、ユニこそなんでここに?」

 

「シェア獲得のためよ。少しでも力を得るためにね。この国なら女神もいないし、簡単だと思ったのよ」

 

シェア回復の為か。

力不足を感じて、俺たちとは違う道を進んでいるんだったな。

負けず嫌いのユニのことだろうし、以前よりかは比べ物にならないほど強くなっているだろうな。

 

「んで首尾は?」

 

「…正直さっぱりね。特にここ数日は全然ダメ。まったく、あの教祖正気とは思えないわよ」

 

不満げにユニが頬を膨らませる。

 

「教祖?」

 

リーンボックスに来たばっかりの俺はこの国のことについて聞くことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                 △

 

 

 

 

 

 

 

 

ガベイン草原に到着した私たちはさっそくモンスターを見つけることができた。

トカゲのような顔をもつその二足歩行のモンスターは、私の二倍はある身体をぶよぶよと揺らしている。

 

「いました!あれがチカさんの言ってたモンスターですよね?」

 

「うん!・・って、あれあれ?あのモンスター、結構強そうな気がするよ?」

 

「そんなはずないですよ。たいしたことないってチカさん言ってましたし」

 

私はビームソードを取り出し、構えた。

 

「よし、みなさんはここで待っててください。私一人で倒してきちゃいますから!」

 

「あ、こら!油断するなっていったばかりでしょうが!」

 

アイエフさんの注意を聞かずに、モンスターへと近寄る。

 

「さあ、覚悟してください!今、私がやっつけちゃいますから!えいっ!」

 

「…ぐあ?」

 

一撃を食らわせた、と思ったがモンスターには全く効いていないようだ。

私の武器は柔らかいモンスターの身体に弾かれた。

 

「あ、あれれ?おかしいな…今度は本気で行きますよ!とりゃっ!」

 

さっきより強い攻撃をしたが、同じくはじかれてしまう。

 

「ええええ?うそ?全然効いてない?」

 

「ぐああ…ぐああああ!!」

 

起こったモンスターは私を襲ってこようとする。

 

「わ、わ!ちょっとまってー!」

 

「…危ない」

 

突然、赤髪でメイドのような服を着た女性がモンスターの攻撃を弾いた。

 

「え…?あなたは…?」

 

「下がっていて。こいつは私が片付ける」

 

そう言うと、女性はモンスターとの間合いを一瞬で詰め、手に持った羽根剣で一撃で倒した。

 

「す、すごい。一撃で…」

 

「調子に乗って敵の前に立つとそういう目に遭う…覚えておいたほうがいいわ」

 

「は、はい…」

 

ぐうの音も出ません…。

 

「ギアちゃん!大丈夫ですかー?」

 

「まったく!なにやってんのよ、アンタは!」

 

「ご、ごめんなさい・・・あの、危ないところをこの人に助けてもらって…」

 

「見てたわよ。悪かったわね。うちの子が迷惑かけて」

 

アイエフさんは女性に礼をした。

私も続いて礼をする。

 

「気にしなくていいわ。半分仕事のようなものだから」

 

女性は羽根剣を収めた。

 

「あなたたちは、なぜこの危険な草原にいるの?」

 

「教祖様に頼まれたんだよ。たいしたことないモンスターだから、倒してきてーって」

 

「チカに…チカの様子はどうだった?おかしなところはなかったかしら?」

 

「おかしいところばかりだったわよ、とても挙動不審だったわ」

 

「そう…一体どうしてしまったというのかしら。チカは…」

 

女性はふう、とため息をついた。

 

「ねえ。よかったらこの国のこと少し教えてもらえないかしら。私たち、来たばっかりでイマイチ状況が掴めないのよね」

 

「構わないわ。そう言えば自己紹介もまだだったわね。私はケイブ。このリーンボックスの者よ」

 

 

 

 

 

 

 

                  △

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はユニからこの国の現状を聞いた。

女神が囚われて、リーンボックスは犯罪組織の影響をモロに受けたらしい。

 

「そうだろうな。現状では唯一、女神がいない国だし」

 

「それでも、教祖のチカって人が中心になって最低限の秩序は保たれてたんだけどね」

 

「何かあったのか?」

 

「数日前、突然犯罪新崇拝の規制が解除されたの。その教祖の一存でね」

 

当然のことながら、女神が治める国では犯罪を助長するものは罰せられる決まりがある。

それが無くなったとなれば、犯罪組織がその国で活発になることを意味する。

 

「なるほど、それで治安が悪いのか…」

 

「しかも女神を最も信奉すべき、教祖から公布されたんだもの。この状況で女神を信じようなんて人間はほとんどいないわ」

 

ううむ、これは思ったよりもまずい状況かもしれないな。

それに、かなり込み入った事情があると見える。

…教祖の話を聞く必要があるな。

 

「ま、それでも諦めないけどね。この国のシェアは全部アタシがもらうんだから。絶対邪魔しないでよね」

 

ふふん、と胸を反らすユニだが、プラネテューヌ民として見過ごすわけには行かないよね。

 

「嫌に決まってんだろ」

 

「え、えええ!?」

 

「はい、出発ー」

 

驚くユニの隙をつき、お姫様抱っこしてそのまま歩く。

面倒事があれば手伝ってもらおう。

 

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」

 

暴れるユニを押さえつけながら、お姫様抱っこのまま街を闊歩した。

 

 

 

 

 

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