超次元ゲイムネプテューヌ 衝動へのリベリオン【完結】   作:ジマリス

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2 三人の少女との出会い+α

「ぬら~っ」

 

尻尾が生えたスライム、通称スライヌを刀で斬る。

スライヌは粒子となって消えた。

 

「よしよし」

 

刀をくるんくるんと回し、満足感に浸る。

えーわたくし滝空ユウ、現在バーチャフォレストというところに来ております。

名の通り森林が生い茂る場所だ。

たしかここはプラネテューヌの近くのダンジョンってことは覚えている。

思ったより早く俺についての手がかりを掴めそうだ。

と思ってまあ腕試しをしているところだ。

どうやら普通に戦えるほどの実力はあるらしい。

モンスターを相手に戦い方を試行錯誤したが、ようやく納得のいく形まで持ってこれた。

そこらへんにいるモンスターなら、苦戦せずに倒せそうだ。

 

「しばらくここでモンスター倒して金稼ぎしようかな」

 

刀を鞘に収める。

現在持っている所持品は、着ている服(紺のシャツに黒のレザージャケット、下は青のジーンズ)に刀、そして背中に背負った大剣。それと銀色のブレスレット。

 

「あ、でも調子に乗りすぎると空腹で倒れるかもしれん」

 

『記憶喪失の男、空腹で行き倒れる』なんてカッコ悪いにも程がある。

一旦引き返して街探しして、ゆっくりと「滝空ユウ」についての聞き込みでもするか。

幸いこの調子だと街までそう迷わずに行けるだろう。

そう思い、入口まで引き返そうとしたところで

 

「きゃあああああ!!」

 

女の悲鳴が聞こえた。

『何があったんだ』という考えよりも先に身体が動いていた。

 

 

 

 

 

最奥部まで走った俺の目に飛び込んだものは四つの人影だった。

 

「下っ端がこんなに強いなんて……」

 

長い青色コートに双葉リボンの少女が呟く。

その目線の先には、セーラー風のワンピース服を着たピンクの髪の少女がへたりこんでいた。

すぐそばのフードをかぶった、いかにも下っ端っぽい少女が手に持った鉄パイプに力を込める。

 

「一人ずつ順番にブッ殺してやるぜ!」

 

その物騒な言葉を聞いた瞬間俺は悟った。

ああ、ものすごい面倒なシチュエーションに出くわしてしまった。

 

「くそっ」

 

助けないと、という気持ちが現れる前に身体が動く。

俺は刀を抜き、走り出す。

フードの少女はパイプを振りかぶった。

 

「ひっ…」

 

ピンクの髪の少女が短い悲鳴を上げるが、パイプは彼女に届かなかった。

 

「ふぅ…か、間一髪…」

 

パイプの一撃を、俺が刀で受けたからだ。

危なかった。もうちょっとで俺がダメージ食らうところだったよ。

 

「だ、だれだてめえ!」

 

「俺?俺はあれだよ……その……」

 

かっこいいセリフを言おうとしが、何も思い浮かばない。

あーなんか考えときゃよかったな。

正義の味方的な?愛の伝道者みたいな?

……あんまりかっこよくないな。特に後者。

そもそも面倒だと思ったことに首突っ込んでるのも体が勝手に動いたからで、ヒーロー気取りなんかしてるわけじゃない。

 

「えーい、そこのお前!」

 

俺は誤魔化すようにピンクの髪の少女を指差す。

 

「は、はい!」

 

「なんか知らんがうじうじしてるみたいだけどな。そんなんじゃ誰も守れやしないぞ」

 

ちょっと渋めの声を出してみる。

お、これは決まったんじゃないか?かっこいい?

……すいません、ちょっと無理がありましたね。

 

「それだけは絶対にイヤ!」

 

ピンクの髪の少女は叫んだ。

さっきとは違う、決意の表情をしている。

うむ、よくわからんが結果オーライということで。

 

「さーて、あいつが悪者ってのはなんとなくわかる。あいつに勝てるか?」

 

俺はフードの少女、下っ端に目を向ける。

 

「勝ちます。絶対に!」

 

そう叫ぶと、ピンクの髪の少女が白い光に包まれた。

光は彼女を「変身」させる。

服は白いレオタードのようなものになり、手にはガンブレード。

さらに背中には翼が現れた。

 

変身した少女は下っ端に向かっていった。

 

それからの戦闘は一方的で、変身した少女は下っ端を圧倒していく。

俺も戦闘に加わろうとしたが、どうやら必要ないみたいだ。

 

「ラジカルセイバー!!」

 

変身した少女の一閃が下っ端へ襲いかかる。

それを受けた下っ端は地面を転がり倒れたが、フラフラと立ちあがった。

 

「ズリーぞ!変身なんかしやがってよ!」

 

「大人しく退いてください。そうすれば見逃してあげます。」

 

