超次元ゲイムネプテューヌ 衝動へのリベリオン【完結】 作:ジマリス
各国のゲイムキャラの協力を得、いーすんさんからの任務も果たした私たちは、一旦プラネテューヌの教会へ戻った。
久々のプラネテューヌの教会を見渡すと、さまざまな資料が広がっていた。
「ただいま、いーすんさん」
「お帰りなさい、みなさん。長い旅、本当にご苦労様でした」
本に乗ったいーすんさんがふわふわと浮いてこちらにやってきた。
「へー、ここがプラネテューヌの教会かー。ほかの国も綺麗だったけど、ここが一番かも!」
「…ここでライブしたら、何人くらい入れるかな」
初めてプラネテューヌの教会に来たREDさんと5pb.さんは、物珍しそうにキョロキョロとしている。
うう、なんだか恥ずかしい。出て行く前に掃除していったら良かったかなあ。
でも、明らかに私たちが出て行く前より散らかっている。
「指示通り、各国のゲイムキャラの協力を取り付けてきました」
「はい。こちらでは今、みなさんが取り戻してくれたシェアを凝縮して、新たなシェアクリスタルを精製中です」
シェアクリスタルは女神の力を使うのに必要なものだ。
力を封じられているお姉ちゃん達にそれを使えば、きっと助けられる。
「それが完成したら…」
「そうです。今度こそ、女神を救出します」
「いよいよですね!」
「ついに本物の女神様を助けられるんだね!これで一気に嫁が増えると思うと腕がなるよー!」
「…女神様に、ボクの歌を…!」
「今度こそ、失敗しない。絶対に…!」
「………」
みんなが意気込みを口にするが、ユウさんだけは浮かない顔で俯いていた。
「あの、ちょっと待ってください!」
私はある提案を思いついた。
「どうしたですか?ギアちゃん」
「せっかくみんなでやる気出してるのに、いったいどうしたの?」
「あの、やっぱりほかの女神候補生…ユニちゃんやロムちゃん、ラムちゃんも一緒に行ってもらったほうが良くないですか」
お姉ちゃん達を救うのに、戦力は大きい方がいい。
それになにより、ユニちゃんたちも自分たちの力で救いたいと思っているはずだ。
「それは…もちろん当初は、その予定でしたが…」
「みんな断られちゃったじゃない。あの様子じゃ、もう一度説得しても時間のムダよ」
「それはそうですけど、でも…」
私が話したいことをまとめようとしているとき、アイエフさんの携帯電話が鳴った。
「あ、ごめん。アタシだわ。えと…諜報部のオトメちゃんから?もしもし、どうしたの?え…?それって…!うんうん…わかった。そっちも気をつけて」
「どうしたですか?そんなに怖い顔して…」
話し終えたアイエフさんの顔が険しくなった。
なにか悪い知らせだったようだ。
「ルウィーで、犯罪組織の活動が急激に活発化したらしいわ。わずか数日で、九割近くのシェアが奪われたって…」
「九割!?ありえない数字です…一体何が?」
突然のことに、私たちは驚いた。
キラーマシンを対処したことにより、犯罪組織の活動は落ち着いたかと思っていたのだ。
「そこまでは…本当に急激な出来事だったみたいで」
「ロムとラムは大丈夫なのか?」
私は双子のことが心配になったが、私よりもはやくユウさんが詰め寄った。
「だから、そこまではわからないってば」
「たしかなことは言えませんが…女神が九割ものシェアを奪われれば、体に何らかの異常をきたすのが普通です」
「そんな…」
「気になります。他国のこととはいえ、あまり多くのシェアを奪われたら、作戦に支障が出る恐れも…。まだシェアクリスタルの完成には時間がかかります。その間にルウィーの調査をお願いしてもいいでしょうか」
「はい、いってきます。私も二人のことが心配ですから」
帰ってきて早速だったが、わたし達はルウィーへと急いだ。
「ラム、ロム!」
ユウさんがルウィーの教会のドアを乱暴に開けた。
「あ、あら?あなた方は…なぜ、ルウィーに?」
教祖のミナさんが、沢山の書類を抱えていた。
ユウさんは心配そうにミナさんの顔を覗きこむ。
よく見てみると、前にきた時と比べて、やつれている様子だった。。
「顔色が悪いぞ」
「すみません…ここ数日、不眠不休の状態が続いていたものですから…」
ユウさんはミナさんが持っている書類を近くのテーブルに置き、ミナさんを座らせた。
「そんなにひどい状況になってるですか」
「ロムちゃんとラムちゃんは?二人は平気なんですか?」
「あんまり、平気じゃない…」
二人の状態を聞き出そうとしたとき、ラムちゃんが奥の部屋から出てきた。
ラムちゃんも顔色が悪く、ふらふらとした足取りだった。
「わ…女神様も、顔色悪いよ…」
「ラムちゃんだけ?ロムちゃんは?」
「寝てる…あの日から、ほとんど目を覚まさないの、ロムちゃん」
「原因は?」
「いいえ。未だ不明です。ただ、シェアを奪われたという事実があるだけで…」
ユウさんがゆっくりと現状を聞き出そうとしているが、ルウィーでもいまいち状況は掴めていないらしい。
「そう…じゃあ、まずはそれを調べるところから」
「待て。二人を助けるのが先だ」
「え…?」
