超次元ゲイムネプテューヌ 衝動へのリベリオン【完結】   作:ジマリス

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26 ルウィーの危機

各国のゲイムキャラの協力を得、いーすんさんからの任務も果たした私たちは、一旦プラネテューヌの教会へ戻った。

久々のプラネテューヌの教会を見渡すと、さまざまな資料が広がっていた。

 

 

「ただいま、いーすんさん」

 

 

「お帰りなさい、みなさん。長い旅、本当にご苦労様でした」

 

 

本に乗ったいーすんさんがふわふわと浮いてこちらにやってきた。

 

 

「へー、ここがプラネテューヌの教会かー。ほかの国も綺麗だったけど、ここが一番かも!」

 

 

「…ここでライブしたら、何人くらい入れるかな」

 

初めてプラネテューヌの教会に来たREDさんと5pb.さんは、物珍しそうにキョロキョロとしている。

うう、なんだか恥ずかしい。出て行く前に掃除していったら良かったかなあ。

でも、明らかに私たちが出て行く前より散らかっている。

 

 

「指示通り、各国のゲイムキャラの協力を取り付けてきました」

 

「はい。こちらでは今、みなさんが取り戻してくれたシェアを凝縮して、新たなシェアクリスタルを精製中です」

 

シェアクリスタルは女神の力を使うのに必要なものだ。

力を封じられているお姉ちゃん達にそれを使えば、きっと助けられる。

 

「それが完成したら…」

 

「そうです。今度こそ、女神を救出します」

 

「いよいよですね!」

 

「ついに本物の女神様を助けられるんだね!これで一気に嫁が増えると思うと腕がなるよー!」

 

「…女神様に、ボクの歌を…!」

 

「今度こそ、失敗しない。絶対に…!」

 

「………」

 

みんなが意気込みを口にするが、ユウさんだけは浮かない顔で俯いていた。

 

「あの、ちょっと待ってください!」

 

私はある提案を思いついた。

 

「どうしたですか?ギアちゃん」

 

「せっかくみんなでやる気出してるのに、いったいどうしたの?」

 

 

「あの、やっぱりほかの女神候補生…ユニちゃんやロムちゃん、ラムちゃんも一緒に行ってもらったほうが良くないですか」

 

 

お姉ちゃん達を救うのに、戦力は大きい方がいい。

それになにより、ユニちゃんたちも自分たちの力で救いたいと思っているはずだ。

 

 

「それは…もちろん当初は、その予定でしたが…」

 

「みんな断られちゃったじゃない。あの様子じゃ、もう一度説得しても時間のムダよ」

 

「それはそうですけど、でも…」

 

私が話したいことをまとめようとしているとき、アイエフさんの携帯電話が鳴った。

 

 

「あ、ごめん。アタシだわ。えと…諜報部のオトメちゃんから?もしもし、どうしたの?え…?それって…!うんうん…わかった。そっちも気をつけて」

 

「どうしたですか?そんなに怖い顔して…」

 

 

話し終えたアイエフさんの顔が険しくなった。

なにか悪い知らせだったようだ。

 

 

「ルウィーで、犯罪組織の活動が急激に活発化したらしいわ。わずか数日で、九割近くのシェアが奪われたって…」

 

「九割!?ありえない数字です…一体何が?」

 

 

突然のことに、私たちは驚いた。

キラーマシンを対処したことにより、犯罪組織の活動は落ち着いたかと思っていたのだ。

 

 

「そこまでは…本当に急激な出来事だったみたいで」

 

「ロムとラムは大丈夫なのか?」

 

 

私は双子のことが心配になったが、私よりもはやくユウさんが詰め寄った。

 

 

「だから、そこまではわからないってば」

 

「たしかなことは言えませんが…女神が九割ものシェアを奪われれば、体に何らかの異常をきたすのが普通です」

 

「そんな…」

 