「くそっ……こうなったら最初の目的だけでもっ!」

 

下っ端は小さく光っているもののところへ走り出し、パイプを振った。

 

「おりゃああああ」

 

光っているものは壊れ、ディスクの破片のようなものが散らばる。

 

「ゲイムキャラさんが!」

 

セーターを着た、ふんわりした雰囲気の少女が慌てる。

ずいぶんと大事なものだったらしいが、正直状況がいまいち飲み込めていない俺はただ見ることしかできなかった。

 

 

「へへ、これでもうここに用はネェ。次はラステイションだ!」

 

下っ端は逃げていった。

うわ、すげえ速い。

『逃げ足だけは速い』を間近で見るのは初めてだ。

下っ端の姿はもう見えなくなってしまった。

 

「ゲイムキャラが……」

 

変身した少女は落胆した様子を見せた。

 

「大丈夫ですよ」

 

「うおわあああ!!!」

 

突然後ろから声が聞こえ、情けない叫び声を上げる俺。

突然話しかけられるのすごい苦手なんだよな。

振り向くと小さな紫の光が浮いていた。

 

「寿命が縮んだ…」

 

「す、すみません…」

 

紫の光は申し訳なさそうに言う。

 

「私はこの地のゲイムキャラ…眠りについている間に破壊されてしまうとは、とんだ不覚です」

 

紫の光、ゲイムキャラとやらが喋る。

 

「え、なんか壊されてなかった?大丈夫か?」

 

「大丈夫、とは言えませんが幸い力の一部だけでも、外に逃がすことができました。女神候補生…今この時代に何が起きているか私にはわかりません。ですがあなたならこの力を正しく使ってくれると信じています」

 

ゲイムキャラは変身した少女の元へ向かい、消えた。

 

「これが…古のゲイムキャラの力…?」

 

少女は、うわっ…私の年収低すぎ?みたいなポーズをする。

 

「ちょっといい?」

 

おれは少女たちに向かって言う。

 

「あ、ありがとうございます。あなたのおかげで助かりました」

 

「あ、これはこれは丁寧にどうも……じゃなくて、なんとなくで介入したけど、これどうなってんの?現状説明をお願いします」

 

いつまでも『少女』で説明するのはしんどいからね。

俺は彼女たち、ネプギア、アイエフ、コンパから自己紹介と世界の現状を聞いた。

 

 

 

 

現在ゲイムギョウ界は犯罪組織マジェコンヌによって荒廃しつつある。

女神たちは犯罪組織を倒そうとしたが、あえなく敗北。ギョウカイ墓場に封印されてしまった。

アイエフとコンパによって助けられた女神候補生ネプギアは女神である姉たちを助けるため、その第一歩として、各地に存在する「ゲイムキャラ」の力を借りようというのだ。

 

なるほどなるほど、単純に言えば世界がやばいってことね。

 

続いて俺は自己紹介をした。

名前と記憶喪失だってことしか言うことなかったけど。

 

「もしよければ一緒について来てくれないです?」

 

「そうね、あんたなかなか強そうだし」

 

コンパとアイエフが俺を誘う。

 

「私たち、旅にでるんです。いろんなところへ行くので、ユウさんの記憶の手がかりも見つかるかもしれないですし」

 

美少女三人に誘われて悪い気はしないが、こいつらは男と一緒で平気なのか。

 

 

『こんな美少女と旅に出れるんだぜ。もしかしたら美味しいイベントがあるかもよ』

と俺の中の悪魔が囁く。

 

『美少女三人の誘いを断るなんて悪い男のすることです!受けましょう!』

と俺の中の天使。

 

「一緒に行く!」

 

と俺は即答。

いやだってね?断るのは悪いじゃん。

世界を救おうという女の子の手助けをするのは男として当然でしょ?ね?

俺の返事に三人は喜んでくれた。

 

 

 

 

突然、前触れもなく嫌な感じがした。

 

『いまならまだ引き返せる』

 

そんな気持ちが沸いてきた。

何故か胸がざわつく。

もしかしてとんでもないことをしでかすんじゃないかという根拠のない不安。

 

「ユウ」

 

だれかの声が聞こえた。

だがほかの三人とも談笑していて、俺を呼んだ気配はない。

そもそも声は男のものだった。

 

「お前のために言っている」

 

また声が聞こえた。

誰だ。お前は誰なんだ。

 

「お前は彼女を……」

 

ざわつきは強くなり、胸が苦しくなる。

 

「ユウ?」

 

この声は、心配そうに俺を覗き込むアイエフのものだった。

 

「どうかしたの?」

 

「いや、なんでもないよ」

 

胸のざわつきは消え、正体不明の声も聞こえなくなっていた。

 

「とりあえず、イストワール様に報告にいきましょう」

 

アイエフの号令で俺たちはプラネテューヌに行くことになった。

 

 

俺の頭には言いようのない嫌な感じだけが残っていた。

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