超次元ゲイムネプテューヌ 衝動へのリベリオン【完結】 作:ジマリス
ルウィーの外では、撒いたと思っているだろう下っ端が忌々しそうにつぶやいていた。
「はあ、はあ…クソッ、冗談じゃネエ。洗脳を解く手段を持ってやがるなんて…」
「う、ううう…」
「テメエも簡単に苦しんでんじゃネエ!使えネエガキが!…あ、そうだ。こんな時のためにって預かってたものがあったじゃネエか。動転してすっかり忘れてたぜ…えっと、たしかここに…」
下っ端が何かを取り出したそのとき、俺たちはやっと追いつくことができた。
「そこまでよ!」
「だーっ!もう追いついてきやがった!」
下っ端やネズミを追いかけまわしているうちに、俺たちも足が速くなってきたんじゃないか?
「ロムちゃん!しっかりして!」
「今、元に戻してあげるからね」
「う…ラムちゃ…ネプギアちゃ…」
ロムはラムとネプギアの声に反応した。
「へっ、そうはさせるかよ。もう一度洗脳し直してやる!チビガキ、こっちを見やがれ!」
「あ、あ…ああああっ!」
下っ端は黒い結晶を見せた。
その禍々しい結晶を見た瞬間、ロムは再び苦しみだした。
「ロムちゃん!」
「どうしたですか?また苦しみだしたです!」
「ダメ…あの光を見たら、いけない…!」
5pb.の言葉に、俺たちは目を伏せる。
「いいか?テメエの敵はアイツ等だ…。ほら、だんだんアイツ等をぶっ殺したくなってきただろ?」
「う…」
「っ…これ以上、ロムちゃんにひどいことしないで!」
だが、ラムだけは違った。
ラムは苦しむロムを助けるために、下っ端から結晶を奪う。
「きゃああああああっ!」
「あ、テメエ!ジャマすんじゃネエ!」
「ちょっと!無茶なことしてんじゃないわよ!」
「ラムちゃん!ロムちゃん!」
ラムとロムが結晶のせいで苦しむ。
「くそっ!」
見ていられなくなった俺は、結晶の能力も気にせずに飛び込んだ。
ラムから結晶を奪い、刀で真っ二つにする。
「止まっちまった…どうなったんだ?まさか失敗…?」
「……」
結晶はなくなり、ラムとロムは沈黙した。
「ん?まさか…おい、返事してみろ。呼び方は…ご主人様だ」
「ご主人様…」
「ご主人様。ご命令を」
「まさか、二人とも洗脳されちゃったの!?」
シェアがごっそりと減っていたせいで、ラムも影響を受けてしまったみたいだ。
くそ、俺がもっと早く行動していれば…。
「最悪だな」
「へ、へへへ…バカだ!バカがいやがる!わざわざテメエから洗脳されやがるなんてよ!こっちにとっちゃ、願ってもネエ展開だぜ。さあ、アイツ等を片付けてきな!」
「「はい、ご主人様」」
ラムも女神化し、二人は武器を構える。
「ど、どうすればいいですか?」
「とりあえず力ずくで動けなくするしかないわね。洗脳を解くのはその後!」
「は、はい!…ロムちゃん、ラムちゃん。少しだけガマンしてね!」
双子を相手に洗脳を解くには、隙を見つけてシェアクリスタルを使うしかない。。
二人は無表情で、近くにいる俺に向かってきた。
「ラム!ロム!」
呼んでも彼女たちは変わらなかった。
ラムが俺に爆発魔法、エクスプロージョンを仕掛けてくる。
すんでのところでそれを避け、ショックを与えようとしたが、ロムが風魔法、エアロトルネードで竜巻を起こす。
防御する暇もなかった俺は、その攻撃をもろにうけてしまい、軽く吹き飛ばされてしまう。
不幸中の幸いなのは、ルウィーのシェアが少ないせいで攻撃がそれほど強くないことである。
すぐ起き上がった俺は、ネプギアたちにアイコンタクトをとる。
みんなは俺の意図をわかったらしく、すぐさま行動に移ってくれた。
俺とネプギアはラムの方へ向かい、アイエフ、RED、コンパ、5pb.はロムへ向かう。
力は弱いが、双子ならではのコンビネーションを駆使してくるため二人を一度に相手するのはは難しい。一人ずつ洗脳を解こう。
「ちょっと痛いぞ、ラム」
俺は刀を握る。
「何をする気なんですか?」
「直接攻撃を当てることはできないよな、ネプギア」
機械と違って、相手には意思がある。
なるべくこちらの意図がバレないように話す。
ネプギアもわかってくれたらしく、頷いた。
「エアブラスト」
抑揚のない声とともに魔法を放ってくる。
さっきのロムよりも強い竜巻魔法を防御した。
吹き飛ばされそうになったが、なんとか踏み耐える。
魔法が収まった瞬間、俺はラムに向かって走り出す。
この作戦を遂行するには、隙を作る必要がある。ないなら無理やりつくってやる!
ラムは俺にエクスプロージョンをかける。
「あぐっ」
爆発魔法は見事俺にヒットした。
ダメージ覚悟だったが、予想以上に痛い。
「ユウさん!」
「大丈夫!」
心配するネプギアの声が後ろから聞こえたが、即答して返す。
俺は走り出した勢いそのままに、ラムの目の前で両手を広げる。
魔法をうつためか、物理攻撃するためか、ラムは杖を振り上げた。
パンッ!!
