超次元ゲイムネプテューヌ 衝動へのリベリオン【完結】   作:ジマリス

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22 教祖救出

下っ端を追いかけてきた俺たちはリーンボックスから少し離れたアンダーインヴァースというところに来ていた。

近くに火山があり、溶岩が流れ込むところもある。犯罪組織が利用しているのか、ところどころ機械的なものが置いてあったり、金属で舗装されてあったりしている。

 

 

「はあ、はあ…だいぶ走ったな。ここまで来りゃ、流石に撒いただろ…」

 

少し遠くに下っ端が見えた。立ち止まり息を切らしている。

 

 

「待てーー!」

 

「ちいっ!?しつけえ連中だな!なにか時間稼ぎできるようなモンは…そうだ!コイツがあった!」

 

下っ端は何かを取り出すと、それを地面に投げた。

にやりと笑い、また逃げる。

 

 

「逃がすか!」

 

「ちょっとまって!何かいるわ」

 

俺とREDが走り出そうとすると、ケイブが止めた。

ケイブの視線を追うと…

 

 

「ぬらー…」

 

「ぬららー…」

 

 

 

「わあっ!?ス、スライヌ!?」

 

「すごい数です、床にも天井にもびっしりですぅ」

 

夥しい数のスライヌが床、壁、天井に引っ付いていた。

ううむ、しかしこれだけ大量だとまずいぞ。

 

 

「まずいわね。いくらスライヌでも、これだけの数が相手だと…」

 

「ヌラ!」

 

「うわあ!一気に来た!?」

 

「ちょ、ちょっと待ってー!」

 

 

身構えた俺だったが、スライヌたちはなぜか俺を無視してほかのみんなを襲った。

 

 

「な、なんなのこいつら!体にへばりついて…ひゃあっ!?ヘンなとこさわるな!」

 

「気持ちわるいですー!服の中までぐちゃぐちゃですぅ…」

 

「あははは!や、やめ…そこくすぐられると、弱い…あはははは!」

 

「くっ。なんと卑劣な攻撃…このような、辱めを…!」

 

「く、くすぐったいよぉ。そ、そんなところに入ってきちゃダメー!」

 

 

 

アイエフはコートを半脱ぎされ肩やちょっと言えないところを舐められ、

コンパは服の中にまで侵入され、

REDは脇や膝などを舐められ、

ケイブは主に胸を這いずられ、

ネプギアはスカートの中に入られたようだ。

 

 

 

おおう、これは…

 

 

「ナイス!」

 

 

思わぬところで出会えた天国にガッツポーズする。

いや、みなさんもこういうところを見れたらそうするでしょ?

 

「何言ってんのよ!早く助けなさい!」

 

「はーい」

 

アイエフに喝されたが、俺は懐からカメラを取り出しシャッターを押す。

まずはネプギア。

 

「な、何で撮ってるんですか!」

 

「高性能一眼レフだよ。高かったんだ、これ」

 

「何でってそういう意味じゃないです!」

 

 

一通りみんなを撮ったあと、俺はスライヌを一掃した。

ありがとうございました。

 

 

 

 

 

「はあ、はあ…ひどい目に遭いました…うう…」

 

ネプギアはうなだれて、しくしくと泣いていた。

 

「もうお嫁にいけません……」

 

「ははは、そうなったら俺がもらうさ」

 

 

「えっ…」

 

俺がふと言った言葉に、ネプギアは顔を赤くした。

おーい?ネプギアさん?

 

「スライヌといえど、群れるとあれほど恐ろしいモンスターになるのね…」

 

「ああ、恐ろしかったな」

 

俺はいそいそとカメラをしまった。

 

「あ~あ。にげられちゃったぁ~」

 

「だが、こんな施設がある場所だ。アジトである可能性は高いだろう」

 

「そうね。あんな目に遭って手ぶらで帰るのも癪だし、もう少し奥まで行ってみましょう」

 

 

俺たちは再び奥へと進んだ。

ネプギアがずっと赤い顔をしていたのが心配だったが。

 

 

 

 

 

進んでいくと、暑さ…いや熱さが増してきた。

ルウィーはあんなに寒かったのに、こんな熱いところもあるのか…。

少しでも涼みを得るために服をぱたぱたさせていると、倒れている人を見つけた。

 

 

「…あれ?あそこに誰か捕まってるよ!」

 

「あれは…チカ!」

 

急いで駆けつけ、、揺り起こす。

下っ端は確かに完璧に化けていたようだ。

教会で見た変装にそっくりの女性がそこにはいた。

 

 

「チカ!大丈夫ですか?」

 

「う…ああ、ケイブ?」

 

ケイブが声をかけると、チカは目を覚ました。

 

「気をしっかり。今助けます」

 

「ううん、いいの。アタクシはもうダメ…」

 

ずいぶん弱っているようで、その声には力がない。

 

 

「ああ、最後にもう一度…ベールお姉様にお会いしたかった…」

 

「そんな!ようやく会えたのに…」

 

「チカの戯言に耳を貸す必要はないわ。いつものことだから」

 

「戯言って…」

 

 

ケイブの言葉に俺は驚く。

案外この人も毒舌だったりするのか?