「気になります。他国のこととはいえ、あまり多くのシェアを奪われたら、作戦に支障が出る恐れも…。まだシェアクリスタルの完成には時間がかかります。その間にルウィーの調査をお願いしてもいいでしょうか」

 

「はい、いってきます。私も二人のことが心配ですから」

 

 

帰ってきて早速だったが、わたし達はルウィーへと急いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ラム、ロム!」

 

ユウさんがルウィーの教会のドアを乱暴に開けた。

 

「あ、あら?あなた方は…なぜ、ルウィーに?」

 

 

教祖のミナさんが、沢山の書類を抱えていた。

ユウさんは心配そうにミナさんの顔を覗きこむ。

よく見てみると、前にきた時と比べて、やつれている様子だった。。

 

 

「顔色が悪いぞ」

 

「すみません…ここ数日、不眠不休の状態が続いていたものですから…」

 

ユウさんはミナさんが持っている書類を近くのテーブルに置き、ミナさんを座らせた。

 

「そんなにひどい状況になってるですか」

 

「ロムちゃんとラムちゃんは?二人は平気なんですか?」

 

「あんまり、平気じゃない…」

 

二人の状態を聞き出そうとしたとき、ラムちゃんが奥の部屋から出てきた。

ラムちゃんも顔色が悪く、ふらふらとした足取りだった。

 

「わ…女神様も、顔色悪いよ…」

 

「ラムちゃんだけ?ロムちゃんは?」

 

「寝てる…あの日から、ほとんど目を覚まさないの、ロムちゃん」

 

「原因は?」

 

「いいえ。未だ不明です。ただ、シェアを奪われたという事実があるだけで…」

 

ユウさんがゆっくりと現状を聞き出そうとしているが、ルウィーでもいまいち状況は掴めていないらしい。

 

「そう…じゃあ、まずはそれを調べるところから」

 

「待て。二人を助けるのが先だ」

 

「え…?」

 

ユウさんの言葉に、ラムちゃんは驚く。私も同じ意見だ。

なによりも二人を優先して救わなくちゃ。

 

「助けるって、どうやって助けるの?」

 

「シェアを回復させる。そうすれば…」

 

「回復しても、また奪われたら一緒よ?」

 

「それは…そうだ!ミナさん、シェアクリスタルは作れますか?」

 

ユウさんの代わりに、私が案を出す。

 

「は、はあ…一応、方法は知ってますけど…」

 

「じゃあ、回復したシェアをすぐクリスタルにしてください。ちっちゃいクリスタルなら、すぐ作れますよね?」

 

シェアクリスタルを作ってもらえれば、犯罪組織に奪われることなくシェアの恩恵を受けられる。

疲れているだろうが、これしか方法はない。

 

「あのね、そういうことじゃなくて…って、もういいわ。どうせ言い出したら聞かないわよね、アンタたちは」

 

ユウさんと私は頷く。

何をするにしても、二人を救ってからという気持ちは一緒だ。

 

「本当?本当にロムちゃんのこと、助けてくれるの?」

 

「ロムだけじゃない。ラムもだ。すぐにシェアを集めてくる。もう少しの辛抱だ」

 

ユウさんがラムちゃんの頭を撫でる。

落ち着かせるようにゆっくりと。

 

「ま、待ってください!お気持ちはありがたいですが、他国の方にそこまでしていただくわけには…」

 

「気にしないでください。私たちがやりたくてやるんですから」

 

私たちを止めようとするミナさんを抑えようとするが、納得いかないようだ。

 

「そういう問題ではないんです。あまり他国の方に借りを作っては、ルウィーの自主性とか、政治的な立場とか色々と…」

 

「二人を助けるのに、借りも貸しも無しだ」

 

「助けて欲しいのはやまやまですけど、その、私にもこの国にも立場というものが…」

 

バンっ!!