ラムの前で小さな破裂音のようなものがなった。
俺が猫だましをしたのだ。
予想通り、ラムはビクッと怯え、目を瞑った。
「ネプギア!」
「スラッシュウェーブ!」
ネプギアに合図すると、彼女は思いっきりレーザーソードを振った。
その衝撃波が俺たちの方へ向かってくる。
攻撃が当たる寸前、俺は横へ飛びかわしたが、体が固まっていたラムは衝撃波を受けて吹っ飛んだ。
ラムが吹っ飛んだ先には、アイエフたちと戦っているロムがいた。
ロムは戦いに夢中でこちらには気づいていない。
そんなロムに、ラムが猛スピードで激突した。
「うわたたた。痛そう…」
激突した影響で気絶したのか、二人はぐったりと倒れこんだ。
「大丈夫かな?」
「心配するのはあとよ、シェアクリスタルを!」
「はい!二人とも、目を覚まして!」
ネプギアがシェアクリスタルを二人に近づける。
シェアクリスタルからはまばゆい光が放たれ、ラムとロムを優しく包んだ。
「くあっ!うう…あ…おにいちゃん…ネプギアちゃん…?」
「ロムちゃん!私のことわかるの!?」
「ううう…痛ぁ。何も思いっきり攻撃しなくてもいーでしょ…」
「よかった。もとに戻った…」
俺はラムとロムを抱きかかえた。
「わ、い、いきなりなによ…」
「おにいちゃん、いたい…」
二人が反抗するが、構わずに抱きしめる。
本当に良かった…。
「うわ…や、やべえ。逃げても絶対怒られる…でも逃げネエと、こいつらに…」
「何ぶつぶつ言ってるの?今日こそコテンパンにやっつけちゃうんだから!」
「うろたえるな、見苦しい!」
声のするほうを向くと、黄色い巨躯が舌なめずりをしていた。
「ああっ!トリック・ザ・ハード様!」
「また何か出てきたわね。でも、あれは…」
「はい、似てます…ギョウカイ墓場で戦った人と…」
ギョウカイ墓場ってことは、あのジャッジ・ザ・ハードのことを言っているのか。
え?嘘だろ?全然似てないじゃん。
俺がおかしいの?
「あ、あの!ここ、これはですね。失敗したわけじゃなくて、その、つまり…」
「言い訳は後で聞く。それよりも今はやるべきことがある!」
下っ端の怯えよう、それに名前の「ハード」から察するに、犯罪組織でも上の方の存在だろう。
「そ、そうですね。さっさとアイツ等をやっつけてくれるんですよね?」
「おい、貴様ら!幼女に手を上げるとは見下げはてた奴らだな!」
「そっちが洗脳なんて卑怯な真似するから悪いんだよ!」
「ううう…」
「痛いよ…ラムちゃん…」
「こんなに痛がってるじゃないか!それが女神たちのやることか!」
トリックが熱弁するものの、俺たちは白けた目で見る。
「ガチだよこいつ」
「ガチだね」
「ガチ?」
本物(ガチ)のロリコンということをあえて伏せて言ったが、5pb.には伝わらなかったようである。
うん、その純粋な君でいてくれ。
「ああ、かわいそうに…今、治してあげるからね。れーろれろれろれろ…」
トリックは俺の手からラムとロムを奪い取った。舌を伸ばして。
「へ…きゃ、きゃあああああっ!」
「き、気持ち悪い…やめて…!」
トリックは痛がっているラムとロムに自身の舌を這わせた。
「な、何やってんのよアンタ!」
「そ、そうっすよ!なにやってるんすか!」
「幼女の傷を癒しているに決まってるじゃないか!れろれろ…」
「やだ、やめて…やめなさいってばー!」
「う…ふぇ…ダメ。もうやだ…」
「ロリコンかと思ったら…」
俺はトリックが双子に夢中になっている間に懐へ忍び込んだ。
「ただの変態じゃねーかああああ!!」
「ぬ、ぬあっ!?」
全力でアッパーを食らわせる。
トリックが倒れた反動で、ラムとロムはトリックの舌から解放された。
「そ、そんな!トリック・ザ・ハード様が!?」
「ぬうっ、貴様……」
「それ以上やるなら、本気で行くぞ」
起き上がったトリックに刀の先を向ける。
「ぬっ?貴様…その力…」
トリックは俺を見た瞬間、顔をこわばらせた。
「くっ、いったん退くぞ!」
「ああっ!ま、待ってくださいよー!」
何かを感じ取ったのか、トリックは逃げ出し、下っ端も続いて逃げる。
「あー!こら、逃げるなー!」
「行っちゃった…」
とんでもない速さで犯罪組織二人組は去っていった。
犯罪組織っていうのは、足が速くないといけないのか?
「とんでもない敵だったわね」
「いろんな意味でな」
ふう、と一息つく。
あのまま戦っていたとして、勝てたかどうかわからない。
なぜか分からないが、逃げてくれたよかった。
「ロムちゃん、体は平気なの?」
「あ…うん。普通に動ける…」
「よかった。シェアクリスタルが効いたですね」
「あの…ごめん、なさい。いっぱい迷惑かけて…」
ロムはぺこり、と礼をした。
「ロムちゃんのせいじゃないわよ。みーんな、あの変態が悪いんだから!」
「そうそう、女神さまが気にすることないよ」
ラムとロムが無事だったことを、みんな喜んだ。
「一件落着だな」