 

 

「ひ、ひどい。アタクシ、本当に死にかけて…げほっ、ごほごほ!……ちらっ」

 

 

あ、これ演技だ。

 

 

「…なんだ、大丈夫か」

 

「ええ、確かに死にそうって感じではないわね」

 

「でも、体は本当に弱ってるです。安静にできる場所に運んだほうがいいです」

 

「ええ。一度教会まで運びましょう」

 

 

「無理よ、アタクシはもう歩けない…どうかアタクシのことは、ここに置いていって…」

 

「いいから行くぞ」

 

らちがあかないと思った俺はチカをズルズルと引きずった。

 

「あ、あんたそれが女性にする態度!?」

 

「元気じゃん……」

 

 

 

 

 

 

 

 

「先程は見苦しいところを見せたわね。アタクシがここリーンボックスの教祖、箱崎チカよ。覚えておきなさい」

 

 

教会に戻り、風呂と着替えと食事をすませたチカはさっきとは全く違い、堂々としていた。

やっぱり、教祖っていうのは個性が強いな。女神を補佐するには普通じゃいけないってことなのか。

 

 

「…さっきとはまるで様子が違うわね」

 

「っていうか下っ端が化けてたのと全然違うじゃねえか、教会員も気付かなかったのかこれで…」

 

態度も声も全く違うのに、何も言わないこの国の人って…。

 

「本物のチカさん…つまり、こっちのチカさんが私をリーンボックスに呼んだんですよね?」

 

「ええ。各国のシェアを回復させている女神がいると聞いて。女神不在のこの国には、うってつけかと思ったの。…それに何より」

 

チカは目の色を変え、ネプギアの肩を掴み、大きく揺すった。

 

「あなたはベールお姉様のことをご存じなのよね?さあ、早く話しなさい!ほら、早く!」

 

「え、あ、あの…なんか目が怖いんですけど…」

 

「いいから!時間がもったいないから早く話しなさい!こちらから出せる情報ならいくらでも渡すから!」

 

「は、はいい…」

 

 

勢いに押し切られる形で、ネプギアは話した。

ケイのようにギブアンドテイクだ、と言おうとしたが、必要なかったみたいだな。っていうか必死すぎだろ。

 

 

 

 

「…そう。ではベールお姉様は今も犯罪組織の手に落ちたまま…」

 

「はい。それで、助けるためにはゲイムキャラの助けが必要なんです」

 

全て話し終えたあと、先ほどまでの様子嘘のように落ち着いていた。

態度がコロコロ変わって面白い。

クールなケイブとは意外といいコンビなのかもな。

 

「チカさん、この国のゲイムキャラの居場所とか、ご存知じゃないですか?」

 

「知っているわ。いえ、正確に言えば知っていた、ね」

 

「どういうことです?」

 

「この国のゲイムキャラは、既に犯罪組織の手に渡っているの。アタクシが捕まる少し前にね」

 

「じゃあ、ルウィーの時みたいにやられたのかしら」

 

たとえ壊されたとしても、同じくルウィーのときのようにネプギアが直せるだろう。

それは犯罪組織だってわかってるはずだ。

 

 

「いえ、そのような気配は感じないわ。消されたのであれば、国に何らかの予兆があるはずだし…」

 

「じゃあ、なんのために…」

 

「さあ、そこまでは。犯罪組織が何を考えてるかなんてわからないし。ただ、壊されてない以上取り戻すチャンスがあるというのは間違いないわね」

 

「そうですね。一刻も早く助けないと…」

 

「下っ端を探したほうが早いだろうな。かなり目立つ格好だし、一度情報収集してみようか」

 

効率よく情報を集めるために、一旦俺たちは分かれることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…それで正体がバレた上に、教祖まで取り替えされたっちゅか?相変わらず使えないっちゅ…」

 

「うるせえ!元々、こそこそ変装するなんてガラじゃねえんだよ!」

 

「そうっちゅね。ガサツな女に教祖の真似事なんて、土台無理な話だったっちゅ」

 

 

 

なにか下っ端のてがかりがないかとアンダーインヴァースに戻った俺だが、奥まで続く道の途中で大きな声が聞こえた。

こっそりと様子を伺ってみると、普通にいましたよ。

一人は下っ端、もうひとりはラステイションで会ったネズミだ。

なにやら喧嘩しているらしい。

とりあえず、ネプギアたちに「すぐ来い」とのメールを送った。

 

 

「チッ、面白くねえ…捕まえたんならさっさとぶっ壊しちまえばいいのによ。なんで生け捕りなんて面倒くせえ…」

 

「そういう命令っちゅ。なんでも壊せばいいって単細胞だから、いつまでも下っ端から出世できないっちゅ」

 

「だから!テメエが下っ端呼ばわりすんじゃねえよ!」

 

その二人……いや、一人と一匹の横には緑色に光るディスクが浮いていた。

あれがリーンボックスのゲイムキャラだな。

破壊する気はないみたいだが、何をする気だ?