 

といきなり大きな音が鳴った。

ユウさんが机を叩いたのだ。

 

その焦ったような、怒っているような表情に私たちは驚いた。

 

「立場なんて知るか!目の前の子をほうっておける訳ないだろうが!」

 

恐ろしい程の剣幕に、私は少し恐怖を覚えた。

ユウさんがこんなに怒ったところを見るのは初めてではないが、今までとは何かが違うかった。

 

「…ね、ねえ」

 

そんななか、ラムちゃんがユウさんに話しかける。

 

「大丈夫だ。すぐにシェアを集めてくるからな」

 

そう言ったユウさんはすぐに外へ出た。

固まっていた私たちも追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

そこからのユウさんの行動は素早く、瞬く間にクエストをクリアして、シェアを稼いだ。

 

「ふう、こんなもんでどうだ」

 

「そこそこシェアも回復しましたね。これだけあれば大丈夫でしょうか?」

 

「すぐにクリスタルにしたほうがいいわね」

 

犯罪組織に奪われる可能性もある。

その前に早くクリスタルにしてもらわないと。

 

「そういえば、結局原因わかってないよね。シェアが奪われた…」

 

「うん、どこかに悪い奴がいるはずなんだ。けど、どこにいるんだろう」

 

「…あら?」

 

シェアを集めるのと同時に、原因を探ろうとしたとき、アイエフさんが何かを見つけた。

 

 

 

「ちゅ、ちゅちゅ…こそこそこそ」

 

 

あのネズミがダンボールの箱を持ってこそこそと移動している。……つもりなのだろうが、歩くネズミというのはかなり目立っていた。

 

 

「ネズミさん…?何をなさってるんでしょう?」

 

「…これは、尻尾を掴んだかもしれないわよ」

 

「ああ、追いかけよう」

 

 

 

 

尾行すると、ネズミは裏路地へと入っていった。

ネズミがダンボールをどさっと置くと

 

「お待たせっちゅ!品切れ続出の新型マジェコン、大量入荷したっちゅよ!」

 

「ください!三個ください!」

 

「やった!これであの、ガードされてたゲームもプレイできる!」

 

「よかったー。俺だけ持ってなくて仲間はずれだったもんな。これでまたみんなと遊べるよ」

 

「はいはい、慌てないっちゅ。ちゃんと全員分あるっちゅ。知り合いにまだ持ってない人がいたら、ついでに声をかけてきてほしいっちゅ」

 

裏路地に溜まっていた子供達がすぐにダンボールの中身を我先にと取ろうとする。

ゲームソフトのコピーツール、マジェコンを売っているのだ。

 

 

「…なるほど、アレが原因だったわけね」

 

「あんなものを、国中に配ってたんだね」

 

「早く止めなきゃ!またシェアを奪われちゃうよ!」

 

犯罪組織はマジェコンを、知り合いからまたその知り合いに広め、シェアを奪っていたのだ。

 

 

「おい、ネズミ」

 

「ん…?あああっ!」

 

ユウさんの呼びかけにネズミが気づき、こちらを向いた。

 

「コンパちゃん!これは、夢っちゅ?コンパちゃんのほうからマジェコンを貰いに来てくれるなんて…」

 

しかしユウさんのことは無視し、ネズミはコンパさんのほうを向き、目をハートにしている。

 

「無視かよ…」

 

ユウさんは刀を抜いた。

 

「ちょ、ちょっと待つっちゅ!いきなり斬りかかるのは女神側の人間としてどうなんだっちゅ!?」

 

「知らん」

 

「ううう、こうなったら!」

 

ネズミはダンボールを抱え、逃げ出した。

 

「あ、待てー!往生際が悪いぞー!」

 

「追いかけましょう。これ以上あんなものが配られたら大変です!」

 

「ぶっ潰してやるさ」

 

私たちは急いでネズミを追いかけた。

ネズミは街そこらじゅうの道を走り回り、ついには街の外へと逃げ出した。

 

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