ユウさんの言葉に、ラムちゃんは驚く。私も同じ意見だ。
なによりも二人を優先して救わなくちゃ。
「助けるって、どうやって助けるの?」
「シェアを回復させる。そうすれば…」
「回復しても、また奪われたら一緒よ?」
「それは…そうだ!ミナさん、シェアクリスタルは作れますか?」
ユウさんの代わりに、私が案を出す。
「は、はあ…一応、方法は知ってますけど…」
「じゃあ、回復したシェアをすぐクリスタルにしてください。ちっちゃいクリスタルなら、すぐ作れますよね?」
シェアクリスタルを作ってもらえれば、犯罪組織に奪われることなくシェアの恩恵を受けられる。
疲れているだろうが、これしか方法はない。
「あのね、そういうことじゃなくて…って、もういいわ。どうせ言い出したら聞かないわよね、アンタたちは」
ユウさんと私は頷く。
何をするにしても、二人を救ってからという気持ちは一緒だ。
「本当?本当にロムちゃんのこと、助けてくれるの?」
「ロムだけじゃない。ラムもだ。すぐにシェアを集めてくる。もう少しの辛抱だ」
ユウさんがラムちゃんの頭を撫でる。
落ち着かせるようにゆっくりと。
「ま、待ってください!お気持ちはありがたいですが、他国の方にそこまでしていただくわけには…」
「気にしないでください。私たちがやりたくてやるんですから」
私たちを止めようとするミナさんを抑えようとするが、納得いかないようだ。
「そういう問題ではないんです。あまり他国の方に借りを作っては、ルウィーの自主性とか、政治的な立場とか色々と…」
「二人を助けるのに、借りも貸しも無しだ」
「助けて欲しいのはやまやまですけど、その、私にもこの国にも立場というものが…」
バンっ!!
といきなり大きな音が鳴った。
ユウさんが机を叩いたのだ。
その焦ったような、怒っているような表情に私たちは驚いた。
「立場なんて知るか!目の前の子をほうっておける訳ないだろうが!」
恐ろしい程の剣幕に、私は少し恐怖を覚えた。
ユウさんがこんなに怒ったところを見るのは初めてではないが、今までとは何かが違うかった。
「…ね、ねえ」
そんななか、ラムちゃんがユウさんに話しかける。
「大丈夫だ。すぐにシェアを集めてくるからな」
そう言ったユウさんはすぐに外へ出た。
固まっていた私たちも追いかけた。
そこからのユウさんの行動は素早く、瞬く間にクエストをクリアして、シェアを稼いだ。
「ふう、こんなもんでどうだ」
「そこそこシェアも回復しましたね。これだけあれば大丈夫でしょうか?」
「すぐにクリスタルにしたほうがいいわね」
犯罪組織に奪われる可能性もある。
その前に早くクリスタルにしてもらわないと。
「そういえば、結局原因わかってないよね。シェアが奪われた…」
「うん、どこかに悪い奴がいるはずなんだ。けど、どこにいるんだろう」
「…あら?」
シェアを集めるのと同時に、原因を探ろうとしたとき、アイエフさんが何かを見つけた。
「ちゅ、ちゅちゅ…こそこそこそ」
あのネズミがダンボールの箱を持ってこそこそと移動している。……つもりなのだろうが、歩くネズミというのはかなり目立っていた。
「ネズミさん…?何をなさってるんでしょう?」
「…これは、尻尾を掴んだかもしれないわよ」
「ああ、追いかけよう」
尾行すると、ネズミは裏路地へと入っていった。
ネズミがダンボールをどさっと置くと
「お待たせっちゅ!品切れ続出の新型マジェコン、大量入荷したっちゅよ!」
「ください!三個ください!」
「やった!これであの、ガードされてたゲームもプレイできる!」
「よかったー。俺だけ持ってなくて仲間はずれだったもんな。これでまたみんなと遊べるよ」
「はいはい、慌てないっちゅ。ちゃんと全員分あるっちゅ。知り合いにまだ持ってない人がいたら、ついでに声をかけてきてほしいっちゅ」
裏路地に溜まっていた子供達がすぐにダンボールの中身を我先にと取ろうとする。
ゲームソフトのコピーツール、マジェコンを売っているのだ。
「…なるほど、アレが原因だったわけね」
「あんなものを、国中に配ってたんだね」
「早く止めなきゃ!またシェアを奪われちゃうよ!」
犯罪組織はマジェコンを、知り合いからまたその知り合いに広め、シェアを奪っていたのだ。
「おい、ネズミ」
「ん…?あああっ!」
ユウさんの呼びかけにネズミが気づき、こちらを向いた。
「コンパちゃん!これは、夢っちゅ?コンパちゃんのほうからマジェコンを貰いに来てくれるなんて…」
しかしユウさんのことは無視し、ネズミはコンパさんのほうを向き、目をハートにしている。
「無視かよ…」
ユウさんは刀を抜いた。
「ちょ、ちょっと待つっちゅ!いきなり斬りかかるのは女神側の人間としてどうなんだっちゅ!?」
「知らん」
「ううう、こうなったら!」
ネズミはダンボールを抱え、逃げ出した。
「あ、待てー!往生際が悪いぞー!」
「追いかけましょう。これ以上あんなものが配られたら大変です!」
「ぶっ潰してやるさ」
私たちは急いでネズミを追いかけた。
ネズミは街そこらじゅうの道を走り回り、ついには街の外へと逃げ出した。