 

とりあえずゲイムキャラを取り戻そうとした俺は下っ端たちの前に姿を現した。

 

「あ!テ、テメエなんでここがわかったんだよ!」

 

「犯人ってのは現場に戻るもんだからな」

 

「げっ!お前はあの時の男!」

 

下っ端たちは俺を見つけるなり、そろって指さした。

 

「さて返してもらうぜ。ゲイムキャラを!」

 

「バカぬかしてんじゃねえ!はいそーですかとでも言うと思ったのかよ!」

 

「最初からボコボコにして取り返すつもりだったよ」

 

元々簡単に渡してくるとは思っていない。

俺は刀を抜いた。

 

「さあ、覚悟しろ!」

 

「覚悟すんのはテメエだ!そう毎回毎回素直にやられると思うなよ!」

 

下っ端は鉄パイプを構え、ネズミは爪を構えた。

 

 

 

 

今ここに、壮絶な戦いが……

 

待ってませんでした。

 

一瞬で決着がつきました。

 

 

 

下っ端たちの攻撃を避け、刀を軽く一閃させる。

すると下っ端たちは倒れてしまった。

 

「ま、負けた…また負けたあああ…」

 

「こ、こいつ強いっちゅ…」

 

っていうかお前らが弱いだけなんだけど…。

俺たちは着実にレベルアップしているのに、下っ端たちと言ったら…。

いまじゃこんなに差がついて、悔しいでしょうねえ。

 

「お前らいい加減しつこい…」

 

ひと呼吸付いた俺はゲイムキャラに近寄り、安否を確認する。

 

「大丈夫だったか?」

 

「はい、私は平気です。ありがとうございました。えっと、あなたは?」

 

「滝空ユウ。プラネテューヌの女神候補生、ネプギアと旅をしている者だ」

 

 

 

俺はこれまでのこと、世界の現状をゲイムキャラに教えた。

 

 

 

「…なるほど、私たちの力を使って、世界を…」

 

「ああ、そういうわけだから力を貸して欲しいんだが…」

 

とりあえずは保護して、ネプギアたちとともに教祖の許可を得るか。

おれがゲイムキャラを連れ出そうとしたとき

 

「待ぁてよ!何かってに話すすめてやがんだ!」

 

下っ端が立ち上がった。

しつこさにも限度があると思うんですけど…。

 

「なんだよ、もう一度コテンパンにしてやろうか?」

 

「なめたことぬかしてんじゃねえ!こっちにはなぁ、奥の手ってモンがあるんだよ!」

 

下っ端は黒いディスクを取り出した。

 

「へへっ、コイツはな、尊敬する上司からもらったんだ。犯罪神に与する者の力を増幅させるディスクだ!」

 

下っ端はディスクを地面に叩きつけた。

粉々に割れたディスクから黒い煙が吹き出した。

 

「お?おおおお…スゲエ!!こりゃスゲエぞ!力が、漲ってきやがる…っ!」

 

「これだけの力があれば……お前を倒して、コンパちゃんを力づくでモノにするっちゅ!」

 

黒い煙は下っ端たちの力を増したらしく、見ただけでもパワーアップしたのがわかった。

 

「あ……ぐう……」

 

対する俺は、心の奥底から何かがこみ上げてくるのを感じていた。

 

胸の奥が苦しい。

くそ、あの煙にはほかに何か作用があるのか?

 

「あう……あっ…あぐっ…」

 

胸の苦しみはどんどん増していったが、不思議と感覚は研ぎ澄まされていった。

 

 

突然痛みはなくなり、まるで滝空ユウの中から外を見ているような感覚になった。

 

 

身体が勝手に動く。

 

 

何かを求めるように。

 

 

その何かはわかっている。

 

 

ああそうだ。

 

 

「破壊だ」

 

 

オレは刀を放り投げ、大剣を抜いた。

 

 

 

 

 

 

                   △

 

 

 

 

 

 

街で聞き込みをしているものの、有力な情報は得られなかった。

うう、早くゲイムキャラを見つけたいのに…。

そんなとき、ユウさんから「下っ端たちを見つけた」との連絡が来た。

「たち」ってことは他にも誰かいるのかな?

場所はアンダーインヴァース。

さっきチカさんを見つけたところだ。まさに灯台下暗し。

 

 

「あ、いた。ネプギアー!」

 

REDさんが駆け寄ってきた。

既に合流していたらしく、すぐ近くにはほかのみなさんもいた。

 

「ユウさんの連絡、聞きましたか?」

 

「はいです!急ぎましょう!」

 

「無茶してないといいけど…」

 

アイエフさんが心配そうにしている。

ルウィーでの一件以来、ユウさんは何かを隠しているようだった。

もしかして、何かを思い出したのだろうか。

悩んでいることがあれば、教えてくれたらいいのに…。私ってば頼りにならないのかな…。

 

 

だ、だめだめ!私が悩んでたらだめだ!

 

 

 

「きっと大丈夫です!」

 

 

 

 

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